とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す   作:たくヲ

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とある少女と魔術軍団

 削板軍覇と婚后光子の二人と出会ってから一ヶ月半ほどたった。

 

 軍覇との大食い勝負には私が無事勝利、その後二人からメールアドレスを教えてもらった。

 

 紙に書いて教えてもらったから、完全記憶能力で完全に記憶しているんだよ。

 

 結局、その後は学園都市のIDを入手した以外と原作キャラ一人に出会った以外、何事もなく時間が過ぎたと言えるかも。

 

 ちなみに『常盤台の超電磁砲(レールガン)』、御坂美琴とは意図的に会わないようにしている。

 

 理由は、私が常盤台中学校の女子寮に転がり込んで生活を続けるためには、食蜂操祈の洗脳によって私がここにいることに誰も違和感を覚えない状況のままでなくちゃいけないから。

 

 学園都市第三位の超能力者(レベル5)の『電撃使い(エレクトロマスター)』は電磁バリアを発しているせいで操祈の能力が通じない。

 

 私が常盤台中学女子寮に転がり込んでいるのが御坂美琴にばれた時点で、いろんな違法行為を彼女が暴き、最悪追い出されるかもしれない。

 

 それを回避するためには最低限この寮内で会わずに行動するしかないわけだね。

 

 

 魔術関係においては、ちょくちょく誰かが魔術を使っていたような感覚があったけど、問題はなさそうだね。どうやら魔力の流れから解析すると探索とかそういう魔術みたいだし。

 

「おーい」

 

 問題は私を監視している魔術師が一人もいないってことなんだよね。

 

 魔術師は特殊な訓練を受けているわけでもなんでもないから、尾行されていることを警戒しながら動けばほとんどの魔術師は発見できるはずなんだよね。最初のステイルみたいに。

 

 姿を消す魔術でも使えば別だろうけど、私に関しては『十万三千冊の魔導書の知識』があるから簡単にばれるし。

 

 まあ、そもそも学園都市(ここ)に入ってこれてないだけかもしれないけど。

 

 とはいえ、禁書目録(インデックス)が所属していることになっているイギリス清教が監視役を用意しないとは思えないんだよ。禁書目録(インデックス)が他の組織に渡れば、簡単に世界をひっくり返されるらしいし。

 

 イギリス清教と学園都市には一応つながりがあったはずだから簡単に学園都市(ここ)に入れるはずだしね。

 

 でも、私はいまだに追跡者を見つけきれてない。そういったことについては素人とはいえ、意識して動けば結構見つかるものだと思うんだけど。

 

「おーい、聞こえてるかー?」

 

 となると怪しいのは……土御門元春かな? イギリス清教や学園都市といった数多の組織を掛け持ちする多重スパイの陰陽博士だっていうし、こういった任務はお手の物ってことかな?

 

 まあ、学園都市に潜入した時点で能力開発を受けたらしいし、能力者は魔術使うたびに体がボロボロになるそうだから耐久面ではこっちの方が上だと思う。

 

 

 もしくは、神裂火織あたりかな?

 

 おそらく尾行能力ぐらいはあるだろうし、禁書目録(インデックス)の監視及び護衛任務にはふさわしい存在だろうからね。

 

 でも、忙しい聖人をこんな所まで送り出すかな?

 

「そろそろ、出て行ってほしいのだぞー」

「流石に酷いんじゃないかな? 仮にもこの寮の一員なんだよ?」

「そもそも、なんで常盤台生じゃないあんたが平然とここにいるんだー?」

 

 

 状況説明が少し遅れたけど、私は常盤台寮の食堂にいるんだよ。

 

 私は首を回して、さっきからテーブルの横に立っている土御門舞夏の方を見る。メイド服姿の彼女は、繚乱家政女学校に所属するメイド見習いで、先程出てきた土御門元春の義妹らしい。

 

「うーん。最近のメイドさんは人の裏事情を聞くのかな?」

「……まあ、話したくないならいいんだけどなー」

 

 メイドの本場の人に言われたら仕方がないなー、とか言っているがスルーする。私の中身は日本人だし。

 

「ところで、片づけと掃除ができないから、そろそろ出て行ってもらえないかー?」

「分かったんだよ。ところで、家の方は大丈夫?」

「そうだなー。相変わらずあの兄貴は、家でゴロゴロしてるか筋トレでろくな物食べてないようだからなー、そろそろご飯もっていってやらないといけないなー」

 

 ってことは、舞夏が土御門元春の下を訪ねた時は大体家にいるのかな。

 

「お兄ちゃんは大切にしたほうがいいよー?」

「むしろ、妹が兄に大切にされるものだと思うんけどなー」

 

 さて、行こうかな。

 

 

 

 

 削板軍覇と婚后光子の二人と出会ったのは八月の始めの方だったから、一ヶ月半たった今は九月中旬なんだよ。

 

 九月中旬。すなわち今現在は、学園都市所属の全校が合同で行う『大覇星祭』が開催されている。

 

 私としては困る行事だね。

 

 『大覇星祭』では、普段は学園都市にはいることのできない一般人や生徒関係者に学園都市の一部が解放される。

 

 つまり、それに紛れて魔術師が合法的に入ってくる可能性があるってことだね。

 

 魔術師から逃げる立場である私としては非常につらい。

 

 どんな魔術師が出てくるかわからない以上、さらわれる可能性を常に頭に入れておかなければならないしね。

 

「で、こうなっちゃったと」

 

 私は人気のない通りで魔術師に囲まれていた。

 

 魔術師の数は11人とちょっと多いかな? 11人もいるならサッカーの対戦相手でも探していればいいのに。

 

 この状況、問題点がいくつかあるね。

 

 一つ目は、ちょっと離れた大通りで吹奏楽部あたりがパレードを行うらしいってことだね。吹奏楽部のパレードって言っても、学園都市の吹奏楽部だしただのパレードになるわけがない。つまり外部の人間や、学園都市の人間もみんな見に行くだろうね。

 

 つまり、この通りに人が来る可能性は少ないってこと。過去にあったように、都合よく原作キャラが助けに来る可能性は少ないはず。まあ、人払いは張ってないみたいだから、ゼロではないけど。

 

 

 二つ目は、敵の数。これだけいると『強制詠唱(スペルインターセプト)』で割り込みをかけづらい。

 

 

 三つ目は、敵の武器。敵の武器は剣やら、ハルバードやら、象徴武器(シンボリックウエポン)の円盤や杖や短剣やらとバラバラなんだよ。

 

 ようするに、同じ組織の人間かわからない。一時的な共闘でしかない可能性もありうる。同じ組織の人間なら『魔滅の声(シェオールフィア)』の入り込む余地もわずかにあるんだろうけどね。

 

 『魔滅の声(シェオールフィア)』は集団意識に働きかけるモノだからまとまった集団じゃないと通用しないんだよ。

 

 

「絶体絶命ってやつかな?」

 

 まあ、この場は全力で切り抜けるしかない。捕まってもイギリス清教が放った追跡者が助けてくれることを期待しよう。

 

 幸いこっちには『歩く教会』もあるから防御はばっちりだし。

 

 私は魔術師の一人、剣を右手で構えて走り始めた痩躯の男魔術師に向かって走り出す。逃げると思っていたのか驚いたような表情を浮かべる男魔術師。

 

 幸い長剣にはまだ魔術は使用されていない。『十万三千冊の魔導書の知識』によると、剣による魔術は無駄に強力なのが多いし先に倒しておきたいところだね。

 

 驚きのためか振るのが遅れた剣よりも早く懐に踏み込む。そして、男魔術師が走ってきた勢いと私の走ってきた勢いを利用した禁書目録肘打ち(インデックスエルボー)を右腕で鳩尾に叩き込む。

 

 くの字に折れ曲がる男魔術師の手から長剣が落ちる。それと全く同時に跳びあがり、男魔術師も顎に頭突きをヒットさせ、私の前に倒す。

 

「土よ縄となりて……」

自身を拘束せよ(YR)!」

 

 円盤を持つ大き目の服を着た女魔術師が詠唱しているのを聞き、『強制詠唱(スペルインターセプト)』で割り込み、自爆(自縛?)させる。その瞬間、女魔術師は持っていた円盤を取り落し、地面に落ちた円盤は砕け散る。

 

 中々スタイルいいなあ、とかどうでもいいことに思考が割かれるけど、まあどうでもいいことだね。

 

 小柄な女魔術師が投げた羽ペンが飛んでくる。神様特典の一つ『魔術や魔法の知識を見ることで解析、追加していく能力』が自動で発動し瞬時に解析した結果、『羽ペンを爆破させて粉をまき散らし、視界を奪う魔術』であることを理解。

 

 足元に転がる長剣を拾って、その側面の刃がない部分で男魔術師を殴って気絶させた瞬間、羽ペンが爆発。威力はさほどないらしいね。

 

 小柄な女魔術師のいた場所に向けて長剣を持ったまま駆け出した瞬間、右から飛んできたコンクリートの拳によって真横に吹っ飛ばされる。

 

 円盤を持っていた男魔術師の魔術かな? 長剣を落としたのは痛いかも。

 

 ダメージはないがバランスを崩し、起き上がろうとした瞬間、短剣を持っていた女魔術師の物と思われる風が吹いた。

 

 直後、私の周りが炎に包まれる。

 

 羽ペン魔術でまき散らした粉を風の魔術で誘導して杖の魔術で火をつけて粉じん爆発させたって所かな!?

 

 ダメージこそないけど、空気が周囲からごっそり持ってかれた感じがするし、連発されると拙いかも……。いくら『歩く教会』でも空気の補充まではできないしね。

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

 叫びながら煙の中から飛び出した長身の男魔術師がハルバードを構え私に向かってくる。

 

 魔術は発動していないようだけど、これを避けつつ、攻撃するのは難しそう。

 

 横に転がりつつ、体制を立て直す。

 

 ちょっと、きついかも。

 

 最初の二人以降が倒せない。解析の結果、ゴーレムの魔術を応用したコンクリートの拳によって接近が許されず、羽ペンの魔術で視界が奪われ逃がさないように中距離武器のハルバードを構えた男魔術師がつっこんでくる。

 

 それにいまだ魔術を使わない控え魔術師が四人。

 

 『歩く教会』のおかげでダメージこそないものの、このままだと私の体力が尽きる。

 

 逃げようにもここまでのコンビネーションを誇る相手が逃がしてくれるとも思えない。

 

 切り札を使おうか? 二つのうち一つはまだ未完成なうえにこの魔術師達にはほとんど効かないだろうけど、もう一方なら逃げるくらいならできるはず……やるしかないかな?

 

 私は修道服『歩く教会』の内側に手を入れる。

 

 その瞬間。

 

 私の真横を巨大な人影が駆け抜けた。

 

 その人影はハルバードを持つ長身の男魔術師に接近し拳を振り抜く。ハルバードが振るわれるよりも速くその拳は長身の男魔術師を捕らえ、殴り飛ばした。

 

「大丈夫か?」

「え? あ、大丈夫です」

 

 いつの間にか横にいたバンダナの男が聞いてきたのでとりあえず答えておく。

 

 でも、武器を持った魔術師を殴り飛ばすなんて一体誰が?

 

 見ると、安っぽいジャケットにジーンズを着て、ジャケットの上からでもわかる筋肉を持つ2メートル以上の巨漢が魔術師たちを見据えている。

 

 この人は……。

 

「駒場のリーダー! こいつは無事だ!」

「……そうか」

 

 駒場利徳。武装無能力者集団(スキルアウト)を束ねるリーダーだった。




 作者のたくヲです。

 禁書目録(インデックス)ピンチ回。

 根性の大食い対決の決着は結果だけが残りました(キングクリムゾン)

 これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。


 10月5日誤字修正。

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