とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す   作:たくヲ

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とある着替と最強学生

 あの後、1か月半ほどが経過した。

 

 基本的に襲撃をしてくるのはステイルだったんだよ。

 

 やっぱり世界に二十人といない『聖人』である火織は私の相手だけしているわけにもいかないんだろうね。

 

 ステイルの魔術の性質的に、『歩く教会』の防御力を使って炎の魔術を受けつつステイルのルーンの範囲から脱出するだけでステイルはやり過ごせるから問題はなかったかも。

 

 きつかったのはできる限り学園都市のみんなとの接触を避ける必要があったってことかな? 

 

 接触したのは協力者である軍覇、今回のことで妹達(シスターズ)関連について全部任せなくてはいけなくなった一方通行(アクセラレータ)、寮監さんとの一件について話し合う(・・・・)必要があった操祈、そしてしばらく会えなくなるということだけを言うために利徳。

 

 

 軍覇はステイルの襲撃してきた時に助けてくれている。あとは、私の話し相手になってくれているんだよ。私の現状を知っていて、ある程度隠さず相談ができる相手ができたのはありがたいね。そういう相手が一人でもいるだけで、精神状態もだいぶ変わるからね。

 

 軍覇は今の所襲撃などは受けていないらしいけど、私に気を使っているだけの可能性があるかも。目に見える傷はないから、命の危険は今の所ないとは思うけどね。だいぶ楽観的な意見だけど。

 

 

 一方通行には『妹達(シスターズ)』についてのことを任せざるを得なかったんだよ。流石に、『妹達(シスターズ)』を魔術関連に今の状況で巻き込むのは問題があるからね。本当に困った時は私の使っている安い携帯電話にかけてくるように言っておいたんだよ。

 

 一方通行レベルなら友達として私について話しておいてもいいかと思っていた。でも、一方通行はアレイスターのプランの中核をなす存在だったはずだし、今のタイミングで魔術のことについて話すと、私の命が危ない上に、一方通行に関するプランの進行を早めてくる可能性が高くなるかもしれない。だから、魔術については言わないことにしたんだよ。

 

 まあ、魔術のことは隠して私が追われていることについてだけは話したけどね。

 

 

 操祈にはとりあえず、寮監さんに私に手を挙げられないようにしてもらった。素直に聞いてくれて助かったんだよ。

 

 そして、しばらく会えないことを言って、無理やり私の部屋を変えてもらったんだよ。一応、私が貸してもらっていた同室の二人は、操祈の派閥のメンバーだから危害が加えられそうな同室は避けた方がいいっていうことでの忠告を聞き入れてくれた。。

 

 空き部屋があったのは助かったね。常盤台中学の入学条件は厳しいからで、寮室が微妙に余ってるのも当然といえば当然なんだけどね。

 

 そういえば最近、前よりも少しだけ操祈の体力が増えている気がするんだよ。ほんの少しだけど。

 

 

 武装無能力者集団(アンチスキル)のみんなに関しては一番巻き込みづらいから、いったん離れなくてはいけないのは当然のことだったんだよ。なにせ、アンチスキルのみんなは学校の授業に出ていないからね。学園都市にいる恩恵が、無能力者であることもあってほとんどないといっていいんだよ。せめて、授業にでていれば気休めにはなったんだけど。

 

 そんな彼らと魔術サイドからの干渉が強くなってきた現在の私が関わってしまった場合、最悪会っている時にステイルに攻撃される可能性もあり得る。

 

 正直、ステイルは人払いのルーンを使用してから攻撃してくるから、魔術耐性がないスキルアウトのみんなが襲撃される危険性はほぼないけど、念には念を入れたい。

 

 しばらく会えないことについて話したのは利徳だけだった。このことについて話しに行った時には、前に利徳が助けたというフレメア=セイヴェルンがいたけど、浜面と半蔵が話の間見ていてくれたからね。横須賀や綿流もいなかったから、利徳だけに話すことになってしまったんだよ。どうやら、利徳は私がまた会いに来るまでにスキルアウト統一を果たすつもりみたいだね。スキルアウト最強格にカウントできそうな三人が所属してるし、問題はないかも。

 

 

「正直、バイトを止めたのが一番きついんだよ」

 

 もちろん襲撃が増えたからバイトも続けられなかった。仕方がない事とはいっても、生活で使えるお金が減ったのは厳しいからね。昼食的な意味で。

 

 朝食と夕食は寮で出るけど、昼食は出ないからね。春休み中は授業がないから昼食も出たんだけど、今は授業で常盤台の学生は昼にいないからね。

 

「ということで、おごってほしいんだよ」

「? なんでそんなことになるんだ?」

「昼食がないからお腹がすいた。お金もないかも」

 

 今はお昼時。軍覇と外を歩いている。

 

 軍覇が平日の昼間に外でうろついているのは朝から迷子の犬の飼い主を捜していたからだね。私が学園都市を歩き回っていたときに公園で女の子と遊んでいたところを見たことがある犬だったから、その子の学生寮と思われるところに連れて行くことができたんだよ。

 

「まあ、もちろん冗談だよ。節約してるからバイトしてた時のお金が余っているからね。流石の私もただでさえ助けてもらっているぐんはに奢りを要求するほど根性無しじゃないんだよ」

「お前ちょっと前は外で普通に食べてなかったか?」

「まあ、いつかこうなるとは思ってたからね。あの時のは最後の贅沢ってやつだね」

 

 まあ、家賃と朝食代、夕食代、光熱費がかかっていないし問題はないね。

 

 昼食は大体、寮の厨房を借りてお弁当を自分で作っているんだよ。死ぬ前は一人暮らしだったから、料理くらいはできるかも。

 

「よし、おごってやる!」

「いや、いいんだよ。そんなことまでしてもらわなくても」

「いいや、おごる。腹を空かせている友達を見捨ててちゃ俺の根性が廃る!」

「ぐんはには何度も助けてもらってるし、これ以上助けてもらうのも申し訳ないんだよ」

「困った奴を見捨てるのは俺が根性無しだって認めるようなもんだ。何が何でもおごらせてもらうぞ」

「大丈夫なんだよ。まだお金もあるし」

「いいや、ここはおとなしく奢られとけよ」

 

 ありがたいけど、キリがないんだよ。

 

「不幸だ――――――――――!!」

「!?」

「ッまてや、ゴルァ!!!」

 

 前方から聞こえてきたその声に思わず足が止まる。

 

「? なんだ?」

「……あれは」

 

 こっちに走ってくる学生服を着た黒いツンツン頭の男。そして、その男を追いかけてくる6人の男。

 

「……アイツら」

「……ぐんは」

「わかってる」

 

 私と軍覇は前に駆けだす。

 

 私はツンツン頭の左手側(・・・)をすり抜け、そのまま後ろの男たちに接近する。

 

「すごい」

禁書目録(インデックス)

「「ラリアット!!」」

 

 私の左手と軍覇の右腕が交差し、謎の衝撃波化して男たちにたちに正面から激突。男たちは宙に舞った。

 

 

 

 

「で? バイトを辞めさせられて金欠だからカツアゲしようとしたら、そこのお兄さんに止められて、代わりにカツアゲしようとしたら逃げられたから、追いかけてた、と?」

 

 私と腕を組んだ軍覇の前に正座する6人の男。

 

 この6人はスキルアウト統一のため動いている利徳の傘下に下ったチームのメンバーだね。私も面識があった人達なんだよ。

 

「……」

「まったく。金がないから人からとろうとするなんて、駄目なんだよ!」

「いや、マジでホントすんませんでした」

「すんませんで済んだら警備員(アンチスキル)はいらないんだよ! それに私に謝ってどうするのかな?」

「すみませんでした!!」

 

 6人はツンツン頭の男に向き直って土下座をする。

 

「っへ? いや、いいですよ!?」

 

 快く? 許してくれたんだよ。

 

「おい! お前ら! さっきの一発で今回は勘弁してやる。だが、これから利徳のやつのとこに連れてくからな!」

「はい! すんませんでした、軍覇さん!」

 

 それを聞いた軍覇はこっちを見て言う。

 

「じゃあ、俺はこいつら連れて利徳んとこに行ってくる」

「私はりとくたちとあんまり顔を合わせない方がいいだろうし、仕方がないんだよ」

「一人で大丈夫だな?」

「大丈夫。問題はないんだよ」

 

 さて、私は今までこのツンツン頭の男の右手(・・)に注意していた。

 

 そう、間違いなくこの男は。

 

「さて、私からも謝っておくんだよ。ごめんね。私の友達が失礼な事をしちゃって。あと、敬語は外してくれて構わないんだよ」

「……いや、さっきの奴らにも言ったけど大丈夫だ。それに助けてもらっちまったのは俺の方だしな」

 

 さて、ここはせっかく会えたわけだし、あのセリフで自己紹介をしないとね。

 

「俺は上条当麻。あんたは?」

「私の名前はインデックスっていうんだよ」

 

 

 

 その後、上条当麻が「助けてもらったお礼になんか奢らせてくれ」というので、私たちは移動したんだよ。

 

 正直、平日の昼間から授業も受けずに外をぶらついていていいのか疑問だね。まあ、この人は原作でも夏休み補修を受けてたし、これが平常運転なのかも?

 

「えーと。インデックスさん?」

「どうしたのかな?」

「なんで私達は服屋に来ているのでせう?」

「まあ、あれだね。せっかくだから、服でも買ってもらおうかなって」

 

 私はデパートの中の服屋の試着室で、服を着替えていた。正直、『歩く教会』を着たままだと上条当麻の右手(・・)でいつ破壊されて街中で裸にされるかわからなくてハラハラするからね。

 

「流石にお礼で服を買うなんて俺は持ってないんですが」

「もちろん冗談だから安心してね」

 

 ふーよかった、と安心している上条当麻について考える。

 

 上条当麻といえば、その右手にある能力『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が代表的だね。

 

 『幻想殺し(イマジンブレイカー)』はありとあらゆる異能を打ち消せる力。非常に強力な力だし、禁書目録(インデックス)の首輪破壊のためにも使える力だね。

 

「これはどんな感じ?」

 

 ばさりと試着室のカーテンをスライドさせて外に服を見せる。

 

「へ? ……うーん、まあいいんじゃねえか?」

「適当だね」

「上条さんには女の子の服のセンスなんてわからんのですよ」

 

 適当に選んだだけだし、変じゃないなら何でもいいんだよ。いつも来てるのも修道服でかなり目立つしね。

 

 私はカーテンでもう一度体を隠す。

 

「ところで、本当になんでお前は服屋に入ったんだ?」

「それはもちろんあれは大切な服だからだよ」

 

 まあ、質問にはちゃんと答えないとこうなるよね。あんまり不信感持たせてもよくないし、魔術についてはできる限り伏せて話をしないと。

 

「? どういうことだ?」

「あなたの右手。不思議な力があるみたいだね」 

「!? なんでそのことを」

「触れられたくない事だったら申しわけないんだよ」

「いや、隠してることじゃねえけど……右手(この力)の名前は『幻想殺し(イマジンブレイカー)』って言って、こいつに触れた『異能の力』はなんであろうと打ち消しちまうんだ」

 

 意外と簡単に説明してくれたね。まあ、原作でも結構すぐ説明してたしこんなものなのかな?

 

「うん、思ってた通りだね。さっき、ぐんはの能力が微妙に打ち消されてたし」

 

 もちろん、嘘なんだよ。こういう嘘くらいはつかないと話が合わせられないしね。

 

「そして、私の修道服は異能の力でできている。つまりあなたの力で打ち消されたくないんだよ」

「でも、そんなことのためにわざわざ服買いに来たのか?」

「……私の修道服での異能的な要素は縫い目と刺繍にあるからね。仮にあなたの右手(能力)で私の服に触れたら私は街中で裸にされてしまうことになるわけだけど」

「ゲッ!?」

「そうなっちゃったらあなたは警備員(アンチスキル)に捕まっちゃうだろうし、私は大衆の面前で裸をさらすことになるんだよ」

「すみませんでした」

 

 わかってくれたみたいだね。

 

 実際は『歩く教会』とは別に下着は着ているから裸にはならないんだけど、それでも街中下着状態は裸とほぼ変わらないから、どちらにせよ避けたい。何より私も警備員(アンチスキル)に捕まりかねないもんね。

 

 さて、私が上条当麻についてきたのは彼にある程度絡んでおいた方がアレイスターが自分を排除する意思を薄められるかも、っていう打算的な面があるんだよ。

 

 とはいっても、アレイスターはともかく、私の計画には『幻想殺し(イマジンブレイカー)』は必要ないんだよ。

 

 魔術師との闘いに巻き込むのも悪いからできるだけ早めに離れておきたいところだね。

 

 まあ、軍覇を巻き込んでいる私の台詞じゃないけど。

 

「ところで、言っておかなくちゃいけないことがあるんだよ」

「なん……だ?」

 

 その瞬間、唐突にカーテンが落ちた。

 

 上条当麻はこっちを見て固まっており、私は現在一度試着していた服を脱いで下着姿になっている。

 

 ……うん。上条当麻といえばこういうこと(・・・・・・)が日常茶飯事だって知っていたけど、実際遭遇してしまうと戸惑うものがあるんだよ。

 

「……申しわけございませんでしたーーーーーー!」

 

 ッバっと頭を下げる上条当麻。

 

「……まあ、問題はないんだよ。今回はあなたのせいじゃないみたいだし」

 

 ある意味、上条当麻のせいだともいえるかもしれないけどね。

 

「とりあえず、回れ右してお店の外で待っていてくれると助かるかな」

「あ、ああ! ほんと悪かった!!」

 

 上条当麻が去っていく。とりあえず、私から見える範囲に人はいないみたいだし助かったんだよ。

 

 私は地面に落ちたカーテンを上のレール部分? にひっかけて即席のカーテンにして応急処置をする。

 

 

 やっぱり、上条当麻を仲間に引き入れるのはリスクが大きいと言わざるを得ないね。

 

 上条当麻と絡むといつ『歩く教会』を破壊されるのかわからなくてひやひやするからね。

 

 『幻想殺し(イマジンブレイカー)』は確かに魔術などの異能を打ち消せる、異能に対しての最大の対策になるんだよ。でも、そのために『歩く教会』の圧倒的な防御力を捨てるべきかといわれると微妙な所だね。

 

 『歩く教会』の防御力があれば『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で対処できない兵器にも最低限の対処はできるしね。

 

 もともと仲間に加えるつもりもなかったけどね。それに、今こんなことを考えていても仕方がない。

 

 さて、服も着替えたし……?

 

「あれ?」

 

 人払いの魔術がいつの間にか周囲を覆っている。

 

 魔術の形式もいつもの奴(ルーン魔術)だし、ステイルの魔術ってことで間違いはないだろうね。

 

「まずいかも」

 

 この店の前には上条当麻がいる。

 

 つまり、ステイルが私を追いかけてここに来ようとしたら、必ず上条当麻と鉢合わせることに……!

 

 その瞬間、私の耳に爆音が聞こえてきた。




 たくヲです。

 遭遇回。

 タイトルは『とあるきがえとさいじゃくがくせい』と読みます。

 インデックスと削板軍覇による友情のツープラトン。『すごい禁書目録(インデックス)ラリアット』はインデックスの足の速さに軍覇が合わせて、インデックスのラリアットの後ろから被せるように軍覇がラリアットを放つことで、『歩く教会』で軍覇の攻撃力を落とし、敵を気絶しない程度のやりすぎない程度のダメージを与えるように調整する技です。

 これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします;

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