モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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26-我没頭す

 リーグ戦も終盤にさしかかり、僕も残り二試合を残すのみとなった。

 僕は今のところ六勝三敗、昇格は厳しいが降格もない悪くない成績である。しかし残り二戦勝つに越したことはないので頑張る所存です。

 

 さて、カントー・ジョウトポケモンリーグで今最も注目を浴びているのはCリーグであろう。シルフトーナメントで一般層にも強烈な印象を残したクロセ、シンディアが無敗で並び、その後ろに一敗でシバさんが続いている。CからBへの昇格枠は三人であるから昇格枠をかけた熾烈な蹴落とし合いな訳ではないが、この三人が最終的にどのような星勘定になるのかは気になるところだ。

 ただ正直な所僕はそこまでである。クロセ君やシンディア氏は実績を考えれば当然の結果とも言えるし(Cリーグのギラついた若手が噛み付いたりしてくれないだろうかと期待はしていたのだが)シバさんだってそもそもCリーグに居るのがおかしいのである。例えば勝手知らない洞窟の中で不意に勝負になった時、シバさんに勝てるトレーナーがこの地球上に何人いるだろうか。

 

 僕が度肝を抜かれたのはオグラ君である、あの伸びしろのなかったトレーナーと同一人物とは思えない。リーグ昇格から連勝を続けて居たあたりは「すごい勢いだ」とは思っていたが、対戦して分かった、本物である。現時点でリーグ戦無敗でほぼAリーグ昇格を決めているのも納得だ、いや、あれならAリーグでもやれるだろう。

 興味深いのは、殻を破る前のオグラ君がコテコテの『情報化トレーナー』だったことだ。

 これは僕の持論だが。現代バトル戦術の流行は、まずタイプによるエキスパート系トレーナー、その次に複数タイプによる戦術化、その次に一匹の強力なエースポケモンをその他補助で運用する戦術、そして圧倒的な情報量を武器に『試合が始まる前に勝負を有利にする』バトルの情報化につながる。以前にも書いたが、現チャンピオンのキシ君はこの情報化トレーナーの集大成である(最も最近のキシ君はその腕力もチャンピオンに相応しいことを世に知らしめているが)

 もちろん他のトレーナーもそれに追随し、今の若手は殆どが情報化の影響を受けていると言ってもいいだろう。特にオグラ君は若手の中でも特にその傾向が顕著だった。

 そこからそのスタイルをチェンジしてからのこの大活躍である。Cリーグの若手達はこれを見てどう思うのだろうか? ちなみに僕は新しい時代の予感を感じている。ただ僕は小器用なことが出来るわけではないので特にそれを追随するわけではないが、僕が新しい時代に対応できるかどうか、僕自身も楽しみである。

 

 という訳で僕もオグラ君にあやかろうと、一人お月見山に行ったのである。まったく長い前振りだった。

 実は僕は化石を掘るのが好きである、多少知的なイメージを持っていただけただろうか。かと言って別に眺めたり学術的にどうこうというわけではなくて、ただただ化石を掘るのが好きなのである。

 まだ若かったころ、シロナさんに喧嘩を売りにシンオウ地方に一人乗り込んだ時に化石掘りに出会った。

 シンオウ地方は地下道が有名で、非常に手軽に化石を掘れる。僕は夢中になった。もちろんシロナさんにボコボコにされた後である。

 化石掘りはいい、心を無に出来る。ツルハシで慎重に化石を壁を掘り出している時にはそれ以外のことは何も考えなくていいのである。

 

 ある日、僕はホウエンのデボンコーポレーションが化石からポケモンを復元する技術の研究をしていることを知った。僕は無性にあの時に掘り出した化石を復元したくなった。僕の持論として、こういう時には行動あるのみである。

 今思えば無茶な要求だったと思うのだが、デボンコーポレーションの研究員の方は僕の無茶苦茶な要求を意外とあっさり受け入れてくれて(サンプル待ちだったと言ってはいたが)僕の化石はポケモンになったわけである。

 それが今でも僕の良きパートナーであるアーマルドである。シンオウ地方で掘り出せるのは珍しい事らしいが、今思えばこういうのも運命めいていて良いではないか。

 ある時アーマルドがホームシックのようになってしまって僕はとても苦労した。なんとか当時の仲間と会わせてやろうと思って再びシンオウに飛んだわけである。こういう欲があるときには中々出ないものである。

 地下道にこもって四日目あたりで僕はようやく化石を見つけ、その足でホウエンに向かった。それが今でも受けの試合で出てくるユレイドルである。あまり意味はなかったが、それによる発見もあった。

 

 お月見山でも化石が見つかると聞いていたので、僕はオムナイトあたり見つけられればいいなと思ったのだが、結局見つけることは出来なかった。まあこういうことは焦らないべきである。行くたび行くたびに化石を見つけることができたら、僕はこんなに長くこの趣味と付き合っていないだろう。

 みなさんもシンオウに行った時にはぜひとも化石掘りがオススメである。意外と集中力のある自分と出会えるはずだ。




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