モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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キャラクター紹介
・モモナリ(オリジナルキャラクター)
 主人公だがこの章では主人公ではない
 Aリーグを維持し強豪トレーナーの地位を盤石のものにしている面白エッセイおじさん
 今回のことはエッセイには書かない

・タカスギ(オリジナルキャラクター)
 配信者『スゴスギタカスギのサイゴノイッポ』というチャンネルを持っている
 タイトルと企画名がダサいのはスタッフ、ファン共に理解しているが、もう少し泳がせておこうと思われている

・サイダ(オリジナルキャラクター)
 元リーグトレーナー、ポケモントリマーはバイトと言っているが実際はほぼ社員、ポケモンに対する理解が異常に良いため大体定時で帰る。
 関連話 セキエイに続く日常 42-その言葉は呪いでもあり
 実は結婚で名前がトモミチに変わっているというどうでもいい設定がある


セキエイに続く日常 191-バトルコート ④

「なんだ、君か」

 

 ストリートバトルコート。天候は幸運にも晴天。

 現れたタカスギに、モモナリは心底つまらなさそうにため息を吐いた。

 残念ながら、彼はモモナリに強い印象を残しているとは言いがたい。

 そう、コートの周りに座り込み、目に見えてうなだれている、配信者の男達と同じように。

 

「辞めといた方がいい」と、その男はタカスギに同情と自嘲の視線を投げかけながら言った。昨日、自らを襲おうとした男と同一人物とは思えない。

 

「強すぎる、俺達がどうこうできる相手じゃねえよ。目を合わせることすら無かった。きっとあいつは、俺達を視界に入れてすら無いんだ」

 

 もう、モモナリの方向を見ることすら拒むような、明らかな恐怖が浮き上がっている。

 タカスギはそれを意外なことだとは思わなかった。だが、それでも、この世の誰よりも尊大な態度を取る事で金を稼いでいると言っても過言ではないその男とその取り巻きが、ここまで露骨にその牙を奪われ、前を向くことすら許されないほどに心をへし折られているその事実は、それを覚悟していたはずの彼に生唾をもう一度飲み込ませるのに十分な光景だった。

 だが、タカスギは一歩、モモナリに踏み込んだ。

 

「どんな魂胆だろうと、あんたはモモナリと戦った。このコートで、あれと向き合った。それは、誰にでもできることじゃない」

 

 男は、タカスギを止めなかった。そりゃそうだ、元々実力で敵う相手ではないことは理解している上に、それを覆すほどの戦力を持っていない。

 その屈辱を晴らすことを、男はタカスギに託せただろうか。

 

「まあ、誰が来てもいいよ、今日は誰の相手だってする。ここはそういう場所なんだろうから」

 

 目の前まで距離を詰めたタカスギに、モモナリは明らかに彼の存在を軽視した、なんでも無いものを見るような目線を投げかけている。

 

「配信者、なんだってね。このバトルも、どこかにアップロードするのかな」

「あなたが許してくれるのならね」

「いいさ、どうでも」

「それなら、当然。僕は、配信者ですから」

「そこには興味がある、どうして君は、バトルを配信なんかするんだい」

 

 その質問に、タカスギは少し前のめりになって答える。

 

「そりゃあ、僕のバトルを、一人でも多くの人間に観てほしいからですよ」

「わからないねえ、わからない」

 

 純粋な疑問を覚えているモモナリに、タカスギは、昨日寝床で散々考えたことを反芻する。

 生きていく道は、幾らでもあった。

 アルバイトでもいい、正社員でもいい、通訳でもいい、パルクールだっていい、モデルにスカウトされたことだってある。

 なぜ配信者になった。

 かっこいいから、稼げるから、有名になりたいから、概ねそんなところだろうか、まあいい、そんなことは、どうやって生きるにしても考えることだ。

 じゃあ、どうして『バトル』を配信しようとした。

 見てくれはいいんだ、それは自覚している。

 別にバトルを配信する必要なんて無いじゃないか。炭酸ドリンクにラムネ菓子を入れようが、仲間にドッキリを仕掛けようが、背後の食材を指さしてサンドイッチを作ろうが、一人と一匹のキャンプをしようが、どこかの企業が作った一口目で飽きるくどい味の菓子に大袈裟な反応をしようが、それを配信することはできる。

 どうして『バトル』なんて。

 強い自分を見せびらかしたいから、有益な情報を手に入れるため、たまたまバトルに自信があったから。

 本当にそれだけだろうか、本当の本当に、それだけだろうか。

 

「だって、皆はわからないんですよ」

 

 突拍子のない発言だった。

 モモナリは沈黙をもってして続きを催促する。

 

「駆け出しのトレーナーや、そもそもバトルをしない人は、どこにどんな『スゴスギ』るトレーナーがいて、彼らがどう『スゴスギ』て、彼らとどうやって向き合えばいいのか、わからないんですよ」

 

「今日だってそうです」と、続ける。

 

「こんな田舎のストリートバトルコートに『スゴスギ』なトレーナーがいるなんて、地元の人間しか知らない、そして、彼女がどう『スゴスギ』なトレーナーであるのかは、地元の人間にもわからない。誰かが戦わなくちゃ、誰かが彼女の強さを引き出さなきゃ、それは誰にもわからない」

 

 一拍おいて、続ける。

 

「僕にはそれができる」

 

 自信はあった。事実、何度もそうしてきた。

 性別、年齢、立場にかかわらず、彼の思う『スゴスギ』トレーナーを、彼はピックアップしていた。

 そして、それは、今につながっている。

 モモナリは、彼の言葉に何度か相槌を打つように頷いていたが、タカスギの目を覗き込み「へえ」と、鼻を鳴らした。

 

「そりゃあ、興味深い話だ」

 

 彼はタカスギに背を向け、コートの向こう側に向かいながら続ける。

 

「じゃあ、僕のこともうまく引き出してくれるってことかな」

 

「ええ」と、間髪入れずに返す。

 

「少なくとも、食らいついては見せますよ」

 

 彼は配信者で、トレーナーだ。

 この機会を逃すことは、無い。

 

 

 

 

「『でんじは』!」

 

 襲い来るようせいポケモン、ピクシーの攻撃が届くより先に、ライボルトはその特徴的なタテガミから電撃を放ち、ピクシーを『まひ』させる。

 だが、ピクシーの攻撃はそれで止まらない。彼女はその勢いのままに右の拳をライボルトに振り込む。

 その拳から放たれた『シャドーボール』は、強かにライボルトの顔面に叩き込まれた。

 踏ん張ることはできない、これまで彼が経験したことのない威力のはずだ。

 回転する視界をなんとか制御するように四肢を踏ん張りながら、彼はなんとか相手を視界に収めようと、無理な力を入れながら頭を起こす。

 すでに、ピクシーは目の前に迫っている。

 

「『みがわり』!」

 

 当然タカスギは、吹き飛ばされたライボルトにピクシーが迫っている事を知っていた。

 本当は、もっと早くその指示を出したかった。

 だが、まだ相手を視界に捉えていないライボルトにその指示を出したところで、ただ彼が混乱するだけだ。圧倒的な格上と対戦する経験を、ライボルトはまだあまり積めていない。

 

 その指示の意味するところを理解し、ライボルトは静電気を含めた体毛の一部を脱ぎ捨てるようにしてサイドにステップする。その行動そのものは素早く正確だ。

 だが、ピクシーはその毛玉を『かえんほうしゃ』で瞬く間に焼き尽くし、すぐさまにライボルトを標的に戻す。

 

「『10万ボルト』!」

 

 その指示は、たしかにライボルトに届いてはいた。

 だが、彼がその指示を完遂するよりも先に、ピクシーはすでにその両手をライボルトの顔面に向けている。

 ゼロ距離での『ムーンフォース』が彼に直撃したが、それはライボルトを吹き飛ばすわけではなく、彼はそのままその場に崩れ落ちる。

 ほとんど気絶に近いダメージであっただろう。その瞬間を理解できていたかどうかもわからない。

 思わず唸り声を上げながら、タカスギはライボルトをボールに戻す。

 ここまで、遠いものか。

 単純なレベル差、どころの話ではない。

 ピクシーの向こう側、モモナリに目を向ければ、彼はキョロキョロと周りを見回しながら、まるでバトルには集中していない。

 彼はこれまで、ピクシーに対して指示を出してすらいなかった。

 彼女は彼女の思うままに戦い、そして、彼らはそれを止められなかった。

 おそらくは、男達もそうだったに違いない。

 屈辱的であった。いや、それが屈辱的であることなのかすら、彼らはおぼろげにしか掴めない。

 ただ間違いないのは、ピクシーは自分たちと戦うことに、モモナリのフォローを必要とはしていないということだった。

 

「頼む」

 

 二つ目のボールを握りしめながら、タカスギは祈るように呟いた。

 ムシのいい話だとは思う。生活のために追いやったエースに今更頼るなど。

 だが、そのボールは、期待するように震えている。目の前の、あまりにも礼儀を知らぬ、可愛い弟分を弄びいたぶったチンピラフェアリーに、礼儀というものを教えてやらなければならぬ。相棒と一緒であれば、それは成せると信じている。

 タカスギは、ボールを投げた。

 繰り出されたポケモンに向かって、ピクシーの決断は早い。

 どのような相手でも捉えることができるよう天高く浮遊した彼女は、繰り出されたポケモンを確認するや否や、すぐさま両手を天に掲げ、巨大な『きあいだま』を作り上げる。

 野生の感性と、培った知識が噛み合う。

 その技は、繰り出されたポケモン、バクオングの弱点である。

 現れたバクオングは、すぐさまにピクシーを視界の中心に捉え、自らに振り下ろされんとする『きあいだま』を、恐れることなく迎え撃つ。

 

「『ばくおんぱ』!」

 

 開かれた大きな口、震わせる喉。

 打ち出された衝撃波は、振り下ろされた『きあいだま』とぶつかり合い、その軌道をずらして、不発に終わらせる。

 コートを叩いた『きあいだま』は周りに地震と見紛うほどの衝撃を生み出した。

 

「おっ」

 

 モモナリは、その揺れにようやく彼らの方を見た。

 そして『ばくおんぱ』の衝撃に空中でのコントロールを失いかけたピクシーが、宙返りのように翻りながらモモナリの前に着地し、バクオングを睨みつけながら構えを取る。

 

「へえ、なるほど」

 

 ピクシーが、トレーナーの助言を求めている。

 彼女は無鉄砲だが、己を知らないわけではない。

 向こう側の新たな『群れ』は、自分一人では対応することが難しいと判断したのだ。

 その助けに気づかぬほど、モモナリは鈍感ではない。

 彼はバクオングの向こう側、タカスギに視線を向ける。

 必死な顔だ。噛み締め、睨みつけている。

 はは、と、モモナリはその様子に微笑んだ。

 

「ちょっとは、やるみたいだ」

 

 タカスギは、ピクシーの動きが明らかに変わったことに気づきながら、それに気を取られすぎないように気を張った。

 やることは同じだ、常に同じ。

『ばくおんぱ』して『ばくおんぱ』して『ばくおんぱ』する。

 スタイリッシュでもなければ、シャープでもクレバーでもない。鈍く、豪快で、馬鹿の一つ覚え、迷惑な配信者だ。

 仕方ない、彼らはそれしか知らぬ。

 だが、彼らはそれを知っている。

 その一点において、自分たちは優れているのだと、知っている。信じている。確信している。

 それは、戦いにおいては大きな利点だ。

 

「『ばくおんぱ』!」

 

 あるいは今から放たれるそれよりも巨大な音で、彼は叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 無念そうに膝から崩れ落ちたバクオングをボールに戻し、タカスギは天を見上げた。

 

「そうか」

 

 敵わなかった。とてもではないが。

 モモナリがピクシーの指示に加わってからは、何も思うようにはできなかった。

 ただ唯一の救いは、相手のピクシーが若干息を乱し、膝をついていることだろうか。

 

「どうだい、良い映像は撮れたのかな」

 

 ピクシーをボールに戻したモモナリは、タカスギに歩み寄りながら言った。

 タカスギは、一歩後ずさりながら、それでもそれ以上彼と距離を置かぬように気を強く持ちながら、問う。

 

「僕は、あなたの実力を、引き出せたんでしょうか」

「悪くはなかったと思うよ、少なくとも、僕とピクシーが組まなければ、勝てはしなかったと思う」

 

 彼は頬を掻いて続ける。

 

「僕も仕事でエッセイを書いててね、でも、見る人が何を求めてるのかってよくわからないよね。適当に書いたものが評判が良かったり、逆に熱心に書いたものがボツになったり、本当に、よくわからない」

 

「今回も、よくわからないんだ」と、彼は続ける。

 

「僕はただ、彼女がバトルに帰ってきたことが嬉しくてたまらなくて、ただ、それだけだったんだ。なのに、どうやら僕が悪いらしい。なんでだろうね」

 

 そりゃあんたがおかしいからだよ。と、言えたらどれだけ楽だっただろう。

 だが、それは当然できない。

 怖いからではない、否、実際には多くの部分をそれが占めるだろうが、本質的な部分は、違う。

 それができないのは、それは永遠に交わらぬ理屈だからなのだ。

 自分たちから見れば、彼はおかしい。

 だが、彼は自分自身を正常だと心の底から信じているだろうし、彼から見れば、自分たちのほうが異常なのだ。

 そういう領域にいる人間なのだ、モモナリは。タカスギは、それを痛いほど理解できている。

 

 もう少し、何かを続けようとしたモモナリは、不意に、タカスギの背後に視線を向け、それに釘付けになった。

 後ろを振り返らずとも、タカスギには彼の瞳に何が写っているのか、理解することができる。

 だが、それを見るモモナリの目は、表情は、彼が思っているものではなかった。

 闘争心をむき出しにするだろうと、当然思っていた。これから戦う相手を威嚇するような、あるいは尊重するような、もしかすれば、獲物を目の前にしたどくタイプのポケモンのような、そんな表情をするのだろうと、半ば確信していた。

 しかし、目の前の男はどうだ。

 確かに、期待は見える、なんとなくだが、顔の右側はわずかに笑っているように、それへの期待があるように見える。

 それなのに、その顔の左側は、何故か怯えているような、恐れているような、どうしようもないほどの不安があるような表情に見えるのだ。

 それを不思議に思いながら、一歩、二歩と、タカスギはモモナリから離れる。

 もはや、彼の視界に自分が入ることはないだろう。

 一つ、肩に手を置かれる。

 

「良かったわ」

 

 サイダであった。

 そうひと目見て理解できたのは、彼女がサングラスもかけておらず、体の線を隠すようなロングコートもまとってはいなかったからだ。

 

「八つ目までは、大丈夫」

 

 それが、ホウエンジムバッジのことを指しているのは、すぐに理解ができる。

 

「そこから先は、あなた次第だけど」

 

 そう言われ、ようやくタカスギは、自分がそのバトルに敗北したのだという事実を、現実を飲み込み始めた。

 そうだ、これは、日常なのだ。

 どんな地方であれ、リーグトレーナーになるのであれば、プライドを背負ってバトルをすることが日常だ、仕事だ、生活だ。

 敵わぬ相手だからといって、それを当然に思っていてはいけないのだ。

 元リーグトレーナーであったサイダは、その現実を知っている。

 そう理解した瞬間に、タカスギの中に生まれたのは、強烈な悔恨であった。

 もっと、やれたのではないだろうか。

 今はまだわからない、だが、それを家に持ち帰り、修練を重ねれば、今日見えてこなかった課題が見つかるのではないか、否、見つかるはずだ。

 それが今わからないことが、心の底から悔しいのだ。

 それは、久しぶりの感覚だった。

 久しぶりの敗北だったからだろうか、いいや、おそらくは違うだろう。

 たとえ自分が勝利することのできた試合にだって、場面場面を切り取れば、分の悪かった瞬間だってあっただろう。

 それを悔しいと思う感覚が、久しぶりだった。

 いつからだろうか、負けてもいいと思うようになっていた。否、負けた方がいいと思っていたのかもしれない。

 バッジを八つ集めたホウエンリーグの底辺トレーナーであるより、夢に挑戦し続けている強い七つ持ちトレーナーであったほうが、仕事がしやすいと思っていたのかもしれない。

『サイゴノイッポ』がいつまでも続けばいいのにと、思っていたのかもしれない。

 唇を噛む。

 その試合を、どのように編集、振り返るべきなのだろうか。

 

 

 

 

「モモナリくん」

 

 コート中央、モモナリと向き合ったサイダは、できるだけ平静を保つように、向かい側の男と同じように努力しながら、できるだけ微笑みを作りながら言った。

 

「私の、家族を、紹介してなかったね」

 

 彼女は振り返り、コートの隅から彼女を眺めている男と、二人の少女に手を向けて続ける。

 

「私の旦那と、娘が二人いるの」

 

「へえ」と、モモナリは彼らを眺めて、少女らに合わせて手を振る。

 

 そして、一つ鼻を鳴らしてから答える。

 

「僕は、変わりなしです。家族はいない」

「でも、仕事は始めたじゃない。読んでるわよ、偶にね」

 

 それが、彼が書いているエッセイのことを指しているのは、さすがのモモナリも理解した。

 

「ああ、ああ、そうですね。そういえばそうだ」

「変わったよ、モモナリくんは」

「そうですかねえ」

「ええ、大人になった。『あの頃』のモモナリくんなら、誘うなんてスマートなこと、しなかった」

「そうですかねえ」

 

 苦笑いするモモナリを愛おしげに眺め、彼女はベルトのモンスターボールを撫でて呟く。

 

「最初は、少し様子を見ようとしただけだったの」

 

 モモナリは、それが何を指しての言葉であったのか理解できなかった。

 だが、黙ってその先を促す。

 

「隣町にこういう場所が出来たって聞いたから、興味本位でね。学生達がバトルをしていて、たまに商店街のおじさんがそれに混じったりしてた」

 

 それを思い出すように一度目を閉じる。なるべく鮮明に、正直に、その時の感情を思いかえそうと務める。

 

「楽しそうで、混じりたかった」

 

 一拍置いて、自分自身を一つ鼻で笑って、モモナリに笑って続ける。

 

「君と同じだね」

 

 モモナリはそれに肩をすくめる。

 

「でも、サイダという元リーグトレーナーがそれに参加するのは、どうしても出来なかった。それだけは、そう考える自分自身すら、嫌だった」

 

「それで」と、モモナリは返す。

 

「満たされましたか」

 

 核心を突く質問だった。

 サイダは、すぐさまそれに返す。

 

「半分は、ね」

 

 ベルトのボールをもう一度撫でて続ける。

 

「不思議なものよね、もう、リーグトレーナーだった期間よりも、ママだった時間のほうが長いのに、体も、レパルダスもしっかり覚えてた。ブランクと、少し体力の衰えはあったけど、やりたいことは出来た」

 

 モモナリは、それに頷いた。

 だからこそ、彼はあの動画から、サイダを結びつけることが出来たのだ。

 

「満たされないはずですよ」と、モモナリは呟いた。

 

 彼には、考えられないことだった。

 サイダはそれに頷いて続ける。

 

「戦えば戦うほど、どうしても、この子と一緒に戦いたくなってた。だけど、それに気づかないふりをしていた」

 

 そりゃそうだ、と、モモナリは鼻を鳴らした。

 あれほどまで、共に戦ったパートナーだ。あの頃の絆を再び確かめたいと思うのは、ある意味当然の理屈だ。

 

「教えて」と、サイダはモモナリを見上げて続ける。

 

「私は、まだ、トレーナーなのかしら。あの日、戦うことから逃げた私を、この子は、許してくれるかしら」

 

 サイダは、最後のパスをモモナリに託した。

 彼は、考える。

 本当は、考える必要など無いのだ。

 適当に、それでいかにも神妙なように、自分に都合のいい言葉を並べれば、おそらくはモモナリの希望は叶うだろう。

 だが、彼はそうはしなかった。

 彼は話の通じない社会の外にいる強者ではあるが、彼なりの倫理観を持って、できる限り人に寄り添おうとする厄介な質があった。

 

「戦いましょう」と、モモナリは言った。

 

 彼なりに考えて、考えて、考えて、考えて、それでも考えて、それが間違っているかどうかを考えて、彼はそう言った。たとえそれが社会からどう見られようと、彼はそう言った。

 

「バトルからは信頼が、苦悩が、人生が見えます」

 

 一歩、彼は目線をサイダに向けたまま距離を取る。

 もう一歩、一歩と下がりながら、続ける。

 

「あなたがリーグを去ってからも、俺は戦い続けました。強い人、弱い人。強いポケモン、弱いポケモン。強い群れ、弱い群れ。色々、本当に色々なものと戦いました」

 

 サイダはその言葉を疑うこと無く、同じように一歩二歩とモモナリに目線を向けたまま下がる。

 若い頃から変わらない。

 それこそが、尤も楽しいと信じて疑わない、そんな弟分だった。

 

「リーグトレーナーとも戦いました。そうじゃない人とも戦いました。絶対に勝ちたい人もいれば、そうでない人もいました。負けたい人はいませんでしたが」

 

 彼は、サイダのベルトにあるモンスターボールの数を確認した。それが二つあることにわずかに鼻息を荒くし、慣れた手つきで自らのモンスターボールの順番を入れ替える。

 

「その中で、本当になんとなくなんですけど、見えてきたものがあるんです」

 

 気づけば、すでに彼らはコートの両端にたどり着いている。

 モモナリは少しだけ声を張りながら続ける。

 

「子供の頃からのパートナーでもいい、気の置けない友人でもいい、勝つのが好きでもいい、理由なんてなくても良い。とにかく、トレーナーであるならば、好きなポケモンで戦う権利があるんだ」

 

 彼は、いつの間にかボールを投げている。

 だが、それはサイダも同じく。

 お互いのポケモンが、コート中央に現れる。

 

「戦っていいんですよ! 俺達は!」

 

 カントー・ジョウトリーグトレーナー、モモナリが、勝負をしかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 レパルダスに『どくどく』を打ち込まれながらも、ガブリアスは『ドラゴンクロー』でレパルダスを地面に叩きつけた。

 これまでなんとかかわしてきたが、ついに捉えられた。

 レパルダスをボールに戻しながら、サイダは次のボールを手に取る。

 全ては自分の都合だ。

 戦うことを決めたのも、戦うことをやめたのも、もう一度戦うことを決めたのも、全ては自分の都合だ。

 もし、パートナーがわずかにでも自分を軽蔑する様子を見せるのならば、すぐさまに降参しよう。もしパートナーとの信頼関係が崩れているのならば、それに値すると信じていた。

 

「おねがい!」と、わずか四文字の言葉に、彼女は様々なものを詰め込んだ。

 

 現れたエネコロロは、真っ直ぐにガブリアスを、そして、その奥に見えるモモナリを見据え、人によってはそれすら可愛らしいと思ってしまうような雄叫びを上げた。

 だが、モモナリはその咆哮に笑みを見せ、ガブリアスは、わずかにそれにたじろいだ。

 まずい、と、モモナリはすぐさまに指示を出す。

 

「『じしん』」

「『ねこだまし』」

 

 動こうとしたガブリアスに対して。エネコロロは低い姿勢で一気に距離を詰め、それを追ったガブリアスの視界を暗くする。

 それは、考えられるうえで最速の動きであった。

 エネコロロはサイダの指示よりも先に、その思想を汲み、そしてサイダも、エネコロロの理解を阻害しない指示を出した。

 何が、ブランク。と、モモナリはガブリアスの視界の外に逃げてゆくエネコロロをしっかりと追いながら、苦笑いした。

 この動きができるリーグトレーナーがCリーグにどれだけいるだろうか。

『才能』その二文字、これ以上の文量でこれを説明してしまえば、それこそ、酷だというもの。

 

「『すなあらし』」

 

 モモナリの指示に、ガブリアスは足元を引っ掻き、両翼をはためかせて旋風を作り出す。それは足元の砂を巻き上げ『すなあらし』として成長するだろう。

 単純な読み合いだ。

『どくどく』状態のガブリアスにとって、今一番避けたいのはいたずらな時間稼ぎだ。

 そしてエネコロロは。その気になれば『ねこだまし』と『まもる』である程度の時間を稼げる。

 それならば『まもる』の隙に自分達が自由に動ける状況を作り出す。

 そのための布石が『じしん』の指示だ。勝負を焦っているように見せ、若いガブリアスがエネコロロを追うように思わせる。

 だが、すでにAリーグで戦っているガブリアスは、待つことを知っている。

 ガブリアスは出来上がり始めている『すなあらし』の中に身を隠そうとした。ようやく視界の中に捉えたエネコロロの攻撃をやり過ごすためだ。

 しかし、彼女はエネコロロの体毛が膨らみ始めていることに気づいて、その足が止まる。

 迎撃しようとした。

 だって、自分にビリビリした攻撃は効かないから。

 

「『ドラゴンクロー』」と、モモナリは苦虫を噛み潰したような表情を見せながら叫ぶ。

 

 だが、サイダのほうが速い。

 

「『かみなり』」

 

 エネコロロから放たれたその電撃は、たしかにガブリアスを捉え、そして。

 彼女は、生まれて初めて、電撃が体を貫く感覚を理解した。

 激痛だ、コレは。

 目の前が暗くなる。

 

 モモナリは、戦闘不能になったガブリアスをボールに戻した。

『すなあらし』の向こう側に消えそうになっているサイダの表情を見る。

 得意げに笑っている。

 やられた。

 ガブリアスと、自身の若さを良いように操られた。

 エネコロロの特性である『ノーマルスキン』は、彼女が放つ技全てがノーマルタイプとなる。故に『かみなり』もまた、地面タイプであるガブリアスにも効くそれとなる。

 もしエネコロロの攻撃が『ふぶき』や『ハイパーボイス』であったのならば、ガブリアスは一歩早く『すなあらし』の中に逃げ込んだだろう。これみよがしに体毛を膨らませて見せ、電気タイプの攻撃を予感させ油断を産んだ。

 これだけ見れば、ガブリアスの経験不足に見えるだろう。

 だが、この結果は、その少し前から作られている。

 モモナリはエネコロロが『ねこだまし』から『まもる』で時間を稼いでくると読み、『じしん』で焦りを偽り『すなあらし』を打った。

 だが、実際にサイダとエネコロロが行ったのは、『ねこだまし』から『かみなり』だ。

 読まれていたのだ。一連の動きを、このハイペースで。

 モモナリは、すぐさまに次のポケモンを繰り出した。

 それに感嘆している時間すらも、もったいなかった。

 

 そのバトルを眺めていた人間の殆どが、エネコロロが『すなあらし』のダメージに備えるべきだと考えただろう。

 だが、砂嵐の向こう側から現れたポケモンを、サイダとエネコロロは迷うこと無く迎撃した。

 

「『すてみタックル』!」

 

 現れたポケモン、ゴルダックに、エネコロロは自身への反動を厭わぬ全力の体当たりを決める。

 対するゴルダックもエネコロロに対して水流での攻撃を放ったが、全身を使ったエネコロロの攻撃によろめく。

 サイダらは、それを理解している。

『すなあらし』に対応しようとすればするほど、モモナリの絡め手にハマっていく。

 思考が『すなあらし』に向いた一瞬を、彼らは的確に刈り取ってくるのだから。

 

「『おんがえし』!」

 

『すなあらし』から現れ、ようやく地面を捉えようとしているゴルダックを逃がすはずがない。

 リーグトレーナーであった頃、何度も行ってきた指示を出した。

 奇しくも、速さはエネコロロのほうが上。

 全身をしならせながら、エネコロロは前足でゴルダックの顎を捉える。

 ぐらり、と、ゴルダックが揺れる。

 サイダは、勝利を確信していた。ゴルダックはタフさに強みのあるポケモンではなく、この強烈な攻撃二発は膝をつかせるのに十分。

 だが、ゴルダックは既のところで右足を地面にめり込ませるように踏ん張り、体を傾けたままに、右手をエネコロロの額に構える。

 なぜだ、と、サイダは驚き、そして、最悪の考えをよぎらせる。

 足りなかったのか、自分とエネコロロの信頼感が足りず、攻撃に迷いが出たのか。

 いや、違う、そんなはずがない。

 そんな事が、あり得るわけがない。

 エネコロロもまた、ゴルダックが倒れぬことに驚いている。

 ありえない、手応えはあった、衰えはないはずだ。

 すべてを注いだ攻撃であった、パートナーであるサイダの全てに応えるための、全力の攻撃であったはずだ。

 なぜだ、なぜこうなった。

 エネコロロらしく長い耳から、水滴が垂れる。

 彼女の、自分の体が『みずびたし』になっていることに彼女らが気づいたのは、その瞬間だった。

 

「『シンクロノイズ』」

 

 突き抜けるような衝撃。

 

『すなあらし』から現れてすぐ、ゴルダックがエネコロロに放った水流は、攻撃を意味するものではなかった。相手を『みずびたし』にすることで一時的にタイプを変える変化技。

 それによりみずタイプになったエネコロロは、たしかに全力で『おんがえし』を放ったが、僅かな変化からその威力は弱くなった。彼女らの緻密な計算が狂っていたのだ。

 エネコロロが攻撃を食らってからそれに気づいたタカスギは、決着を確信していた。

『シンクロノイズ』は同タイプのポケモンに対して大ダメージを与える。エネコロロは耐久力のあるポケモンではない。一撃で落ちるだろう。

 

 ゴルダックは、エネコロロの胆力に畏怖の念を感じていた。

『シンクロノイズ』を放つその瞬間、エネコロロは四足をぐっと踏み込み、その額を右手に近づけてきたのだ。

 それは、耐えるための踏ん張りだった。

 エネコロロは、その強烈な攻撃を感じながら、次に自分が攻撃を打ち込むべき相手を決して目から離さぬように歯を食いしばっている。

 耐える、耐える、耐える、耐える、耐える、耐える。何があっても耐える。

 証明するのだ、自分がサイダの相棒に申し分ないポケモンであると。

 知っている、全て知っている。

 彼女が自分と戦おうとしたことも、それをするには、自分が非力すぎたことも、それでも、彼女は戦おうとしたことも、それに応えようとしたことも、それでも自分は非力すぎたことも。

 彼女が、自分とパートナーで居続けるために、戦うことをやめたことも。全部知っている。

 そこまでの相棒を持ちながら、ここで諦めることが出来るはずがない。

 意識があるうちは耐え続ける。

 サイダが自分と戦いたいのだというのならば、全力でそれに応える。

 自分達は優れた『群れ』ではないかもしれないが、それでも、自分達は優れた『パートナー』なのだ。

 

 やがて『シンクロノイズ』の攻撃が終わった。

 時間にしては、それほどではなかっただろう、だがそれは、必要以上に長くも感じられた。

 エネコロロは、立っていた。

 そのまま彼女は、ふらつきながらも、一歩、二歩とゴルダックとの距離を詰めようとした。

 ゴルダックは、その様子に、半歩、右足を後ろに下げた。

 サイダは、なんの指示も出さない。

 モモナリも、同様だ。

 やがて『すなあらし』が止む。

 コートの中には、フラフラになりながらゴルダックとにらみ合うエネコロロと、指示を出さぬ二人のトレーナーがいた。

 それを観戦しているものは、一体何が起きているのか分からなかっただろう。

 一歩、また一歩と、ゴルダックは歩を下げる。

 やがて、少しばかりエネコロロが歩いた頃に。

 彼女は体勢を崩した。

 それでも数秒はなんとか姿勢を保とうとしていた、だが、やがてその気力も潰え、コートに身を任せ始める。

 その瞬間、彼女は思った。

 慎重で、冷静な『群れ』だ。

 とっておきの攻撃があったのに。

 サイダがコート中央まで走り、彼女の体を抱え上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 駅前、あまりにも簡易的なポケモンセンター。

 戦った皆が手持ちを回復させ、それぞれが併設されている自動販売機でドリンクを購入していた。モモナリが雑にポケットに入っていた小銭を全て投入していたので、誰がどのくらい払ったのかはわからない。

 炭酸ドリンクを一口飲んで、モモナリは隣に並んでいたサイダに向けて呟いた。

 

「誰が疑いますか」

 

 それが、サイダとエネコロロの絆を指していることは、その場の誰もが理解している。

 誰もが、それを疑ってはいなかった。

 結果としては、敗北だった。

 だが、だからといって、それがトレーナーとポケモンの絆を疑う要因にはならないことを、彼らは、今日知ったのだ。

 

「一つ、わからないことがあるんです」と、尊敬するエネコロロの口元にミネラルウォーターのボトルを傾けながら、タカスギは彼らに問うた。

 

「最後の場面、なぜ二人は、なんの指示も出さなかったんです」

 

 それは、少し離れたところでジュースを傾ける配信者の男達も持っていた疑問だった。

 あの試合、最後の数秒に、お互いが何もせず、ただエネコロロが距離を詰めるだけの時間があった。

 それまでスピーディに進んでいた試合展開の、不自然な決着だった。

 

「ああ」と、モモナリはそれに頷く。

 

「あそこは、少なくとも僕は動けない場面だった。ゴルダックも危険な状況だったから、距離を詰められないように後ろに下がるしか無かった」

 

 その続きを彼らが求めていることに気づき、続ける。

 

「エネコロロには『ふいうち』がある」

 

 あっ、と、配信者たちは声を上げた。

 誰もが一気に勝負を決めたいあの場面、モモナリ達は冷静にそれを警戒していた。

 

「ですよね」と、モモナリはサイダに同意を求めた。

 

 サイダはそれに頷いて応える。

 

「もしゴルダックが『アクアジェット』を打ってくるのならば、すぐにそれを決める準備があった」

「だけど、それを警戒して変化技をうつのはリスクが高い。スピード自体はエネコロロのほうが上だからね」

「それも、準備してた」

 

 ふふ、と、モモナリは嬉しげに鼻を鳴らした。

 

「もし、サイダさんがほんの僅かにでもエネコロロを疑う瞬間があれば、確実に攻撃していました」

 

 例えば、彼女が少しでもエネコロロを気遣ったり、その体から打つ『ふいうち』の威力を疑ったり、攻撃を耐えたエネコロロに感激でもしていれば、モモナリ達はすぐさまに襲いかかったし、攻撃によって勝利しただろう。

 だが、少なくともモモナリの見る限り、エネコロロが倒れるその瞬間まで、彼女らにそのようなスキは感じられなかった。

 サイダは、最後の最後まで、エネコロロを信頼していた。

 

「時間を稼ぐしか、無かった」

 

 それを思い出しながら、モモナリは感傷に浸る。

 しばらくそうしてから、彼はサイダに向かって呟く。

 

「僕には、分からないが。あなたほどの人が言うのだから、きっとこれは、つらいことだったんでしょう」

 

 サイダがそれに何も返さないことを確認してから続ける。

 

「もし、あなたが『世』に出たくないのならば」

 

 そう言って、彼はタカスギと配信者の男とを交互に見やった。

 それは、彼はうまく隠していると思っていたが、明確に『敵』を見る目線だ。

 配信者たちは、心の底から震え上がっただろう。その気になれば何でも出来る男だし、恐らく、そうすることを疑問にも思わないかもしれない。

 だが、サイダはそれを笑って否定する。

 

「良いのよ、大事なことはもうわかったから」

 

 彼女はエネコロロを一つ撫でてから続けた。

 

「私達は、パートナーだから。いつまでも、どんな場所でも」




 というわけで今章『セキエイに続く日常 191-ストリートバトルコート』は以上で終了になります。ありがとうございました。
 今回はプロット構築自体は他の作品と同じく1月位かかったんですけど、大まかなものが出来てからのスピードはかなり早かったと思います。話としてわかりやすいのもありますし、何より今回の話は自分の中のモモナリ感とかなりマッチした内容だったのが大きいと思います。
 元々、サイダというキャラクターは若年のモモナリであったり、対戦プレイヤーに対する反転という意味合いが強いキャラクターで、どちらかといえばその場限りのキャラクターだったと思います。
 ですがこの世界観を掘り下げていく上で、再びこのキャラにスポットが当たり、その話の一キャラ(一キャラとしては大きすぎるかもしれませんが)としてモモナリが登場するというのは、まさにモモナリというツールで行いたいことであったので。とても良かったです。
 話そのものもこの後に広がりを感じることが出来る内容で良かったです。この後、タカスギがホウエンリーグに挑戦してもいいですし、サイダの娘やコートで指導を受けた学生達のバトルにスポットを当てることも出来ます。その時にまた一キャラとしてモモナリが絡んでくる一場面を切り取る事ができれば、更に広がりを見せることが出来ていいと思います。
 内容としては セキエイに続く日常 88-家庭教師 に近いんじゃないかと思っています。かなり苦戦したこの話に比べて割りとすんなりと書けたのは、主軸が書きなれたバトルだからでしょう。
 今作のバトルはかなり苦労しました。どう考えてもエネコロロよりレパルダスのほうが強いです。ありがとうございました



モモナリへの質問など大変有難うございます。
全てに答えていきたいところですが世界観的に答えにくい質問などもあり答えられないこともあります。大変申し訳ありません

感想、評価、批評、お気軽にどうぞ、質問等も出来る限り答えようと思っています。
誤字脱字メッセージいつもありがとうございます。
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