オーバーロード ~たっち・みーさんがインしたようです~ 作:龍龍龍
その時、玉座の間には、ナザリック地下大墳墓に存在するほぼすべてのNPCが集まっていた。それだけではなく、各階層守護者が厳選した高位のシモベたちも集まっている。彼らは玉座から扉まで続く赤い絨毯の左右に分かれるように控えていた。
全員が呼吸音ひとつ立てず静まり返って待つ様子は、彼らの前に存在する玉座に座るモモンガをして、異様な迫力を感じさせ、その揺るぎなき忠誠を実感させた。
その壮観な光景に満足しながら、モモンガが口を開く。
「まずは、
あくまで謝罪は建前だが、モモンガが謝罪したという事実は大事なものだ。部下を信用していないわけではないのだということを伝えるために。
「何があったかはアルベドから聞くように。以上だ。……今回、こうして皆を集めたのはこれが主な目的ではない。この場の者、そしてナザリック地下大墳墓に存在するすべての者に伝えるべきことがある。この場にいない者には、関わりの深い者があとで必ず伝えるように」
そう前置きをしてから、モモンガは非常に嬉しそうな、隠しきれない喜悦を滲ませた声音で言った。
「たっち・みーさんがナザリックに帰還した」
その瞬間、ざわめきが部下たちの間に生じるよりも速く、硬く閉ざされていたはずの玉座の間の扉が開く。
扉が大きな音を立てて開き、その開いた扉を悠然と潜って、たっち・みーが玉座の間に入ってきた。
その身に纏うは、純白の鎧。それに合わせたような真っ白な盾と剣。深紅のマントが歩くたびに揺らめき、その超然たる威光をさらに広げる役目を果たしているかのようだった。
たっち・みーの神々しい姿のあとを追うように、セバスとデミウルゴスが付き従って歩いていた。控えていたシモベたちの中には、そのある意味異様な光景に息を呑む。
セバスとデミウルゴスがその趣味嗜好や価値観の違いから度々衝突しており、お互いのことを反りの合わない同僚であると感じているということは、ナザリックに属する者であれば常識的に知っていることだ。
しかし、いまの二人は並んで歩いているにも関わらず、その表情には誇りと喜びが透けて見える。たっち・みーという存在がその奇跡ともいえる光景を実現させているのは誰の目にも明らかだった。
その場にいるすべての者が見つめる中、たっち・みーは玉座に続く階段に差し掛かった。
そして、守護者統括のアルベドであろうとも、許可なしには上がれないその階段に、実に自然と足をかけた。一段、二段とあがっていく。背後につき従っていたセバスとデミウルゴスは、階段下で左右に分かれ、部下たちの列に加わる。
玉座に座るモモンガの前に、たっち・みーは立ち、そして、軽く頭を下げた。そして、モモンガにしか聞こえない小さな声で、改めて挨拶をする。
「ただいま。モモンガさん」
その挨拶をモモンガもまた小声で、しかし嬉しそうに受け入れた。
「おかえりなさい。たっちさん」
二人はかすかに頷き合い、そして、たっち・みーがマントを翻しながら振り返る。剣を腰から外し、体の正面で杖のようにして床を突く。鋭い金属音が空気を切り裂き、かすかにざわめきが生じていたすべての部下の気を引き締めさせる。両手を剣の柄の先に置いたそのたっち・みーの立ち姿は、まさに聖画に描かれる格式ある騎士のようであった。
そして、静まり返っているとはいえ、広い玉座の間の隅々まで響き渡る声をあげる。
「ナザリック地下大墳墓の者達よ! 私は帰ってきた!」
その瞬間、玉座の間に熱狂的な空気だけが爆発的に広がる。すでにたっち・みーの帰還を知っていた者達でさえ、その心に熱い衝動が湧き上がってくるのを感じていた。改めて宣言されると感じる物があったのだ。
それでも静寂を保っているところは、さすがは忠誠心に溢れる者たちばかりが集められているだけのことはあった。
そんな様子を見て、たっち・みーは先ほどの凛とした声とは別人のような優しい声でその場にいる全員に声をかける。
「最初に、長くナザリックを空けてしまったことを詫びよう。皆には苦労をかけた。ナザリックを、モモンガさんを守り続けてくれて感謝する。さすがは我らアインズ・ウール・ゴウンが、私の仲間たちが誇る配下たちだ」
至高の御方からの直々の謝罪と感謝と称賛の言葉。
それを受け、感極まった者の中には涙ぐむ者さえいた。
「さて、たっちさんがこれまで何をしていたか……気になる者もいるであろう」
そうモモンガが口にした時、声に出したものはいなかったが、かすかに身じろぎをする音が聞こえた。誰が動いた、というわけではない。隠しきれなかった者たちの音が重なって、本来はただの衣擦れ程度の音が、大きなざわめきのように生じたのだ。
ナザリックを創りし存在。至高の41人。自分たちの造物主。
現在、その大半がナザリックを離れてしまっている。そんな彼らの内の一人だったたっち・みーが、ナザリックを離れて何をしていたかという答えが与えられれば、それは他の至高の存在が何をしているのかという答えにも繋がり得る。
たっち・みーが帰還していたことを知っていた各階層守護者たちもこの話は初めて耳にする。誰もが聞きたかったが、不用意に訊けば至高の御方の機嫌を損ねかねなかったから聞けなかった。彼らの方から教えてくれるまで、訊かずに待つことが暗黙の了解となっていた。
それが、ついに明らかにされる。
これから話されることを一言たりとも聞き漏らさないよう、一層の静寂が玉座の間に満ちた。
モモンガはそんな部下たちの心情を知ってか知らずか、実に気楽な様子でたっち・みーを促す。
「たっちさん、彼らに教えてあげて欲しい。いままで何をしていたのかを」
たっち・みーは肩越しに振り返って、モモンガに頷いて見せ、玉座の間に集まった者たちを見渡した。
「私が、いや、他の朋友たちも同じだ。我らがナザリックを離れた理由。それは――」
静かな声が響く。
「――とある世界に戦いに赴いていたからだ」
はっきりとしたざわめきがその場に広がった。それを気にせず、たっち・みーは続ける。
「なんと表現するべきかな……そうだな。便宜的に"至高なる世界"とでも称しようか。その世界で、我ら41人は、困難な戦いに挑まなければならなかった。我らをして、必勝が確信できぬ戦いだ」
そのたっち・みーの話に反応して、声をあげようとした者がいた。一人ではなく、数人の者が同時に声をあげようとしていた。
しかし、その前にたっち・みーは片手を挙げてそれを制する。
「言われずともわかっている。それほど困難な戦いに挑むのなら、なぜ自分たちを共に連れていかなかったのか、だろう?」
図星だった。たとえ戦闘で役に立たなかったとしても、盾になることはできる。囮になることはできる。何が何でも至高の御方々のお役に立ってみせるのに、という想いは、声をあげようとしなかった者達にも共通する想いだ。
そんな彼らに向かって、たっち・みーは悲しそうに言う。
「残念だが、"至高なる世界"には我々しか行けないのだ。お前たちは向こうの世界で存在することができない。ゆえに、連れていけなかった。許せ」
それが本当だと理解した配下たちは、何も言えなくなった。たっち・みーはさらに続ける。
「それでも、どれほど困難な戦いが待ち受けているとしても、ナザリックに戻って来れるかわからなくとも、我らはそこに戦いにいかなければならなかった。そうしなければ、我ら自身の存在が消えてしまっていたからだ」
玉座の間に集まったすべての者たちがざわめく。至高の御方々の存在を脅かすものに対する怒り、憎しみ、すべての者たちが同一にそれを抱き、"至高の世界"なる世界に存在するであろう「敵」を認識したからだ。自分たちの力が及ばない、遙か高位の次元でのことであることは理解していても、その「敵」を憎まずにはいられない。
そこでたっち・みーは背後をかすかに振り向き、玉座に座るモモンガを見る。
「モモンガさんは、そんな私たちのために、いつ戻ってきてもいいように、一人残ってこのナザリックを維持する役目を買って出てくれた。そのおかげで、私はこうしてここに戻ってくることが出来たんだ」
モモンガがいたからこそ、たっち・みーが戻ってこれた。
それが至高の存在の口から語られたことによって、モモンガに対する尊敬の念が一層強くなる。
「以上が私が……我々がナザリックを離れなければならなかった理由だ」
決して自分たちが見捨てられたわけではなかったのだと、すべての者たちが理解した。そう感じていた者達の中には恥じ入るあまり俯いてしまう者もいた。
そこに、モモンガからの声がかかる。
「たっちさんが、我が朋友たちがナザリックを離れざるを得なかった理由はよくわかったことであろう。その上で聞く。ナザリックに帰還したたっち・みーさんの復帰を、引いては、今後帰還するであろう朋友たちの復帰を、認められぬ者はいるか? いるのであれば立ってその意思を示せ。理由を聞こう」
当然、そんな意思を示すものなどいるはずもない。
たっち・みーは深く頷いて、その場にいるすべての者に感謝を示す。
「ありがとう。ナザリックの者たち。私はいま再びアインズ・ウール・ゴウンのために剣を振るう。今後の活動には、皆の力を借りることになるだろう。よろしく頼む」
「我らのために、さらなる忠義に励め!」
モモンガが発した言葉に、アルベドが呼応する。
「承知いたしました。モモンガ様、たっち・みー様。いと尊き方々の御身のために、我ら、ナザリック地下大墳墓すべての者より、絶対の忠誠を誓います! アインズ・ウール・ゴウン万歳!」
「アインズ・ウール・ゴウン万歳!」
階層守護者たちが、領域守護者たちが、NPCたちが、シモベたちが。
すべてが呼応し、万歳の連呼が玉座の間に広がる。
そんな完璧な配下の姿を、たっち・みーは眩しいものを見るような目で眺めていた。玉座の間に広がる光景全てが、彼には輝いて見えていた。
(これが……アインズ・ウール・ゴウン。これが、私たちの作り上げた宝か)
その誇らしさに心が震える。仲間たちが作り上げた至宝の数々が、生命を持って動いている。改めてそのことを実感し、絶対に守らなければならないという決意が固まるのをたっち・みーは感じた。モモンガがずっとそうしてくれていたように、何が何でもアインズ・ウール・ゴウンを守ることを心に決める。
いったいどれほど長い時間、万歳の連呼は続いたであろうか。
「さて――」
ようやく配下たちが落ち着いてきたのを見計らって、モモンガが話を切り替えた。
「――これより、お前たちの指針となる方針を厳命するが……その前に」
モモンガはたっち・みーに視線を送る。それを受け、たっち・みーが後を引き継いだ。
「方針に関わることなので、先に説明しておく。すでに各階層守護者から伝えられていることと思うが、現在ナザリック地下大墳墓は原因不明の異常事態に巻き込まれている。どうやらナザリックはユグドラシルとはまったく別の世界に転移してしまっているようだ」
この場にいる者にはきちんと通達が済んでいるのか、これに対して騒ぐものはいなかった。
「この世界独自の魔法や技術などの体系が存在することは確認が取れている。いまのところ私達を脅かすような強者の存在は認識できていないが……油断は禁物だ。この近辺にたまたま強者がいなかったというだけの可能性はある」
「この未曽有の事異常事態に対応するためには、指揮体系を整理し、不要な混乱を招かないようにしなければならない。よって……」
モモンガが普段通りの威厳のある声だが、注意深く聴けば明らかに気乗りしない様子であることが明らかな声音で続ける。
「41人の総括を務めていた私がその責任の元、最高司令官として、最上位の命令権を持つこととする」
「今後、モモンガさんの命令はナザリック内で絶対のものとして扱うこと。つまり、私の命令よりも、モモンガさんの命令が優先されるということだ。このことを肝に銘じておくように」
「ただし、これはあくまでもお前たちに対する指揮系統を明確化しただけだ。私とたっちさんとの間に上下関係や序列が生じたわけではない。あくまでも私とたっちさんは対等な友人の関係だ。それをまかり間違っても主従のように認識することは絶対に許さん。それも合わせて肝に銘じておけ」
モモンガは〈絶望のオーラ〉を放ってまで念を押す。そこまで念を押されて理解しない愚者はこの場に集まった者の中にはいなかった。
これがたっち・みーがモモンガに提案し、双方が納得する形に落とし込むまでに5時間もの話し合いが必要だったことだった。
元々はたっち・みーが騎士としてモモンガに忠誠を誓う、というシンプルかつわかりやすい形だったのだが、いくらたっち・みーが配下に対する対外的な、形だけのものだと言っても、モモンガが絶対に嫌だと譲らなかったのだ。
たっち・みーとしては形だけのことなのだから、そこまで気にすることではないと思っていたが、形式的とはいえ騎士として仕えるのであれば、配下の目があるときはそのように振る舞わなければならない。そしてその目がない時など、互いの自室を訪れている時のような、極々短時間のことになるだろう。
逆にたっち・みーを頂点に据える案も出たが、上手く事情を説明したとしてもナザリックを長く空けていた自分がその地位につくことはできないと、たっち・みー側が拒否した。
そんなこんなで二転三転して議論が紛糾した結果、「ナザリックの者たちに対する最上位の命令権はモモンガが持ち、二人の関係はあくまでも対等である」という結論に落ち着いたのである。
たっち・みーはあくまでも自分を友人扱いしてくれるモモンガに感謝しつつも、配下が不審や不安を感じないように、次なる通達に移る。
「この事態に対応するために指揮系統を明確化したわけだが……ナザリックは強大かつ巨大な組織だ。我らだけでは隅々まで目が行き届くか、いささか不安があるのも事実。ゆえに、作戦参謀という地位を新設し、そこにアルベドとデミウルゴスの両名を据えることとする」
その瞬間、羨望の眼差しが二人に向けられる。
「二人には今後、今後の作戦行動に関する私とモモンガさんの話し合いに参加してもらう。最終決定権はモモンガさんが持つが、その場において二人は
「「はっ! ご尊命、承りました!」」
二人の揃った返事を聞き、たっち・みーは満足げに頷いた。
たっち・みーが危惧していた、デミウルゴスとの不和を避けるための手段が、作戦参謀という地位に彼をつけ、自分と同じ発言権を持たせることだった。
たとえばたっち・みーが至高の存在であることを理由に命令するのは簡単だ。
今後、もしそういった場面、指向性の違いから衝突が生じる場面に直面した時、たっち・みーが上位者として彼を押さえつけるのは簡単なことだ。デミウルゴスは特別忠義に厚いため、文句のひとつも言わずに従うだろう。
だが、それが何度も何度も続けば、いくらデミウルゴスでもいつか不満が爆発しかねない。そして得てしてそうなってしまったときにはすでに修復も利かず、手遅れな状況になってしまうものだ。なまじ彼がその不満を抱え込みそうなタイプであるため、そうなる前に気づけるかは微妙なラインだった。
そこでたっち・みーは、最初からデミウルゴスに我慢をさせないことにした。たっち・みーとウルベルトがそうしていたように、意見が違うならそれを戦わせればいいのだ。ウルベルトとはあれだけ諍いを起こして何度もPVP紛いの喧嘩もしたが、結局最後は一緒に活動できていたのだから。
あくまでも最終判断、最高位の決定権はモモンガが握ることで、至高の存在としての立場も守りつつ、同時にその場で意見を戦わせることで、モモンガがそれを参考に策を練れるようにする。
モモンガが絶対支配者であるという、彼らの印象を崩さないようにしながら、同時にデミウルゴスに翻意を抱かせないようにし、なおかつ、自身の正義感からの暴走でナザリックが不利益を被らないようにする。
幾重にもメリットが重なった、たっち・みー会心の策だった。
そして、最後の通達をするために、モモンガが立ち上がる。
たっち・みーはその邪魔をしないように、玉座の横へと移動した。
「前置きが長くなったが――最後に、これからのナザリックの行動の、大前提の指針となる方針を厳命する」
モモンガが数歩前に出て、その両手を広げる。それはまるで、すべてを受け入れる聖母のような、すべてを呑み込む邪神のような、世界を抱こうとしているかのような、絶対的超越者の仕草だった。
「アインズ・ウール・ゴウンを、不変の伝説とせよ」
モモンガの覇気に満ちた声が、玉座の間に広がる。
「地上に、天空に、海に、この世界のすべて、知性のある者すべてが知るように、知らない者が誰一人としていないほどの領域にまで。アインズ・ウール・ゴウンの名を伝説とするのだ! そして――」
その背後にいたたっち・みーが、モモンガの隣に並ぶ。
そして、モモンガに負けず劣らずの覇気に満ちた声で宣言を引き継いだ。
「我らアインズ・ウール・ゴウンは、この世界のすべてを手に入れる」
それは大きな声ではなかった。しかし、そこに籠った本気の熱は、その場にいた全員が感じることができた。
「これは最重要課題であると知れ。私たちはかつて“至高なる世界”に繋がり、自由に行き来することができた。しかし、この世界にナザリックが転移したことにより、それが機能しなくなっている」
それが何を意味するか、その言葉だけで理解できた者は悲痛なうめき声をあげた。理解できていない者のために、たっち・みーは説明を加える。
「現在ナザリックを離れ、“至高なる世界”に赴いている仲間たち……彼らが向こうでの戦いに打ち勝ち、帰れる状態になっても、断絶しているゆえにナザリックに帰還できなくなっているんだ」
たっち・みーという帰還の前例が生じたことによって、他の至高の存在の帰還も期待していた者たちの表情が絶望に染まる。
だが、その絶望を打ち払うかのように、強い言葉がその場にいた全員の心を震わせた。
「この世界のすべてを手に入れれば、“至高なる世界”と再び繋がる方法がわかるかもしれない! あるいは、この世界のどこかで迷っている仲間がいれば、それを見つけ出すことができるだろう!」
希望を感じさせるたっち・みーの言葉。絶望に染まった表情が、再び塗り替わる。
モモンガがスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを床に突き立てる。
「この世界は貴重な情報源であり、至高の仲間たちをナザリックに呼び戻すために必要な供物だ。我々の許可なしにそれを浪費することは絶対に許さぬ。我らにとっては脆弱で愚かな人間であってもだ。一見、それが何の価値もないように見えても、それが“至高なる世界”への道を開くための鍵でないという保証はどこにもない」
この世界には生まれながらの異能という特殊技術がある。それは生まれや環境に関係なく、だれもが持っている可能性があるものだと情報を得ている。
ゆえに、そのあたりにいる何の変哲もない村人が『世界を繋げる』という生まれながらの異能を持っている可能性もある。発現していないから本人も自分がその才能を持っているとわかっていないだけかもしれないのだ。
だからこそ、モモンガは無為な
モモンガが言葉にした理由も嘘ではないため、配下の者たちは誰もそれを疑わない。至高の存在をナザリックに呼び戻すため、世界を丸ごと手に入れる決意を固めていた。
「ナザリック地下大墳墓の最終的な目的は――我が仲間、アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーのすべてが欠けることなく、ナザリックに帰還することだと知れ」
たっち・みーは剣を鞘から引き抜き、天に向けてそれを突き出した。
輝ける刃が光を反射し、神々しいまでの輝きを放つ。
「それを邪魔する障害は私がすべて斬り払おう! アインズ・ウール・ゴウンと共に、お前たちと共に、私は必ずやこの世界を征服しよう!」
たっち・みーはそう宣言する。その剣の輝きは確かな力と、希望の光となって、その場に集ったすべての配下の心を照らす。
それに呼応し、爆発的な熱狂が玉座の間に吹き荒れた。
こうして、孤独だった
第一部 完
これにて第一部(原作書籍版一巻までの内容)は終了です。
ここまでお付き合いくださり、本当に、本当にありがとうございました。
今後の予定や行動は随時活動報告などでお知らせいたします。
一応第二部(原作書籍二巻以降)の構想はありますが……ひとまずは第一部で生じた設定破綻や矛盾などの改訂作業を粛々と行う予定です。
色々ご意見・ご感想などいただけると嬉しいです。
それではまた次の機会に。