バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回から学年別の召喚戦争の開幕です。ただし原作は殆ど無視で私のオリジナルで行きたいと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第108問

 

第108問

 

3年生との召喚戦争当日の朝。天気は良好、最後の勝負の始まりとしてはいい天気ではないだろうか?僕はそんなことを考えながらFクラスに向かうと

 

「うっし!それじゃあチーム編成を発表するぞ」

 

珍しく嬉々とした表情で雄二が編成を発表していく。参謀役になったと聞いていたけど、雄二は策を練るのが得意だから効果的な配置だろう

 

「まずだが根本と小山がなにかいっていたとしても無視してくれ。あいつらは何か知らんが俺達を逆恨みしているそうだからな」

 

自分たちが卑怯なことをしてクラス代表から落とされたのを根に持っているらしいとの噂は本当だったようだ

 

「というわけだからあの2人は無視してくれ。じゃあここからはチーム編成だ、麻賀、飯島、有働、君島、手塚。お前たちは第一班だ。会戦時はグラウンドのこの位置で待機していてくれ」

 

地図が書いてあるであろうメモを飯島君達に渡している雄二に

 

「雄二、たった5人でその範囲を受け持つの?」

 

「ばーか。そんなわけねえだろ?」

 

雄二は笑いながらメモをぱしぱし叩きながら

 

「龍也や木下姉と話し合ったんだが、戦力の均等化をすることにした。今回は混成チームで行く」

 

混成チーム?別のクラスとの協力ってこと?僕が首をかしげていることに気づいた雄二は

 

「弱点のないようにそれぞれの点数を補い合える編成にしてある。まぁFクラスは点数が如何しても低くなるから囮とかの役枠になるかもしれないが」

 

そこで言葉を切った雄二はにやりと笑い

 

「戦闘経験は俺達が1番多い。防御・回避なら負けてないってことを見せ付けてやれ!」

 

雄二のその言葉におうっと元気のいい返事を返す君島君達。気力が充実しているのが見ているだけでもわかる。

 

「龍也、はやてさん、ヴィータさん、ティアナさん、セッテさんは全員バラバラで各クラスの統率係になってもらう。他のクラスからはAクラスの木下姉と工藤愛子に高町なのはにフェイト・T・ハラオウン。と言った場を盛り上げるのが得意な面子や戦況判断の出来るメンバーを選んである。この場所に集合場所が書いてあるからそこで集まって龍也やはやてさんでどこの部隊に配置するかを判断してくれ」

 

龍也達突出戦力は指揮官か妥当な判断かな?それに人徳もあるから纏め上げるのも得意だろうし

 

「明久、島田、ムッツリー二、秀吉は俺と同じ第9班だ」

 

いつもの面子が集まったって言う感じだ。瑞希がいないのは多分点数が高いから進軍組みに編成されているからだろう

 

「さて次は大まかな作戦だが、午前中は恐らく互いに腹の探りあいになるだろう。だから何も最初から全力で行く必要は無い、まずは様子見になるだろうからな」

 

雄二はそういいながら黒板に見取り図を書きながら龍也にここからの説明は頼むわ。と声を掛けていた教壇に龍也が立ち

 

「私達と3年の本営はそれぞれ旧校舎と新校舎4階になっている。4階の渡り廊下で戦闘をできれば早期決着だが、学園側のルールとして渡り廊下による戦闘は禁止されている」

 

なるほど早期決着は禁止。でもこれはある意味僕達にとってはいいルールかもしれない。もし3-Aがいきなり突撃してきたらそのまま押し潰される可能性があるからだ。

 

「……戦闘の中心はグラウンド?」

 

ムッツリー二の呟きに雄二が黒板に×印を描いてから

 

「そうだ。グラウンドや他の場所でB~Fクラスが戦闘を行い、押された方が本営。つまりAクラスのある校舎まで攻め込まれることになる」

 

つまり遠くから本営を目指し攻め込んでいく図式って事か。それならまずはグランドの総力戦が大事になるって事か

 

「俺たち2年の作戦はこうだ。弱点を補い合った混成部隊で戦闘をし、業と弱いところを見せて攻め込んできた3年を主力部隊でしとめる」

 

「えーと坂本つまりどういうこと?」

 

美波の言葉に雄二が

 

「混成部隊は弱点は少ないが、その分連携に難が出る。向こうは恐らくそれを恐れて混成部隊にはしてこない、なぜなら混成部隊は弱点が多いからだ」

 

そういった雄二は混成部隊のメリットとデメリットを黒板に書き始めた。

 

メリット 点数が比較的揃い真正面からのぶつかり合いに強い また点数が高い生徒が点数の低い生徒が撤退するまでの時間稼ぎが出来戦死者が少なくなる

 

デメリット 違うクラス同士なので意見が合わない可能性が高い FクラスやDクラスと言った召喚戦争の参加続けているクラスとそうでないクラスの召喚獣の操作のスキルの違い 

 

「まぁこんな所だ。メリットは戦闘に強いこと、デメリットは召喚者同士のいざこざだ。そこを何とかする為に龍也や木下姉に統率指揮を取ってもらうということを選んだ」

 

なるほど指揮組みは別クラス同士の架け橋になる役割って事か。雄二や霧島さんに龍也が一緒に考えているだけあってしっかりとした編成になっているようだ

 

「混成部隊の弱点は明白。業と攻め込ませて一網打尽とまでは行かないが、普通の戦略で討ち取れるほど俺たちは甘くないぞと言うのを3年に知らしめる作戦だ。向こうだって混成部隊の弱点をついた進軍のはずなのに、逆に討ち取られれば動揺する。それを待っての進軍だ。今回の勝負は出来れば長丁場に持ち込みたい。少しずつ進軍・撤退を繰り返し、操作のスキルの差、点数の差を埋めていく、これが俺達の作戦だ」

 

雄二はそう言うと全員のメモを配りパンっと手を叩いて

 

「そう言うわけだ!各自配属先で次の指示に従い2年の勝利を目指せ!行くぞ!!!」

 

「「「おうっ!!!!」」」

 

雄二のいつもの激励を聞いて僕はメモに記されたグラウンドの待機場所に向かった

 

 

 

 

 

「お姉さまと明久ではないですか、美春と同じチームなのですね」

 

グランドに並んで歩いてきたお姉様と明久にそう声をかけると

 

「おはよう。清水さん、今日はよろしく」

 

頭を下げて挨拶してくる明久に

 

「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ」

 

頭を下げ返し顔を上げるとお姉様が面白くないという顔をしていた、お姉様は心配性ですね。美春はお姉様の恋を全力で応援すると決めたのに邪魔するわけが無いではないですかと思っていると

 

「アキちゃん?この服にお着替えしない?」

 

「しないよ!?僕が何でエプロンドレスを着るのさ!?それに如何して僕のTシャツと上着を持っているの!?」

 

いつの間にか玉野が明久のTシャツと上着を剥ぎ取って自分の用意した女装グッズを押し付けようとしていた。全く何をしているのやら

 

「ちょっと!アキに何するのよ!」

 

そこで助け舟を出すお姉様の後ろにさっと隠れる明久、どんどんヒロイン属性に近づいていると思っているのは美春だけではない筈です

 

「雄二!なんで僕と玉野さんと同じチームにしたんだ!?」

 

「アキちゃん。お着替えしましょーね♪」

 

「いやあああ!やめてズボンに手を伸ばさないで!」

 

「やめなさいって言ってるでしょ!!玉野!」

 

お姉様に服をつかまれてなお明久のズボンに手を伸ばす玉野。信じられない執念ですね

 

「ステイ、ステイだ。玉野」

 

坂本が犬をしつけるように玉野に声を掛けるが玉野は

 

「アキちゃん?お着替えしよ?きっと可愛いよ♪」

 

「いーやー!美波でも優月でもいいから助けてー!!!」

 

完全無視で明久の服に手を伸ばしている玉野。その執念ある意味尊敬します

 

「むうう!なんて力!私と島田で引き離せないなんて!」

 

木下妹も参戦して玉野を引き離そうとしているのですが無理なようです

 

「どうするんです?坂本?」

 

「……このままだと召喚戦争に支障が出る」

 

美春と土屋の言葉に坂本は両手を上げて

 

「正直な所、俺玉野苦手なんだよな。悪いが自分で何とかしてくれ」

 

「薄情者!もう霧島さんに追われても助けてやら無いからな!!!あ、あいやあああああ!!!」

 

その台詞を最後に明久は玉野に捕まりエプロンドレスに強制的に着替えさせられていた。明久の悲鳴を聞きながら美晴は両手を合わせて南無と呟いたのだった

 

「ど、どうして僕がこんな目に」

 

エプロンドレスにカツラで完全に女装している明久が体育座りで泣いているのをお姉様と木下妹が慰めているなか

 

「やれやれ。この第9班の中で補充試験の為に前線への参加メンバーは交代制にしていたんだがな」

 

坂本が頭を掻きながら周りを見ると

 

『あの連中、明らかに関わったらヤバイだろ?』

 

『ああ、組まされないように距離を取っておこうぜ』

 

美春含めFクラスの主力部隊は完全隔離されそうになっていたが

 

「そこ!勝手を言わない!編成を組むって決めたんだからちゃんと言うとおりにして」

 

どうもここの戦線の指揮は新野すみれのようで良く透き通る声でそう一喝していた。これで隔離チームと言うことはなさそうで安心です。指揮の新野の指示に従いチーム編成をするとまさかの結果になっていた

 

「そしてまさかまさかの明久とのペアですか」

 

お姉様か木下妹と組むと思っていた明久は美春とのペアになっていた

 

「ううう、こんなかっこだけどよろしくね」

 

服を破かれエプロンドレスのままそう言う明久、一応制服のスペアは教師に頼んだそうですがお昼まではこのままのようです。お姉様と木下妹は女装明久をちらちら見て溜息を吐いている自分より似合っているとかそんなことを考えているのでしょうか?

 

「大丈夫です、美春は美春の仕事をします。女装していようが無かろうがペアを組んだ以上、一緒に頑張って戦死しないようにしましょう」

 

明久の操作技術と美春の点数ならそうそう戦死は無い、それに近くにお姉様も居るし、それとなくペアを交代してもいいはずですしね。一応チーム編成としてはツーマンセル。美春と明久、お姉様と玉野、土屋と木下妹のペアだ。坂本は代表なので指揮の新野とコンビを組み後方に下がっている。坂本が討ち取られればFクラスは全滅なのでその判断は正しいだろう

 

「雄二も前に出てくればいいのに」

 

「坂本は新野とペアを組んで状況把握をして臨機応変に指揮を出すのです。ちゃんと仕事をしているので美春と明久はちゃんと与えられた仕事をするのです」

 

「了解。清水さんって結構いい人なんだね」

 

にぱっと笑う明久にすこーしだけ可愛いと思ってしまいましたが、これはきっと一時の気の迷いのはずです。美春はお姉様の恋を応援するのですから。自分に言い聞かせるようにそう呟き、会戦の合図を待つことにしたのです

 

 

 

 

うーん。怒らせてしまったのだろうか?黙り込んでぶつぶつ呟いている清水さんを見ながら自分の服を見下ろす、白いフリフリのエプロンドレス。カツラは脱いだが凄く悲しい気分だ。そんなことを考えていると

 

『これより、文月学園第2学年・第3学年対抗試験召喚戦争を行います』

 

校舎のスピーカーから聞こえてくるアナウンス。そうかもう始まるんだ

 

「いよいよ、ですか」

 

清水さんが小さく呟く。その目には闘士の色が出てきていた、どことなく美波に似ているかもしれないと思いながら前を見る

 

(しかし凄い光景だよね)

 

グラウンドに集まる400人近い生徒。第一波はその半分も戦闘には出てこないだろうけど凄い威圧感だ

 

『各自ルールを守り。学生らしい行動を心がけてください、それでは始め!!』

 

「明久。美春が先行します、フォローを!」

 

「了解!」

 

僕に声を掛けた清水さんはそのまま走り出しグラウンド中心の召喚フィールドに足を踏み入れ

 

『『『試獣召喚(サモン)』』』

 

足元に幾何学模様が生まれ、そこから召喚獣が姿を見せる

 

「なんで僕と同じなのさ!?」

 

召喚獣は僕と同じくエプロンドレスを身に纏いその手にモップを装備していた。きっと博士の悪乗りだ、そう確信できた

 

「まずは突撃!受けるがいいです!美春の一撃を!」

 

そう叫ぶと同時に召喚獣を飛び上がらせ敵陣中央目掛け槍を構え突っ込む

 

『3-C 島本美奈 国語106点』

 

VS

 

『2-D 清水美春 国語211点』

 

「ふっふふ!真っ向からのぶつかり合いなら美春の得意分野です!」

 

そう笑っている清水さんに対して3年生の女子は

 

「くっ、こんな短銃な突撃で200点以上削られるなんて」

 

どうもあの生徒は300点を越えていたようだが、100点台になればそんなに恐れるまでもない

 

「しゃあっ!突撃部隊行け!押し切れー!!!!」

 

「「「「おおおおおーッ!!!!!」」」」

 

雄二の突撃の合図にD・Fクラスが突撃を開始する。それを見た3年生は

 

『くそ!いったん下がるぞ!』

 

『こんな工夫も何もない突撃で消耗するなんて癪だけどね!』

 

そう言って下がっていこうとする3年生。だが工夫が無いなんてとんでもない、立ち回りがしにくくなるほどの集団行動で押し切る。このことで2年生と3年生の間にある。「召喚獣を操作する技能の差」を埋めるための行動だ。しっかりと差を埋めるために工夫に工夫を重ねた行動だ

 

「清水さん、少し下がって。交代するよ!」

 

「OKです!よろしくお願いします!」

 

清水さんと前衛交代し召喚獣にモップを構えさせる

 

「なんで女装しているの?」

 

「剥かれたんです。あそこの危険人物に」

 

玉野さんを指差す。なんかはぁはぁ言ってる、あっ美波に首筋に手刀を叩き込まれて昏倒してる

 

「なにがあったの!?」

 

あ、チャンスだ。倒れている玉野さんに動揺している3年生の召喚獣の腹にモップを突き出し、返す刀で地面に叩きつける

 

『小波由香 戦死!』

 

おお……1人戦死させれたよ。僕も意外とやるもんだなあ、そんなことを考えながらバックステップで距離を取り編成を組みなおす

。これで相手の隊列は少し崩れたし、ここからが勝負だ。僕は気合を入れなおして召喚獣にモップを構えなおさせた。出来たら木刀の方が良かったなあと思いながら

 

 

 

 

「高城。2年は全体を平均化してみたいだな」

 

「あれだとお前の言っていた、弱い部分に呼び戦力を投入して片付けるって作戦が通用しないぞ」

 

前衛に出ていた偵察班の言葉を聞きながら教室からグラウンドを見る

 

(なぜエプロンドレスを着ているのですか?アキ君)

 

アキ君が活躍しているのは良い、だが何故エプロンドレスを着ているのか?と言う疑問が残る。コレも何かの作戦なのだろうか?

 

(はっ!遠まわしに婿養子になっても良いというアピールですか!?)

 

アキ君が料理を作って待っていてくれる。それはそれで良い家庭なのかもしれない

 

「落ち着きなさい、雅」

 

「はうわ!?」

 

小暮の手刀で我に帰る。恐ろしい破壊力だったアキ君のエプロンドレス……

 

「さて向こうは戦力の平均化をしているようですね?どうしますか?雅」

 

「そうですね。今はまだ様子見です。無効が何を考えているのか判りませんからね。点数を消耗した生徒と待機組みの交代をメインにして向こうの考えを読みます。今しばらくはこのままです」

 

えっと言う顔をする2人の男子生徒に小暮が

 

「大将の指示です従いなさい。愚図」

 

にっこりと笑った小暮に頷きばたばたと走っていく2人を見ながら

 

(2年生には優秀なブレーンが多数居る。欠点の多い混成部隊をしている理由はなんでしょうか?)

 

混成部隊は弱点が多いそれなのに混成部隊で運用してる2年生、その目的が何なのか?それを読みきらないと地に伏せるのは私達だ。それほどまでに2年生には頭が切れる生徒が居る。私は開いていた扇子を閉じながら

 

(この勝負。何時動くかが重要ですね)

 

向こうの軍師との読み会いになる。しかもかなりの心理戦になると私は予想していた、だがそれで良いだろう。アキ君を手にするためと思えばこの程度の苦労など何の苦でもない

 

(さて、次はどんな手を打ってきてくれるのでしょうね?)

 

私はそんなことを考えながら2年生が動き出すのを待つことにしたのだった

 

第109話に続く

 

 




若干の原作の名残は残しましたが殆どオリジナルの流れになっていると思います、まず美春がいい人なので意外とコンビを組めている明久と、原作では指揮権のなかった雄二が指揮権を有している。今はこの程度の違いですが、どんどんその差は出てくると思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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