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寮にて
「ラーニャ!」
寮に帰ると、姉さまが私を見つけて駆け寄ってくれた。
「おめでとう、スリザリンへようこそ! 私のかわいい妹!」
「姉さま、恥ずかしいですわ……」
「ん、すまんすまん。ははは、列車の中では監督生の席に居なければならなかったが、無事にこれたんだな。立派だ」
くしゃくしゃと、私の髪をなでる。
姉さま、ライラ・ギルティクは、スリザリンの監督生で、今年六年生になる。
私がお母様と瓜二つなのに対して、姉さまはややお父様似だ。
ただ、緑の目、黒い髪、長い睫は変わらない。
髪をポニーテールにして、凛とした姉さまが、私はずっと好きだった。
姉さまの出来が良すぎるから対比されることもあったが、でも、それでも憎めないくらいに姉さまはいい人だ。
「ギルティク、何をしている?」
「おや、スネイプ先生」
後ろから声がして、振り返るとスネイプ先生がいた。
「もう消灯時間だぞ。部屋に帰れ」
「本当ですね、気が付きませんでした。ありがとうございます」
「―――ん。それは妹か?」
「あ、はい。ラーニャです」
ぺこりと頭を下げて、スネイプ先生を見る。
「……ふむ、若いころの母親そっくりだな」
「まさか。よく見てください、ラーニャはもっと可愛いでしょう」
「ちょっ、姉さま……!」
スネイプ先生は、ふん、と鼻で笑っていた。
顔が真っ赤になっていくのを感じる。
恥ずかしさのせいで弁解の言葉が出なかった。
「さ、戻れ」
「はい。良い夢を、スネイプ先生」
「おやすみなさい……」
恨めしそうに姉さまを見ると、ウインクをされた。
一日に三回もウインクされたなんて、初めてだよ……。
少しだけスネイプ先生がでましたが、オリキャラがたくさん出る予定です。