とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す   作:たくヲ

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とある街中の不良制裁

 腰まで伸びた金髪。肩からチェーンで下げた一つの星が描かれたバック。レース入りの手袋。かわいい。常盤台中学と思われる制服。そして、かわいい。

 

 大事なことなので二回言ったんだよ。

 

 ということで、学園都市に七人しかいないLEVEL5の第5位、食蜂操祈と思われる人を見つけてしまったんだよ。

 

 それにしても、あれは本当に中学生なのかな? 身体のある一点がものすごい違和感を発しているかも。

 

 スタスタと歩いていく彼女の周りに原作のような取り巻きはいない。まあ時系列的に今は中学一年のはずだから取り巻きがいるのはちょっと違和感だけど。もしくは、一人ですることがあったのかも?

 

 あれ? 4人ほどガラの悪い学生が食蜂操祈らしき人に絡んでいる。

 

 原作見てて思ったんだけど、いくら美少女とはいっても中学生をナンパするのはいかがなものかと思うんだけどね。

 

 食蜂操祈らしい人はガラの悪い学生について行ってしまう。

 

 これはどうしたものかな? 原作でのあの性格からして、食蜂操祈は不良について行って、人気のないところで洗脳して操り人形にしそうなものだけど……。でも、あの人が食蜂操祈だって言う確証もないし、原作の約一年前なら性格の違いがある可能性もある。

 

 4人の学生と食蜂操祈らしい人は裏通りに入っていく。

 

 うん。仕方がないね。

 

 

 

 

 

 

 薄暗い裏通りで、食蜂操祈らしき常盤台生がガラの悪い4人組に囲まれている。

 

 勢いできちゃったけど、私は不法侵入者でお金もないから、学園都市の警察組織とも言える、警備員(アンチスキル)を呼ぶこともできない。

 

 困ったかも。まあ、そこの子も危ないみたいだから、危険を冒してでも助けるべきかな?

 

「そこまでなんだよ!!」

「ああ?なんだてめえ!?」

 

 どこかで聞いたことのあるようなセリフを言いながら飛び出したら、酷い反応だね。まあ、いきなり真っ白な修道服を着たシスターが現れたらそうなるのも解るけど。

 

「ちょっとぉ?余計なことしなくてもよかったのに」

 

 不良たちが一斉に倒れる。

 

 食蜂操祈らしき常盤台生の手にはリモコンが握られている。

 

「余計なことって言ったって、こんな人たちに囲まれている人をほっとくことはできないんだよ」

「そんなこと言ってもぉ。こんなのは私の干渉力でどうにでもなっちゃうものねぇ」

 

 やっぱり食蜂操祈で間違いなさそうだね。

 

 能力使用に使っているであろうリモコンや、なんとか力っていう言葉をいきなり使用してきたことや、中学生離れした容姿や、ガラの悪い学生を4人いっぺんに倒した能力とかからして間違いなさそうだね。

 

 えーと、学園都市第五位の超能力者(レベル5)、食蜂操祈の能力は『心理掌握(メンタルアウト)』。精神関連ならほとんどのことができる能力だね。

 

 まあ、原作の約一年前の今は超能力者(レベル5)ではない可能性はあるんだけど。それでも、常盤台中学の在学条件が『強能力者(レベル3)以上』だから、そこに在学している時点で強能力者(レベル3)以上は確実だけどね。

 

「人の好意くらいは素直に受け取っておくべきだと思うけどね」

「人の好意も、嫌悪も、私にとっては等しいものなのよねぇ」

 

 大変だよね。

 

 精神をいくらでも操れる能力者ってことは嫌悪されてもそれを打ち消せるし、好意を強制的に向けさせることも可能なんだから、他人なんて同じような者だろうし。

 

「それじゃあもう行くね。邪魔してごめんなさい」

「ああ、その前にい」

 

 食蜂操祈はこっちにリモコンを向けてきたんだよ。

 

「あなたの記憶を消させてもらうけどお?」

 

 リモコンのボタンが押される。たしか、あのリモコンは彼女の能力を補助するモノだったはずだね。

 

 うーん?正直、何ともない。

 

 『歩く教会』ってすごいね。科学サイドの攻撃もがっちりガードするなんて。まあ第ニ位や、第一位の超能力者(レベル5)から攻撃された時、どうなるのかはわからないけど。

 

 さて、でも私はノリのいい方だからね。かかったふりをしてみるんだよ。

 

「あれ?」

 

 私は限りなく無表情に近い顔になって、食蜂操祈を見る。

 

「何か効いてないような気がするわねぇ……でも、さっきまで表情豊かだったのに、こんな感じになってるしい?やっぱ効いてる?」

 

 私はふらふらと食蜂操祈に近寄る。残り6メートル。

 

 私は棒読みで言う。

 

「キイテルンダヨー」

「効いてないっぽいわねぇ。演算ミスかしらあ?じゃ、もう一回」

 

 もう一回リモコンのボタンが押される。

 

 やっぱり何ともない。『歩く教会』の防御力はやっぱすごいね。

 

「効いてる?」

「キイテル、キイテル」

 

 私はふらふらと食蜂操祈にさらに近寄る。残り4メートル。

 

「おかしいわねぇ?さっきから手ごたえがないしい。リモコンの故障かしらぁ?」

 

 食蜂操祈下げているカバンからもう一つリモコンを取り出して、私に向けてからボタンを押す。

 

「キイテルヨー」

「あれ?おかしいわねえ?」

「キキマクッテルンダヨー」

 

 私はふらふらと食蜂操祈にもっと近寄る。残り1.5メートル。

 

 そして私は、戸惑っている食蜂操祈に跳びかかり、押し倒す。勿論、手で相手の後頭部を守ることも忘れないんだよ。

 

「え?え?」

「タスケヨウトシタヒトヲアヤツッテ、キオクヲケソウトスル。ソンナヒトハ、シスタートシテ、ホウッテオクワケニハイカナインダヨー」

「ちょっとお?絶対、私の能力効いてないでしょお!?」

「イヤイヤ、キイテルヨー」

 

 うん、無理だね。こんな綺麗な子を押し倒して、感情を抑えるなんて無理。

 

「人を好きなように操ろうとしておいて、人に好きなようにされるのが嫌だなんて言わないよね?」

「か、顔近い、っていうか怖いわよお!?」

「そんなことないんだよー」

「な、なんでもするからあ!」

「……じゃあ、やめてあげるんだよ」

 

 まったく、そういうことはもっと早く行ってくれないと困るんだよ。

 

 私は食蜂操祈の手を掴んで引っ張り起こす。

 

「じゃあ、一つお願いしてもいいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか家がないとは思わなかったわよお?」

「追われてるから仕方ないんだよ」

 

 あのあと、食蜂操祈に今夜止まる場所を提供してもらうことになった。

 

 幸い、学園都市にはいくつかのホテルもあるからね。

 

「でも、いいの?ホテルに泊まるとなると結構かかると思うんだけど」

「私はホテルのお金を出すだなんて言ってないわよお?」

「?」

「常盤台中学には、学生寮が二つあるのはご存じかしらぁ?」

 

 えーと、確か常盤台中学の学生寮は二つ。一つは常盤台中学のある、『学舎の園』の内側に一つ。もう一つは学園都市第七学区に立っていたんだったよね?

 

「あなたは学び舎の園の外にある寮の部屋を貸してあげるわぁ」

「空き部屋があるのかな?」

「いいえ。私の同級生の部屋よぉ」

 

 まさか、同級生を洗脳するつもりかな?私の言ったことをちゃんと聞いてたのか心配になるんだよ。

 

「あなたの思っているとおり、私の能力で洗脳しておいてあげるわぁ」

 

 うーん。今更彼女と別れたところで、泊まる場所があるわけでもないしね。

 

「人の好意は素直に受け取るべきなんじゃなかったのかしらあ?」

「皮肉のつもりかな?……まあ、お願いするんだよ」

 

 いつの間にか常盤台の学生寮らしき場所に来ているしね。今更断るのもマナー違反かも。

 

 食蜂操祈に操られているらしく、目に星みたいなのが浮かんでいる女の子が二人出てきたしね。

 

 

 

 

 

 二人の女の子に常盤台の一室まで案内された。

 

 どうやら、ここに泊まれと言うことらしいね。

 

 ここに連れてきた女の子の一人は黒のロングヘアで背が高い、可愛いというより綺麗という印象を受ける。

 

 もう一人は、茶髪のふわふわしたショートヘアの背が低い少女で、可愛いという印象を受けたんだよ。

 

 恐るべきは常盤台中学って所かな?

 

 部屋に入ってみるとアニメで見たようなベッドが二つに机が二つのそれなりに大きい所だった。

 

 後ろから扉を閉める音。

 

「そういえば、あなたたちの名前を聞いてなかったね? ……!?」

 

 私が振り向いた瞬間、黒のロングヘアの女の子は手の平から火の球を出して投げつけてきた。

 

 至近距離だったから、避けられずに私に当たり、火球が爆音とともに破裂する。

 

 普通、寮の中で仕掛けてくるかな!? っていうか、ここ能力の使用は禁止されてたはずなんだけど!?

 

 まあ、『歩く教会』のおかげで、まったく聞かないけどね。

 

 さらに、後方から何かがぶつかるけど、やっぱりダメージはない。

 

 そんなことより、コツコツっていう足音が部屋の外から聞こえたのが気になるんだよ。嫌な予感しかしないしね。

 

 私は走って部屋の端にあった扉をあけ、その部屋に飛び込みつつ扉を閉める。

 

 その瞬間に扉の外からこの寮室の入り口が開く音がした。

 

「なにをしている?」

「「あ……」」

 

 意図的に低くしたような声が聞こえる。それと同時に私の背に悪寒が走った。

 

 直後に何かが折れたような鈍い音が二回、倒れる音が二回。

 

「寮での能力の使用は禁止だと言っていたはずだ」

「……」

「……」

 

 足音と一緒に何かを引きずるような音がして、その直後に扉が閉まる音がした。

 

 助かった。

 

 今のは、寮監さんかな?とっさに隠れたから、姿は見えなかったけど。あの、メガネにスーツの人だと思うんだよ。

 

 扉越しでもあの威圧感は恐ろしいものがあるね。

 

 まあおかげで、助かったけど。

 

 さて、いきなり二人が襲ってきたのは、十中八九、食蜂操祈のせいだろうね。洗脳済みだったはずだし。つまり、彼女は「好意は受け取っておくべき」とか言いながら、私を嵌めようとしたことになるんだけど……。

 

 次にあった時、どうしてあげようかな? 食蜂操祈には首を洗って待っててもらわないとね。




 たくヲです。

 禁書目録だよー回。

 食蜂さんにインデックスさんが何をするのかは……書きませんので、ご注意ください。

 これからも、『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。

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