もしキリトさんが茅場晶彦によってSAOのレベルのまま迷宮都市オラリオに送られたら。   作:機巧

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やっぱり、更新て難しいですね。さて、いきなりキリトさんが人を助けます。
誰を助けるのでしょうか?


プロローグ2

剣戟。

鉄と鉄が斬り合う音があちこちで鳴り響く。

 

ここは、迷宮《ダンジョン》、50階層。

魑魅が跋扈する、地下の底。

 

「おわったー!」

 

アイズが最後のモンスターを斬り伏せ、彼女たち以外に動くものはなくなった。モンスターが倒れるのを見届けティオナが沸く中、魔法を解除したアイズは握っている片手剣を見下ろす。

剣はボロボロだった。彼女の剣技に耐えられなかったのだ。正確には、魔法なのだが。

剣姫アイズ・ヴァレンシュタイン。オラリオ最強の一角、ロキ・ファミリアのレベル5の1人だった。迷宮都市(オラリオ)の中でもわずかに満たない『第1級冒険者』である。

 

そんな、彼女でも今までの戦闘は大変だった。

全身が痛みを訴えてくるが、いつものように知らんぷりをする。

 

「てこずらせやがって……キャンプに残ってたあいつら、無事なんだろうな」

 

「あれ、ベート、リヴェリア達を心配してるの?珍しいー!」

 

「うるせぇっ、あいつ等が荷物を守ってねえと深層から帰れねえだろうが! 勘違いしてんじゃねえ!」

 

恒例のようにティオナとベートが言い争いを始める中、弛緩した空気が流出していた。

この2人も、アイズと同じロキ・ファミリア所属のレベル5の冒険者だ。

その周りにも、仲間が緊張感が溶けたようにおのおのの行動をし始めていた。

 

その瞬間。

 

「ーー!」

 

声が届いた。

気をいっぺんにへし折る、遠方から響いてきた破砕音が。

それぞれ、表情が和らぎかけていたところを臨戦態勢を纏い直す。

しばし、沈黙。その沈黙は、とても不自然で不安と緊張が掻き立てられる。

 

どれだけ待ったか。

たいした時間はもしかすると、かかっていなかったのかもしれない。

油断なく音源の方向を見届けていたアイズ達の視界に、そいつは出現した。

 

「……あれも下の階層から来たって言うの?」

 

「迷路を壊しながら進めば……なんとか?」

 

「バカ言わないでよ……」

 

半ば惚けたような姉妹の会話が、静まり返った場に通る。

 

およそ6mの怪物。

そいつの上半身は滑らかな線で、人の状態を彷彿させる。

これだけならば、巨人かもしれない。ということで、怪物とは言わなかったかもしれない。

 

しかし、下半身が違った。

そいつの関心は、芋虫のような外見をしていた。

彼女たちが今まで戦っていた芋虫方のモンスターの形状を引き継いだものであった。しかし先ほど集っていたモンスターの大型個体よりも、さらに一回り大きかったが。

 

黄緑色の体躯にエイのような厚みのない腕がついている。しかも2対4枚。頭の上からは管のようなものが何本も垂れている。

人間だとすれば、顔があるところには、口も目も鼻もない。しかしどこか線の細さから、女性的なものを連想させる。しかし妊婦のような出っ張った黒い腹がその全てを醜悪に見せていた。

 

「あんな、でかいの倒したら……」

 

今までの戦闘では、妹子方のモンスターは、方を爆発させて、死に際に内包する腐食液を飛び散らせていた。

そう。このままでは。

 

 

あたり一帯にいるすべてのものが、撃破したとしても巻き添えを食う。

 

 

古参であるガレスが、魔石を狙うのも難しい。といい、それにベートが苦々しい言葉を付け加える。

おもむろに、そいつは動いた。

 

腕をまるで愛する者を、胸の中へ誘うように、ふわっと広げた。すると鱗粉のような粉が、あたり一面に飛び散る。

まう光。だんだん自分たちのほうに近づいてくる粉。

瞬間、第1級冒険者たちは、直感のまま、退避する。

爆発。

1粒1粒が凶悪な爆弾だ。

 

「総員、撤退だ」

 

すぐに体制を整えファミリアの団長、フィンが告げる。

そしてーー。

戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

少しの油断だった。その少しの油断が、小さい粉を見逃していた。最初の時。飛んでいた粉はーー全部爆発していなかった。

その粉は戦闘中、急いで、テントを片付けていた者の上に降り注いだ。

 

「よし、みんな、片付け終わったな。すぐに49階層につながる通路の方にいくんだ」

 

戦闘をアイズだけに任せていた。

それはその安心感のせいかもしれない。

 

誰が悪いだけでもない。

 

誰が悪いわけでもない。

 

アイズはしっかりと風で吹き飛ばしていた。

他のみんなも、アイズから目を離さないようにしていた。

だから、最初に気付いたのは、それに囲まれた者でーー。

 

その時にはもう手遅れだった。

 

この距離では、第一級冒険者の防御も足も、そして風も届かない。

責任があった。だから最後のテントも、片付けていた。

気づいて必死になって逃げようとした。

それでも届かない。その逃げたことで生み出された猶予は意味がない者になるはずだった。

 

しかし。

 

黒い風が吹いた。

その風は、ファミリア団長のフィン達でさえーーオラリオでも一握りのレベル6でさえーー風にしか見えなかった。

その影は、風は、粉との間に割り込み、

 

 

 

 

 

「《スピニング・シールド》‼︎」

 

 

 

 

そう言葉に出し。

剣を凄まじい速度で(・・・・・・・・・)回し始めた(・・・・・)

その黒い剣で。いやもはや盾だ。

 

その粉を弾き飛ばし、爆風すら、防いだ。

そしてそれが何気ない事でもあるかのように、その黒衣の剣士は助けた者の方に振り向き。

 

「大丈夫か?」

 

といったのであった。

 

「あ……ありがとうっす。……あなたのお名前は何すか?」

 

ラウルがそう問うと、黒いロングコート、そして黒い剣。すべて黒でまとめたその片手剣士は。

 

「俺か? 俺の名前はキリト。通りすがりの剣士だよ」

 

そう答えたのだった。




はーーい。
ラウルでした。ラウルでした。アイズとかレフィーヤじゃなく、この人と言うのもまたいいかなと思いまして。キャラがいいですよね。でもヒロインにはなりません(笑)。
そこのテンは安心してください笑

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