バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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今回はBクラス戦の前の話になります、少々長いですがどうか宜しくお願いします


第11問

 

第11問

 

「そう言えば雄二、昨日の戦争はどうなったんだ?」

 

昨日最後まで居なかったので、どうなったか判らず尋ねると

 

「ん、ああ。そういや龍也は拉致されていたな。昨日はウチの勝ちで、次はBクラスを落そうと思う」

 

Cを飛ばしてBクラス…何か考えがあるのか?そんな事を考えながら

 

「はい美波。昼代わりな」

 

昼食を食べれなくて憤慨している美波に小さな袋を渡す

 

「これは?」

 

「クッキーだ。糖分だけでも摂っておいた方が良いと思ってな」

 

「わぁ、ありがとう。どっかの馬鹿達と違って龍也は優しいわね」

 

明久達を睨みながら袋を受け取った美波だが、明久達はお前を救おうとしたんだ。そこだけは理解してやって欲しい

 

「どうしてBクラスなの?目標はAクラスなんでしょう?」

 

馬鹿なので判らないのか…私が呆れてると

 

「正直に言おう。どんな作戦でもうちの戦力じゃAクラスには勝てない。龍也や八神さん達が居ても…囲まれて行動不能にされたら終わりだ」

 

…まぁそう考えるのは妥当だろうな。だって私達の全力知らないんだし…ちなみに私達が本気になれば9000点越えも充分狙える。だがやり過ぎては駄目なのである程度わざと間違えているのだ…まぁそれでも5000点越えなのだが…

 

「それじゃあ、ウチらの最終目標はBクラスに変更って事?」

 

「いいや、そんな事はない。Aクラスを落す」

 

ふむある程度読めてきたぞ…

 

「雄二、お前の狙いは設備入れ替えを使ってのBクラスとの交渉だな?」

 

「正解、流石は龍也、俺程度の考えはお見通しか」

 

にやりと笑う雄二…俺程度と言っているが中々頭が切れる実に面白いやつだ…

 

「えっと…どういう事なの?」

 

意味が判らないと言う表情の明久に

 

「Fクラスに負けた上位クラスは設備がFクラスの物になる。だから上位クラスの者は私達の提案を聞くはず、そこを狙うつもりなんだよ雄二は」

 

判り易く説明をすると雄二が続いて

 

「Bクラスをやったら、設備を入れ替えない代わりにAクラスへと攻め込むように交渉する。Aクラスに負けるだけならCクラスの設備になるだけだから間違いなくうまくいく。更にそれをネタにAクラスと交渉する。Bクラス戦後に攻め込むと、そうすれば一騎打ちに持ち込める」

 

本当に頭が切れるやつだ。これでリンカーコアがあれば管理局にスカウトするぞ、良い指揮官になるはずだ

 

「じゃが。それでも問題はあるじゃろう。体力としては辛いし面倒じゃが。Aクラスしては一騎討ちより試召戦争の方が確実であるのは確かじゃろうからな…それに一騎討ちで勝てるんじゃろうか?こちらに姫路や龍也が居るのは既に知れ渡っているじゃろう?」

 

なのはやフェイトが居る以上、私やはやてに対する対策も練っているはず

 

「その辺に関しては考えがある。心配するな、とにかくBクラスをやるぞ。細かい事はその後だ」

 

まぁ勝率があるんだろうな、ここは雄二の策とやらを見るのも悪くない

 

「明久、今日のテストが終ったらBクラスで宣戦布告して来い」

 

「断る!」

 

「私が行こうか?」

 

明久が断ると言ったので私が行こうかというと、明久が

 

「龍也が行くなら僕が行く!」

 

「そうかでは任せるぞ」

 

そして昼食を終え、午後のテストも無事に終了した放課後…

 

「言い訳を聞こう」

 

 

Bクラスの生徒に暴行を受けたのか、千切れかけた袖を押えながら雄二に詰め寄る明久

 

「予想通りだ」

 

「くきー!!殺す!!殺しきるーっ!!!!」

 

「落ち着け!」

 

飛び掛った明久の鳩尾に雄二の拳が突き刺さる

 

「ぐはあッ!!!」

 

びくびくと痙攣している明久に雄二が

 

「先に帰るからな、ちゃんと寝ろよ」

 

そう言い残すと雄二はさっさと出て行ったしまった…やれやれ保健室にでも連れて行ってやるか。明久が可哀想なので近寄ろうとすると

 

「兄ちゃん、帰るで」

 

「早く帰りましょう」

 

セッテとはやてに両腕を掴まれ、そのまま引き摺られる事になった。昨日もそうだったが、私を引き摺って帰るというのがはやて達の中では常識なんだろうか?と思いながら学園を後にした…

 

 

 

 

「さて皆、総合科目のテストご苦労だった」

 

教壇に立ち皆の顔を見ながら告げる。昨日と今日連戦でテストの数も多くて大変だが…目的の為に頑張ってもらわなければならない

 

「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺る気は充分か?」

 

『おおー!!!』

 

ウチのクラスの唯一の武器といっても良いモチベーションが全く下がってないので心配はない

 

「良いか、今回の作戦は敵を教室に押し込む事だ!その為には開戦直後の渡り廊下戦に負ける訳には行かない!!今回の戦いは聖戦だ!!!我が神を本来居るべき場所に戻す為の戦いだ!!!」

 

『『『神!神!!神!!!』』』

 

「本当にこのクラスは馬鹿ばかりなのか!!」

 

龍也の叫びが聞こえるが無視だ、龍也のおかげで教室はある程度改善された。それに伴い龍也を神と崇める馬鹿が増えた。それに今日は…

 

『神が作った唐揚げ…なんと旨いんだ!』

 

『ああ、生きていて良かったと思う味だ!』

 

龍也が弁当を作ってきてクラス全員に振舞った。おかず1個とおにぎりやサンドイッチ1個だが、その旨さに我が軍の士気はさらに上昇した

 

『神を王座に戻すのだ!!!』

 

『神に勝利を!!!』

 

『賊軍を蹴散らせー!!!』

 

特に龍也に卓袱台を直して貰った者、窓ガラスを修繕して貰った者の士気は異様に高い

 

「なんだろう…もうつっこむ気力もない」

 

げんなりしている龍也には悪いがこのまま我が軍の象徴になってもらおう

 

「前線は姫路瑞希と八神はやての両名に指揮を執ってもらう!野郎共、きっちり仕事を果たせ!!」

 

「が、頑張ります!」

 

「行くでー!」

 

男の乗りについていけない姫路は若干引き気味に、八神は楽しそうだった

 

「そして、今回は神からの褒美がある」

 

ザワザワ!!

 

『褒美!?一体何が頂けるんだ!?』

 

『親衛部隊への入団か!?』

 

いつの間に親衛部隊なんて出来たんだ?まぁ恐らく八神とセッテさんが率いているのだろうが…

 

「褒美はこれだ…八神龍也特製シュークリーム…前に食べたが…魂が出るほどの旨さだ」

 

クーラーボックスに入った8個のシュークリームを見せる

 

「だが、数に限りがあるのは見ての通り…これが欲しければ勝ち取れ!!勝利者だけにこの美味を食べる権利がある!!敗者に与えられるものなどない!!!」

 

『『『オオーッ!!!』』』

 

「行け!!!神に勝利を!!!」

 

『『『神に勝利をッ!!!』』』

 

それを合図にFクラスの面々は廊下へと駆け出した…その後を

 

「なんだろうな…気疲れが半端じゃない」

 

「あはは…兄ちゃん頑張ろうや」

 

「それでは、行きましょう」

 

姫路と八神兄妹が出て行った…

 

 

「大丈夫か?」

 

私達が戦場に到達するとBクラスから

 

「来たぞ!姫路瑞希と八神龍也だ!!!」

 

そう叫び声が聞こえる、よほど私を警戒しているようだ

 

「姫路さん、龍也、八神さん。来たばかりで悪いけど…」

 

申し訳無さそうに言う明久に頷き

 

「ああ、行って来る」

 

「おっしゃ!潰すで!」

 

「は、はい。行って、来ます」

 

3人で戦場に入ると

 

『神だ!!神が来られたぞ!!!』

 

『戦死者を出すな!神に勝利を!!!』

 

『八神親衛隊長に続け!』

 

『『『オオオオオオッ!!!!!』』』

 

Fクラスの士気が異様に上がる…だがその中で聞き捨てならない言葉があった…

 

「お前が作ったのか?親衛部隊」

 

「てへっ!」

 

「可愛く言っても駄目だ!」

 

私が怒鳴っていると

 

「Bクラス 橋本勇樹、田中裕也、長谷川直樹! 数学で勝負を挑む!!!」

 

Bクラスの3人の男子に囲まれる

 

「では私とはやてが相手だ」

 

「「試獣召喚ッ(サモン)ッ!!」」

 

召喚獣を呼び出し点が表示される

 

『Fクラス 八神龍也&八神はやて 数学合計1550点』

 

    VS

 

『Bクラス 橋本&田中&長谷川 数学合計 568点』

 

 

「「「勝てるかあああああッ!?!?」」」

 

 

男子3人の叫びは無視して

 

「では補習室にでも行って来い」

 

「ばいばーい」

 

カッ!!

 

はやてと私の召喚獣の手から光線が発射され、消し炭になる3人の召喚獣、更にその隣では姫路が2人を瞬殺する。やはり姫路も強いな

 

「くそ!!姫路瑞希と八神兄妹!噂以上に危険だ!!撤退だ!!全滅するぞ!!!」

 

後退を始めるBクラスを見てはやてが

 

「逃がすな!やってまえ!!!」

 

『『『オオオオオッ!!!』』』

 

Fクラスが前進する、敵の士気はくじいた、このまま行けば時間の問題で敵の前線は崩れるだろう

 

「とりあえず、姫路さんと八神さん、龍也は下がって」

 

明久に言われとりあえず下がっていると、Bクラスから

 

「中堅部隊と入れ替わりながら後退!戦死だけはするな!!」

 

とりあえずこのまま行けば目的通り、相手を教室内に閉じ込めれるだろう…私が戦況を見ていると

 

「明久、龍也。ワシらは教室に戻るぞい」

 

「ん、何で?」

 

本陣から戻ってきた秀吉が深刻な表情で

 

「Bクラスの代表は根本らしい」

 

「根本って、あの根本恭二?」

 

私は知らないがやばい相手なのかもしれないと考えていると、明久が

 

「根本って卑怯で有名でさ、とにかく嫌なやつなんだよ」

 

そういうやつなら何をしでかすか判らない、1度戻っておいた方が良さそうだ

 

「はやて、1度本陣に戻る。任せるぞ」

 

「了解や~」

 

ヒラヒラと手を振るはやてにそう報告して、私は秀吉と明久を連れて教室へと引き返した…

 

 

 

 

「…うわ、こりゃ酷い」

 

「まさかこう来るとはのう」

 

「…折角直したのに」

 

教室に戻った僕達を迎えたのは…穴だらけされた卓袱台、へし折られたシャーペンと消しゴムだった

 

「酷いな。これじゃあ補給がままならない」

 

「そうじゃな…」

 

秀吉と話してると

 

「あまり気にするな。修復に時間は掛かるが作戦に問題はない」

 

「雄二がそう言うなら良いけど…所で如何して雄二は教室がこんなになってるのに気付かなかったの?」

 

僕はそう尋ねると雄二は忌々しそうに

 

「協定を結びたいと言われ。調印の為に教室を空にしていたんだ」

 

「協定?」

 

「ああ、4時までに決着がつかなかったら、戦況をそのままにして続きは明日午前9時に持ち越し。その間は試召戦争に関する一切の行使を禁止する。ってな」

 

「それ、承諾したの?」

 

自分達に不利な条件だと思うが…何か考えがあるんだろうか

 

「本当は体力勝負に持ち込みたいが…今回の要は姫路だからな。一応念のために協定を受けた、だから今日はあいつらを教室に押し込んだら、今日の戦闘は終了だ。本番は明日になる」

 

まぁ仕方ないだろう、今の戦力では押し切れないだろうし

 

「そうか、では前線に戻るか」

 

「そうじゃな、前線でも卑怯な事をしてるかもしれん。見に行ったほうがいいのう」

 

秀吉と龍也が出て行く、僕も行くべきだな

 

「んじゃ、雄二あと宜しく」

 

「おう、シャーペンや消しゴムの手配をしておく」

 

手を向ける雄二に背中を向け、秀吉を追いかけて駆け出す…そして戦場で見たのは

 

「もう1度言うで。今すぐに代表を連れて来いあんたの首へし折るで?」

 

男子生徒を片手で吊り上げている鬼神の姿だった…

 

「こ、こんな事して良いと思ってるのか?」

 

「思うてるよ、だってあんたら私の兄ちゃんの悪口を広めようしたやろ?つまり死にたいんやろ?だからこんな事してるんやで」

 

ググ!!八神さんがさらに力を込める

 

「がが!!息が!!」

 

「止めんか!はやて」

 

龍也が慌てて止めに入る

 

「ああ、兄ちゃんか…こいつら兄ちゃんがあっちこっちで女の子を泣かしてるとか、そう言う噂流そうとしてたから。ゆるせんくって」

 

だから殺すというのか。何て危険思考なんだ

 

「吉井?今失礼な事考えたやろ?あんたも死ぬ?」

 

「すんませんしたー!!!」

 

腰を90度曲げて誠心誠意謝る。このままで僕も殺される!?そんなやり取りをしてる間に男子生徒は逃げ去ってしまっていた…そんなやり取りをしていたからか、Bクラスは教室の前に集まっており、今の戦力では攻めきれない状況になっていた…

 

「ふーむ、これでは今日は攻め切れんな。残念だが戻ろう」

 

「そうだな、時間も丁度良いし」

 

時間的には4時10分前…停戦協定があるのでそろそろ戻るべきだ…僕達はそう判断し教室へと戻った…

 

「戻ったか、戦況は?」

 

「教室に閉じこもられ、攻めきれなくなってしまった」

 

「そうか、とんとんと言った所か…」

 

リストを見ながら言う雄二の後ろにムッツリー二が現れ、ぼそぼそと雄二に告げる

 

「Cクラスの様子が怪しいだと?」

 

どうやらCクラスが試召戦争の準備をしてるらしい…

 

「漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな」

 

「どうするの雄二?」

 

「んーそうだな…協定でも結ぶか」

 

まぁ、それが1番良いか…時計を見る時間は4時過ぎ…まだそんなに遅い時間じゃない、今なら代表もいるかもしれない

 

「それじゃあ行くか…秀吉は残ってくれ」

 

「うん?ワシは行かなくて良いのか?」

 

「ああ、変わりに龍也に来てもらうから」

 

雄二がそう言うと龍也は快く了承し

 

「判った行こう」

 

僕達は停戦協定を結ぶ為にCクラスへと向かう為に廊下に出ると

 

「あれ?吉井?何処行くの?」

 

「島田さん、丁度良かった。Cクラスまで付き合ってよ」

 

「んー別に良いけど?」

 

快く了承してくれた島田さんも連れて僕達はCクラスへと向かった…

 

第12問へ続く

 

 




はやてが残っていたので美波の人質イベントは無しですが。ちゃんと明久と美波の話はするつもりですので、ご安心をそれでは次回の更新も宜しくお願いします

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