気づいたら知らない学園にいました   作:椎名

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初めに言っておきます、ごめんなさい……。


7話 怒り

「という事で、岡野くんは陽動部隊の雑用をして貰う事になったわ」

 

「何が『という事で』なのか詳しく」

 

次の日が経ち、昨日知り合った高松が俺の部屋に来て、ゆりが呼んでいるとわざわざ伝えてくれた。よく俺の部屋の場所わかったな……。

そんで、高松と一緒に校長室に来たら今の状況に至る訳だ。

 

「細かい事は気にしない! 前に岡野くんは戦いたくないって言ってたでしょ?」

 

「まあ……ね…」

 

そりゃあできるなら戦いたくない。相手が女なら尚更だ。男とも戦いたくないけどさ…。

 

「だから、戦う必要のない陽動部隊の雑用になった訳」

 

「雑用って、何をするんだ?」

 

「色々よ色々。ライブの用意をしたり、機材を運んだり、宣伝ポスターを貼ったりとかよ」

 

他にもやる事あるけどね、と付け足す。とりあえずガルデモ関連の雑用って事か。

あまり大変じゃなきゃいいんだけど、そうはいかないんだろうなぁ~…。

 

「陽動部隊かぁ~…」

 

「今は戦力が欲しいとこ何だけどなぁ…。最近キツくなって来やがってるし」

 

藤巻は溜め息をついており、日向は頭を掻きながら戦力が足りないとボヤく。

 

「そんなに戦力が足りてないの?」

 

「えぇ。少し前に、戦闘員のメンバーの何人かが消えてしまったのです。その内の数人は戦闘力が高いメンバー達だったので戦力はかなり低下しています」

 

高松は知的な感じに眼鏡をクイッと上げ、俺の問いを説明口調で答えてくれる。

 

「PowerDown!」

 

「その人達、やっぱり天使に消されたのかな…」

 

「うむ…、その可能性が高いのだろうな」

 

「ふんッ! たかが数人減っていようが、俺がいれば何の問題もなかろう!」

 

「あさはかなり…」

 

大体わかるかもしれないが、上から順にTK、大山、松下五段、野田、椎名さんだ。

 

「確かに今、あたし達は戦力が欲しいところだけれど、だからといって戦いたくないと言う人を無理やり戦わせたりはしないから安心しなさい」

 

「う、うん…」

 

とりあえず、戦わないだけラッキーだな。よかったぁ……

 

「その代わりにボロ雑巾になるぐらいにこき使うから覚悟しなさいね…」

 

…と思った矢先、ゆりは悪魔のような笑みを浮かべた。日向がこちらに近づいて、俺の肩をポンと叩き

 

「まあ、死なない事を祈るわ…」

 

そう小さく俺に声をかけた。

………過労死するのかな、俺。いや、ここは死後の世界だから一応死なないか……。

ゆりが何かを取り出す。携帯か? いや、携帯にしてはデカすぎるな。そもそも死後の世界に携帯なんてある訳ないか。

 

「じゃあ遊佐さん、彼をガルデモのみんなのところに連れて行ってくれない?」

 

『了解しました』

 

ブツッと切れる。小さかったが、間違えてなければさっきの声は遊佐さんの声だ。

 

「無線を使って遊佐さんを呼んだわ。少し時間が経てばくるはずよ」

 

「さっきのは無線機だったんだ。学園の外に出れないのにいろんなのあるんだな~。無線機といい、銃といい」

 

「それらの物はギルドで作った物なのだ」

 

「ギルド?」

 

聞きなれない単語を聞き、松下五段にギルドは何なのかを聞くと、ギルドは武器などが作る場所だそうだ。

ギルドなんて何処にあるんだと聞くと学園の地下にあると言う。もう何でもアリだな。

丁度ギルドの説明を聞き終えると、コンコンとドアからノックの音がする。遊佐さんかな?

 

「入っていいわよ」

 

――ガチャ

 

「失礼します」

 

ドアを開け、現れたのはやはり遊佐さんだった。

 

「来たわね。岡野くん、早速ガルデモのみんなのとこにいってあいさつして来なさい」

 

「え? もうあいさつしに行くの?」

 

「雑用やると決まったんだからすぐにでも行った方がいいでしょ?他の陽動メンバーはあたしから言っておくわ。じゃあ遊佐さん、後はよろしくね」

 

「わかりました。…では、行きましょうか」

 

「あ、うん」

 

校長室から出る前にみんなにまたなと言い、俺は遊佐さんと共にガルデモの皆がいるという場所へ向かう事となった。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「……あ~、そういえば岩沢さん達って何処で練習してるの?」

 

このまま無言で廊下を歩いてガルデモメンバー達がいる場所まで移動するのは何かとキツそうなので、俺は遊佐さんに話を振ってみる。

 

「空き教室で練習してますよ」

 

「空き教室? ……あ~あ~あ~~!! そういえばひさ子さんが一昨日の食堂でそれらしい事言ってたな! 思い出した思い出した!」

 

あの時はもう少しで何かが閃きそうだとか言ってまだ空き教室に残ってる的な事を言ってたもんな。昨日は椎名さんに殺されてはトラップに掛かって死んだりとかがあったから忘れてた………ん? 何か音が聞こえるな。しかも聴いた事がある気がする……。

 

「……そろそろ着きますね」

 

「え? じゃあこの音って」

 

「ガルデモの皆さんが練習しているのでしょうね」

 

そうなのか。だから聴いた事がある音だったのか。

えっと確かこの歌…は……crow…crow……駄目だ…、途中までしか思い出せない。

俺が頭を捻って今流れてる音楽の事を思い出そうとしてると、ピタッと音楽が止んだ

 

「…あ、止んだ」

 

「休憩に入ったんでしょうね、ナイスタイミングです。すぐに教室へ入りましょう」

 

遊佐さんはそう言うと空き教室のドアに手をかけ、開ける

 

――ガラッ

 

「失礼します」

 

「失礼しま~~す…」

 

俺は小さく、そして弱々しく言い、遊佐さんの後ろについていく。当然ながらガルデモメンバーの皆様は俺と遊佐さんの方を見ている。

女子5人に男子1人となると何か肩身が狭く感じるな……。食堂の時は日向がいたからそうは感じなかったんだけど…。

 

「あれ? 遊佐じゃん。それに新入りも」

 

真っ先にひさ子さんが口を開き、何か用があるのか? と付けたして聞いてくる。

 

「彼が陽動部隊の雑用になったので、そのあいさつを…。岡野さん」

 

「あ、うん。わかってるって。…陽動部隊の雑用になった岡野弘樹です。どうぞよろしく」

 

頭を軽く下げ、ガルデモメンバーの皆によろしくのあいさつをする。

 

「前に名前は聞いたけど改めてよろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしく」

 

「よろしくね~……」

 

岩沢さん、入江さん、ひさ子さんがよろしくと言った後、地面に座ってる関根は遅れてよろしくと力なく言う。

 

「な、何か関根さんお疲れの様子なんですけど……」

 

「お~~……よくぞ気づいてくれた少年よ…。このままだと私の身体は朽ちてしまう……、その前に飲み物と焼きそばパンとその他諸々の食べ物を買ってき……」

 

「注文が多いッ!!!」

 

「ウボアァーッ!!!」

 

関根さんは弱ってるおばあさんのような口調で喋って俺に随分と多くの注文をしまくるが、ひさ子さんが言い切る前に関根さんにゲンコツをかます。ウボアーって、なんスか?

 

「今飲み物がなくってね、それでジャンケンをしようと思ったんだ」

 

あ~~なるほど、練習終わって水分補給をしたいんだけど飲み物がなくて困っているって訳ね。

 

「だったら俺が行くよ。皆練習して疲れてるんでしょ?」

 

「いいのか? あいさつをしに来ただけなんだろ?」

 

俺は代わりに行く、と言うとひさ子さんはやや遠慮がちに言うが

 

「構わないよこのくらい。こういう時は男の役目ってね」

 

…まあ、俺は快く構わないと言った。飲み物を買うくらいなら楽だしな。

 

「悪いね、じゃあ私はミネラルウォーターで」

 

「じゃあ、あたしも岩沢と同じので」

 

「岩沢さんとひさ子さんはミネラルっと……、入江さんは?」

 

「あ、じゃあ私はミルクティーをお願いできるかな?」

 

「はいよっと、関根さんは?」

 

「私は炭酸系でよろしく! 適当に選んで~」

 

「炭酸系ね、じゃあ俺の判断で決めるよ」

 

「よろしく。変なの選ぶなよ~?」

 

「わかってるって、遊佐さんは何か飲みたいのある?」

 

「私…ですか?」

 

俺は遊佐さんは何がいいのかを聞くと、遊佐さんは意外そうな顔をしていた。

 

「もちろん。この際だし一人増えようが一緒だから遠慮しないで頼んでいいよ」

 

頼んでいないとはいえ、流石に遊佐さんの分だけ買わないなんて気が利かない事をする程俺はアホ野郎ではない。まあ、普通ならこのくらいはやるか…。

 

「…では、私は緑茶で」

 

「緑茶ね……了解! んじゃあ、行ってくるわ。ちょっと時間掛かると思うけどできるだけ早く戻ってくるよ」

 

俺は急いで教室から出ようとすると

 

「…優しいんですね」

 

遊佐さんがボソリと言ったが俺の耳はその言葉がちゃんと聞こえたので

 

「普通だよ、普通」

 

と、俺もボソリと言い返した。遊佐さんに聞こえてるかどうかはわからないけど。

岩沢さんとひさ子さんが水で、入江さんがミルクティー、関根さんは適当な炭酸飲料で、遊佐さんは緑茶………と。忘れないうちにさっさと買いに行こう。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

【昇降口前】

 

よりにもよって空き教室から近い方の自販機が壊れてるなんてツイてないなぁ…。おかげでこっちまで来るハメになっちまったよ…。

しかし、外からギターの音が聞こえてくるな、ここから離れているところで誰かが弾いてるのか? ちょっと興味あるし、覗いてみるかな。

 

♪〜♪〜♪〜♪……

 

あ、終わった。来たばっかなのに………。残念だ

 

「イエ~イ! みんなありがっとぉ~~う!! ユイ☆にゃんの美声を聴いたからって惚れるなよ~~!!」

 

「「「「「「「ユイにゃーーーーーん!!!」」」」」」」

 

観客は男が多いが女も若干いる。すごい盛り上がりようだな…。自分で『にゃん』って言うか? 普通……。

ピンクのツーサイドアップ付きのストレートロングヘアーで少々小柄な体型で、悪魔の尻尾みたいなアクセサリーをしていて八重歯が特徴の少女だ。…しかもあの服、戦線の服じゃん!! ……まあいいや、とりあえず飲み物を買って早く岩沢さん達のとこに行こうっと。

 

「ふぅ…ちょっと疲れたかも。…ん?」

 

「あっ」

 

自称ユイにゃんと目と目が合った瞬間だった。

 

 

 

 

―――ガコンッ!

 

「ほい、ミネラル。疲れてるだろ?」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

俺は自称ユイにゃんに今買ったミネラルウォーターを渡し、自称ユイにゃんは近くにあるベンチに座り俺が渡したミネラルをグビグビ飲んでいく。余程喉が渇いてたんだな。

 

「そういや、まだ名前言ってなかったな。俺は岡野弘樹」

 

「……プハァ! …っと、私はユイです! 陽動部隊の下っ端をやっています。よろしくお願いします先輩!!」

 

ミネラルウォーターを飲むのをやめ、空いたビシッと勢いの良い敬礼をして俺の事を先輩と呼ぶ。

 

「いや、俺戦線に入ったばかりの新人だから君のが先輩だと思うけど…」

 

「あれ? そうなんですか?」

 

「そうだよ。だから先輩って言わなくてもいいよ。それに敬語も使わなくてもいいし」

 

「う~ん……、わかった! じゃあ、岡野さんで」

 

「んじゃ、これからもよろしくユイさん」

 

「ユイでいいよ。それかユイ☆にゃんでも構わないよ?」

 

「それでユイは何であんなとこでストリートライブをしてたんだ?」

 

「華麗に無視すんなゴルアァァァァァ!!」

 

俺が何事もなかったかのようにスルーするとユイが獣じみた顔になって怒り出す。

てかコイツ、いきなり口が悪くなったな。

 

「気のせいだよ気のせい、それでさっきの話だけど…」

 

「ストリートライブの事? それは……その前に岡野さんはガルデモ知ってる? 入ったばかりとか言ってたけど」

 

まあ、戦線に入ったばかりとはいえ、何ヶ月かはこの世界にいたんだからガルデモの事くらいは知ってる。……というより、今はそのガルデモの飲み物を買いに行ってる途中なんだけどな。

 

「あぁ、ガルデモの事は知ってるよ一応」

 

「ガルデモを知ってるの?! 実は私、ガルデモの大ファンなんだッ!! さっきのストリートライブではガルデモの曲を歌ってたの! あ、いつもガルデモの曲何だけどね。ちなみにひとつひとつの歌の歌詞は全部覚えてるよ!! 岩沢さんのあのギターさばきはすごいよね~!! それに歌も上手くてもうすんごいんだよ! それに…ってちょっと!!何処に行くの!? 話はまだ始まったばかりだってぇぇ!!!」

 

話が長くなりそうな気がしたので気づかれない内に行こうと思ったが俺の手はユイ両手に捕まり、逃げられない。

 

「いやぁ~、ちょっと飲み物を買いに行って欲しいと頼まれてたからそろそろ買ってみんなのとこに戻らないといけなくて……」

 

「パシられてるんですか?」

 

「違うわッ!! みんな疲れてたから俺が自分から買いに行くっていっただけだよ!!!」

 

「ふ~ん、そうなんだ。ちなみにその皆って誰なの?」

 

ガルデモのみんなと言ったらまた騒ぎそうなのであえて伏せていたがやはり聞いてきたか……!

 

「それは……日向達だよ! あいつらゆりにこき使われて疲れてたって言ってたからさ!!」

 

「え? 日向って、青い髪をした人の事? その人なら私がストリートライブをしようとしてた時に他の人たちとここから少し遠い場所で駄弁ってたよ?」

 

Shit!! くそっ!!! マジかよ!!? タイミング悪すぎだろッ!!!

 

「嘘をつくなんて怪しいなぁ~……。誰なんですかぁ? ほらほらぁ~!」

 

ユイは悪そうな顔をしており、アクセサリーの尻尾をフリフリさせながら俺の脇を肘で何度も軽く突く。……あれ、本当にアクセサリーだよな…?

 

…こうなったらどうにかしてここから逃げないと……そうだ!

 

「あ! ユイ! お前の下に何か変なのがあるぞ!!!」

 

「え!? 何々!!?」

 

ユイは自分の周りの下をキョロキョロと見て慌てる。

 

「ユイの影だった! さよならぁぁぁぁ――――!!!!」

 

ユイが自分の下を見ている間に俺は即座に逃げ出す。

 

「あ、待てやゴルアァァァァ!! よくも騙しやがったなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ユイは怒って俺を追いかけてくる。こうして俺たちの鬼ゴッコが始まった。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…!! ここにいれれば…」

 

意外にもユイがしつこく追っかけてくるので今体育倉庫に隠れている。ハッキリいって俺は運動が得意ではない、寧ろ苦手だ。

なんとかノベルの主人公達みたいに、帰宅部だけど運動神経は中より上という訳じゃない。

 

「……誰だ」

 

「!!?」

 

後ろから声がし、首元には小太刀がある。

 

「……答えろ、お前は誰だ」

 

「お、俺だよ! 俺!! 岡野弘樹だよッ!!!」

 

名前を聞いたからか、相手は小太刀を引っ込めた。後ろを振り向くと椎名さんの姿があった。

 

「し、椎名さん…?」

 

「岡野か…。何用だ…」

 

「『岡野か…。何用だ…』じゃないよ!! 危うく死にそうだったんですからね!? こっちは! 仮にもあなたには一度殺されてるんだからな!! また殺されるのはコリゴリだっての!! 第一! 名前を聞くぐらいならそんな物騒なモン人の首にやらないで普通に聞けよ!! つうか制服見れば仲間だってわかるでしょ!!? やっていい事と悪い事があるだろ!!! こんな事をやられる相手の気持ちも考えてみろよお前!!! 昨日も昨日でいきなり俺の実力を確かめるからとか何とか言って人の話も聞かず襲い掛かってきて心臓一突きとかおかしいだろッ!!! 俺はお前と違って何の武器もないんだぞ!!? 素手の時点で武器もってる奴に勝てる訳ないじゃん!! 普通に考えたらわかるのに何でわかんないんだよ!!! しかも殺せば人の事を放置してどっかにいっては謝りもしねぇッ!!! 狂ってるとしか思えねぇよお前ッッッ!!!!!!」

 

椎名さんの一言で一気に怒りが爆発し、言いたい事を椎名さんに言いまくっては暴言を吐く、怒り過ぎて口調まで荒くなってきている。

 

「あっ……え…そ、その……す、すまない………」

 

俺のここまで激しく怒るのが予想外だったのか、椎名さんはかなり慌てながら謝る。

 

「謝る時は『ごめんなさい』だろ!!! 何がすまないだ!! なめてんのかお前ッッ!!!?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

椎名さんは頭を下げて謝る。

 

「ハァ…ハァ…ハァッ……。もう、こんな事はやらないな…?」

 

叫んでたばっかりだったので少し息を荒げる

 

「も、もうしない…」

 

「『もうやりません』だッッッッ!!!!!」

 

俺は壁をドン! と思い切り叩く。その音を聞いた椎名さんはビクッとする

 

「も…もう…やりません……」

 

「…………………わかった…」

 

「…え?」

 

「許すよ。言いたい事言ったし、少し言いす……」

 

「岡野さん!! 何処だゴルアアァァァッッ!!!」

 

「っげ……!」

 

とうとうここに来やがったかユイめ! 何処か隠れる場所は………!

 

「…こっちだ」

 

「え……?」

 

椎名さんがこちらに来いと手招きをしている。一先ず俺は手招きをしてる椎名さんの方へ近づく。

 

「ここに隠れろ」

 

「…うん、わかった」

 

俺は椎名さんの指定したとこに隠れる。するとユイが勢いよく倉庫のドアを開ける

 

「ここからでかい声が聞こえたんだけど…。岡野さん! でてこいやああぁぁぁぁッ!!!」

 

しっかし、あんな顔であんな事いうとかギャップの差ありすぎだろ……。

 

「…何用だ」

 

「あ、忍者先輩! ここに岡野さん来ませんでしたか!? 黒い髪でモブキャラ1みたいな感じの!!」

 

殴りたい、相手は女だけどすごい殴りたい。別に俺はナルシストじゃないけどあんな事言われたら殴らずにはいられないくらい腹立つ………!

 

「ここには誰も来てないぞ」

 

「え~!? でもここから大きい声しましたよ?」

 

「そういえばここの近くで日向がいきなり騒ぎ始めたな。いつもの発作が起きただけだ」

 

いつもの発作って何ですか?いつもの発作って

 

「そ、そうなんですか…? じゃあ、他探すしかないかぁ~…」

 

え!? 納得しちゃったよこの人!!!?

…と、とりあえず、足音からするに、ユイは体育倉庫から去ったのかな…?

 

「…もうでてきてもいいぞ」

 

「…うん」

 

俺は隠れたところからでる。どうやら本当にユイは体育倉庫から去ったみたいだ。助かったぁ……。

え?何処に隠れてたかって?バケツの中だよ

 

「あ、ありがとう椎名さん…助かったよ」

 

「……気にするな。お前を殺したにも関わらず謝りもしなかったのだからな…。本当にすまない」

 

予想以上に俺の怒りの言葉が効いてるみたいだ。椎名さんは常にクールっていうイメージがあったけど何だかんだ言って彼女も女なんだなぁと思った

 

「あ、えっと……。まあ、反省してくれてるのはいいけど俺も言いすぎだよ、ごめん。……えっとぉ…じゃあ、この話は終わりッ! 同じ戦線の仲間なんだから仲良くやろうぜ?」

 

俺はパンッと手を叩き、明るく言う。相手が悪いとはいえ、落ち込んでる姿を見ると少し罪悪感がでてしまう。なので、もう怒っていないというアピールをするため、明るく振舞う。

 

「……クスッ」

 

椎名さんが小さく笑う。

俺は椎名さんの小さく笑う顔を見てドキッとしてしまった。ヤバイ、顔赤くなってないよな?俺………。

 

「…お前は変な奴だな。あんなに怒ったのに相手の事を気遣うとは」

 

「い、いや…そりゃあ怒鳴りすぎた俺にも比があった訳だし……。……えぇい! このままじゃ埒があかない! とりあえずお互い悪いって事でいいよもう!! それに、もういかないと」

 

「何処に行くんだ?」

 

「自販機。岩沢達に飲み物買うよう頼まれたからさ。あれから時間経ってるから早く行かないと」

 

「それは俗に言うパシりという奴か?」

 

あなたも言いますか。

 

 

 

体育倉庫から出た後、急いで自販機で頼まれた飲み物を買い、みんなの待ってる空き教室へと向かう。ちなみに関根さんの買った炭酸はメロンソーダだ。

俺はみんなに遅くなった事を頭を地面に何度もぶつけながら謝りまくった。もちろん止められました。普段いたずらが好きな関根さんも慌てて止めてくれたらしい、謝る事に夢中で気づかなかったけど。

俺が遅くなった事は許してもらえた。よかったぁ怒られなくて……。

明日から本格的に陽同部隊の雑用をする事になると遊佐さんが言ってくれた。

 

…よし、明日から頑張りますかね。

俺は自分にそう言い聞かせ、明日に備えて自分の部屋に戻り、早めに眠りへとついた。

 

あっ、ちゃんと飯(オムライス)食って風呂入って歯磨いてから寝たからね?

 




椎名がすごいキャラ崩壊してしまいました。ごめんなさい、本当にごめんなさい!
キャラ崩壊しないようにしようとした結果がこれで本当にごめんなさい!!椎名が好きな人は本当にごめんなさい!!





……さて、もうほとんどのメンバーにも会い、陽動の雑用と決まりまったので、にじファンの時だったらこの話の次は本編の1話に入る予定だったんですが、一つか二つくらい話を入れてから本編に入ろうかと思っています。

それでは、また次回。

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