ようこそ、今エヴァへ。
このLCLはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このサブタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この注意文を書いたんだ。
じゃあ、心して見て行ってくれ。
↓
※読みにくい長文注意。
『いいわね、シンジくん』
「大丈夫です、問題ありません」
『最終安全装置解除!エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!』
ミサトさんの指示に合わせるようにして、今までエヴァを拘束したままだったリフトから解放されて自由になる。
『シンジくん、今は歩くことだけを考えて』
リツコさんの指示。
先程聞いた説明によると、エヴァは僕の想像した通りに動くらしい。
何処のザンダクロスだ、いや別にいいんだけどね。
「歩く、歩く……」
僕は外から見た初号機を思い出して、その巨体が歩くイメージをする。
すると、初号機はズシン!という大きな音と共に一歩踏み出した。
『動いた!』
リツコさんの嬉しそうな声や、オペレーターの人たちの歓喜の声が聞こえてくる。
僕はそれを聞いて調子に乗ってしまい、次の一歩はしっかりと想像せずに踏み出してしまった。
案の定次の一歩は不安定なものとなり、勢い余ってコンクリートの地面に顔面ダイブ。
おでこを何かに打ってしまったような痛みが伝わって来る。
ふぐっ……これがシンクロの代償、痛みのフィードバックか。
コンクリートに打ったにしてはあまり痛くないし、幾分か軽減されてるんだろうね。
しかし大勢の人の前でかっこ悪い所を見せてしまった。
「想像力が足りないよ」と言ってくる某龍使いトレーナーを思い出して少し反省。
しっかりしなくてはと起き上がるイメージをしようとした所で、ミサトさんの叫ぶような声が聞こえてくる。
『しっかりして! 早く起き上がるのよ!!』
僕はその声でいつの間にか目の前に使徒がいて、こちらに手を伸ばしてきていることにようやく気付いた。
掴み技だと!? 回避っ!!
僕はそれを掴み技だと認識して、つい癖でスマブラの前転回避を想像してしまう。
ってゲームなんて想像してる場合じゃないだろ!
そう自分に対して叱責し、もう間に合わないと思った瞬間、僕が見ている景色はぐるんと反転した。
いきなり素早く動き出したエヴァに混乱する僕、そして次の瞬間に見えたのは前の方へ何かを掴もうと手を伸ばし、空を切る使徒の後ろ姿だった。
『今の動きは!?』『後ろへ回ったの!?』
少しの間驚きで固まる僕だったが、ミサトさん達の驚きの声で何が起こったのか理解する。
僕が、エヴァが使徒の後ろに周りこんだのだと。
……なるほど、そういうことかっ!
僕がその事を理解すると同時に、使徒が振り返り始めている事に気づく。
僕はすぐにバトルアニメでよくあるバックステッポゥをイメージした。
すると思った通りエヴァは地面を蹴って後ろへと飛び、軽やかに着地する。
そして使徒がこちらに向き直るころには、離れた位置でファイティングポーズを取ることができていた。
『シンジくん!急に動きがよくなったけど、いったいどういうことなの!?』
「コツを掴んだ、唯それだけの事です」
『コツ……ですって?』
僕は最初、エヴァを動かすイメージは『エヴァ』を想像して動かさなければいけないと思っていた。
今日初めて見て、しかも動いた様子を見たことのないエヴァ。
そんなエヴァの歩く様子を考えるのは、慣れればそうでも無さそうだが今の僕にはそう易々と想像できるものでは無かった。
だけどそれは僕が勝手に思い込んでいただけで、実際は違った。
僕が気づいたことは二つ。
一つ目はエヴァを動かすには動作をイメージする『だけ』でいいという事。
使徒に掴まれそうになったあの時、僕は前転回避を思い出してエヴァはそれを実行した。
エヴァのことなんて考えず、ただ僕が良く使うキャラが前転回避をする様子を思い出しただけなのに、だ。
つまりは、別にエヴァを想像する必要は無いということ。
テレビ番組、アニメ、ゲームでも何でもいいんだ(漫画は多分NG)。
僕は見たことのある動きを思い出せばいいということになるんだ。
なんという僕得仕様。
二つ目はエヴァの運動神経は人間を超越しているという事。
僕は使徒から距離を取るあの時、さっきも言ったがバトルアニメの動きを思い出していた。
実の所、あの時は一瞬失敗したかなって思ってたんだ。
エヴァの簡単な動かし方はわかったけど、エヴァのスペックはわからない。
わからないなら確かめようぜ!って感じで、人間には到底無理なバトルアニメの長距離バックステッポゥを想像したわけなんだけど、今じゃなくても良くね?ってすぐに考え直したんだ。
だってほら、失敗したら盛大に転倒するわけだし、絶体絶命の状況から逃れた直後なわけだし?
多分失敗するだろうと思ってた僕は、地面を蹴ってからやっちゃったなーって思った。
でも結果は大成功、エヴァは見事に長距離バックステッポゥをやってのけた。
つまりエヴァは、アニメのほとんどの動きについてこれるというわけだ。
ファイティングポーズをイメージしながら心の中で僕はお祭り騒ぎだった。
だって僕と一心同体とも言えるエヴァで、ほとんどのアニメやゲームの動きが再現できるんだよ?
自覚ある中二病患者の僕としては、これほど嬉しい事は無かった。
というか今もテンションMAXだからね実は。
っべーちょーうれしいわ、っべーわマジべーわ。
……ふぅ。と、少しはしゃぎ過ぎたかな。
つーか何急に語り始めてるんだ僕、恥ずかしくなって来た。
纏めると「エヴァとアニメが合わさると最強に見える」だね。たった一行だ。
二つとも時間に余裕があればちゃんと説明されてた事なんだろうけど、自力で気づいたのはすごいと思う。すごいよね? すごい(確信)
ふと意識を前に向けると、使徒はまた近づき始めていた。
さっきはよくもビビらせてくれたな。(勝手にビビっただけじゃとか言っちゃだめだよ!)
今度はこっちの番だ!
僕はスマブラのとあるキャラをイメージして、走る様子を思い出す。
次の瞬間にはエヴァも同じように走り出していた。
一気に距離を詰めると今度は軽くジャンプ。
そして空中で拳を弓のように引いて……
―――ファルコ~ン……
コア目掛けて一気に突き出す!
―――ピャーンチ!!
スピードに乗った拳は、そのまま使徒のコアに突き刺……らなかった。
キィィィィイイイン!!
「なっ!?」
エヴァの拳は、突然使徒の前に現れた光の壁に阻まれていた。
まさかミラーフォース……
『A.T.フィールド!』
……じゃ、無いみたいだね。うん、知ってたよ?
パンチを止められたエヴァは使徒の目の前に着地するが、すぐにまたバックステッポゥで距離を取る。
そして使徒から目を離さないようにしてからさっきの壁について質問する。
「リツコさん、今のは!?」
『Absolute Terror FIELD、通称A.T.フィールド。使徒の持つ強力なバリアのような物よ』
「突破は可能ですか」
『理論上は極めて強力な攻撃をすれば突破できるはずなのだけど、今はお勧めできないわね。こちらもA.T.フィールドを展開して中和するしか無いわ』
「えっ、エヴァも出せるんですか!?」
『できるはずよ』
バリア出された時の絶望感はハンパなかったけど、こちらも持ってるとなれば話は別だ。
何処まで僕のツボを心得てるんだNERVは!
「どうやるんですか!!」
『強く相手を拒絶すれば出せるはずよ』
……マジですか。
まーたイメージの問題ですか、そうですか。
くそっ!ハッキリ言って嫌な予感しかしない!
僕はその予感を振り払うように使徒に意識を向ける。
拒絶、拒絶か。
何やお前ふざけてんのk……
《見るに堪えない脳内罵倒が続くのでカット》
……aんやこの厨パァ!
……ダメだ、やっぱり全然出る様子が無い。
意外に難しいな拒絶! どうやるんだ拒絶!?
と、ここで使徒に変化が訪れる。
なんとピカピカと目が光りはじめたのだ。
うん、どう見てもビームが来るよね、僕にはわかる。
圧倒的な絶望感が僕を襲う。
なんだろう、この絶望感どこかで……あ、魔王のスターライトブレイカーか。
そんなことを考えている間も使徒の目の光は強くなっていく。
拒絶、拒絶、拒絶……!やっぱりダメだ、何にも出ない!
念のためアニメのシールドを出すイメージをするけど、それでも出る様子は全く無かった。
使徒の目が今までで一番強く輝いた。来る!!
チクショウ!こっちみんなーーーっ!!!
次の瞬間、目の前で大爆発が起こり僕はその眩しさに目を細めた。
……って眩しいだけかよ、と自分に対してセルフツッコミをしてから前をよく見る。
爆炎とかで見にくいけど、そこにはさっき見たようなバリアが僕を守るように存在していた。
「こっちみんな」で正解か! 土壇場で正解とか僕マジ主人公。
僕は爆炎に隠れてA.T.フィールドを出したり消したりして、さっきの感覚を忘れていないか確かめる。
よし、問題ないな。
確認を終えると、僕は爆炎を突き抜けて使徒に接近する。
もう距離をとったりしない!
ここで絶対に止めを刺す!!
今度は近づいただけで展開された相手のA.T.フィールドに再びパンチを叩き込む。
そしてそのままこちらのA.T.フィールドを重ねるように展開。
するとA.T.フィールドは歪み出し、拳はぐにょ~んブチブチッとA.T.フィールドを突き抜けた。
なんか破り方にコレジャナイ感が…まぁいいや!
拳は突き抜けると、その勢いのままに使徒のコアへと叩きこまれる。
そして続けてもう一方の手で思いっきりアッパーを決め、使徒の体を浮かせた。
一発目を決めた後はA.T.フィールドを展開する様子は無い、どうやら極限まで近づけば展開できなくなるようだ。
ならば本当にこれで最後にしてやるッ!
僕は浮いた使徒の体に、もう一発もう一発とパンチを叩き込んでその体を地に付けさせない。
思い出すのは最強のスタンド。僕の記憶に呼応するようにラッシュの速さは増して行く。
ドンドン浮いていくその巨体を逃がすまいと、使徒の後ろにA.T.フィールドを展開!
これで準備は整ったッ!エヴァのパワーを全開だッ!!
「行くぜオイ!!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドコドゴドゴドゴドゴッ!!!
拳のスピードは人間の限界を軽く飛び越え、質量の持った残像を残し次々と使徒に襲い掛かる。
無差別に打ち込まれているように見える拳は、実はその半分以上をコアに向けており、着実にダメージを与えている(はず)。
ミサトさん達はその様子を息を飲んで見つめていた(さっきから何も聞こえないので恐らく)
僕はラッシュを続けながらその合間に見える、使徒の体を凝視する。
そして遂に、使徒のコアにヒビが入った。
―――今だッ!!
「オラァーッ!!!」
ドグォオン!!!
ラッシュを一端止め、A.T.フィールドに跳ね返って落下する使徒のコア目掛けて思い切りパンチを叩き込んだ。
エヴァの拳はミシミシと大きく音を立てて使徒のコアに突き刺さり、振りぬくと使徒の体を大きく吹き飛ばした。
A.T.フィールドは消したため、使徒の体を阻む障害物は無い。
使徒の体は遠くのビル群に突っ込み、多くのビルを薙ぎ倒しながらその場に倒れこんだ。
「……ハァ、ハァ……ハァ」
僕は叫び過ぎて息切れを起こしていたので、呼吸を整えながらピクリとも動かない使徒を見つめる。
「ハァ……ハァ……や、やったか?……ッ!!!」
自然に口から出たその言葉に、僕は身体を強張らせた。
し、しまった! つい言ってしまった!!
半分潰れたコアを赤く光らせながら使徒はガバッと起き上がる。
僕はすぐさまA.T.フィールドを張って待ち構えるが、使徒は起き上がった勢いで少し進んだだけですぐにベチッと倒れた。
えっ?
そしてそのままドッカ―ンと大爆発を起こした。
えー……
結構離れてるから爆風しか来ないし、それもA.T.フィールドで完全に防げている。
もしかして、最後のアレって僕を爆発に巻き込みたかったのか?
だとしたらちょっと悪い事したかな……
NERVが人類の勝利に沸き立つ中、僕だけが微妙な顔をしていたらしい。
熱い戦いだろ……これ、初戦なんだぜ……?
シンジくんテンションあがって変なことになってますが、次回から少し落ち着くので安心してください。
……え?元からこんなのだった?
ちょっと何言ってるかわかりませんね……