バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。ここからはかなりオリジナルの色が強くなる予定です。ラストは原作とは全然違う流れに持って生きたいと思っていますのでどうか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします


第111問

 

 

第111問

 

明らかに許容オーバーの食事をして昼寝を始めた明久をそのままにして会議室である。旧校舎3階のFクラスに向かっていると

 

「……雄二」

 

「ん?なんだ翔子?」

 

翔子に呼び止められ立ち止まり翔子の顔を見ると不安と焦りがない交ぜになった複雑な表情をしていた

 

(誰に何か吹き込まれたのか?)

 

翔子は頭はいいが応用力が無い。もしかすると俺達がいない間に何かを吹き込まれたのかもしれない

 

(そういや小山がいたとかどうとか?聞いたような気がするな)

 

Fクラスのあたりを守っている生徒からそんな話を聞いた気がすると思い返していると

 

「……雄二は私の事……好き?私の事……嫌いじゃないよね?」

 

不安そうな声で俺を上目目線で見ながら尋ねてくる翔子。こういう時気が利いたことをいえればいいんだが、あいにくと俺はそう言うことが出来るほど器用な性格じゃない

 

「……あのな?おかしなことを言ってないで試召戦争に集中しろ」

 

「……雄二は私の事嫌いなの?私はやっぱり足手まといなの?」

 

足手まといって……その言葉を聞いて俺は舌打ちした

 

(十中八九誰かが何か言いやがったな)

 

翔子の素直すぎる性格はこういうことを言われると不味い。とたんに不安定になってしまう。

 

「翔子いっこだけ言っておく」

 

「……なにを?」

 

不安そうに俺を見たまま首を傾げる翔子に

 

「嫌いだったら俺はお前のためになんか弁当は作らないし、お前に攻撃されたら反撃だってする。でも俺はそれをしない、何でかわかるか?」

 

ふるふると首を振る翔子に顔を見ずに少し悩んでから俺は

 

「俺はお前のことは嫌いなんかじゃねぇよ。ほれこれで納得したか?じゃあ行こうぜ。俺たちが3年に勝つためによ」

 

昔みたいとまでには言わない。俺も大分変わってしまったからそれでも代わってない大事な部分と言うのはある。俺は翔子の手を引いて歩き出した。今はまだこれが限界だ、もし俺が自分の気持ちを伝えることが出来るときがあるとするのならそれは

 

(3年との勝負に勝って、翔子達との勝負に勝ってからだ)

 

だから悪いな翔子。それまで待っててくれ……だが俺はこの時翔子の顔を見るべきだった。俺の言葉で余計に不安そうになっている翔子の顔をもしこの時に見ていればまた結果は変わっていたのかもしれない……

 

 

 

 

 

昼休み明け。相手に編成を変えたことがばれないように1部の生徒を残してチームの再編成を行い。僕達はCクラスと別れ後方で同じクラスの生徒同士で集まっていた

 

「雄二」

 

待機場所で目を閉じて黙っている雄二に声を掛ける。午後からの作戦は聞いている、各クラスで別れ最も召喚獣の操作に長けたFクラス生が囮となり陽動となり少しずつ3年生を撃退していくという物だ。向こうが防戦を仕掛けてくるのなら攻め込む、それが雄二の立てたプランらしい。その作戦と陣形配置を考えているのか目を閉じて黙っている。集中を邪魔するのもなんだが、そろそろ会戦時間だから

 

「雄二そろそろ時間だよ?」

 

「……」

 

さっきより少し大きな声で声を掛けるが反応が無い。

 

「雄二ってば!」

 

「……ん?何か用か?」

 

漸く目を開けた雄二はふあっと欠伸をしているので

 

「何か用か?じゃないよ。もう昼休みは終わったのに、何をボーっとしているのさ?」

 

作戦会議を終えて戻ってきた雄二は僕達に流れを説明するとそのまま眠ってしまった。こういう時にしては珍しい普段なら時間ギリギリまであーだコーだと作戦を説明してくれるのに

 

「ん?もうそんな時間か悪いな、色々と考えることがあったんでな」

 

よっと言いながら立ち上がった雄二はぱんっと手を叩き準備Okだという事をアピールしながら

 

「飯を食ってあーだこーだと会議に出てたからな。戻ってきて気が緩んで寝ちまった。悪いな」

 

はっははと自らの豪胆さをアピールすかのように笑う雄二を見て僕は違和感を感じていた

 

(うーんおかしいような。幾ら考えることがあるとは言えこんな風に眠りこけるって言うのはおかしいような気がする)

 

こんな大事な勝負の最中に眠ってしまうなんておかしいと思い雄二の様子を窺っていると

 

「なんだ明久。人の顔をじっと見やがって。気色悪い」

 

心配してやってるのになんて言い草だ。だがこの口ぶりを聞く限り普段と同じと言う風に思える

 

「そんな真似をしているくらいなら、お前も瞑想でもして頭を切り替えたらどうだ?」

 

「瞑想って、さっきは寝てたっていってたじゃないか」

 

「俺にとってその2つは同義だ」

 

むっそう言われると僕もそうかもしれない

 

「まぁそれはさておきだ。ここからはいつも通りの編成……と言いたいが龍也達は攻撃組みに回っている。だから今あるのは普段のFクラスの戦力だ。だがそれはいつも通りの行動が出来る言うのと同じ事だ、さっきまでのことは忘れてしっかりと意識を切り替えてくれ」

 

午前中は混戦作戦だった。だから連携や協力と言うことを考えていたが午後からはいつも通りのFクラスの戦いだ。他の事は考えずしっかりと自分達の役割を全うし、いつも通りの行動が出来るように心がけたほうがいいかもしれない

 

「特にこういった勝負の掛かったときは普段の力を発揮するのが難しい。余計なことは考えないでいつも通りの行動を取るべきだ」

 

普段通りの行動か。確かにその通りかもしれない、あーだこーだと話を聞くよりいつも通りある程度は出たとこ勝負の方がいいかもしれない

 

「雄二は起きたみたいだね。明久は準備は出来てる?」

 

「……そろそろ出撃?」

 

僕と雄二がそんな話をしていると優月とムッツリー二がやってきてそう尋ねてくる。その言葉に雄二は時計を見て

 

「いや。行動開始はもうちょい後だな。Bクラスが3-Eと3-Bとの間に道を作ってから突っ込む」

 

昼休み明けにいきなり行動に出るより少し時間を置いてからの方が良いってことだろう

 

「タイミングが来たら声を掛ける。それまで待機をしていてくれ」

 

それなら雄二の指示が出るまで普段通りの話をしながら待っていようかな

 

「美波。お昼からの科目は国語だから後方待機だね」

 

「そうみたいね。一応盾と槍を装備してるからある程度は戦えると思うけどね」

 

「まぁ私は国語はある程度点が取れてるから攻撃に回れそうだから、明久と一緒だね」

 

優月。お願いだから美波を怒らせるようなことを言わないでくれないかな?

 

『『お?魔王対戦が始まるぞ』』

 

『『これを見ないとFクラスって感じがしないよな』』

 

『『そうそう』』

 

僕と美波達の争いを見てリラックスをしているFクラスの皆を見て、僕達の争いを見て落ち着いてくれるのなら仕方ない。雄二の合図が出るまでこうしていれば良いか。僕はそんなことを考えながら空間が歪むほどの魔王の視線を耐える事にしたのだった

 

 

 

明久が人身御供になってくれたおかげでFクラスの生徒が落ち着きを取り戻したな。いつもと同じ光景を見ることで落ち着きやすくなる。Fクラスの場合は明久を取り合う島田達の口論と喧嘩。これが1番落ち着くのだ

 

(そろそろか)

 

時計を見ると会戦してから10分。そろそろ出撃して良い頃合だ

 

(これが根元の指揮だったらもう少し考えるけどな)

 

自分が一番になりたい根本との共同戦線なんて取れるものじゃない、そう言う面ではBクラスの臨時代表の「岩下律子」は優秀だ。クラスでの発言力も高い。これなら連携をとるのに何の不安も無い

 

「さてとそろそろ動くぞ、準備しろ」

 

廊下から聞こえてくる歓声が段々大きくなって来ている。そろそろ俺たちの出番だ

 

「どうする?雄二もう動くの?」

 

2年と3年の召喚獣を呼び出す声を聞いて明久がそう尋ねてくる

 

「いやまだだ。Bクラスが戦場を作るまで待機だ」

 

俺達は純粋な戦闘力ではどのクラスにも劣る、だが戦いで力がすべてと言うことではない。むしろ俺達のように召喚獣の操作に長け攻撃も回避も出来る陣営が大事なのだ。前に出て敵の攻撃を回避し防ぎBクラスの攻撃支援をしつつ弱った3年を仕留める。それが午後の作戦会議で決まったことだ

 

「うーん。それでもなんか落ち着かないんだよね。他のクラスが試召戦争をしているのに僕たちが戦ってないのってなんか違和感を感じるんだ」

 

明久がそう呟く。まあ確かにその通りだがな、俺達は常に試召戦争に参加していた。そんな俺たちがこうして待機しているのは何か新鮮な気持ちになる

 

「確かにね、ウチらは全部の試召戦争に参加してるしね」

 

「……確かに」

 

島田とムッツリー二が明久の言葉を聞いてうんうんと頷いている。俺達の試召戦争の経験は3年よりも多いかもしれない、戦闘経験と召喚獣の操作のスキルの高さだ

 

「いつも試召戦争に参加してるってウチらくらいよね。もしかするとあんまり参加してないクラスから見ると頼もしく見えてるのかもね」

 

「そうかもしれないね」

 

「SWATみたいの特殊部隊みたいに呼ばれてたら格好良いよねえ」

 

明久とかがそんな話をしている。言いにくいな、確かにFクラスは特別な呼ばれ方をしている、だが明久の想像しているものとは違いすぎて言いにくい。俺が躊躇っているとムッツリー二が

 

「……常に戦っているからFクラスは特別な呼ばれ方をしている」

 

「え?ほんと!?なんて呼ばれてるの!?」

 

嬉しそうに尋ねる明久。聞くべきことじゃないんだがここで止めるのもおかしい。いずれはクラスの皆にも知られるんだし止める必要もないか

 

「……呼ばれている。蛮族と」

 

なんとも言いがたい顔をしている明久達。だが仕方ない自分で聞いたんだ諦めろ

 

「まぁ仕方ないのかな?ずっと戦ってきたわけだし、良く考えると全部のクラスとも戦っているわけだし」

 

「それはそうだけど……蛮族はないわよね?アキ」

 

「うん。ちょっとねえ?あんまりだよね」

 

ちなみにFクラスの事を蛮族と呼び始めたのは根元の野郎だ。本当に嫌味なことばかりしてきやがる

 

「皆さん。こんなときでも余裕があって頼もしいですね」

 

姫路がそう言って笑うその笑みを見た明久達も落ち着いたようでいつもとおりと言う感じになっている。こういう馬鹿らしい会話が出来る時点でいつも通りってことなのかもな

 

「お前ら、お喋りはそこまでだ。出るぞ」

 

会戦開始から15分。そろそろころあいの筈だ

 

「いいかお前ら!今から2ーBの連中が居る場所に突っ込むが、あいつらが戦っている3-Eは相手にするな。奴らは2-Bに任せればいい。俺達は俺たちの役割に徹するぞ!」

 

「「「おう!!」」」

 

力強く返事を返すFクラスのメンバー。これならいける気力が充実してるからな

 

「戦闘は俺と姫路で行く!途中で2-Bを見つけたら指示をした順で足止めに入ってくれ!行くぞ!!!」

 

俺はそう指示を出し姫路と並んで待機場所を出た。予想とおり2-Bが奮闘し敵の分断に成功している

 

「経験の差がある分そこまで圧倒的優位ってことじゃないけど、こっちが押してるみたいだね」

 

秀吉がそう呟く。優月と言う名前らしいが明久以外に呼ばれると起こるので今まで通り秀吉と呼んでいる。軽く見ただけだがBクラスが押しているのは間違いないようだ。

 

「来た!3-Bだ!」

 

戦闘しているBクラスからそんな声が上がる。やはりこちらの計算通り押され始めた3-Eを援護するために3-Bが動き出したようだ。

 

「しゃあっ戦闘開始だ!いけっ!!!」

 

ここからが正念場だ。ここで出来るだけ3年を戦死させてこちらに流れを持って来たい、それに

 

(翔子の様子がおかしいからな。少しでも肩の荷物を下ろせるようにしてやりたいからな)

 

誰に何を言われたかは判らないが今の翔子は明らかに気負いすぎだ。少しリラックスできるように良い戦果を上げてやりたいと思ったところでふと気づいた

 

(なんだ俺も大分明久に似てきちまったな)

 

魔王に困らせれているはずなのにその魔王のために行動しようとしている。その事に苦笑しながら俺はこの戦場でどう動くかに意識を傾けた

 

(しかしさっきの3ーB発見の報告の声。Fクラスじゃなかったな)

 

聞き覚えの無い妙にくぐもった声だった気がする。それがなぜか妙に気になったが、今はそんなことを考えている場合ではないのだが、どうしてもその声の正体の主が気になるのだった

 

 

 

上手く行った。くっくくっ……俺は声を押し殺して笑いながら戦線から少しずつ離れ始めた

 

(たっくあいつらのせいで親には怒られるわ、代表は降ろされるわで散々だぜ)

 

雄二が気にしていた3-B発見の報告をしたのは、マスクをしていた根本だった。前回の召喚戦争の反則のせいで代表を降ろされたことを逆恨みしての行動だった

 

(くっくっく。Fクラスが落ちれば必然的に元とは言え代表の俺に声が掛かるはず。これで何とか元の地位を取り戻さないとな)

 

そんなことをしても自分の立場が悪くなるだけと言うことが判らない根本は完全に自己中心的な考え方をしていた。そしてBクラスも根本から岩下に代わった新体制に不満を持つ男子生徒がいた。数こそ少ないが、根本と同じく勝てば何をしても良いと言う考え方の生徒達だ。少しずつ少しずつ戦線のバランスを崩し始め

 

(良し良し。これでFクラスは孤立する。ついでに岩下とかも戦死してくれれば御の字だ)

 

自分たちのことしか考えない根本達は気づいてなかった。戦線が崩れてきているのが自分達が少しずつ撤退しているからではなく、自分達が少しずつ攻め込まれて退路が塞がれつつあるということに……

 

 

 

 

3-Bと3-Eの分断は思いのほか上手く言って居るようだ。まぁ僕達が有利にことを進めれているのが

 

「オラオラ!俺達に近づくと馬鹿が伝染るぜえ!受験に失敗したくなかったら俺達に近づくんじゃねぇ!!」

 

「これだけ馬鹿が集まってたら空気感染もありえるぜえ!」

 

「はい!落ちーろ!落ちーろ!」

 

「落第決定!ひゃーはははははは!!!」

 

進学目前の学生の心理をついた嫌がらせ攻撃のおかげと言うのが何か情けないが、勝つためだから仕方ない。

 

(僕は出ないほうがいいんだよなあ)

 

実は今回の国語のテストは山が当たり。点数が150近いだから前に出ると馬鹿が伝染する作戦が失敗するので後方待機なのだ

 

(うーん。しかしなんかへんな気がする)

 

敵のど真ん中を突破しようとしているのに思ったよりも抵抗が薄いような気がする。もっと激しい戦闘が待っていると思ったのに、須川君たちが3年生を挑発する余裕すら見せている。これは少しおかしいような気がする、雄二も何か引っかかるという顔をしているので近づいて

 

「雄二も感じてる?何かへんな流れじゃない?」

 

「お前も感じたのか?明久?実は俺もなんだ」

 

この感じは言うなれば自分で考えて逃げているはずなのに魔王に追い詰められる。そんな嫌な感じに良く似ている、そんなことを考えながらふと辺りを見ると

 

「ねえ雄二なんかこの辺りの味方が増えてきてない?」

 

「はっ?味方が増えた?何を言って……」

 

僕達の周りには見慣れたFクラスの生徒の姿がたくさんある。そんなに攻め込めているのかな?僕がそんなことを考えていると雄二が

 

「やられた!なんで気づかなかったんだ畜生!」

 

雄二がそう怒鳴る。え?なんで味方が増えてくると不味いの?

 

「どうしたのさ雄二?」

 

「どうしたじゃねえ!俺達は敵陣の奥に向かって縦列で突っ込んできてるんだぞ!それなのになんで味方が集まってきてるんだよ!」

 

そう言われてはっとなる。周りに居るのは後ろのほうに配置されていたメンバーばかりだ

 

「後方が飲み込まれた?」

 

「それに近い状況だ!後ろを見てみろ!3年ばかりだぞ!」

 

言われて見ると確かに背後は3年生の姿ばかりが目に付く。しかも僕達が来たはずの通路は完全に塞がれてしまっている

 

「どうして!?僕達はともかく上位クラスのはずの2ーBがなんで押し込まれてるの!?」

 

なんでか判らずそう叫ぶと雄二がFクラスに集合と声を掛けながら

 

「下位クラスが優位に立つのは珍しいことじゃねぇ!俺たちがいつもやってきたことだろが!とにかく、ここにいたら全滅だ……どこか隠れ……ってあのやろう!何でここに居やがるんだ!!!」

 

雄二が急に怒り始める。その視線の先には

 

「くそっ!逃げるぞ!Fクラスを囮にして逃げろ!!!!」

 

Bクラスの生徒を押しのけて自分ひとりだけでもと言いたげな顔をして必死で走る根本の姿があった

 

「根本!?何でこんな所に!?」

 

前線の1番きつい場所に配置されているはずの元Bクラス代表の根本が何人かのBクラス生を連れて撤退しているのが見えた

 

「あのやろう。俺達を嵌めるつもりだったのか!くそったれ!明久前に進むぞ!お前も召喚獣を出せ!試獣召喚!」

 

雄二が召喚獣を呼び出して武器の棒を構えさせる。

 

「どうして!?僕達も後退した方が……」

 

前に出るのではなく下がるべきだと言おうとすると、遠くのほうでBクラスの生徒と戦っている美波が

 

「馬鹿!こうして孤立させたのよ!?下がらせるわけが無いでしょ!」

 

「島田の言うとおりだ。孤立させたという事はしとめるつもりだ!下がったら逆にやられる!前に出て隠れ場所を探すぞ!」

 

雄二と美波に言われて気づいた、ここまでの快進撃も、須川君達の挑発も全てが3年生の手の中の出来事

 

(みーちゃん……いや。この感じは小暮先輩か!)

 

みーちゃんは頭はいいがこういう搦め手は苦手なはず。となればみーちゃんの参謀は小暮先輩以外ありえない

 

「不味いですよ!坂本君。かなり押されてます!」

 

「Bクラスも大半が飲み込まれたみたいだよ、それでも何とか岩下さんとかは戦線を維持しようと頑張ってくれてるけど、時間の問題っぽい」

 

瑞希と優月も追い詰められたのかいつの間にか僕の傍にいた。もう回りは3年生だらけこのままでは全滅は必須だ

 

「雄二!どうする!?」

 

こうなったら雄二の奇策に掛けるしかない。そう判断して雄二に尋ねると雄二は

 

「あそこしかないな」

 

雄二がある一点を見つめて静かに告げる。雄二の視線の先は新校舎だった

 

「新校舎へ向かう!姫路・島田!あと他に点数の残ってる連中は前に来い!力で押し切る!明久と秀吉、それにムッツリー二は後方支援!出来る限り全員であの教室に逃げ込むぞ!

 

そう指示を出した雄二は召喚獣の後ろに立ち

 

「いくぜ!邪魔だ邪魔だ!!!」

 

そう叫んで雄二をしとめようとする3年を蹴散らして走り始めた。それを見た美波が

 

「じゃあウチも行くから!アキも気をつけて!」

 

「OKっ!美波も気をつけてね」」

互いに激励しあい。美波は隊列の前方へ、僕は後方へと足を向ける。その途中で瑞希とすれ違い

 

「頑張ってください。明久君!」

 

そう激励して雄二の後を追いかける瑞希。そして前方から聞こえてくる

 

「Fクラスは全員俺に続け!遅れるな!」

 

「行きます!」

 

「こんのおっ!!!!」

 

雄二・美波・瑞希の声が聞こえてくる。僕と優月とムッツリー二は

 

「こっちも行くよ二人とも!」

 

「こっちは大丈夫。点数も残ってるし」

 

「……点数は無いが操作なら自信がある」

 

僕たち3人で攻め込んでくるB・Eクラスの足止めをしていると

 

「もういい!明久達も戻って来い!隠れるぞ!」

 

空き教室の出入り口から戻って来いと手を振る雄二に頷き僕達も応戦しながらその空き教室のほうへと走り出したのだった……

 

 

 

だが明久達は知る由もない、雄二が考え今取れるなかで最善の一手を打った……それがFクラス全員の考えだったが……明久達が空き教室に逃げ込んだと報告を聞いた雅はにっこりと笑いながら

 

「結構です。作戦通りですね」

 

「上手く行ったようで何よりですね、雅」

 

「では最後の準備に取り掛かるとしましょうか」

 

この戦況。Bクラスの一部の離反。そして明久達が空き教室であるBクラスに立て篭もる。この行動でさえ全て高城雅の手の中の出来事であったのだった……

 

 

第112問に続く

 

 




原作とは違う流れに持っていけるのはこの次くらいの話からになると思います。ある程度原作の流れが如何しても出てしまうんですよね。バカテスの最も大事な部分の召喚戦争のオリジナルはかなり難しいのだと改めて実感しました。それでもなんとかオリジナルの色が出せるように頑張りたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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