バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は召喚戦争の後編とお昼休みの話をメインにしてやっていきたいと思っています。ここら辺から少しずつ原作とは違うイベントをやっていくので楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第110問

 

 

第110問

 

雄二とセッテの報告を聞いて私は手元のノートに状況をメモしながら

 

「向こうが防戦に切り替えてきたか。戦線はどうなっている?」

 

「窓から見ただけですが拮抗しています。どうやら今まで前に出てきてなかったA・Bクラスを2~3人一組にして各戦場に送り出しているようです」

 

セッテの報告と他の戦線から帰ってきた偵察組みの報告を聞くと、A・Bは過剰に攻め込まず。進撃して来たら反撃と言うスタンスを取っているらしい

 

「……雄二。どうすればいいと思う?」

 

「そうだな。下手に攻め込んで返り討ちに合うのも癪だからな、当面はこっちも防戦に切り替えて昼休みを待つのはどうだ?」

 

雄二の意見は堅実だった。昼休みまで後1時間と少し、どうせ攻め込んでも攻めきれず昼休みになるのならここはこっちも防戦に出るのがいいだろう

 

「1度私も戦線に出よう。優子と愛子もだ、どこからから攻め急ぐ3年が戦線を崩そうとする可能性があるからな」

 

独断専行をするやつらが居るかもしれない。ここで待機していた面子も1度出て戦線を見て回ったほうがいい

 

「それはあれか?混成部隊がちゃんと機能しているかの確認もかねてか?」

 

雄二の言葉に頷く。混成部隊は戦力は整うがその分連携に乱れが出やすい。仲間割れの可能性がないかと言うのを1度見回っていたほうがいいと判断したのだ。幾ら指揮統制の生徒がいたとしてもそう簡単に纏めれるわけじゃないからな

 

「それはそうね。1度見回っておきましょうか、じゃあ誰がどこに行くか決めましょう?」

 

机の上の戦力図とチーム編成が描かれた紙を見て。誰がどこに行くかを決め私達は1度報告ではなく自分達の眼で戦況把握に向かったのだった

 

「……私は待機」

 

雄二や優子にも言われたけど私がやられたら駄目だから待機してないと、本当なら雄二の手伝いをしたいけどここは待っていよう。

翔子も最初は雄二と行動するといったが学園対抗のルール上翔子は動けない、だからAクラスで待機していたのだが……それを狙って行動するとは誰も思ってなかった。しかもそれが同じ学年の生徒となれば無警戒も当然だった……優子や龍也が席をはずした5分程度の時間。そして翔子を良く思ってないただひとりの生徒のある一言がきっかけで少しずつ磐石の布陣が崩れていくとは誰も予想だにしなかったのだった……

 

 

 

 

 

 

「均衡状態になっちゃったね。清水さん」

 

「ですね。明久」

 

さっき報告で聞いたけど、3年生が防戦に切り替えてきたらしい。しかもA・Bクラスも戦線に少しずつ出てきてるそうで思うように攻め込めない状況になっているらしい

 

「アキやっぱりこのまま仕掛けてきたら応戦する?」

 

「うーん、どうしよっか?」

 

今僕達のグループの統制の生徒は龍也達に報告に行っている。ここで勝手に動くと命令違反とかで根本が文句を言ってきそうだし、なんか報告ではあちこちの戦場に来ては難癖をつけて俺に指揮を取らせろと言っているらしい。無論根本・小山さんは無視しろとの通達なので誰も相手にしてないが鬱陶しいことこの上ない。だがFクラスが多い所には顔を出さない辺り色々と警戒しているのかもしれない

 

「明久向こうは完全に沈黙した見たいだね」

 

優月の言葉に頷く。さっきまでちらほらと戦闘に入っているのが見えてたけど今は互いに沈黙状態だ。こっちから攻め入って返り討ちにあって戦力を削るわけには行かない。こっちも今のうちに戦線を整えるべきだろうか

 

「こっちも動きなしか、どうやら3年は昼休みの後まで動く気がないらしいな」

 

雄二が手帳を片手に歩いてくる。僕は辺りを観察している雄二に

 

「こっちもってことは他の所も?」

 

「おう。どこも防戦用の陣形に切り替えてきた。ある程度は進軍できたが昼休みまであと20分、攻めきれないな」

 

雄二にそう言われて時計を見るともう昼休憩が目前に迫っていた

 

「もうこんな時間なんだ。全然気づかなかったわ」

 

「だね。ここって一応一番戦闘が激しいエリアだし」

 

グランド中央で新校舎への入り口のエリア。ここがもっとも激しい戦線だ。互いに人数多く配置して攻めきれない様にしている

 

「まぁなんにせよだ。昼休みまで行動に出るなよ、攻撃してきたら反撃、それ以外はこっちも動くな。下手に動くとそこから攻め込まれるからな」

 

雄二は生き生きした表情でそう指示を出して、次のエリアの見回りがあるからと言って旧校舎の中に入っていった。そんな雄二の背中を見てムッツリー二が

 

「……雄二の作戦なら安心」

 

「そうよね。こういう乱戦指揮に長けてるのは坂本くらいだし、何の心配もなく行動できるわよね」

 

確かに僕達の中では雄二の作戦なら安心と言う考えがある。最低クラスと言われるFクラスで勝利し続けた指揮だ。不安が出るはずもないだけど

 

(みーちゃんがこれで終わるのかなあ)

 

お見合いの時に話したから判るし、昔の事からでも判るが。みーちゃんはとても頭が良い、しかもその頭の良いみーちゃんに腹黒い小暮先輩がついている。それが不安材料になっている

 

(うーん。何も無いと良いんだけど)

 

僕の予想だが、小暮先輩は雄二に良く似てる所があると思う。合理的でしかもそれでいてこっちに大打撃を与える策を考えている。そんな気がしてならない。とりあえず今はこの戦線の維持に集中しよう。考えるのは後でも出来る、僕はそう考え時折進軍してくる。3ーFの生徒との戦闘に意識を向けるのだった

 

キーンコーンカーンコーン

 

「っとここまでみたいだな。2年」

 

僕と対峙していた3年生が召喚獣を消しながらそう呟く。昼休みになった召喚戦争の一切の停止がルールになっているので目の前で召喚獣を消しても補習室送りにはならない、3年生はやれやれと首を鳴らしながら新校舎に戻っていく

 

「ふーなんとかなったね」

 

攻め込ませず、こっちは後退せずで何とか午前中は終わった

 

「中々やるではないですか、明久。ずっと前線維持をするとは」

 

「ありがと、操作だけが僕のとりえだからね」

 

避けて、受けて、回避して。僕に意識を向けてしまった3年生は僕の後ろで待機していた清水さんや美波によって補習室送り。これのおかげで何とか戦線は維持できたが流石に少し疲れた

 

「お疲れ様アキ。とりあえずお昼でも食べて少し休憩しましょ?」

 

「色々と持ってきてるし、皆で交換して食べるのも楽しいよね」

 

大勢でわいわい食べる食事ほど楽しい者は無い。僕はそう思っている、姉さんが帰ってくるまで僕1人だったから余計にそう思う

 

「あ、お姉様。美春もご一緒していいですか?サンドイッチとか色々持ってきたんです」

 

清水さんは喫茶店の娘だけあって料理上手だと噂されている。それに美波に過剰すぎるスキンシップをしようとしなくなってから、彼女にしたくないいランキングが9位から彼女にしたいランキング101位まで上がっている。このまま更に上位になるのでは?と須川君が話していたのを思い出した

 

「別にいいわよ美春。だけど……まぁ言わなくても判ってるわよね?」

 

「YESマムッ!美春はお姉様のお邪魔をいたしません!」

 

なんかベクトルが少しおかしい方向になってきていると思っているのは僕だけかな?そんなことを考えながら新校舎へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

昼休みとなり1度休憩の為にAクラスに戻ってくると

 

「カリカリカリ」

 

翔子が鬼気迫るという表現がぴったりな顔をしてノートに凄い勢いで何かを書き込んでいた。それを見て兄ちゃんに

 

「なぁ?なんかあったんか?」

 

「判らん。私も見回りをしてたからな、戻ってきたら翔子がずっとノートに何かを書き込んでたんだ」

 

兄ちゃんとか優子とかが居らんときに何かあったんやろか?そんな事を考えていると

 

「兄貴ー♪今戻ったぞ!」

 

「はー指揮を取るって結構疲れるね」

 

ヴィータとフェイトちゃんも教室に入ってくる、これで各階と各戦場に散っていた指揮組みも全員帰ってきたなあ。先に昼食をとっている明久達の周りを見ると

 

「……修羅場やね?」

 

明久を中心に右は美波、左は瑞希、斜め右は優月と完全に包囲されている。そしてさぁっと置かれた3つの弁当箱を前に明久が冷や汗を流している。まさに修羅場と言う感じだと私が思っていると

 

「ほらはやても座ったらどうだ。色々作ってきたから」

 

兄ちゃんが机の上に弁当を並べている。おかずはヴィータが好きな甘い卵焼きや鮭の照り焼きが入った和風弁当とセッテやフェイトちゃんがパンを好む事を考えたのかサンドイッチのバスケットと2種類用意してる。朝からこんなの作ってたのかと感心半分、私もたまには早く起きてお弁当を作ろうか?と考える気持ちが半分。若干複雑な感情を抱きながら兄ちゃんの隣に座り

 

「いただきます」

 

「はい、どうぞ」

 

手を合わせてからおにぎりに手を伸ばす。相変わらず美味しいなあ、何の工夫も無いおにぎりだがそれがこんなに美味しい。以下に兄ちゃんの料理のスキルが高いかを改めて思い知らされる

 

「ほれ。翔子お前が散々作ってくれって電話してきたから作ってきてやったぞ弁当。少し休んで昼にしたらどうだ」

 

雄二が弁当の包みを翔子に差し出している。まめな男やな~普通は頼まれても中々料理なんかせえへんで?やっぱり雄二もそこそこ翔子が好きなんやろなあ。そんなことを考えながら卵焼きに手を伸ばしていると

 

「「むっ」」

 

セッテとかち合い。互いに摘んだ卵焼きを前ににらみ合っていると兄ちゃんが

 

「少しは仲良く食べたらどうだ?折角作ってきたのにそう言うのは見るのは嫌だなあ」

 

兄ちゃんが嫌いなのは食事時の喧嘩だ。ここは大人しく引き下がった方が良いな、卵焼きではなくから揚げに手を伸ばしなおす

 

「……後で良い」

 

「駄目だ。さっきからずっと作戦を考えてるだろ?少しは休め、休憩時間でまた作戦会議をするんだ。そう根をつめることも無い」

 

雄二が若干強い口調で言うと翔子は漸くペンを置いて雄二が差し出している弁当箱を両手で大事そうに抱えて

 

「……ありがとう。雄二」

 

「おう。言っとくがありあわせだからな。不味くて文句言うなよ?あとこれオレンジジュース。好きだろ?」

 

「……うん。好き」

 

幼馴染ってこういう時凄いと思う。好きなものを買って来てるんやもん

 

「龍也さん。あれあります?」

 

「鞄の中だ。「兄貴あれは?」

 

「これ。はい、アップルジュース」

 

「やた♪」

 

……よう考えたら私たちも大体あれで会話できてるな。なれって凄いなあ段々適応するんやろな、やっぱり

 

「霧島さん頑張ってるね!」

 

美波達の視線に耐えかねたのか明久が翔子にそう声を掛けると

 

「……私は代表だから、責任重大だから」

 

にっこりと笑う翔子は雄二が作ってきた弁当の蓋を開けながら(なお適当に作ってきたと言う割にはポテトサラダやグラタンもありとても有り合わせとは思えない仕上がりだ)

 

「……一生懸命頑張る。格好良い所を見て欲しいから」

 

その視線はちらちらと雄二を見ていたが、なんかおかしい。不安とかそう言う色が浮かんでいるからだ、だがその色に気づいてない明久が

 

「だってさ、雄二。霧島さんを見て素直な観想を言ってあげなよ」

 

「うん?ああ、翔子そのエビフライ尻尾の殻剥いてあるから、そのまま食えるぞ?」

 

「何言ってるの!?違うよ!僕が霧島さんに言って欲しい言葉はそうじゃないよ!?「……凄く食べやすい。ありがとう」霧島さん!?違うよね!?そこは違うよね!?」

 

まさかの天然の切り返しに動揺してる明久。翔子はもぐもぐとエビフライを飲み込んでから

 

「……褒めてくれなくても良い」

 

「え?そうなの?」

 

うんっと頷いた翔子はゆっくりと口を開いて

 

「……代わりにすきって言ってくれればそれで頑張れる」

 

「「「ぶふぉ!?」」」

 

明久達がまさかの発言に驚き口に含んでいたジュースを噴出した。その光景を見ながら私達は

 

「青いなあ」

 

「だな。好きって言って欲しいというくらいでうろたえるなよなあ」

 

私達なんか兄ちゃんから好きって言う言葉を引き出すために、日夜あの手この手を考えている。その程度でうろたえていては鈍感属性を落とすことなんて出来はしない

 

「普通はうろたえる所だと思うだがなぁ。うむ、鮭の照り焼きは中々上手く行ったな、今度はもう少しアレンジを加えてみよう」

 

鮭の照り焼きが納得の味なのかそう笑いながら言う。そんな間も翔子の発言は続き

 

「……おかしい事言った?」

 

「「「「言った!!」」」」

 

「熱はねぇよな?どうした翔子?」

 

雄二が不安そうに右手を翔子の額に当てながら尋ねると翔子は

 

「……熱は無い。じゃあ雄二愛してるって言って?」

 

「なんでだよ!?マジでどうした!?」

 

雄二が慌て始める。普段なら攻撃しつつそれを要求する翔子なのに、今日は上目目線でもじもじと雄二を見ている。本当にどうしたのだろうか?明久達も翔子を心配そうに見ている中勢い良くAクラスの扉が開き

 

「アキ君はいらっしゃいますか♪」

 

そしてそこに弁当箱を抱えた。天然高城雅IN

 

「これどうなるんやろね?」

 

「さぁなあ。はやてサンドイッチとってくれるか?」

 

「どうぞ!龍也様」

 

素早くサンドイッチを取って兄ちゃんに手渡すセッテ。相変わらずの兄ちゃん至上主義にも困ったもんやなと思いつつ私もサンドイッチをとって

 

「ほい。兄ちゃん」

 

私とセッテにサンドイッチを差し出された兄ちゃんは少し考える素振りを見せてから、私、セッテの順番でサンドイッチを受け取った。セッテはがびーんと言う感じでショックを受けているのが丸判りだった

 

(バーカ。兄ちゃんは私の頼んだんやで?私のほうを先に受け取るのが道理やろ?)

 

ざまぁっと思いながら私は兄ちゃんのおにぎりを口に運んだ。ほんまこの絶妙な塩加減がええなあ。なお幸せいっぱいと言う表情でおにぎりを食べているはやてを見ていたヴィータ達はのちに「物凄く黒い顔をして笑っていた。やっぱりはやてが1番魔王」だと言っていた

 

 

 

 

如何して僕がこんな目に合うのでしょうか?人生初かもしれないモテ期は

 

「「「「ごゴゴゴッ!!!」」」」

 

空間が歪むほどの嫉妬深さを持った同級生3人と1歳年上の幼馴染でした。

 

(平穏無事に暮らしたい)

 

それが今の僕の願いだった。美波達は可愛いし気も利くしちょっと嫉妬深いけど全然OKだと思うんだけど

 

(この空間は正直胃が痛い)

 

視線が物理的な破壊力を持っていてもおかしくないと思えるほどの眼光を美波達は放っている。そんな中みーちゃんは

 

「ささ、どうぞ。どうぞ。色々と作ってきたんです」

 

「え。あ、うんありがとう」

 

いそいそとみーちゃんがお弁当の蓋を開けていく中美波が

 

「良いんですか?3年生の代表が2年生主力の所に来て?」

 

「ええ。大丈夫ですよ?島田美波さん。いまはお昼休みです、停戦の時間中の攻撃を仕掛ければそっちの失格です。ですから昼休みが終わるまでの45分は私の安全はルールによって守られていますからね。まぁとは言えそこまで長くいるつもりは無いですけどね」

 

にこにこと笑うみーちゃんに対して、美波は苦虫を噛み潰したかのような顔をしている。どうしてお昼休みなのにこんなに精神的に優しくないんだろう?僕はそう思わずに入られなかった

 

「どうぞ召し上がってください。きっと気に入ると思いますよ」

 

みーちゃんが差し出してきたお弁当はなんと言うかすごかった

 

(これ伊勢海老だよね?隣は……鮑ですか?)

 

高級食材と呼ばれる者がこれでもかと詰め込まれている。これを見るとみーちゃんが凄いお金持ちだとわかるのだが

 

「お弁当にこんなに高級食材を入れて。こんな事をしないとアピールの1つもできないんですか?」

 

「なにをおっしゃっているのやら、私が持てるものを全て使ってアピールすることのどこがいけないと言うんですか?料理は全て私がやりました。そこに何の問題も無いはずですが?」

 

優月が鋭い声で言えばやんわりとみーちゃんがそう返す。うう……胃が痛くなってきた。お昼休み、休む時間のはずなのになんでこんなに思い悩まないといけないのだろうか?

 

「それに私はかなり料理が上手ですよ?どうですか?貴女達も食べてみてくれませんか?」

 

そう笑って美波達に自分の弁当を差し出す。差し出された美波達は

 

「そういうならウチも貰うわ」

 

「ええ。そこまで自身があるのならいただきますね」

 

「挑戦と受け取るからね」

 

「どうぞ。お好きなように解釈してください」

 

にこにこと笑うみーちゃんに促され僕はとりあえず1番近かった肉じゃがに手を伸ばした

 

「お、美味しい……」

 

思わずそんな言葉を呟いてしまった。味付けから具材の染み込み具合まで完璧だ。美波達も美味しいと呟きはっと言う顔になっている

 

「食事は生きるのに最も必要な物です。故にその食事に私は妥協しません。どうです?美味しいでしょう?」

 

みーちゃんはそう笑いながら、僕の作ってきたお弁当箱に蓋をして大事そうに持ち上げて

 

「しかして高級食材を使ったとしても、決して届かぬ味と言うのがあります。残念ながら私はまだそこまでは到達していません」

 

ゆっくりと立ち上がったみーちゃんは

 

「私のお弁当はおいていきます。代わりにこれをくださいね」

 

「え。あ。うん……良いけど……」

 

美波とかのお弁当を摘んでいたからまだ食べてないから。みーちゃんはありがとうございますと言ってゆっくりと教室を出て行こうとして

 

「そうそう2年生の皆さん、午前中は押されてしまいましたが、午後からはこちらも攻め込みますので覚えておいて下さいね」

 

終始穏やかな表情でみーちゃんは2ーAを後にした。態々来たのって僕のお弁当と自分のお弁当を変える為だったのかな?僕はそんなことを考えながらみーちゃんの残して言ったお弁当に手を伸ばすのだった。うん、美味しい……だけど

 

(なんか足りない気がする)

 

味も調理も完璧なはずなのに何かが足りない。僕はそんなことを思いもう一回箸を伸ばそうとしたのだが

 

「明久君。私も色々作ってきましたからぜひ食べてください」

 

「ほら、ウチも色々作ってきたからちゃんと食べなさいよ」

 

「明久はちゃんと食べてくれるよね?」

 

「……うん」

 

差し出されたお弁当と負けられないという強い意志が込められた美波達の視線に逆らえる訳が無く、僕は

 

(ちょっと今日の夕ご飯は量を減らそうかな?)

 

少し減らさないと多分今日の夕ご飯が食べれなくなる、そんな事を考えながら、早く食べろと視線で告げている美波達をみて

 

「いただきます」

 

そう手を合わせてから差し出された弁当箱のおかずに手を伸ばしたのだった。なおこの時ほど美波達の弁当箱のサイズが平均的な女子の物と同じで良かったと思ったことはなかった。これがもう少し多かったらきっと僕はお昼からの召喚戦争に参加できなかったであろうと確信していた。なお明久の弁当を持ちかえった雅はホクホク顔で弁当を食べており小暮に

 

「おや?交換してこれたのですか?」

 

「はい!上手く行きましたよ。しかしアキ君のお弁当は美味しいですね。午後からのやる気が出るというものですよ」

 

そう笑いながら食事を進めていた、やる気が出るという言葉に偽りは無く。食べ終わる頃にはやる気に満ちた顔になり

 

「さて。では午後からの作戦を決めましょうか」

 

さっきまでの緩みきった顔ではなく凛々しい女帝と言える貫禄を持って午後からの作戦の説明を始めるのだった……

 

そして昼休みが終わった1回目の交戦で大きく戦況が動くことになるのだった

 

 

第111問に続く

 

 

 




今回はインターバルのような話を考えて書いて見ました。様子のおかしい翔子ややる気を回復させた雅とか、次回に向けてのイベントを重要視してみました。次回はまた召喚戦争の話になります。どういう展開になるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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