バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はKUBO戦を少しいれたいですね。あと魔王化瑞希暴走とかも面白いですよね
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第102問

 

第102問

 

「渡り廊下の防衛は上手く行ってるみたいだな」

 

戦況を見て逐一報告してくれるムッツリー二のメモを見ながら。戦況図を学校の地図に書き足していくが途中でシャーペンをとんとんと思わず突いてしまう

 

「龍也達の班が思ったより進軍できてないか」

 

龍也・はやて・セッテ+αで編成した部隊は1Fの通路を通り新校舎へと入り攻撃を仕掛けるはずだったのだが、どこの通路も完全に封鎖されているだけでなく工藤がムッツリー二と同じように情報収集を繰り返し、進軍しなおす度になのは・フェイトに加えAクラスのエリートに妨害され上手い事進めていない。しかも倒しかけた連中はなのはとフェイトがブロックしているうちに離脱されていると聞いている

 

「仕留め切れないのは自力の差か」

 

龍也達が強くてもとどめの追撃要因の力が足りない。だから思うように攻め切れてないが。無効も攻めることができていないのでとんとんと考えば良いだろう。そんなことを考えているとがらりと戸が空く、誰か補充に帰ってきたか?と思い振り返ると

 

「ほら良い子だからちゃんとおとなしくしてる」

 

「……はい」

 

「何があった!?」

 

明久が島田に手をつながれゆっくりと手を引かれ帰ってきた。教室に入ると流石の島田も手を離したが、明久の顔はトマトのように真っ赤のままだ。一体どうしたんだと尋ねると明久は俺の前に座って顔を両手で押さえて

 

「ゆ。雄二……」

 

「なんだ、どうしたんだ?」

 

そのあんまりの紅さに驚きながら尋ねると明久は

 

「姫路さんも少し様子がおかしいけど、美波も相当やバイよ……」

 

自分の席に座り廊下を親の仇の様に睨んでいる島田を見ると、確かに鬼気迫っているような表情をしている

 

「一体渡り廊下で何があったんだ?」

 

渡り廊下が一番の激戦区であったのは間違いないが。一体どうしたというのだろう?

 

「まぁお前らの事は後で聞くから渡り廊下の状況報告を頼む」

 

渡り廊下の報告役は明久なのでそう尋ねると明久はうーんと唸りながら

 

「えーとな木下さんの陽動と奇襲で点数がかなり減ってるから交代の人を送って欲しいんだ。ヴィータさんとかが残ってるから向こうも思うようにせめてこれないみたいだけど、味方の点数が減れば絶対攻め込んでくると思う」

 

伝えられた情報を大学ノートに書きながら交代要員から誰を出すか考え

 

「判った。福村、朝倉、君島行ってくれ。秀吉は教師に連絡。渡り廊下の科目の変更を頼んでくれ」

 

テストの点数が比較的そろい。武器が長柄系の3人にそう指示を出し。今度は明久に

 

「で?渡り廊下で何があった?ファランクすが崩れたか?」

 

龍也考案で俺の腕輪の力で召喚フィールドを作って特訓した陣営が崩れたか?と尋ねるとあきひさはゆっくりと説明を始めた

 

「木下を囮に包囲された?……そりゃ完全にこっちの作戦を読まれたな」

 

恐らく翔子となのは・フェイトで分析したのだろうがここまで読まれていると少し不味い

 

「おまけに正攻法以外も使ってきたか。こりゃ自分たちと同格と考えて作戦を考えてやがるな」

 

龍也やはやてだけを警戒して、俺達を格下と侮ってくれていれば作戦も立てやすいが、こうなると攻めるのも守るのもかなり難しくなってくる

 

「それでこっちの被害状況と向こうの損害はどうなっている?」

 

「最初の衝突で4人。美波の奮闘で3人補習室送りになってる。こっちは2人くらいかな?」

 

こっちの損害が少ないのはありがたいが、向こうの方が点数が高い少し位数の差で有利なっても直ぐに覆らされるだろう

 

「まぁその状況なら昼休みまでは耐えれるな。今のうちにお前は島田と一緒に補充を始めてくれ」

 

ノートに新しい戦術プランを書きながらいうと明久が不思議そうな顔をして

 

「え?お昼休みがあるの?召喚戦争なのに?」

 

「ああ。Aクラスからの提案でな。通常の昼休みと同じ時間は停戦だ」

 

なぜAクラスがこんな事を提案してきたかと考えると考えられるのは1つ。こっちの戦術を午前中で見極め、午後で対策を練る向こうは分析に長けた連中が多いから。それを計算に入れているのだろう。こっちの作戦では龍也達を囮にし姫路かムッツリー二で翔子を討ち取る手筈だ。だからこの休みは正直ありがたいと明久に説明していると慌てて教室に駆け込んできた藤川の言葉で遮られた

 

「坂本!4階に久保が出た!応援を送ってくれ!」

 

「4階に久保だと!?」

 

今まで一切の目撃情報の無かった久保が4階に、さっき2階でなのはと工藤が暴れていると聞き姫路を送り出したが

 

「そっちは姫路を吊る陽動か」

 

龍也達は1階の偵察とFクラス生の回収をしてるから回れないし

 

「明久頼む」

 

「うええ……KUBO苦手なんだけど」

 

露骨に嫌そうな顔をする明久。そりゃそうだ自分を狙ってるゲイの前に出るなんて嫌に決まってる。だから俺は更なる一手を出す明久の首を掴んで懐の写真を見せる

 

「非売品の島田達の写真。ネガつきをやる。これでどうだ?」

 

体育大会のときのチアガールの写真を見せると明久は暫く考えてから写真とネガを受け取り

 

「判ったよ。行って来るよ、その代わり援軍を直ぐに送ってよ?龍也とか瑞希とか」

 

「判ってる今呼び戻しに行ってる。だから安心していって来い」

 

そう笑って明久を送り出し、藤川に姫路に連絡するように頼みまた戦況分析を始めていると

 

「え?あ、あれ!?アキ、どこに行ったの!?離れちゃ駄目って言ったのにーッ!!!!」

 

島田の絶叫がFクラスに響き渡りしかも、俺が明久をKUBOの所に送ったというと

 

「なんてことしたのよ!アキが危ないじゃない!」

 

そう叫んで4階のほうに走り出していく島田。しかも良く見ると別の階段から秀吉が階段を駆け上がっていくのが見える

 

「うん。これで明久は無事だな」

 

魔王3人の集結。流石の久保も簡単には乗り切れないだろうと思い。俺はどんどん持って来られる戦況図を見て作戦の練り上げを再開したのだった

 

 

 

 

 

 

4階に足を踏み入れるとそこは阿鼻叫喚の地獄絵図になっていた

 

「ま、待て久保!話せば判るうううううッ!!!!」

 

「く、久保落ち着け!落ち着けってノオオオオオッ!!!!」

 

「俺達Fクラス相手に本気なんてウキイイイイッ!!!」

 

無言で振り回される鎌の嵐にFクラスの仲間が逃げ回っている。しかも何人かの召喚獣はもう戦死寸前まで痛めつけられているのがわかる。しかも

 

「KUBOに近寄るな巻き込まれるぞ!」

 

「本当に見境無しだな!こんちくしょう!」

 

同じクラスのはずのAクラス生も何人か巻き込まれている。完全なバーサーカー状態だ

 

「って見てる場合じゃない!嫌だけど引き受けた以上は!」

 

召喚獣を呼び出しKUBOの召喚獣の前に立つと点数が表示される

 

 

『Aクラス かつて優等生だったものKUBO』

 

『現代国語 428点』

 

VS

 

『Fクラス ヒロイン属性の男子吉井明久』

 

『現代国語 81点』

 

この悪ふざけとしか思えないネーミングは間違いなく博士だ。そうに決まっている

 

「やあ?待っていたよ。吉井君」

 

目の前で眼鏡を指で抑えてククククッと笑ってるKUBOは間違いなくHENTAIに属する何かにしか見えない

 

「僕は2度と君に会いたいとは思わなかったよ」

 

「まぁまぁ。きっと話せば分かり合えると思うよ?」

 

首がガクンガクン動いてゾンビのように思える状態の人間と何を話し合えと?

 

「まぁとりあえず召喚獣は1点だけ残して叩きのめして。君と僕はゆっくり話し合える……そうだね。体育倉庫で話をしよう」

 

「誰か!誰かいませんか!?性犯罪者がいます!!!」

 

体育倉庫に連れ込まれたら最後僕の心には一生消えない傷が残る事間違いなしだ。誰かに助けを求めようと辺りを見るが

 

「誰もいないいいいいッ!!!!!」

 

さっきまで居たFクラスもAクラスも皆いなくなり、僕とKUBOだけが4階に残されていた

 

「さて?始めようか?吉井君?」

 

言うが早く振り下ろされる鎌を横っ飛びで回避し間合いを離そうとするが、ここは4階の階段を上ったところ通路が狭くてよけるのが手一杯だ

 

「ほらどんどんいくよ!」

 

下からの切り上げ。回転しながらの横薙ぎ、嵐のような攻撃を必死でいなし防ぐが

 

(これは不味い!?)

 

400点越えの腕輪の風の刃に鎌本体の猛攻は流石に防ぎきれず。徐々に壁際に追いやられ

 

「はい、おしまいだよ♪」

 

「NO-ッ!!!!」

 

召喚獣の点数は20点近くまで削られ。KUBOの召喚獣に完全に押さえ込まれている、それだけならまだしも

 

「うひいいっ!!フィードバックがああああッ!!」

 

さすさすと召喚獣にさらわれている感じが気持ち悪い。しかし今ここで召喚獣を消すと敵前逃亡でアウト……

 

「先生たすけ……ってああああッ……加藤先生いいいいッ!!!」

 

現代国語の1年生の教師。加藤美穂教諭。容姿端麗で優しいのにこの人はBL大好きの腐女子で

 

「いいわ!KUBO君もっとやっちゃって」

 

「はい!」

 

「ハイじゃないイイイイッ!!!誰カー!!誰か!!!変態に襲われるううううッ!!!」

 

4階に来るんじゃなかった!如何して僕は4階に来てしまったんだ!KUBO本体の手が僕の手に伸びた瞬間

 

「何やってるのよ、この変態がああああッ!!!」

 

「明久君から離れてくださいッ!!!」

 

廊下の両サイドから走ってきた美波と瑞希のWラりアット

 

(く、クロスボンバーだっ!?)

 

某額に肉のドジで間抜けなHEROが活躍する漫画で出てくる必殺技だ

 

「ごふ!?」

 

角度スピードともに良かったようでKUBOがふらりとよろめいた瞬間

 

スパンッ!!!

 

「がっ!?」

 

小気味いいパンチの炸裂音が響く。それが連続で絶え間なく響く。そのパンチの主は

 

「性犯罪者は死ね」

 

美波と瑞希とは比べられないほどの魔王オーラを身に纏った優月だった。しかもそれだけでは済まず

 

「このおっ!」

 

優月が一息つくと大振りの美波のパンチが顎をレバーを打ち抜き。また閃光の様な優月の拳がKUBOを打ち抜く

 

「本当にどうして存在してるんですか!」

 

召喚獣もフルボッコにされ見る見る間に点数が削り取られ

 

「「汚物は消毒ッ!!!」」

 

美波と優月のストレートで階段から落とされたKUBOの眼鏡は割れボロボロだったにもかかわらずナイスナ笑顔で

 

『また会おう……そして愛してる』

 

クチパクでそう言って階段を転がり落ちていったのを見ながら僕は

 

「うわーんッ!!!怖かったよおおおおっ!!!」

 

もうガチ泣きで美波とかの方に走り出した。本能的に助けてくれる人に近寄ってしまったのだが、後に思う

 

(完全に逆だよね。これ……)

 

男と女の立場が100%違う、だけど……まぁいいかと思う僕だった

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み。各階の偵察を終えてFクラスに戻っていると

 

『オマタセ!アキヒサ!さっきのほんを」

 

『見つけたああ!留学生いいッ!!!』

 

『エッ!?オネエサンなに!?ボクにナンノヨウ!?』

 

『話は後!うちの日記を返しなさいいッ!!』

 

『あああ!マッテボクはコレをアキヒサにいいッ!!!』

 

美波が小柄な男子生徒を抱えてダッシュしてくるのが見えた。凄まじい勢いで私の横を通り抜け走っていく美波の背中を見て

 

「なんだあれ?」

 

「さぁ?日記とか言ってたけど、どうしたんやろな?」

 

「それよりも早く教室に戻って龍也様のお弁当を食べましょう」

 

ぐいぐいっと私の手を引くセッテに今いくと返事を返しFクラスに戻ると

 

「んーなんだろこれ。「試験召喚システム導入とその運用方法について」?これなんだと思う?」

 

「なんだろうね。これ」

 

明久と秀吉が1枚のプリントを見て首を傾げていた。さっきの子供の落し物だろうと思いながら弁当箱を取り、明久達の近くに座ると

 

「へへー兄貴待ってたよ♪」

 

「はいはい。くっつくな、ヴィータ」

 

「やだー♪」

 

ぴとーっと脇にくっつくヴィータに呆れながら座り弁当の蓋を開けていると

 

「龍也はさ、留学するって言う友達がいたらどうする?」

 

神妙な顔で尋ねてくる明久に私は

 

「ふむ。私は止めるな。友達なら一緒に卒業したと思うし……それに留学と言えば聞こえはいいが、馴れた土地から離れるんだ。ストレスも多いだろうし、あんまり進めることは出来ないな」

 

はやてとかにおかずを取り分けながら言うと

 

「そうですよね。一緒に卒業したいですよね」

 

「うむ。私はそう思うぞ」

 

瑞希が私の言葉に嬉しそうに笑うがどうも笑顔が曇っているように見える

 

「瑞希なにか悩み事?それなら聞くよ?」

 

明久が顔を覗きこみながら言うと瑞希は

 

「え、えっと!私飲み物買って来ます!皆さんいつもとおりのでいいですよね!」

 

そう言って立ち上がってばたばたと教室を出て行ってしまった

 

「瑞希何か悩んでいるようですね」

 

「そうやね。どないしたんやろ?って待てティアナ、それは私のフライや」

 

「いいじゃないですか。私にもくださいよ」

 

のほほんとおかずの取り合いをしているはやて達はいつもの事なので何も言わない。明久は

 

「優月。ムッツリー二。今の瑞希どう思う?」

 

「明久の前だから髪を整えに行った。私も何回も髪を整えるから」

 

「……のどが渇いて限界だったんだと思う」

 

……どこから突っ込めばいいのか判らない珍回答をドヤ顔で言う二人に軽い頭痛を覚えた。ちなみにドヤ顔をしていた康太には

 

「少しは真面目に考えなさい」

 

「はぐ!?」

 

セッテの神速の地獄突きが決まり。秀吉には、ヴィータが何か耳打ちしさぁっと顔を青褪めさせていた。本当賑やかしいがこの感じは嫌いじゃない。そんなことを考えていると

 

「昼休み中にすいません。こちらの姫路瑞希さんと言う方にお会いしたいんですが」

 

そう笑ってFクラスに入ってきたのは長身で涼しげな表情をした男子生徒と

 

「どうも皆様。こんにちわ」

 

肝試しのときに好き勝手やってくれた3年生の女子だった

 

「誰が入っていいって言ったコラぁ!」

 

「打ち殺すぞワレ!」

 

「イケメンは神だけでいいんだよ!」

 

……最近聞かないから忘れてたけど。やっぱり私の渾名は神で固定なんだなと内心溜息を吐いていると

 

「大変申し訳……ああ。吉井君、申し訳ないですが彼らと話をつけてくれませんか?」

 

明久の知り合いなのか?と全員の視線が集中すると明久は

 

「以前KUBOに教われいるときに助けてくれた。高城雅春先輩だよ、あの時はどうも」

 

「いえいえ。お気になさらず……ところでそのお弁当は吉井君が?」

 

「ええ。僕が作りましたが何か?」

 

明久に笑いかけながら高城は手に提げていた購買の袋を見せながら

 

「よろしければご一緒してもよろしいですか?」

 

にこにこと笑い。よろしいですか?と聞きつつもう座っている高城は中々の曲者のような気がする。小暮は

 

「うふふ。こんにちは?」

 

「……寄るな」

 

康太を苛めてニヤニヤ笑っていた。どうもリンディさんたちに通じるものがあるような気がする

 

「で?姫路に話があったんじゃないのか?」

 

「ええ、話はありますが。その前に食事を頂きたいと思いまして。吉井君そのから揚げいただいてもよろしいでしょうか?」

 

「あ、はいどうぞ」

 

普通に明久の弁当を食べている高城は酷く嬉しそうだ。それを見たはやてはぼそぼそと私に耳打ちしてきた。どうもはやても同じ考えになったか……私は溜息を吐きながら明久を見つめて

 

(闇夜で刺されるとか勘弁してくれよ)

 

そう思わずにはいられなかった……深く溜息を吐く私に

 

「兄貴♪おかずおかわり!」

 

「私もお願いします♪」

 

「龍也様。私もよろしくお願いします!」

 

にへらと笑いながら取り皿を差し出してくるヴィータ達から皿を受け取っていると

 

「ふう……漸く取り戻せたわね。これで一安心って……なんで3年生がここにいるの?」

 

「すいません。お待たせしました。自動自販機が混んでって……なんでここに3年生が居るんですか?」

 

全く同じタイミングで帰ってきた美波と瑞希の困惑した声はFクラスの騒がしい声に掻き消されて消えて行ったのだった

 

 

 

 

 

 

「どうも。姫路瑞希さん」

 

「おかえりなさい。瑞希」

 

明久君の隣でニコニコと笑う高城先輩に会釈して。明久君の前に座ろうとすると高城先輩は小声で

 

(留学の話は今はしません。ゆっくりと食事を楽しみましょう)

 

その言葉に一安心した。留学の事は確かにいい話だと思うけど、明久君達には聞かれたくないから。私自身もまだ留学したいのかどうなのかって判らないし。一安心、一安心なんだけど

 

「吉井君は料理が上手ですね。きっといいお婿さんになれると思いますよ」

 

「ははは。男子に言うことじゃないと思いますよ」

 

……なんか凄くイラッとする。でもKUBOに感じるような不快感はないし、美波ちゃんとかが近くに居るようなもやっとかんも感じないけど……なんていうのか面白くない

 

「ご馳走様でした」

 

「あれ?瑞希もういいの?瑞希が好きって言ってた煮物口に合わなかった?」

 

心配そうに尋ねてくる明久君に

 

「いいえ。とっても美味しかったですよ。ちょっとさっきお母さんから折り返し電話頂戴ってメールが来てたんで、ちょっと行って来ますね」

 

そう笑ってFクラスを出て屋上に上り空を見上げる。留学の話は学園長が良かれと思って持ってきてくれた話なんだろうけど、正直どうすればいいのか判らない。明久君に相談するときっと行くと良いよって言うと思う。私のために良い教室を取ろうとしてAクラスに挑んでくれている明久君だからきっとそう言うと判る。でも私はどうしたいのか判らない。1人で空を見ていると

 

「瑞希。どうしたの?心配事?」

 

「美波ちゃん……」

 

心配そうな顔をして尋ねてくる美波ちゃんに

 

「な、悩みなんて無い……いひゃい!いひゃいですうう」

 

「そんな悩んでいますって顔して何言ってるのよ」

 

むにーっと私の頬をひっぱる美波ちゃんの後ろから

 

「あの高城っていうんのが関係してるんか?」

 

「はやてちゃん」

 

ひょこっと顔を出して尋ねてくるはやてちゃんと美波ちゃんを見て

 

「私のほうの悩みなんて小さいんですよ。きっとFクラスがAクラスに勝てればそれできっと全部解決します」

 

私がそう言うとはやてちゃんが

 

「悪い事とか、おかしなことには巻き込まれてへんのか?兄ちゃんとか私に相談してくれた全力で手伝うで?」

 

にこにこと人のいい笑みのはやてちゃんに

 

「はい。大丈夫ですから心配しないでください!」

 

「そっか。瑞希がそういうんなら信じるわ」

 

「うんそうやね。なんか悪い事に巻き込まれているのかって心配になってもうたから付いて来たけど。なんもなくてよかったわあ」

 

にこにこと笑う美波ちゃんとはやてちゃんを見て、やっぱり私は

 

(卒業までこの学園にいたいですね)

 

美波ちゃんにはやてちゃん。それに明久君……留学すればあえなくなってしまう。それなら私は仮に留学先が勉強にいい環境だったとしても私は断ると思う。だってそこには

 

(こんなに素敵な友達はいませんからね)

 

心配して追いかけてくれた友達がいる……やっぱり私は文月学園にいたいと思う。Aクラスとの試験召喚戦争が終わったらきっぱりと断ろう。きっとそれが1番良い選択肢のはずだから……

 

 

 

 

第103話に続く

 

 




今回はちょっとしたつなぎのはなしだったので内容は少し薄め?だと思います。KUBOのくだりで笑ってもらえたら嬉しい限りです。それと小暮は黒いけど高城さんは結構友好的です。その理由はもう少し後で判るのでどうなるか楽しみにしてもらえると嬉しいです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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