モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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月刊誌スタジアム『ボス達の見解』⑨

Q 『実戦経験』は未だにリーグで必要なのか

 

 我々にとって『チャンピオンロード封鎖』は記憶に新しいが、それは既に十年以上前のこと、既にその存在を殆ど知らない若手リーグトレーナーの存在も珍しくなく、中には野生のポケモンとの対戦経験が殆どないという声も聞く。だが彼らは問題なくジムを突破し、リーグトレーナーとして活動しているものも多くいる。

『実戦経験』は長年リーグトレーナーの、否、トレーナーの実力を測る際によく使われていた概念だ、尤も、それはジムバッジのようにはっきりと可視化できる概念ではなく、あるいはそのトレーナーに足りぬ何かを補完、あるいは擁護するように使われてきたのかもしれない、我々にもそのような記憶が無いわけではないのだ。

 昨今では愛護の観点から野生のポケモンとの対戦を制限する案も出ており、今後ますます『実戦経験』の機会は少なくなってくるだろう。

 我々は今ここではっきりさせておきたい。『実戦経験』とはなんなのか、そして、それは、現代のリーグにおいて必要なものなのか。

 チャンピオンロード世代、情報化トレーナー、OB、若手、そして、自ら望んで『チャンピオンロード世代』となった異端児それぞれ、立場はあるであろうが、どうか自分に正直に回答していただきたい。

 

 

 

 

A 彼等にしか無い強さがあったことは事実。

(殿堂入りトレーナー ワタル)

 

 私はチャンピオンとしてチャンピオンロード世代、情報化トレーナー、そのどちらとも戦い、そして、そのどちらからもチャンピオンを奪われている。

 その上で言うのならば、それぞれにはそれぞれの強さがあった。チャンピオンロード世代の一度食らいついたら離さないような執念の攻撃も、情報化トレーナーのきめ細やかな座学からなる戦略もどちらも強力であったが、その二つを分けたのが『チャンピオンロード』あるいは『実践経験の有無』というものであったのだろう。

 今のトレーナーとは強さの質が違う、というのが私の『チャンピオンロード世代』に対する素直な意見だ。

 人間として癖があるのは断然『チャンピオンロード世代』ではあるが。

 

 

 

 

A 粘り強さを生んでいる

(第〇〇代カントー・ジョウトリーグチャンピオン キシ)

 

 情報化トレーナーとして答えるのならば『実戦経験』そのものは、現代バトルにおいてはあまり必要なものではないと考えている。

 確かに、かつては単純な相性や技の特性などの情報が少なく、それらを得るためには野生のポケモンとの実戦を行わなければならず、したがってその場数の数ほど情報を得ているという状況もあっただろう。

 だが、それらは既に情報として記録されており、それらを確かめるような軽い実戦のみで身につけることができる。昔に比べて実戦経験の比重が少なくて済むのは当然のことだろう。

 しかし、その上で『実戦経験』そのものを否定することは出来ない、というのが今の私の意見だ。

 強大な敵と戦い、命のやり取りに勝利する。あるいは命からがら逃げ延びて生還する。そのような経験はそのまま自らの自信となる。俗に言う『チャンピオンロード世代』の粘り強さは、そのような経験からなっている。

 

 

 

 

A リーグがどのような道を歩もうとも、その根本に存在する概念

(元リーグトレーナー ササモト)

 

 懐かしい話題ですね。我々ポケモンレンジャーの中でもリーグと『実戦経験』の関係はよく話題に上がったものです。

 私たちレンジャーは時折『実戦経験の塊』のような表現をされますが、実はそれは間違っている表現でして、そもそも私たちは野生のポケモンたちとの『実戦』を回避するために働いているので、実際のところよく言われている『実戦経験』は仕事にはあまり必要ないんです。ですがそのような技術が全く必要無いかと言えばそれも違う話で、私達の力不足によってどうしても野生のポケモン達との戦闘が発生した際にその技術を使うことがあります。極力ダメージを与えないように努力はしますが。

 話が脇道にそれてしまいましたが、何が言いたいのかというと『実戦経験』つまり野生との対面というのは、トレーナーがトレーナーであるかぎり持っておかなければならないものなんです。どれだけリーグで成績を残そうと、いざという時に愛するものを守れなければ、意味がないですよ。

 

 

 

 

A 必要がないと証明できない所が辛いところ

(カントー・ジョウトAリーガー ニシキノ)

 

 これは耳が痛い質問ですね。

 私としては『実戦経験』はリーグに不必要だとはっきりと言いたいところです。野生のポケモンと戦うのとトレーナーと戦うのでははっきりと違いがありますからね。

 そもそも私は野生のポケモンとの対戦はあんまりやりたくないんですよ、明らかに自分達より弱いポケモンをいたぶるようでダサいですからね。地元で暴れてたポケモンを鎮圧したこともありますが、あれは心苦しいばかりだ。私から言わせてもらえば、あれこそが『非実戦』です。

 個人的には『実戦経験』に必要な技能はジムリーダー達が教えてくれると考えています。彼らをいなすことができれば、大抵の野生のポケモンには負けないでしょう。それこそがジムのあるべき姿です。

『実戦経験』があまりない私がすべてのリーグトレーナーを蹴散らすことができれば、高らかに実戦経験不要説を宣言できるのですが、どうも皆さん強くて、中には『実戦経験の権化』みたいな人にも負けることがありますから、辛いところですね。

 

 

 

 

A コンテストと同じようなもの

(カントー・ジョウトAリーガー モモナリ)

 

 元々僕は『実戦経験』が大好きだったので、昔はチャンピオンロードに飛び込んだり、いろんな洞窟に忍び込んだりもしました。今の若手よりかは多少『実戦経験』があるんじゃないかなと自負しています。

 その観点から言わせてもらうと、どっちもどっちと言うか、絶対に必要とも言えなければ、全くいらないとも言えないかなといった感じですね。

 僕が思うに、トレーナー同士の対戦というものは、長い年月をかけて少しずつその根本的なものから進化していってますね。野生のポケモンが『ステルスロック』や『あまごい』で後続の戦局を整えることなんて考えられないし『ほろびのうた』を歌って逃げ回るなんてこともない。勿論それは『実戦経験』の応用問題ではあるんだけど、だからといって野生のポケモンとの対決の経験のみでリーグを生き残るのは不可能だろう。

 僕だって『実戦経験の権化』みたいな扱いを受けることがあるけど、そんな僕だって今では体のケアを行ったり、情報端末を駆使して対戦相手の研究を行うこともある。何事もバランスが大事だということだね。




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