バカと魔王と召喚獣【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回で9巻の内容は終わりです。次回からは10巻に入っていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第99問

 

第99問

 

【ヒメジなら、キュウコウシャのヨンカイニいるらしいよ?】

 

風に乗って聞こえてくるリンネ君の声を背中にしながら校舎を走る。確かに強敵を失格にするのは判る、だけどこんな方法はあんまりに酷すぎる。僕が熱でダウンしたから瑞希が頑張ってくれている。必死になってがんばっている瑞希さんをそんな方法で失格にさせようなんて絶対に許せない

 

「そんなこと絶対にさせない」

 

こんな卑怯な方法で勝とうとするCクラスもそれに協力したBクラスも認められない。龍也でもきっと同じ事をするだろう。僕は全力で階段を駆け上がり、2階。3階と勢い良く駆け上り4階への階段の踊り場でCクラス生に見つかり次々と召喚獣を召喚するのが見える

 

『まさかFクラスの連中。コッチの考えに気付いたか?』

 

『どうだろうな?何か他の目的があるのかもしれないな』

 

『まぁどっちにしろ吉井じゃ、ここは突破できないから問題無いわよ』

 

『そりゃそうだ、観察処分者に負けるわけが無いよな』

 

けらけらと笑うCクラス生達を見ながら召喚獣を呼び出す

 

『え!?こんなのFクラスの点じゃない!?』

 

『嘘だろ!?』

 

驚くCクラス生。それも当然僕の現代国語の点は……

 

『Fクラス 吉井明久』

 

『現代国語 235点』

 

「押し通るッ!!!二重召喚ッ!!!!」

 

2体目の召喚獣を呼び出し。手前の男子生徒の召喚獣を一撃で叩き伏せ。そのまま2体とも同時に飛ばせ回転しながらの横薙ぎでそれぞれ1人ずつ召喚獣にダメージを与えさせてから

 

「こんな卑怯な事を平気でやるなんて何考えているんだ!」

 

ただ勝てば良いと言うCクラスの考え方もBクラスも何もかもが納得できない。怒っているのにも関わらず冷静に召喚獣を操作し

 

「「うわああっ!!!」」

 

召喚獣の頭をそのまま掴んで互いに互いをぶつけダブルKO。そのまま階段を駆け上がりながら瑞希の姿を探す。Cクラスは計算を間違えたのだ。確かに明久はFクラスで観察処分者だ、だけどそれがそのまま頭が悪いに直結するわけではない。明久はこの短時間で高得点を取る方法として奇策を思いついていた

 

『それ本当に大丈夫なの?』

 

『大丈夫大丈夫。これなら一時的でもBクラスくらいの点になると思うんだ』

 

それは複数の問題用紙を使っての点のかさ上げ。どんなテストにも解かれることが前提の問題と言うのは存在している。それを複数解けば問題の大半を飛ばしてもある程度の点を取る事はできる。無論そんな方法で取った点は付け焼刃程度の効力しかない。ではなぜCクラスの生徒3人を瞬殺出来たかと言うと簡単な事だ

 

(絶対思い通りになんかさせるものか!)

 

階段の上から、召喚獣を跳ばせて上段からの一撃を叩き込もうとした召喚獣の胴に横薙ぎの一撃を叩き込み。逆にふっ飛ばしながら階段を駆け上る。今の明久は怒りの余り逆に冷静になりそして死ぬほど集中していた。その極限状態の集中力によって2体の召喚獣も完璧に使いこなしているのだ。向かってくるCクラス生の殆どを補習室送りにし4階に辿り着いた僕の耳に飛び込んでくるのは

 

『Fクラスの姫路瑞希さんだよね?悪いけど子の教室で大人しくしていてくれないかな?』

 

『そこをどいてください。私は今から行かなくてはいけない場所があるんです』

 

静かだけど凜とした声が聞こえてくる。その声を道標に更に廊下を走る

 

『そうはいかない。こっちだって負けられない無いんだ。先生もいることだし、通りたければ実力で通るんだね』

 

『……判りました。そうさせてもらいます。先生、Fクラスの……』

 

たった半日だというのに。なんだか随分久しぶりに聞いたような気がする、色々言いたいこと、聞きたいことはあるけど

 

『その勝負ちょっと待ったアアアアアッ!!!」

 

扉を半ば蹴り破り教室に飛び込むと瑞希が

 

「あ、明久君!?どうしてここに!?」

 

驚いた顔をする瑞希、そしてしまったという顔をするBクラスの生徒……たしか……ああ、別にどうでも良いや。卑怯者で良いか……

 

「吉井。こっとは今から姫路さんと勝負するところなんだ、お前はその次に」

 

そんなことをさせるわけが無い。邪魔をするために僕はここに来たのだから

 

「瑞希」

 

「あの?明久君どうして学校に?」

 

僕のことを気遣ってくれているのか心配そうな顔をしている瑞希に微笑み返しながら

 

「その話はまた後で、瑞希には今やらないといけないことがあるでしょ?」

 

「あ、はい」

 

会話しながら瑞希を自身の背中で庇う位置に移動しながら廊下を確認する。今のところCクラスの増援は来てないけど早く送り出したほうが良い

 

「それなら先にそっちを済まさないと。ここは僕が引き受けるから、話は後にしよう」

 

僕だって色々聞きたことはあるし、お礼だって言いたい。でも今はそんなことをしている場合じゃないんだ。今しか出来ない事があるのだから

 

「そうですね……先にやらなきゃいけないことがあるんでした」

 

瞳に強い意志の光を宿す瑞希の顔は美しく、そして凛々しかった……僕が好きな顔だ。僕は瑞希の後ろに回って

 

「行ってらっしゃい。頑張ってきてね」

 

その背を押しながら言うと卑怯者が慌てた様子で

 

「先に進むなら僕と勝負を……「そう思うのなら君から勝負を仕掛ければ良い。Bクラスの卑怯者」

 

瑞希を廊下に出しながら言うとBクラスの卑怯者は

 

「!?」

 

ギクリと肩を竦める卑怯者を睨みながら試召戦争の監督をしている先生に

 

「彼はBクラスなのにCクラスの振りをしてここに居ました。処罰をお願いします」

 

「……はい。今確認しました、Bクラスの井村君ですね。試召戦争終了後にCクラスの小山さん。Bクラスの根本君を交えて話を聞きます。事情によっては両クラスの代表の座から降りて貰うことになるでしょうが、当然のことですね」

 

井村君を捕まえて淡々と告げる先生を見ながら「後はよろしくお願いします」と声を掛けて廊下に出ると

 

「一気に叩きのめす!!」

 

「突撃馬鹿。もーなんで私がセッテとペアなのよ」

 

Cクラスを蹴散らしてくる魔王ペアとFクラスの生徒達の姿が見える。それに続いて雄二がゆっくりと姿を見せる、僕が雄二を見つけると同時に雄二も僕を見つけたようでにいっと笑いながら手を上げて近づいてくる。僕も手を上げて近づきながら

 

「よくやった明久ぁッ!!!」

 

「しくじるなよ雄二ッ!!!」

 

すれ違いざまに手を叩く。これで僕の役目は終わり。ここから先は雄二に任せればいい、僕はのんびりと戦争の終結を待とう。結果はきっと僕らの望む通りになるだろうから……

 

 

 

 

 

補充試験を5分で終えてそのまま突撃する。それが俺の立てた作戦だった、他のクラスでは考えようもな奇策。補充試験は受ければその時点で持ち点が0になる。それを5分で切り上げるなんて正気の沙汰じゃない。だけどFクラスは低い点数に慣れているだからこそ使える戦法。点数を残しておいた魔王2人を先頭に廊下を走りぬける。

 

(ここまでは来た。後はあいつしだいだ)

 

4階の階段を駆け抜ける。明久が姫路に追いついているかどうか?それで勝負が決まる……階段を上りきるとそこには

 

「ふう……」

 

廊下の壁に背中を預けて深く息を吐く明久の姿が。それを見た瞬間自然に口元が緩む

 

(あの馬鹿やりやがった)

 

この状況でCクラスの包囲網を抜けて姫路と合流するなんて普通は出来る事じゃない……だから今回だけは素直に褒めてやる

 

「よくやった明久ぁッ!!!」

 

「しくじるなよ雄二ッ!!!」

 

手を叩きながら屋上に駆け上がる。途中でCクラス生が召喚獣を呼び出そうとするが

 

「え!?どうして出てこないのよ!?」

 

「まさか干渉しているのか!?」

 

そう。屋上に続く階段を守っている親衛隊は召喚獣を呼び出せない。空き教室に陣取っている姫路がフィールドを張り干渉する。その間に俺達は階段を駆け上り屋上に飛び出す

 

「よう小山。散々面白いことをやってくれたじゃねぇか?」

 

「坂本……!?」

 

信じられないという顔で俺を見ている小山。屋上に続く出入り口は秀吉とセッテが抑える。これで増援はこれない、そして

 

「お待たせしました!Fクラス姫路瑞希、召喚します!」

 

空き教室での任務を終えた姫路が俺に合流する。これで向こうは護衛2人にして、こちらの攻撃は姫路と俺、そして今まさに階段を上がってきているテイアナ。小山が召喚獣を出そうが出さなかろうが、完全に詰みの状況だ、それに気付いた小山は

 

「どうして……どうしてよ!下位のクラスを相手にここまでやったのにどうして!!!」

 

小山が恨めしげに俺を見る中。姫路が護衛2人を打ち倒す。俺は召喚獣を小山に向けて

 

「この勝負。俺達Fクラスの勝ちだ」

 

小山の召喚獣を打ち倒し。そう勝ち名乗りを上げた……

 

「そう言えばアキ。さっきも聞いたけど、風邪引いてたんじゃないの?」

 

試召戦争を終えた放課後。遅れてきた明久を交えて話をしていると島田がそう明久に尋ねる。明久は笑いながら

 

「あ。うん。昨日わね?今日はたいしたこと無かったから遅刻してきたんだ」

 

明久が心配ないよと笑う中島田は心配そうに

 

「本当に?そんな事言って実はまだ熱があるんじゃないの?」

 

心配そうに自分の額に手を当てて明久の額に手を伸ばす島田。

 

(普段魔王な癖にこのギャップ。思わずころりといっちまいそうだよな)

 

俺もだが普段の魔王的な行動から見せるしおらしい態度と言うのはすごくいい者に見える。思わずころりと行ってしまいになるくらいには魅力的だ。明久もそうなのか顔を真っ赤にしているのを見ていると

 

「ちょっと!?顔真っ赤になってるじゃない!本当に大丈夫?」

 

「本当だよ!?大丈夫明久?」

 

島田と秀吉に額を触られて更に真っ赤になっている明久。たまには助けてやるか

 

「何言ってんだよ、島田と秀吉に近寄られて恥ずかしがってんだよ。少しは男心を察してやれ」

 

俺がそう言うと島田も秀吉とはっとした表情になり明久から少し距離を取ってもじもじしてる。魔王ってこういうのも計算に入れてるんだろうか?実は魔王ってあざとい系なんじゃ?とかを考えていると明久が

 

「ところで雄二。瑞希は?」

 

「ん?姫路ならさっき妙なガキに付きまとわれてどっか行ったぞ?」

 

帰ってくる途中にへんなチビに連れて行かれていたのを見たのを思い出しそう言うと

 

「妙なガキ?もしかして金髪碧眼の子?」

 

「そうそう。そのガキだ。明久の知り合いか?」

 

そう尋ねると明久は戦争中に知り合ったんだといって笑う。だけどその顔は妙に紅いやっぱり本調子じゃないのかもな、島田もそれに気付いたのか

 

「アキ。今日は調子悪そうよ?早く帰って寝たほうがいいんじゃない?」

 

「そうだね。Aクラスを倒そうとしているのにこの時期に倒れるのは本位じゃないでしょ?今日は早く帰ったほうがいいよ?」

 

2人にそう言われた明久は鞄を背負って

 

「それもそうだね。これ以上心配させるのも悪いし今日はもう帰るよ」

 

「大丈夫?ウチが家まで送ろうか?」

 

「大丈夫大丈夫。そんなに心配しなくていいよ。それじゃあまた明日」

 

そう笑って出て行く明久を見ながら俺も

 

「んじゃ俺も帰るかな。「……雄二一緒に帰ろう」ごぶっ!?」

 

いきなり現れた翔子のボデイで俺は意識を刈り取られ、気がついたらいつもの監禁部屋に居た。俺はその部屋の中で

 

「魔王なんてやっぱり嫌いだ!こんちくしょう!!!」

 

少しでも魔王が可愛いのではと思った自分の浅はかさにそう叫ばずに入られなかったのだった……

 

 

 

 

 

 

「瑞希遅いね」

 

「帰りに何かあったんでしょうか?」

 

夕食の準備を終えても帰ってこない瑞希のことを心配していると姉さんが

 

「心配ですね。少し見に行きましょうか?」

 

「そうだね……行こうか」

 

最近は物騒だし何かがあってからでは遅い。エプロンを椅子にかけて出かける準備をしていると

 

ピンポーン

 

丁度良くインターホンの音がする、瑞希が返ってきたんだと思い玄関に向かう

 

「おかえりなさい。遅かった……ほえ?」

 

「どうもこんばんわ」

 

「あ。はい、こんばんわ」

 

瑞希だと思って玄関を開けたらそこには、ビシッとスーツを着ている40歳前後の男の人が居た。誰だろう?見たことない人だけど姉さんの知り合いかな

 

「ご挨拶が遅れました。私、姫路瑞希の父です」

 

「ふえ!?瑞希のお父さん!?」

 

まさかの来訪者に驚き声が裏返ってしまった。思ったより早く帰国できた用でよかったけどびっくりした

 

「はい。このたびは娘がお世話になりました。つまらないものですがどうぞ」

 

差し出された小包を受け取りながら

 

「ご丁寧にどうも」

 

頭を下げて気付いた、瑞希のお父さんの後ろに居る小柄な少女の姿に

 

「お父さん。そこに立たれると邪魔ですよ~」

 

「ああ。すまないな」

 

一言謝ってからお父さんが横にずれる。その奥から出てきたのは僕の胸くらいの身長の女の子だった

 

「初めまして。姫路瑞穂です」

 

「あ、初めまして。吉井明久です」

 

ぺこりと頭を下げる女の子に頭を下げ返す。瑞希の妹かな?一人っ子だと思ってたんだけど

 

「お父さんと一緒におねえちゃんを迎えに来たの?」

 

僕がそう尋ねると瑞穂ちゃんはニコニコと笑いながら

 

「お姉ちゃん?違いますよ?ね?お父さん」

 

「うむ。瑞穂は私の妻だ」

 

「へっ……?」

 

思わずまじまじと瑞穂ちゃんを見つめる。あどけない表情。小柄な体躯。朗らかな雰囲気……ふむなるほど

 

「念のため通報を」

 

「警察なら間に合っている」

 

ガッと僕の腕を掴むお父さん。なんというなれた動き。ただのロリコンじゃないな、場慣れしたロリコンか

 

「吉井君。君は私の事を誤解している。瑞穂あれを」

 

「はいはい~」

 

ごそごそとポーチを探ってそこから取り出したものを僕に見せながら

 

「私、今年で41歳ですよ~」

 

差し出されたのは運転免許証でしっかりと生年月日が刻まれている

 

「馬鹿な!?」

 

14歳前後の見かけなのに!?41歳っでも嘘だと思う。だけど免許証を見る限り本当のことのようだ

 

「私も歳相応の外観の方がありがたいんだけどね。何度犯罪者扱いをされたことか」

 

目頭を押さえるお父さん。どうやら相当苦労しているようだ

 

「私もそろそろ成長期がくると思うんですけどね~」

 

たぶん40歳を過ぎてからは成長期は来ないと思うのだけど……あ、でも良く見ると身長と不釣合いなくらい出る所は出ている。そこらへんはやっぱり瑞希のお母さんと言ったところだろうか?

 

「それにしても、あなたが吉井君ですか」

 

僕をしげしげと見つめながら瑞穂さんは

 

「貴方が瑞希ちゃんの抱き枕とシーツにプリントされていた子ですね?」

 

「待ってください。抱き枕とシーツってなんですか!?」

 

おかしい僕の抱き枕なんて誰が欲しがるんだ!?

 

「アキ君。お客様ですか?」

 

リビングから出てきた姉さんと姫路さんのお父さんと瑞穂さんが揃って頭を下げながら

 

「初めまして。姫路瑞希の父です」

 

「母です」

 

「初めまして。吉井明久の妻の玲です」

 

「姉ですからね!?と言うか姉さん何言ってるの!?」

 

もうなんで姉さんはこうなの!?もっと普通の事を如何して言ってくれないのかな!?

 

「すいませんアキ君。つい流れで」

 

「嘘だ!今の会話にそんな流れはどこにも存在しない!!!」

 

「瑞希さんのご両親でしたか。こんな所で立ち話もなんなのでよろしければ中へどうぞ、ちょうど静岡産のいいお茶とお菓子とメイド服が手に入ったので」

 

「待って姉さん。1つ聞き逃せない単語があったんだ」

 

「すいません~お気持ちとメイド服だけ頂いていきます」

 

「そう仰らずに。猫耳もつけますよ」

 

つ、突っ込みきれない!!こうなればお父さんに助けてもらうしか

 

「……」

 

駄目だ!この人完全に目が泳いでる!!!このままでは駄目だと思ったところで

 

「あれ?お父さん?お母さん?」

 

瑞希が帰ってきたことで僕の心にトラウマが刻まれる事は無かったのだった……

 

瑞希と一緒に帰っていく瑞穂さんとお父さんの会話を聞いて

 

『瑞希ちゃん。お母さんはねーお父さんにカッターを向けて付き合ってもらったのよー♪』

 

『ああ、あの時は怖かったな。付き合うか刺されて死ぬかの究極の二択だった。だがそれも今ではいい思い出だ』

 

『そ、そうなんだ……知らなかった。でもそれくらい強気の方が良いのかも……』

 

瑞希の魔王はお母さんからの遺伝だった事を知り恐怖したのだった。魔王属性に殺すが付加されない事を心から願いながら家の中に戻ったのだった。そして長いようで短い瑞希との同棲生活が幕を閉じたのだった……

 

 

 

 

 

「小暮。次はどうするのか決めているのですか?」

 

「勿論ですとも。次は雅に少し演技をしてもらいます。難しいですが頑張ってくださいね」

 

小暮の話を聞いて私は顔を顰めて

 

「私に同性愛の趣味はないのですが?」

 

「演技ですのでそこは頑張ってください、そうすれば吉井君を手に出来る機会が来ると思えば頑張れるでしょう?」

 

にこにこと笑う小暮に嫌々ながらも頷くと

 

「それは重畳、では次の計画を練り始めましょうね」

 

笑っている小暮。味方にすればこれ以上頼もしい相手は居ないが、敵に回せばこれ以上恐ろしい相手は居ないだろう

 

「判りました。出来る限り協力するのでよろしくお願いしますね」

 

「勿論ですとも♪何をしても雅が吉井君を手にするのをお手伝いしますよ」

 

そう笑う小暮と帰路に着きながら私は夕日を見つめて

 

(もう直ぐ迎えに行きますからね。アキ君)

 

私にとって必要なのはアキ君だ。彼を手にするためにならなんでもする。多少の演技に嘘だろうが最後まで貫き通してみせる。それでアキ君が手に入るのなら私は

 

(自分でさえも欺いてみせる)

 

目的の為になら自分を欺く事だって出来る……それだけの価値がアキ君にはあるのだから……

 

そしてアキ君を手にするために私には日本に戻ってきて2年待った

 

(もうこれ以上待つことは出来ません)

 

そして今アキ君の傍に居る島田・姫路・木下にも奪われるつもりは無い

 

(アキ君は私のものなのですから……)

 

私は狂おしいまでのアキ君への想いを感じながらゆっくりと家へと歩いていったのだった……

 

第100問に続く

 

 




丁度100話で10巻の内容に入れました。次回は龍也視点から始めて行こうと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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