それが仮面ライダー   作:ふくつのこころ

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落第騎士が終わったり、そろそろクリスマスですね。
いかがお過ごしでしょうか?私は今年のクリスマスはTRPGのセッションです
ジークフリートやヘクトールの最終再臨を終え、取り敢えずクリスマスイベを走る
FGOのクリスマスイベの引換券とやらはいつ使えるのか?そしてサンタオルタはもらえるのか?



超人Ⅱ

「どうして朱乃ちゃんじゃないの?」

「そうですよ、説明していただけませんか?」

 

    目の前の銀髪の女性は優雅な振る舞いと雰囲気がメイド服にマッチしている。美貌もあってかサブカルチャーにアザゼルの影響もあり、それなりに疎くないアンと詳しい雄之介が見てもコスプレには見えないほどにマッチしているのだ。サブカルチャーによる影響のイメージからファンタジーだかに出てくる貴族のメイドを彷彿とさせるのである。そして恐らくは人外だからなのだろう、妖しい色香がある。

   アンは銀髪の女性に対して警戒するが、朱乃が来ないことに対して疑問を抱いている雄之介がアンの前に立つ。少しハッとしたアン、しかし、すぐに取り繕う様がまた初々しい。わずかに銀髪の女性が笑ったように見えた雄之介であった。いつでもジョーカーメモリを用いて変身できるようにと用意をしているが、沈黙が周囲を包み込む。

 

   先に沈黙を破ったのは他でもない、雄之介のスマートフォンの電子音だった。

 

『すまないね、どうやら雄之介とアンはまだ若いゆえに冷静ではいられないようだ。して、名前を聞いてもいいかね?私はジョー。彼らの支援を行っている者でジョーさんと呼ばれている』

「!?」

 

   口を挟んだのはジョーさんであった。予想外の場所から姿は見えずとも声がするのもあって、銀髪の女性は鳩が豆鉄砲を食ったような顔である。

 

「ジョーさん、いつの間に!?」

『雄之介、君のスマートフォンとトライドロンにバイパスを作り出した。そこを通して私は君のスマートフォンにやってきた。流石にトライドロンに残されるのは寂しくてね。この場合だとアンや雄之介よりは私が出てきたほうがいいだろう、君達にするよりも上手くやれるからね』

「……貴方は?いえ、どこから声が?」

『私は彼のスマートフォンを通して話している。いわば、電子の存在と言う風に捉えてもらって構わない。ーーおや?どうした、雄之介。なんとも言えない表情じゃないか』

 

   液晶画面に浮かぶ赤い電気信号は『悲しみの表情』を形作る。ジョーさんの非常にシンプルな表現と言うのに、人の温もりのようなものを感じさせるのはアザゼルの『手腕』と言えるだろう。ジョーさんは雄之介のなんとも言えない表情について問うが、雄之介は頭を振った。

   ジョーさんが己の正体について明かすと、女性は納得したらしかった。雄之介をロストドライバーとジョーカーメモリで変身した『超人ジョーカー』のことを知っていたり、ジョーさんの正体判明を聞いてもなお動じないのはさすがと言えよう。多分、アザゼルのことは知っているだろう。

 

「なんでもないよ。えっと、貴女は?」

「申し遅れました、私はサーゼクス・ルシファー様の女王であるグレイフィアと言います。超人ジョーカー様、貴方に頼みたいことがあるのです」

『雄之介に頼みだって?』

「はい、その頼みと言うのはーー」

 

  銀髪のメイドーーグレイフィアは恭しく頭を下げ、言葉を続けるのだった。

 

✳︎✳︎✳︎

 

「お前は、誰だ?いや、『お前ら』か?」

「さあな?俺が誰かってぇには関係ないことじゃねえか?なぁ、白龍皇?」

 

   ヴァーリ・ルシファーは息を荒げていた。

   目の前にいる禍々しい雰囲気を放つ怪人は余裕ぶっている様子、ベルトのバックル部分には蝙蝠のような物がある。

 

「何故、俺を襲う!?そして、どうして『白龍皇の光翼』の影響下にないんだ!?」

「そりゃあ、聞くわけねーだろ?仮にも俺はファンガイアの王の血を引く男だぜ?

そんな色男の使う継承物が神器の影響下にあると思うな?なぁ、キバット?」

『……軽薄な態度が全てを台無しにしてるんだがなぁ、まぁいい。白い龍アルビオン、その継承者よ、』

「『ダークキバ、参るッッ!』」

「くそッ、お前、ユーの友人じゃないのか!?行くぞ、アルビオン!」

『ああ!禁手で行くぞ!』

 

   蝙蝠の意匠を持つ怪人に対し、ヴァーリがアルビオンに呼びかけるとヴァーリは白い鎧に身を包む。ヒーロー然とした姿となる。ユーの変身する超人ジョーカーとは相反するカラーリングということもあり、ヒトでありながら徒手空拳で半分が悪魔であるヴァーリにとってはいずれ倒すべき相手である、というのは変わらない。

   ダークキバの手に握られている紅い幅広の魔剣、ヴェルメリオカリバーはまるで吸血鬼のように何かを吸収する力を備えているらしい。ヴァーリの神器の能力は『減少』、音声が鳴る度に周囲から力を奪って奪った力を己のものとする能力だ。ヴェルメリオカリバーによる斬撃は触れるものから魔力を吸収していくタイプのものらしく、神秘的な狼の咆哮が映える満月の下で月明かりに照らされるダークキバは血を啜る異形と形容してもおかしくない。

 

   ダークキバの突きを躱そうとするが、外殻にヴェルメリオカリバーの刃が触れると何かが奪われていくのを感じる。自分の中のエネルギーが失われる、というのを体感すると牙が触れる度にヴァンパイアのように吸収するという意味合いらしいファンガイアのことをわかったような気がした。ヴァーリの体重を載せた一撃が高速移動を行うことで、ダークキバの背後へと移動した。そして叩き込む、ヴァーリの重い一撃が炸裂する!

 

「パンチが利いてんじゃねーか、ユーのダチよぉ?けど、このダークキバ。龍には負けねえぜ?」

「な、なんだ!?ドラゴンの属性があるわけでないのに、そのオーラはッ!?」

「あ?んなモン、簡単じゃねえかよ?これもある意味、フォームチェンジの能力の応用だ。雄之介のに比べれば大したことねえよ。ま、元からダークキバにフォームチェンジは備わってねえんだけどな」

「フォームチェンジ!?能力!?一体、なんのことだ!?答えろ、ユーを『どうするつもり』だ!?」

「どうするつもりだ、だと?」

 

   ヴァーリはダークキバの雰囲気が一変し、ドラゴンのオーラをヴェルメリオカリバーの剣の鋒から放っていて視認することができるほどに濃密な魔力を確認することができる。

 

「ーーダチと一緒にいてえから連れ戻すんだよ、昔を思い出させてからな」

 

   そういうダークキバの声色は、獰猛でヴェルメリオカリバーからドラゴンのオーラを解き放つーー!

 

✳︎✳︎✳︎

 

「はい。そのお願いというのがジョーカーの力を我々の為に振るっていただきたい」

「な、それが何を言っているのかわかってるんですか!?」

「大丈夫だよ、アンちゃん」

「だって!」

「いいから」

 

   激昂するアンをたしなめる。悪魔サイドの目論見はわからないが、この言い方だと悪魔サイドについてくれと言わんばかりの物言いである。アンが珍しく雄之介に突っかかるのでアンを抱きすくめた。すると、アンの顔がみるみるうちに熟れたトマトのように赤く染まっていく。

   可愛らしいことこの上ないが、いかんせん周囲の視線を気にしなさすぎた。

 

「お答えしますよ、グレイフィアさん。ーー超人ジョーカーとしてお断りします」

 

   あっさりと雄之介は断ったのだった。




ヘッドハンティング回
ダークキバの登場はこの方が違和感がなかったので、こうして見ました
変更前のように被験者組も出していきたいですね
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