モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。 作:rairaibou(風)
Q 死ななきゃ治らぬとは言うけれど
うちの息子は、世間の例にもれずポケモンが好きで、将来は8つのバッジを集めてリーグトレーナーになると言うのが口癖です。
トレーナーズスクールに通わせているのですが、気づけば自力でジグザグマを捕獲し、模擬戦では敵なしで、才能があると講師の方に言われたそうです。
それはめでたい事なのですが、最近息子がそれに気をよくするあまり自信過剰になっている気がしてそれが気がかりです。
トレーナーズスクールの勉強だけでは物足りなくなったのか、ジム巡りの練習だと街の外に出ていっては泥だらけになったり大きな擦り傷を作ってきます。スクールを欠席はしていませんし言いつけ通り夕飯までには帰ってきているので、まあ、いいのですが、この間など野生のヒメグマに不用意にちょっかいをかけた挙句怒ったリングマに追いかけられて、たまたま通りかかったトレーナーの方に助けてもらったそうです。
激しく叱りましたし反省はしたようですが、旅立つという予定の日までもう一年ほどしかないのにどうにも危なっかしいというか、大自然の怖さというものを軽く見ている気がします。こんな調子で旅に出たら取り返しのつかないことになるのではないかと不安でなりません。
そこで旅の厳しさや野生ポケモンの恐ろしさを体で理解しているチャンピオンロード世代のモモナリ様にご相談なのですが、自然の恐ろしさの片鱗だけでも息子が学べる場やそれを教えてくださる専門家の方などにお心当たりはないでしょうか。
(30代男性 自営業)
A どちらの気持ちもわかるだけに……
僕が『最後のチャンピオンロード世代』と呼ばれているのは、僕がバッジをコンプリートしたとき既に封鎖されていたチャンピオンロードに突っ込んでいったからだ。というわけで、僕の同期に『チャンピオンロード世代』はいない。
チャンピオンロードが封鎖された理由はいくつかあるんだけど、その最も大きなものは「あぶないから」というものに尽きる。
『チャンピオンロード世代』の中にはこの判断を軟弱だと批判したり、封鎖以降のリーグトレーナーを『軟派世代』と揶揄して呼んだりもした。まあ、彼等はすぐにその『軟派世代』に駆逐されたんだけどね。それでも恥の上塗りをするのが好きな『チャンピオンロード世代』は「俺達の生き様はお行儀の良い競技バトルとは違う」と息巻いていたけど、別に彼等お行儀の良くないバトルもそんなに強くなかったからね。
とまあ、過大評価されがちな『チャンピオンロード世代』への客観的な評価を下したところで『最後のチャンピオンロード世代』として、質問者の悩みに答えようと思う。
正直なところ、お子さんの気持ちもわかるし、お父さんの気持ちも、まあ分かるといったところだ。僕は父親としての経験がないのであくまでも想像するだけに過ぎないけれど。
そこでお子さんの気持ちからアプローチをすると、模擬戦では敵なし、才能もある。そういう子の自信をへし折るのってすごく難しいんだよね。おそらくお父さんが思うような「自然の恐ろしさの片鱗」を見せたところで、それに目を輝かせるに決まってるんだよ、あの頃の僕がそうだったんだから。
僕の観点からアドバイスをするとすれば、いっそのことお子さんが通っているトレーナーズスクールのレベルを一つか二つ上げてみればどうだろうか。お子さんは周りのトレーナーと戦うよりも、自然のポケモンを相手にしたほうがスリルと爽快感を味わえるような段階であるのだろうと思う、要は周りのトレーナーとの対戦を少し退屈に思っているのだろう。
心を鬼にして、お子さんをレベルが一つか二つ上のトレーナーに託し、そしてボロボロにされるなり、いい勝負をするなりしよう、野生のヒメグマをいじめるよりもよっぽど魅力的な世界があるのだと気づくはずだ、あの頃の僕のように。
あるいは折れてしまうかもしれないが、まあ、その時はその時で、お父さんの目的は果たせているだろう。
あるいはその子をボロボロにするのが僕の役割であることを願っているよ。
(リーグトレーナー モモナリ・マナブ)
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