士織「ペース、遅くなってません?」
毎日大変なんだ・・・・・・だから士織ちゃん癒して
士織「ネットで仮面ライダー4号見て、またファイズにはまって、仮面ライダーバロンかファイズ、もしくはチェイサーを主人公に小説を書きたくなった人が何言ってるんですか?」←お怒り状態
士織パラレルが美九編終わった辺りにじっくり考えますから、手に持ったハンマーをしまってください!!←ジャンピング土下座
士織「では、本編をどうぞ!」
「ところでシオー、ここは一体何なんだ? 初めて見る場所だ」
私は歩きながら倒れてない机に触る少女に笑顔を作りながら答える。
「ここは、学校の教室。私と同年代位の生徒が勉強するところだよ。その席に座って」
「なんと」
私は倒れてない席に座ると、少女は驚いたように目を丸くした。
「これに全ての人間が収まるのか? 冗談を抜かすな。四十近くはあるぞ」
「本当だよ」
思ってみれば、少女が現れるときは街の人達は避難してるし、少女が見たことある人間、ASTもそこまで多くないから驚くのは当たり前かも。
「ねぇ・・・・・・」
私は少女を呼ぼうとして言葉を詰まらせた。
「む? ・・・・・・そうか、会話を交わす相手がいるのなら、必要なのだな」
少女は考えを巡らせるように顎に手を置いた後、頷いた。
「シオー。・・・・・・お前は、私を何と呼びたい」
手近に合った机に寄りかかりながら、そんなことを聞いてきた。つまり・・・・・・
「名前を、つけろって事?」
「あぁ。どうせお前以外と会話する予定はない。問題あるまい」
名前をつけろと言われても、正直困った。どんな名前をつければ良いだろう?
『落ち着きなさい士織。焦って変な名前言うんじゃないわよ』
琴里から注意をされた。うーん、名前か・・・・・・そうだ。
「・・・・・・と、十香って、どうかな?」
『ちょっと、士織!?』
インカムから琴里の驚いた声が響いた。十日に初めて会ったから十香、何て安直な名前だった。
「き、気に入らないなら、他のを考えるーーーー」
「いや、それで良い」
「よ、よかった」
『全く。こっちがヒヤヒヤしたわよ』
インカムから琴里の溜め息が聞こえた。けど、気に入ってもらえなかったらどうなってたろうか。
「それで・・・・トーカとは、どう書くのだ?」
「それはね・・・・」
少女が近くによって聞いてくると、私は黒板の方に歩き、チョークを手に取って、十香と書いた。
「ふむ」
少女は私の真似をするように指先で黒板をなぞると、指が伝った後が綺麗に削り取られ、十香の二文字が記された。
「シオー」
「何?」
「十香」
「え?」
「十香。私の名だ。素敵だろう?」
「うん・・・・」
ちょっとだけ、恥ずかしいかも。色々な意味で。
「シオー」
十香が私の名前を呼ぶと、私は微笑んで唇を動かす。
「十香」
私が名前を呼ぶと、十香は嬉しそうに唇の端をニッと上げた。
「・・・・ッ///」
初めて見た十香の笑顔に心臓がドクンと跳ねる。って、同姓なのにときめいてる私って・・・・・・
「――ぇ・・・・・・?」
突然、凄まじい爆音と震動を感じて、咄嗟に黒板に手をついて体を支えた。
「な、何・・・・・・!?」
『士織、床に伏せなさい』
インカムから琴里の声が聞こえて床に伏せると、けたましい音を立てて、教室の窓ガラスが一斉に割れ、壁には幾つもの銃痕が出来ていた。
「な、何これ・・・・・・ッ!」
『外からの攻撃みたいね。精霊をいぶり出すためか、校舎を潰して隠れる場所をなくすつもりか』
「そんな無茶苦茶な・・・・・・!?」
『ウィザードの災害復興部隊がいるから、一回壊してもすぐに直せるから大丈夫ってことでしょ』
私は顔を上げて十香を見ると、十香の表情はひどく痛ましく歪み、窓の外に視線を放っていた。十香には銃弾や窓ガラスの破片は触れてなかった。
「・・・・十香ッ!」
「・・・・ッ」
私が十香を呼ぶと、十香はハッとした様子で視線を私に移した。教室への攻撃が一旦止むと、外に注しながら身を起こす。十香は悲しそうに目を伏せた。
「シオー、早く逃げろ。私と一緒にいては、同胞に討たれることになるぞ」
逃げたくなかった。そう思ったら十香の足元に座り込んでいた。
「は・・・・?」
私の行動に十香は目を見開いていた。
「何をしている? 早く・・・・」
「知らない。今は十香と話してるから。あんなのどうでも良い。私に答えられることなら答えるから、十香のこと、教えて欲しい」
十香は数秒、私の顔を見ると私の正面に座った。銃弾が飛び交う中、こうやって女の子と向かい合って座ったのは初めてだった。
「最初に、十香ってどんな存在?」
「・・・・知らん」
「えっ!?」
私は十香の答えに驚愕した。知らんって、知らんって何!? 自分のことなのに何で知らんで終わらせちゃうの!?
「知らん、て・・・・」
「事実なのだ。仕方ないだろう。・・・・どれくらい前だったか、私は急にそこに芽生えた。記憶は曖昧で、自分がどういう存在なのかなど、知りはしない」
「そ、そうなの・・・・・・?」
私がそう聞くと、十香はふんと息を吐いて腕組みをした。
「そう言うものだ。突然この世に生まれ、その瞬間にはもう空にメカメカ団が舞っていた」
「め、メカメカ団・・・・・・?」
「あのビュンビュンうるさい人間達のことだ」
メカメカ団ってASTの事なんだと苦笑いしてると、インカムから軽快な電子音が聞こえた。
『チャンスよ、士織。精霊の好感度が七十を越えたわ、一歩踏み込むなら今よ』
「踏み込む?」
『手取り早くデートにでも誘ってみなさい』
「で、デート・・・・・・!?///」
「? どうしたシオー、急に顔を赤くして」
「な、何でもないよ!!///」
いきなり過ぎて声が裏返ってたが、何とか誤魔化せた。話してる感じから確かに踏み込むには今かもしれない。
「ねぇ、十香・・・・・・///」
「ん、何だ」
「こ、今度、ね///」
「ん」
「わ、私とで、デート・・・・・・しよう///」
私は顔を真っ赤にしながら言うと、十香はキョトンとした顔をしていた。
「デェトとは一体なんだ」
「・・・・・・」
一体何のためにあんなに恥ずかしい思いをしたのだろうか? と思ってしまった。
『―――士織! ASTが動いたわ!』
「えっ・・・・・・?」
私が唖然とした瞬間に、いつの間にか開放感に溢れた教室の外から鳶一さんが現れた。
「――――ッ!」
十香が一瞬のうちに表情を険しくして、鳶一さんの方に手のひらを広げた。鳶一さんは手にしていた機械から光の刃を出現させると十香に襲いかかり、辺りに火花が飛び散る。
「く――――」
「――――無粋!」
十香が一喝するように叫ぶと、鳶一さんごと光の刃を受け止めていた手を振り払った。
「・・・・・・ッ」
鳶一さんは後方に吹き飛ばされるが、姿勢を整えると銃痕だらけの床に綺麗に着地した。
「ち――――また、貴様か」
光の刃を受け止めていた手を軽く振りながら、十香が言った。鳶一さんが私を一瞥すると安心したように小さな息を吐いた。こんなときに、来てほしくなかった。
「・・・・・・」
「十香・・・・・・」
見慣れない武器を構え直し十香に冷たい視線を向ける鳶一さんの様子を見た十香は私を一瞥して、私は小さくその名前を呟いた。その後、自分の足下の床に踵を突き立てた。
「―〈
瞬間、教室の床が隆起し、そこから王座が現れた。
「十香!!」
「「ッ!?」」
私は泣きそうな声で十香の名前を叫んでいた。それを聞いた二人は驚いたように私に目を向けるがすぐに目の前の敵に目を向けた。
『士織、離脱よ! 一旦〈フラクシナス〉で拾うわ。出来るだけ二人から離れなさい!』
「いや、十香ぁ!!」
私の叫びも虚しく、十香は王座の背もたれから剣を抜いて、鳶一さんに向かって振るい、私はその際の衝撃波でいとも簡単に校舎の外に吹き飛ばされた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
『ナイスっ!』
琴里の声がインカムから響くと、不思議な浮遊感を感じた。私は自分の無力さに唇を噛み締めた。
「あはは・・・・・・休校、だよね・・・・・・」
私が精霊に十香と名付けた翌日。私は瓦礫の山と化した校舎を閉じられた校門から見ていた。そうして、来た道を戻ろうとして足を止めた。
「十香、また、会いたいよ」
「呼んだか」
「えっ・・・・・・?」
不意に呟くと声が聞こえた。声がした方を向くと、そこには十香がいた。
「十香・・・・?」
「む? どうしたシオー。そんな驚いた顔をして」
警報は鳴ってないが目の前には、確かに、十香がいる。
「十香!」
「うぉ!?」
私は思わず十香に抱き付いた。
「十香、どうしてここに?」
「シオーから誘ったではないか、デェトとやらに」
私はその言葉を聞いて嬉しくなった。覚えててくれたことがとても嬉しかった。
「早速デェトとやらをするぞ」
「うん! でも、その前に・・・・・・」
「どうした」
「その服だと目立つから、着替えよう」
十香は私の言葉に、しばらく考え込むと・・・・
「どんな服なら良いのだ?」
「うーん、これとか?」
そう言って、私は自分の制服を指した。
「そうか、それなら良いのだな?」
「うん。けど、もう一着持ってる訳じゃないし・・・・」
「案ずるな。服は自前で何とかする」
そう言って、十香は指をパチンと鳴らすと十香のドレスが来禅高校の制服に変わった。
「凄い! どうやったの!?」
「霊装を解除して、新しく拵えた。視認情報だけだから細部は異なっているかもしれないが」
「とっても似合ってるよ!」
「そ、そうか・・・・」
私が笑顔で言うも十香は恥ずかしそうに目を背けた。
「じゃ、私が色々と案内するね!」
「う、うむ・・・・」
私は十香の手を握ると様々な店がある大通りに歩いていき、数分後には着いた。十香はキョロキョロと辺りの様子を窺い始めた。
「・・・・っ、な、何だこの人間の数は。総力戦か!?」
いつもと違う人の数に十香が驚いてると、私は十香の両手を優しく握った。
「大丈夫。誰も十香の命を狙ってないよ」
「・・・・・・本当か?」
「うん。本当」
私がそう言って笑顔を見せると、十香の顔から不意に警戒の色が抜けた。
「ん・・・・・・? おいシオー。この香りはなんだ」
「・・・・香り?」
十香に言われて、目を閉じて辺りの匂いを嗅ぐと、確かに香ばしい香りが漂ってきた。
「きっと、あれだよ」
私はそう言って右手にあったパン屋を指すと、十香はジーとそのパン屋を見つめていた。
「・・・・・・十香」
「ぬ、なんだ?」
「入ろう」
私が笑顔でそう言うと、十香のお腹からきゅるるると音が鳴った。精霊でも、お腹は空くらしい。
「そ、そうか、なら仕方ないな!」
「うん!」
私達は一緒にパン屋に入っていった。
士織sideout
琴里side
「あ、令音―。それいらないならちょーだい」
「・・・・・・ん、構わんよ。持っていきたまえ」
私は令音の前の皿のラズベリーをフォークで刺して、口に運んで、甘酸っぱさを堪能する。
「んー、おーいし。何で令音これ駄目なんだろねー」
令音はそう言うと砂糖がたっぷり入ったアップルティーを一口すすった。今私達がいる場所は天宮大通りのカフェだった。いつも通りに学校に登校したら昨日の空間震の被害が多少あったらしく休校で、折角だし、電話で令音を呼んでおやつタイムを楽しんでる。
「・・・・・・そうだ。丁度良い機会だから聞いておこう」
「なーにー?」
令音が思い出したように私に聞いてきた。
「・・・・・・なぜ彼女を精霊との交渉役に?」
「誰にも言わない?」
「・・・・・・約束しよう」
「実は私とおねーちゃんって、血が繋がってないっていう超ギャルゲ設定なの」
「・・・・・・ほう」
特に、驚くでも面白がる様子の令音に私は言葉を続ける。
「私がよく覚えてないくらいの時、おねーちゃんがおかーさんに捨てられてうちに引き取られたのは。物心つく前だからよく覚えてないけど、相当参ってたらしくてそれこそ自殺するんじゃないかって程に」
「・・・・・・」
僅かだけど令音の眉がピクリと動いた気がする。
「どーしたの?」
「・・・・・・いや、続けてくれ」
「ん。まぁ、仕方ないのよね。年齢一桁の子供にしてみれば母親は絶対の存在で、おねーちゃんには自分の存在が否定されたみたいなものなのよね。それで、本人も無自覚の人間不信になってるくらいだし」
「・・・・・・人間不信?」
「そっ。人と自分の間にぜーったい壁を作っちゃうのよ、私も今みたいにするの、苦労したし。それの影響か知らないけど、おねーちゃん、人の絶望に敏感で、そんな人を見ると何故か無遠慮に絡むのよね」
人間不信なのにねっと、言葉を繋げる。当時のおねーちゃんは全く笑顔を見せなかった。正直、今でもその時のおねーちゃんは覚えてる。
「それで、あの精霊に真正面から向き合おうとするの、おねーちゃん位しか思い付かなかったからさー」
私がそう言うと令音はなるほどと目を伏せた。
「・・・・・・だが、私が聞きたいのはそういう心情的な理由ではないね」
「・・・・・・」
あー、やっぱり。令音は〈ラタトスク〉最高の解析官。特注の
「・・・・・・彼女は一体何者だね」
「ま、令音におねーちゃん預けた時点でこうなるのは大体わかってたし、別に構わないぞー。どうせそのうち、みんなも知ることになるだろーし」
カランカラン、と扉の開く音といらっしゃいませーと言う店員の聞こえた。まっ、特に気にもせず手元のコップにささってるストローから残ってるブルーベリージュースを一気に吸い込む。今店に入ってきたと思う二人組が令音の後ろの席に腰かけるのを見た。
「ぶふぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」
二人組には気付かれなかったけど、私の目の前にいた令音はびしょ濡れになってた。
「ごめっ、令音・・・・・・」
「・・・・・・ん」
私が令音に謝ると令音はポケットからハンカチを取り出して顔を拭った。
「・・・・・・どうかしたのかね、琴里」
「ちょっと、あり得ない光景を見たから・・・・・・」
「・・・・・・何だね?」
令音の問いに私は無言で後ろに指を指し、令音が首を回し動きを止めて数秒、ゆっくり戻すとアップルティーを口に含んでぶーと吹き出した。
「・・・・・・なまらびっくり」
北海道の方言になるくらい、令音も動揺してるのかもしれない。だって、令音の後ろで私のおねーちゃん、五河士織と世界を殺す災厄、精霊がいたからだ。と言うよりおねーちゃんが私と居るときみたいな笑顔なのがちょっと、腹が立つ。
琴里sideout
士織side
「ほう、この本の中から食べたいものを選べば良いのだな?」
「うん、そうだよ」
「きなこパンは。きなこパンはないのか」
「ここにはないよ。最初のパン屋で一杯食べたでしょ」
「また食べたくなったのだ。一体なんなんだあの粉は・・・・・・あの強烈な習慣性・・・・・・あれが無闇に世に放たれれば大変なことになるぞ・・・・・・人々は禁断症状に震え、きなこを求めて戦が起こるに違いない」
「フフッ、それならもう起きてるよ」
「ん、そうか。まぁ良い、新たな味を開拓するとしよう」
「程々にね」
そう言うと十香はメニューを選び始めた。こうやって、同年代の子、と言うより琴里以外と街を歩いたことがないから新鮮な感じがする。
「本当に、楽しい・・・・・・」
私は静かに呟いて、十香は運ばれてきた料理を食べていく。
「あっ、十香、ちょっと良い?」
「む、何だ?」
十香が不機嫌な顔をするが、私は十香の口の周りについたソースを拭き取った。
「ソースついてたよ」
「ん、すまん。シオーも食べるか?」
十香はそう言うと、一切れのハンバーグをこちらに向けた。
「良いの?」
「遠慮するな」
「なら、お言葉に甘えて」
私はそう言ってハンバーグを食べる。結構美味しい。
「ありがとう、十香!」
「!?///」
私が十香に礼をいうと、十香の顔が赤くなった。
「どうしたの?」
「な、何でもない!///」
そう言って、十香はまた料理を食べ始める。数分後、伝票と自分の財布とにらめっこして足りることに安堵する。これ以上は皿洗いをして返さないといけなそうだった。
「十香、そろそろ行こう。他にも案内したいところあるんだ」
「そうか、わかった」
そう言って私達はお会計を済ませてお店を出た。
士織sideout
琴里side
「・・・・・・良いのかね、琴里」
「別に、あれだったら平気だと思ったからあのままにしたのよ」
私と令音は〈フラクシナス〉に移動して、士織の様子を見ていた。勿論、リボンも白から黒に変えた。
「しかし指令、良いのですか? 我々のサポートなしでフルスロットッ!?」
「黙りなさい神無月」
私は神無月の急所を蹴り上げた。男性クルーが顔を青くするが気にしない。カフェでの士織を見てたら、指令を出さないと言うより出せなかった。あんな笑顔で楽しんでる士織の邪魔をしたくないと言う気持ちが強かった。けど、しっかりやりなさいよ士織。
琴里sideout
士織side
「おぉ、絶景だな!!」
「うん! 実はここ、私のお気に入りの場所!」
時刻は夕方の十八時、辺りには人もいなく遠くで自動車の音やカラスの鳴き声が聞こえる静かな場所。何かあった時はよくここに来ている。
「シオー! あれはどう変形するのだ!?」
十香が目を輝かせながら遠くで走る電車を指していた。
「電車は変形しないよ」
「なら、合体タイプか!?」
「うーん、連結ならするよ」
「おぉ!」
十香は納得した様子で頷いて、私に向き合った。
「――――それにしても、良いものだな、デェトと言うのは。実にその、なんだ、楽しい」
「・・・・・・ッ///」
十香の笑顔を見てドキッとした。きっと顔は真っ赤になってる。それに気付かれないように私は十香に言った。
「――――ねぇ、十香を殺そうとする人なんていなかったでしょ?」
「・・・・皆優しかった。私を否定しないなんて・・・・・・あのメカメカ団・・・・えぇと・・・・・・」
「AST」
「それだ。街の人間全てが奴等の手の者で、私を欺こうとしていたと言われた方が真実味がある」
それを聞くと悲しくなった。十香にとっては否定され続けるのが普通。それがとても嫌だった。
「世界がこんなにも優しいなんて、こんなにも楽しいだなんて、こんなにも綺麗だなんて・・・・・・思いもしなかった」
十香がそう思ってくれてよかった。けど、何だか悲しそうな感じがした。
「あいつら――ASTとやらの考えも、少しだけわかったしな」
「え・・・・・・?」
今の十香の顔を見ていると、胸が締め付けられる感じだった。
「私は・・・・・・いつも現界する度に、こんなにも素晴らしいものを壊してたんだな」
十香が何を言いたいのか、嫌になるくらい予想できる。けど、そんなのは私が嫌だ。
「シオー。やはり私は――いない方がいいな」
十香は笑みを作るけど、まるで自分の死期を悟った病人のような笑顔を見て、私は十香を抱き締めた。
「シオー?」
「そんなこと、ない。いない方が良いなんて事、絶対にない」
いない方がいい。そんな言葉が私の胸に突き刺さる。親に捨てられたとき、そう思った。
「私は、十香にいてほしい・・・・・・」
「・・・・・・」
私の言葉を十香は黙って聞いていた。
「ずっとここにいて! 私は、十香と一緒にいたい!」
「だが、私は自然と消えて、また存在が引き寄せられ固着する」
「なら、ここにずっといればいい!」
「そんなことは――可能なはずは・・・・・・」
「試したの!? 一度でも!!」
私は十香と向かい合う。そして、十香は黙り込んでいた。
「で、でも、あれだぞ。私は知らないことが多すぎるぞ?」
「そんなの私が教える!」
「寝床や食べるものだって必要になる」
「それもどうにかする!」
「予想外の事態が起こるかもしれない」
「だったらそのときに考える!」
十香の発した言葉に、即座に返すと十香は少し黙り込んだ。
「・・・・・・本当に、私は生きていてもいいのか?」
「うん!」
「この世界にいてもいいのか?」
「勿論!」
私は十香に手を伸ばした。
「他の人間がどう思っても、私はあなたと一緒にいたい!」
十香は顔を俯かせて、少し黙った後、ゆっくりと顔を上げて、手を伸ばしてきた。
「シオー――」
十香と手と手が触れ合おうとした瞬間、寒気を感じた。
「十香!」
「・・・・・・ッ」
意識せずに十香の名前を叫んで、十香が答える前に思い切り十香を突き飛ばした。十香は突然の衝撃に耐えられず後ろに転がると、お腹辺りに凄まじい衝撃を感じた。
「な――――何をする!」
十香が声を上げるが、それに答えられない。体から力が抜け、意識が遠退く。なんか、きもちわる、い。
「――――シオー?」
十香の声を聞いて、私の意識は闇に落ちていった。
士織sideout
十香side
シオーに突然突き飛ばされたと思ったら、シオーの腹には大きな穴が開いていた。シオーはそのまま崩れるように倒れた。
「シオー・・・・・・?」
名前を読んでも、返事がない。
「シ――、オー」
私はシオーの頭の隣に膝をついて、頬をつつくが、反応がない。
「あ・・・・・・」
もうその目は、私を見てくれない。
「あぁ・・・・・・」
その手は、もう私の手を握ってくれない。
「あぁぁぁ・・・・・・」
もう、シオーは、私の名前を呼んでくれない。
「・・・・・・」
辺りに立ちこめる焦げ臭さには覚えがあった。殺そうとやって来る一団、AST。研ぎ澄まされた一撃は、きっとあの女。
「・・・・・・」
未だに光を写さない瞳で空を眺めてるシオーの眼に手を置いて、ゆっくりと瞼を閉じ、着ていた上着を脱ぎ、シオーの亡骸にかけると、立ち上がり、空に顔を向けた。
「嗚呼、嗚呼。駄目だった。やはり、駄目だった」
この世界で生きられるかもしれないと思った。シオーがいてくれたなら、何とかなるのかもしれないと思った。凄く大変で難しいだろうけど、出来るかもしれないと思った。だけれど。
「やはり、駄目、だった。この世界は――――やはり私を否定した」
それも、考え得る限り、最低最悪の手段を以て――――ッ!
「――〈
何か琴里が綺麗。
琴里「あんた喧嘩売ってる?」
NGシーン
人拐い折紙さん
琴里『士織! ASTが動いたわ!』
士織「え・・・・・・?」
折紙「・・・・・・」←物凄い勢いで来る変態
十香「――ッ!?」←折紙にスルーされる
士織「へっ? キャァァァ!!!??」←そのまま折紙に拐われた
十香「・・・・・・世界は私を否定したッ!!」←血涙
その後、士織は人間嫌いになった。
↑これをした理由? すいませんこれしか思い付きませんでした←ジャンピングスライディング土下座
次回で十香編は終了です。
折紙「それよりも私と士織のラブラブ物語を」
現状じゃあり得ないんで諦めてください。
琴里「・・・・・・私と士織の絡みを書きなさいよ」←鬼の形相
ひぃ!? 士織ちゃん、助けて!
士織「ねぇ、十香! 今度私の作ったご飯も食べてみて!」
十香「おぉ! シオーの料理か! 楽しみにしてるぞ」
士織「うん!!」
ふ、二人の空間を作ってる・・・・・・ちょっ!? やめ、ギャァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!