バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。漸くここまでこれました。ここからは私のやりたいと思っていたイベントがたくさんあります

テーマは「人生最大のモテ期到来による。死亡フラグの乱立」です。誰がとは態々言うまでもないですよね?それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第104問

 

第104問

 

近くで見るとやはり愛らしい顔をしている。年の割りには大きいまん丸の目は愛嬌さえあるといってよかった

 

「は……小暮エエエエエエ!!!!」

 

「「「あああ、明久『アキ』『明久くーんッ』『アキヒサー』ッ!?!?」」」

 

私と複数の女子の悲鳴が重なった。私は起き上がりざまに小暮の襟首を掴みガクンガクンと揺さぶり

 

「アキ!?ちょっとアキー!!!!」

 

「目が死んでますうう!!!」

 

「長いまつげだと思った。そしてボクの額をさらさらの黒髪が撫でてて」

 

「放心状態になってる!?明久!現世にもどれ!」

 

私と同じようにガクンガクンと吉井君を揺さぶる女子を横目に小暮に批難の視線を向けても小暮は笑うだけ。本当に良い性格をしていますね小暮は!あんな感じでファーストキスを損失するなんて何と言うことだ。私の計画ではファーストキスは夜景の綺麗なレストランか。海辺の近くと決めていたというのに

 

「おのれ高城!なんて精神攻撃をしてくるんだ!明久はノーマルなんだぞ!」

 

私だってノーマルですよ。同性愛の趣味はございません、すべては小暮の卑劣な策略ですと返事を返したかったが、予想にもしてなかったキスに思考が完全に停止していて返事を返すことが出来なかった。そして

 

「男同士のキスシーンいただきましたーッ!!!」

 

「貴様玉野!?何故ここに居る!?」

 

お下げ髪の女子がカメラを構えホクホク顔で笑い

 

「ではさよーなら!!!」

 

そう叫ぶと脱兎の如く走り去った。彼女は何をしにここの現れたのだろうか。私がそんなことを考えていると

 

「WRRRYYYY!」

 

奇声を発しながら眼鏡の男子生徒が飛び掛ってきた。確かこの男子は以前吉井君を襲おうとしていた……

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!!」

 

飛び掛りながら拳のラッシュを叩き込もうとしてきた男子は

 

「邪魔ですわ」

 

小暮の投げた椅子に衝突し窓の外へと落下して行った……ぐしゃっと言う生々しい音がしたが気にしない方向で行こう。

 

「ふむふむ。学年同士の召喚戦争のルールはそうなるのですね?」

 

「そういうことさね。話が早くて助かるさね」

 

八神君は学園長と召喚戦争のルールについて話しているし、なんかこう収拾のつかない事態に進んで行ってるような気がする。

 

(そんなことよりも早く吉井君に話をすべきですよ)

 

男子1人を殺したかもしれない小暮がそう話しかけてくるが。こうタイミングがおかしいのでは?と思う自分がいる。ここは帰るべきナのではと思っていると小暮は

 

「まず第一に坂本君。君は勘違いをしています。雅春……いや雅はれっきとして女生徒です。ですので雅はノーマルです」

 

「小暮ええええッ!!!!!」

 

またとんでもない爆弾を投下してくれた小暮に思わずそう叫ぶのだったのだが

 

「雅?雅……みーちゃん!?ええ!?どういうことなのさ!?高城先輩言うってたじゃないですか!みーちゃんは女子高に行ってるって!!!」

 

停止していた吉井君。いやアキ君が再起動して立ち上がりながら尋ねてくる。私ははーっと深い溜息を吐きながら頭に手を置いて

 

「こんな形になってしまい大変申し訳ありません。お久しぶりですね、アキ君」

 

被っていたカツラを外し腰元まである黒髪を背中に回しながら深く頭を下げたのだった。出来るのならお見合いのときまで隠して起きたかったのに……小暮のせいで計画が大幅にずれてしまったと思いながら。唇を軽く撫で

 

(アキ君とキスをしてしまいましたね)

 

この分だけは悪くなかった。ロケーションとか私の思い描いていた物とは大分違うが、それでもキスに変わりは無い。赤くなりかける顔を自尊心で押さえ私はアキ君の顔を見つめたのだった

 

 

 

 

高城先輩がみーちゃんで僕はミーちゃんとキスをしたわけで……はっ!?

 

「アキ?ちょーとうちと話をしましょう。ぼっきりと」

 

ぼっきりと!?そこは普通ゆっくりとじゃないの!?

 

「明久君。私にちゃんと説明してくださいね?納得できるまで何時間でも」

 

魔王モードじゃない!?天使モードも半分顔を出してる文余計に怖いよ瑞希!

 

「明久……」

 

名前だけを呼ぶのをやめて!光のない目が怖いよ!

 

「わーん!アキヒサのバカバカバカ!」

 

リンネ君。何故君は僕の足を駄々っ子パンチで殴っているの?

 

誰かこの状況を何とかして欲しい。混乱しているのは僕も同じなのだから、だが龍也は学園長と話をしているし、雄二は状況を理解出来ず学園長を抹殺する方向でまた動こうとしている。もうこの時点で収拾がつかなくなっている

 

「まず私とアキ君ですが幼馴染です。判りましたか?島田さん?私の両親とアキ君の両親は友人同士です」

 

男性の制服のままだけどみーちゃんは穏やかな女性らしい口調で諭すように美波に行ったミーちゃんはそれと言って僕の腕を掴んで自分の方に引き寄せながら

 

「私の将来の伴侶に暴力を振るわれるのは面白くありません。女性と言うのはもっとしとやかにするべきではありませんか?」

 

ホワイ?伴侶ってなに?……と言うか何故僕はみーちゃんに抱き寄せられているのだろうか?そして何故美波達が停止しているのか判らない。伴侶ってどういう意味だっけ?

 

「アキ君。今朝おば様からメールが来ませんでした?」

 

「え?あ、うん来てたけど?」

 

携帯を取り出しながら言うとミーちゃんは僕を見て

 

「アキ君のお見合いの相手は私です」

 

「へっ?」

 

母さんから今週末にお見合いがあるって聞いてたけど。その相手がみーちゃん?10年ぶりくらいに再会した幼馴染?え?えどういうことなのですか?母さん

 

「アキ君のお見合いの相手は私です」

 

大事な事なので2回言いましたという感じで、にっこりと笑うミーちゃん。さっきまで騒然としていたAクラスが一気に静まり返る

 

「まぁお見合いと言うのは形だけで本当は婚約と言う話です。私高城グループ次期総裁高城雅は吉井明久君。君に結婚を前提にしたお付き合いをしたいと思っております」

 

高城グループ?たしかそれって有名な会社だよね。ゲームからレストラン、ありとあらゆる会社を纏め上げている一大企業のはず

それの時期総帥がみーちゃんで、そのみーちゃんが僕に婚約を申し込んで……

 

「「「「「はあああああああッ!?!?!?」」」」

 

みーちゃんのその一言でAクラスは騒然とした。僕にいたっては

 

「はふう」

 

突然の事態に意識を保っていることが出来ず。その場で倒れてしまったのだった……

 

 

 

 

 

 

おいおいマジかよ……明久の奴どんな知り合いが居るんだよ

 

「気絶してしまわれましたか。仕方ありません。失礼しますね」

 

よいしょっと明久を背負った高城先輩に

 

「ずいぶんと明久に入れ込んでいるようだな?」

 

少しでもこの先輩の情報を知りたくてそう尋ねると

 

「ええ。私がこの街に来たばかりに出来た初めての友人で初恋の人ですからね」

 

にっこりと笑う高城先輩は綺麗系の女子と言う感じだが

 

(なんだこの威圧感は)

 

言うのならば生まれながらにしての人の上に立つ者の威厳。女帝と呼ぶのが相応しい貫禄を持っていた

 

「さて召喚戦争のルールを話したいのですが。アキ君が気絶してしまったようなので、私はアキ君を家に送ってきます。小暮後はお願いしますね」

 

そう言うと高城先輩は明久を背負ったまま教室を出て行った。なんなんだ……あの自由さ……

 

「「「はっ!?待ちなさい!!!」」」

 

突然の明久のお見合い話。そして婚約の話で停止していた島田達が再起動して高城先輩を追いかけて走っていった。なぜかリンネと言うチビもついていったがそうきにするまでもないだろう

 

(なんなんだよこの状況)

 

明久を中心にして状況が変わりすぎていてどういうことなのか判らないが、これでとりあえずゆっくり話が出来る

 

「ババア。学年同士の召喚戦争についてもう1度聞かせてくれ。設備はどうなるんだ?」

 

「負けたほうのA・B・C教室を、勝った方のD・E・F教室と入れ替えるって感じさね」

 

俺達が勝てば3年側のA・B・C教室が手に入る。ここだけ聞けば条件は対等のように思えるが

 

「随分とこっちに不利な条件だな?向こうはあと2ヶ月もしないで自由登校期間に入る。まけたら家で勉強するなり。図書館で勉強するなり逃げ道がある。それなのに俺達はこれから先も3月までは登校することになる。リターンが同じなのにリスクに差がありすぎやしないか?」

 

俺がそう言うとババアではなく小暮先輩が征服のポケットから1枚の紙を取り出しながら

 

「心配後無用です。ここに高城君。いえ文月学園のスポンサーをしている高城雅嬢の実印入りの手紙があります。もしそんなことをすれば即刻援助は打ち切るそうですわ」

 

おいおい、どんなジョーカーを持ってるんだよ!?この小暮って言う先輩わよ!

 

「なぁ!?あんたらあたしにどうしろっていうんさね!?海外からのスポンサーの指示でこんな不利な試合をやらせることになってあたしがどれだけ気を揉んだと思っているんさね!」

 

どうも講義の末の苦渋の決断だったらしい。少しは教師らしいことも出来るんだな。俺の中でババアへの好感度+8って所だな(-10000がー9992になっただけ)

 

「そちらも心配ありませんわ。ちゃんと海外のスポンサーにも高城グループが話をつけたようですしね」

 

にっこりと黒い笑みを浮かべる小暮。どういうことだろうかと俺が考えていると龍也が

 

「高城グループは日本より海外に力を入れている。支援を打ち切るとかそう言う話か?」

 

「話が早くて助かりますわ。リンネ・クライン君は監視役としてこっちに来たようですけど。あの性格ですからね心配ありませんわ」

 

学園長があの子供の顔色を窺っていたのはそう言う理由か……苦虫を噛み潰したような顔をしている学園長を見るとどれだけあの子供に振り回されていたかが良く判る

 

「その代わり二年生が負けた場合は吉井明久君の身柄はこっちで預かりますがね」

 

なんだその条件は……激しい頭痛を感じた。龍也も同じようで頭に手を置いている

 

「ほほー雅って言うのは明久が好きやから近くにおいておきたいと?」

 

「その通りですわ。私は投薬が早いと進言したんですけど雅が嫌がるもので」

 

「……投薬が1番早い。自由意志を奪えるから」

 

そして魔王たちが始めた薬談義に更に頭痛が加速した。だが魔王談義は始まったからか邪魔はいない、今のうちに学園長との話し合いを纏めよう

 

「とりあえずそれは本人同士で話し合ってくれ。それで召喚戦争のルールは?」

 

「……あ。ああそうさね。通常の召喚戦争と同じさね」

 

と言うことは学年の代表が負けたら終わりってことか。さっきの勝負の決着がついてないから2年のリーダーは翔子か。まぁ妥当なところだな

 

「それに加えて特別ルールとして各クラスの代表が負けたらそのクラスは全員補習室送りさね。ルール違反で代表不在のB・Cクラスはそっちで話し合って臨時代表を決めてくれれば良い」

 

それは好都合だな。根元と小山の2人は戦力にはなっても和を乱す不要者だ。龍也とかなのはとかに臨時リーダーになってもらえば心強い

 

「ただしそのクラスの中でね」

 

ちっ……そこまで上手くは行かないか。まぁそれでも十分だな。B・Cクラスには根本と小山に色々といびられていて前に出ていたが本来なら指揮官向きの生徒が多いからな

 

「それで勝負の科目はどうなるんだ?2年と3年でかなり授業内容が違うはずだが?」

 

「そこはセンター試験を基準に考えてもらうさね。もちろん2年生のは少しだけ優しいさね」

 

少しだけと言うのはどれくらいかきになるが。それ以上に気になるのは

 

「勝負開始はいつになる?準備期間はもらえるのでしょうか?」

 

龍也は目上の人間とうことで敬語で話しかけている。それに機嫌を良くしたのかどうかは判らないがババアは

 

「1週間さね。召喚システムの設定のしなおしにフィールドの延長やることは山ほどあるからね」

 

1週間でどれだけ錬度と各クラスの連携が出来るようになるかがポイントだな

 

「では1週間後を楽しみにしていますわ。まぁ負けても吉井君を雅に差し出してくれればクラス設備の変更はありませんので気楽に準備してくださいね」

 

そう笑ってAクラスを出て行く小暮と学園長。残された俺達は

 

「龍也早速準備を始めたい。まずはB・Cクラスの臨時代表決めからだ。あと……翔子少し手伝ってくれるか?」

 

「……うん。手伝う」

 

にこっと笑う翔子。翔子にB・Cクラスの点の確認をしてもらい。俺と龍也で誰をリーダーにするか話し合う。無論B・Cクラスの生徒の意見も聞いてだ

 

「残った生徒は悪いが、下校時間まで予習を始めてくれ。今度の召喚戦争はタフだぞ」

 

相手は3年しかも科目はセンター試験。並みの準備じゃまず勝てない。しっかりと準備をしなければ何もせずに負ける。そんな予感があった。あとは

 

(明久のやろう。今週末にお見合いって言ってたな)

 

あの高城先輩の話を聞く限りお見合いは明後日だ。土日に集中して学力を上げてやりたかったが仕方ない。むしろ3年のリーダーの時間を潰せると考えればそう悪くない筈だ。何はともあれ勝負は1週間後。そして俺の目的が達成できるのはそれが終わってからだ

 

(大分伸びちまったがしょうがねえ。まずは何が何でも負けないことだ)

 

俺はそんなことを考えながら1週間後の召喚戦争に向けての下準備を始めるのだった

 

 

 

 

ここは……うっすらと目を開けるとここは僕の部屋だった。何でここにと考えていると

 

「アキ君。起きましたか?」

 

「姉さん?」

 

身体を起こすとそこにはやはり姉さんの姿。差し出されたコップを受け取りながら

 

「みーちゃんに会ったよ」

 

「はい。私も会いましたよ。と言うかアキ君をここまで連れてきたのは雅ですからね」

 

「みーちゃんは?」

 

「ついさっき帰りましたよ。お父様に呼ばれているとかで」

 

淡々とした様子だがどこか面白くなさそうな顔をしているのが気になったが多分みーちゃんと口論でもしたのだろうと判断する

 

(そういえば昔からみーちゃんと姉さんは良く喧嘩してたっけ)

 

唐突に思い出す昔の出来事。みーちゃんは気弱で良く苛められてたけど姉さんとだけは良く喧嘩をしていたのを思い出しながら

 

「なんかみーちゃんに婚約してくれって言われた」

 

気絶する前のみーちゃんの言葉を思い出しそう呟くと姉さんは

 

「はい。聞いています。母さんからですけどね」

 

そっか知らなかったのは僕だけか……でも姉さんならきっと母さんにも反対していたんだと思う。普段の姉さんの行動を考えれば反対している光景が容易に頭に浮かんだ

 

「これって断っても良いのかな?」

 

母さんからのメールでは私の会社が潰れるかどうかだから真剣にやることって言う一文があった。それはもし僕がお見合いを断れば高城グループの力で母さんと父さんの会社が潰されるってことなのかもしれない。そう考えると断ることなんて出来ないのかもと思いながら呟くと姉さんは

 

「判りません。それを決めるのはアキ君です、それよりももう少し休んでいてくださいね、無理をすると良くないですからね」

 

何も言うわけではなく決定権は僕にあると言って。部屋出て行く姉さんから視線をそらし、ベッドの上で仰向けに寝転がりながら

 

「あーどうしてこうなっちゃったのかなあ」

 

僕は美波とかと一緒に居る時間が大好きだったのに。そりゃ痛い思いもすることもあるでも一緒に居る時間は何よりも尊い物に思えた。それなのにずっとあってなかった幼馴染のみーちゃんが実は男装していた3年生の高城先輩で。しかも再会してまもなく唇を奪われた上婚約を申し込まれた。完全に僕のキャパシティオーバーの出来事だ

 

「あーもう駄目!考えても判らない!」

 

とりあえず携帯を取りだし美波達に明日話をするととだけタイトルを打って空メールを送り布団の中にもぐりこみ目を閉じた

 

答えを出すのはもう少し後でもっと時間も余裕もあると思っていたのに。僕が思っていたのより数段早く決断するときは迫ってきていたのかもしれないだけど、僕はきっと答えなんかまだ出せない。誰が好きかなんてもわからないのに

 

「どうしてこんなことになるのかなあ……」

 

はああああっと深い溜息を吐き。こんな事を相談できる相手と考え、とりあえず母さんに抗議のメールを送り龍也に助けを求めることにしたのだった……

 

 

第105話に続く

 

 




TSキャラ3人目でございます。高城雅春から春をとって雅と女性キャラにして見ました。イメージ的には少し丸くなった翔子みたいなクールデレだと思ってください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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