今世紀エヴァンゲリオン   作:イクス±

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とある事情により最終回なので初投稿です。

※投稿日4月1日
 旧タイトル『最終回 「二人の戦い」』


本編じゃない何か
Fate/Sinji night 1


イスラフェル戦からそれなりに時が立ち、一人を除いて全ての使徒を倒した僕はついに最終決戦というべき戦いを迎えていた。

 

 

「これで、わかっただろう?」

 

「何が?」

 

 

破壊され、燃やされ、消し飛ばされ。

全てが赤黒く染まり、その空を九体の白い化け物が円を描くように飛んでいる地獄絵図と化した第三新東京市。

その中心に初号機に乗った状態で立っている僕は、視線の先に浮かんでこちらを見つめるカヲルの問いに対して速攻で聞き返した。

 

 

「・・・僕と、いや、使徒とリリンは共存できないってことがだよ」

 

「どうして?」

 

 

再び間を開けずに質問を質問で返されたカヲルは不愉快そうに顔を歪め、僕を見つめる。

彼は僕が自分の言葉に対して何も考えずに、まるで子供の様に聞き返しているだけだと思っているのだろうが、それは違う。

僕はちゃんと、考えてから返答している。

 

 

「本当にわからないんだよ」

 

「・・・なんだって?」

 

 

確かに彼はこの地獄を作り上げた張本人だ。

しかし住民の避難は完璧に終え、さらに念のため初号機以外のエヴァは護衛として全てあちらに付いている。

つまりこの地獄の材料には、この町の建物しか使われていないのだ。

 

 

「確かにそれなりの時間を過ごしたこの町をめちゃくちゃにされたのは悲しいけど、カヲルを敵と見なす理由としては弱いかなって」

 

「・・・そうか」

 

 

僕の言葉を聞いたカヲルは能面のような表情を作って視線だけ上を向く。

僕も同じように上を見ると、旋回していた白い化け物のうち三体が円を描くのをやめて軌道を外れ、僕の真上を通って何処かに向かおうとしていた、ので。

 

 

倒した。

 

 

「・・・何をしたんだい」

 

「・・・君こそ何をしようとしたんだよ」

 

 

三体分の化け物の残骸が降り注ぐ中で僕等は再び視線を交わす。

 

僕がやったのは、ただ化け物の体内に小さなA.T.フィールドを作ってそれを限界まで引き延ばす、その作業を三回繰り返しただけに過ぎない。

彼がやろうとしたことは・・・考えたくも無い。

 

流石にこれは許容できない・・・結局、こうなるのか。

 

 

「うん、君は今から僕の敵だよ」

 

「そうか」

 

「喜ばないの?」

 

「・・・喜んでるよ」

 

「・・・そう」

 

 

その会話の直後、僕等はすでに動き始めていた。

カヲルは一瞬で上昇し、僕に向かって残りの化けものを全て突撃させた。

僕は先ほどの残骸の中から化け物が持っていた武器を素早く拾い上げ、空中にA.T.フィールドで足場を作ってカヲルを追うように飛び出し、化け物共を真正面から迎え撃つ。

 

 

「カヲルウゥゥゥウウウウッッ!!!」

「シンジイィィィイイイイッッ!!!」

 

 

僕等は全力でぶつかり合い、そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、僕の戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕こと間桐慎二は普通の高校生である。

 

成績はいつもトップだし、運動だってできるしさらには結構モテる。

だけど、僕が漫画やアニメ大好きな普通の高校生であることは揺ぎ無い事実なのだ。

 

・・・目の前の、事から、目を逸らせば。

 

 

「喜べ慎二、お前の願いはようやく叶う」

 

 

僕の目前には、それなりの厚さの本を持って不気味に笑う妖怪のようなジジイと無理しているとなんとなくわかる笑顔を作ってこちらに笑いかける妹がいた。

僕は、それを目の前にして言葉に詰まっていた。

 

 

 

僕の家は間桐、マキリという魔術師の名家・・・らしい。

 

らしい、と言っても別に疑っているわけじゃない。

ただ僕自身が確認作業を行っていない、人から聞かされただけの内容を事実の様に扱いたくないだけだ。

僕が間桐の魔術師ならなんやかんやでソレの事実確認が簡単にできるんだろうけど、僕はできない。

 

簡単なことだ。

何故なら、僕は魔術師じゃないから。

 

魔術回路とかいう魔術を使うための器官が無いんだか開いてないんだか忘れたけど、まぁ機能していないのだそうだ。

悔しくないわけじゃない。

そりゃ、魔術なんてオカルトを幼い子供の前にぶら下げたのなら飛びつかないわけがない。

僕だって喜んで飛びつき、その後才能が無いと言われて絶望した。

そして何処からか知らないがうちにやって来て僕の義妹になった桜が、可愛い妹として可愛がっていた桜が僕とは比べ物にならないほどの魔術の才能を持ってると知って、そりゃあもうひどく嫉妬した。

 

だけど、桜への態度は変えたりしなかった。

それどころかもっと完璧にいい兄貴を演じるように努力するようになった。

 

 

・・・『あんな』魔術の訓練をジジイに見せられて、さらに桜に当たり散らすなんて僕にはできなかった。

 

 

僕は魔術師の一族のくせして何故か機械類の扱いに長けていて、そのおかげで普通の魔術師が毛嫌いしている現代科学の産物に全く嫌悪感を持ってなかった僕は、その時すでに様々な趣味に手を出しており魔術師としては無駄極まりない知識を沢山持っていた。

そんな知識を持っていたせいでスーパーヒーローのような魔術師を勝手に理想としていた僕だからこそ、『あんな』ものを見せられた時の絶望は計り知れなかった。

少なくとも、魔術の才能が無いと告げられたことがどうでもよくなる程度には絶望した。

 

もし僕が、余計なものには手を出さずに魔術の事ばっかりを考えて日々を過ごしていたら、魔術を使えないことにこれ以上なく絶望して桜に辛く当たったりもしただろうが、僕は違った。

 

理想を、諦めきれなかったんだ。

 

僕はその日から隠れて桜を助ける方法を必死に考えるようになった。

ジジイに隠れながら、理想の兄貴を演じながら、さらに魔術の力を欲する馬鹿を演じながら、必死に考えた。

考えるだけではなく、ジジイが許す範囲で魔術の本を読み漁り、奴が興味を示さないネットで情報をかき集めたりもした。

 

・・・だけど、結局何も思い浮かばなかった。

高校二年のこの日まで、何の進展も無く過ごしてきた。

 

しかし今日、今この瞬間何かが動き出したのを僕は感じていた。

 

 

「お前の力だ、うまく使うが良い」

 

 

そう言って渡してきたジジイが渡してきたものを、僕は「ようやく欲していたものを手に入れたガキ」を演じながら受け取る。

複雑な表情でそれを見る桜を横目で確認しつつ、機嫌良さそうに早歩きで自身の部屋に戻った僕は、そこで演技をやめパソコンがドンと置かれたデスクとセットになっている椅子に深く座ると、ソレをベッドの上に乱暴に投げ捨てた。

乱雑に着地したソレを視界に収めつつ、僕はさっきジジイに言われたことを思い出す。

 

 

渡され、そして今放り投げたソレの名前は『偽臣の書』というらしい。

なんでも、桜が明日召喚するサーヴァントを僕のものにするのに必要なのだそうだ。

願えば何でも叶う聖杯を手に入れつため七人の魔術師とそのサーヴァントが争う聖杯戦争、その駒の一つを自分のものにできるのだから確かにそれは素晴らしい力だ。

過去の英雄を従えるという並の魔術師では到底できない事を成し得るのだから、魔術師に成りたがっていたガキはそりゃあもう好き勝手に暴れまわるだろう。

そして真の魔術師とそのサーヴァントの怒りを買って簡単に敗退、と・・・

 

つまり、ジジイが僕に望んでいるのは聖杯戦争に置いて見事な『かませ』として退場することってわけだ。

そうすることで間桐は敗退したと錯覚させ、戦いを有利に進めるつもりなんだろう。

あぁ、僕が魔術師では無いからこそできる不意打ちを行うことによって何処か適当な陣営が落ちればいいとも考えてたりするんだろうか?

 

もちろん、その通りに動いてやるつもりは無い。

 

僕はサーヴァントと共に聖杯戦争を勝ち抜き、そしてその過程でジジイを駆逐して桜を助けなきゃならない。

プライドを抑え込んで情けない演技を続けてきたこの数年間の清算を、キッチリとこの機会に済ませなければならないのだ。

 

 

・・・無理だ。

どう考えても無理だ。

 

ジジイが何から何まで用意して桜に召喚させたサーヴァントを、ジジイが用意した方法で僕に従えさせてる状態でジジイを倒せるわけがない。

どうせジジイは何か対処法を用意しているだろう。

自分では完璧だったと自負している演技も、何処か穴が合って僕の裏切りがジジイの予定の範囲内なんてことは十二分に有り得る。

僕とそのサーヴァントだけじゃ、絶対にジジイを倒すことなんてできない。

 

・・・ダメだ、いくら考えても他のマスターに協力を要請する最終手段以外思いつかない。

 

でもダメだ、殺し合いが基本の聖杯戦争でそんな人任せな作戦を実行に移すわけにはいかない。

 

でやっぱり・・・ダメ、だ・・・それ以外に方法なんて・・・ジジイの裏をかく方法なんて―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――無い。

 

奇跡でも起きなければ、絶対にジジイは倒せない。

 

 

その結論に至った僕は椅子から静かに立ち上がり、机と壁の隙間から紙の束を取り出す。

紙の束をそれなりに広い自室の中心に置き、音を立てないように静かにそれに描かれた模様が意味を成すようにバラシて床に並べ始めた。

 

・・・そして数秒後に完成したのは幾枚の紙の上に書かれたサーヴァントを召喚するための召喚陣。

僕はその前に立つとこの屋敷内にいる全ての人間に悟られないような小さな声で詠唱を始めた。

 

 

「―――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 」

 

 

僕にはサーヴァントを召喚するための令呪が無い。

 

触媒も無ければ、召喚するための魔力だってない。

 

 

「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

どう考えても僕には英霊を召喚することはできない。

 

どう考えても他のマスターに縋り、その正義感やらプライドやらを頼りにした方が何倍も現実的だ。

 

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

だけど、それは最終手段だ。

 

あらゆることを試した後に、縋るべき最後の手段だ。

 

 

「――――――告げる」

 

 

であれば、僕は全力を尽くさなければならない。

 

 

「――――――告げる!」

   

 

どんなに現実的じゃ無くても、

 

どんなに非効率的だったとしても、

 

それが過去にやろうとして諦めたボツ案だとしても!

 

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 

まだ試していない事があるなら、僕は全力でそれを実行に移さなければならない!!

 

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

何故ならヒーローとは・・・

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、」

 

 

・・・自分の力で奇跡を手繰り寄せる者なのだから―――!

 

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

最初は蚊の鳴くような声だった詠唱は、僕の気持ちの高ぶりに呼応するように大きなものになっていた。

詠唱をやめ耳をすませば、屋敷の住人が僕の部屋を目指して走ってくる音が聞こえそうなこの状況で、僕は奇跡を絶対に起こすという決意を持ち最後まで言葉にした。

 

すると、唱え終わると同時に義臣の書を投げたせいで不安定になっていたのか、ベッドの脇にある漫画やらアニメのビデオやらが収納してあった本棚が、うんともすんとも言わない召喚陣の上に倒れ込んで来た。

そして召喚陣を覆い隠すように漫画やビデオの山が出来上がった次の瞬間、それは大半を覆いつくされているにも関わらずは部屋を真っ白に染めるほどの光を発した。

光を発するまでの過程で完全に諦めかけていた僕にはそれが完全な不意打ちで、変な声を上げて後ろに倒れ尻もちをついてしまう。

尻もちをついたまま光にやられた目を擦り、数秒後慣れてきた目で何が起こったのか召喚陣の方を確認する。

すると、召喚陣の上の漫画とビデオの山に座ってこちらを眺める何者かがいるのを認識して、僕はさらに変な声を上げた。

 

 

「・・・なんだろう、こういうのって召喚された後すぐに言うべきなんだろうけど、なんかタイミング逃しちゃったな」

 

 

ソイツはすごく聞いた事のある声でそう言うと山から降りて僕の前に立ち、何処かカッコつけた様子で次のセリフを言った。

 

 

『―――サーヴァントライダー、召喚に応じて参上した。問おう、君が僕のマスターだね?』

 

「・・・あぁ、僕がお前のマスターだ」

 

 

僕は自分はやり遂げたんだという計り知れない達成感を噛み締めながら、ため息交じりになりつつもしっかりと返答する。

 

でも、アレだな。

よく見るとコイツ見覚えあるし、やっぱり声も聞き覚えがある。

僕はソイツに手を引っ張られて立ち上がりながら、ちらりと目線を下に向けてその疑問を一気に確信に変えた。

僕は立ち上がって僕よりも背が低いソイツを真正面から見据えると、思ったことをそのままに口にした。

 

 

「―――お前は、碇シンジなのか?」

 

「そういう君は間桐慎二―――」

 

 

ソイツは、いやライダーのサーヴァントである碇シンジは、『新世紀エヴァンゲリオン』のビデオを踏んづけながら何処か聞いた事のあるセリフを口にしたのだった・・・

 

 

 

Fate/Sinji night

 

 

―――ステータス―――

 

【クラス】ライダー

【マスター】間桐慎二

【真名】碇シンジ

【身長・体重】165cm、54kg

【属性】秩序・善

【性別】男性

【特技】楽観思考

【好きなもの】GOODEND

【嫌いなもの】BADEND

【天敵】ギルガメッシュ

【ステータス】 

 筋力D

 耐久E 

 敏捷C(B)

 魔力E(EX) 

 幸運A++ 

 宝具EX

 

【クラス保有スキル】

・騎乗A+

・対魔力E

 

【固有スキル】

・神殺しA

神の使徒の名を冠する存在との戦いを経て得た。

・高速思考C

敏捷のランクを1引き上げる。

・A.T.フィールドEX

クッソ硬い。破りたかったらラミエル並の攻撃をするんだな。

・自己改造D

なんで持ってるのかは気にしない方向で。

 

 

【宝具】

『破壊し救う審判の巨神(エヴァンゲリオン)』

ランク:EX

種別:対使徒宝具

レンジ:1~100

最大捕捉:100人

 

概要:完全に世界を間違えている宝具。

基本的な運用方法はアニメFGOのウィッカーマンのように別の空間から腕やら足やらを出して攻撃やら防御やらをする。

もちろん本気を出すと全身を出現させて乗る。冬木市がヤバい。

でもエヴァ初号機の特性上、機体にはマイナススキルでお馴染み『神性』が付加されてしまっているので無敵では無い。

師匠は帰って。

 

『■■器官』

ランク:EX

種別:生産宝具

レンジ:0

最大捕捉:1人

 

概要:例のあの器官。

エネルギーを無限に生み出す夢の器官。竜の心臓なんて目じゃない。

これのお陰で現界し続けられるし全力で戦闘できる。

魔力をEXに引き上げているのはもちろんコレ。

 

『サブカル知識』

ランク:B

種別:対展開宝具

レンジ:0

最大補足:1人

 

概要:その世界において娯楽に該当する物や文化の知識を召喚された直後に得ることができる宝具。

ほぼスキルみたいなものだが、降り立った世界の文明レベルや歴史を瞬時に把握できるというスキルにしては便利過ぎる代物のため、宝具認定。

他のクラスで召喚されることによってランクは上がったり下がったりし、今回はライダーなのでB。

そこそこマイナーな知識は得られない仕様になっている。

 

世界に




唐突に始まった慎二とシンジの聖杯戦争。
二人の戦いはどうなっていくのか?
最後まで勝ち抜くのか、それとも早い段階で敗退するのか。
というか、お互いがお互いの『原作』と言えるべきものを知っているという、このおかしな状況は何なのか!?
今後の展開が全く読めない(考えてない)Fate/Sinji night、次回もお楽しみにね!




以下、4月1日午前12:00分追記




・・・なぁ~んちゃって☆(真ゲス)

最終回ってのはもちろん嘘だよ!!
ジャンジャジャ~ン!今明かされる衝撃の真実ゥ!

・・・ってな感じで驚かそうと思ってたのによぉ。
殆どの読者様達が全く俺の最終回宣言信じてねぇんだから、可笑しくって腹痛いわ~!

なら見せてやろうかぁ?もっと面白い本編をよぉ!!

というわけで本編の方も(一応)絶賛執筆中ですので、気長に待っててね!

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