とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す   作:たくヲ

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とある世界の憑依転生

 目覚めると路地裏だった。

 

 あれ、私まさか親に捨てられた系転生者だったの?いや、そもそも転生って普通赤ちゃんになるんじゃ……

 

「へ?」

 

 私の着ている服の袖が視界に入った。真っ白な布地に金箔の飾り。頭にはフード。横を向いてみると視界の端っこに窓ガラス映る。それは私、すなわちティーカップのような色彩の修道服を着た銀髪碧眼の少女の姿を映していた。

 

禁書目録(インデックス)?」

 

 映っていたのは、銀髪碧眼暴食シスターさんこと禁書目録(インデックス)。……まさかの憑依だった。

 

うん。とりあえず表通りに出よう。ここはなんか身の危険を感じるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 表通り。

 

 現在、私には困っていることがいくつかある。

 

 一つ目は現在は原作スタートの約一年前らしいということ。とりあえず、私の頭の中ではそういう記録がある。流石に原作まで時間がありすぎると思う。

 

 二つ目は、転生ではなく憑依、それも禁書目録(インデックス)が対象だったこと。流石に一年間も魔術結社や必要悪の教会(ネセサリウス)から逃げきる自信はあまりない。

 

 三つ目は、今私がいる場所がわからないこと。まあこれに関しては看板を見れば何とかなるよね。

 

 四つ目は、今日何を食べるのか。原作だとどうしてたんだろう?

 

 五つ目は、私の後ろの方の電柱の陰に隠れるように、黒い神父服を着た赤髪の大男……ステイル=マグヌスがこっちを見ていること。

 

 って、なんでステイルがいるのかな?まあ、私こと禁書目録(インデックス)が彼と同じ必要悪の教会(ネセサリウス)に所属しているシスターであり、禁書目録(インデックス)の記憶を奪ったのが彼らであり、十万三千冊の魔導書の知識を持つ禁書目録(インデックス)を監視しなければならないのはしょうがないことなんだろうけど。

 

 でも、いざ襲われた時のため対抗する手段を考えておこう。

 

 禁書目録(インデックス)は魔術を使えない。だから、この白い修道服『歩く教会』で体を守っている。

 

 この『歩く教会』の防御力は法王級で聖ジョージのドラゴンの一撃と同義である『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』級の魔術でもなければいかなる攻撃も無効化するらしい。だから襲われてもほとんど平気だと思う。

 

対して、今私を付けている『炎の魔術師』。ステイル=マグヌスは強力な魔術師ではあるけれど『歩く教会』を破壊できる魔術師ではなかったはずだ。

 

 ちなみに『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』を正面から受け止めたという驚異の魔術『魔女狩りの王(イノケンティウス)』に関してはあまり心配してない。そもそも、あの魔術が強力な理由は、範囲内のルーンを取り除かない限り何度でも蘇るところにあるはずだからね。同じ三千度の炎である『炎剣』で『歩く教会』を破壊できないなら大丈夫だと思う。

 

 破壊できるとしたら原作七巻で登場した天草式協力スーパー『魔女狩りの王(イノケンティウス)』を使うか、原作二十一巻の方法で三位一体にして突撃させるしかないと思うからまず問題はない。

 

 とりあえず、現在の敵はステイル=マグヌスだろうから、逃げることだけ考えよう。幸いここは大通り、流石にめったなことでは攻撃できないだろうし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人ごみに紛れてから数分後、私は……

 

「というわけで君は僕らに保護されてもらうよ」

 

 ステイル=マグヌスと会話になっていた。ステイルとの距離は8メートルくらい。

 

 ステイルの派手な魔術に注目しすぎて、地味な魔術について考えていなかったのがまずかったね……。

 

 ステイルが使った魔術は『人払い(Opila)』。確かこの時系列のステイルはルーン文字を書いた紙を大量にコピーして、その紙を大量に張ることで魔術を発動していた。

 

 なら、ルーンの効果範囲外まで逃げれば、相手は魔術を使えないはず。

 

 でもその前に一言だけステイルに言いたいことがある。

 

「とりあえず、タバコは健康に悪いから吸わない方がいいかも」

「……」

 

 ステイルは原作でも煙草を吸っていた。と言うか吸ってない場面はほとんどないヘビースモーカーだった。しかも、十四歳。未成年だし。……見た感じだとまったく十四歳には見えないけど。

 

 ステイルが煙草を投げ捨てる。原作通りならこの動きのあと炎の魔術を使ってるシーンがあったけど……。

 

「ポイ捨てはいけないと思うんだよ」

「……」

 

 その言葉を聞いたステイルに一瞬の隙ができる。その瞬間に私はステイルに向かって駆けだす。

 

「ッ!?炎よ」

 

 ステイルの右手から炎剣が現れる、って怖ッ!?ほぼ無効化できるってわかっていても流石に怖いよ!?

 

 すくみそうになる足を頑張って動かしてステイルの左手側をを走り抜ける。……ステイルの左足に私の足を引っ掛けながら。

 

 流石『歩く教会』。ステイルに接触した足にまったく痛みがない。

 

「のわっ!?」

 

 だからステイルが転倒して声を上げたけど気にしない。全力で逃げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ステイルから逃走しきった。まあ、原作の禁書目録(インデックス)も一年間逃げ延びたから、これくらいはできないとすぐ捕まっちゃうよね?

 

 ステイルが追ってこなかったのは多分、禁書目録(インデックス)の記憶を消すのは一年周期であること、単純に禁書目録(インデックス)と敵対するのがつらいからなんだろうね。

 

 敵になっている理由だって禁書目録(インデックス)の別れの辛さをやわらげたいからだったはずだから。

 

……まあ、私はそのやり方は認めないけどね。確かにその方法なら別れは辛くないかもしれない。なにせ別れる相手がいないんだから。でも、記憶を再び消すまでは、常に辛い思いをすることになる。そんなに救いがない展開を私は認めない。

 

 それはともかく、これからどうするのかを考えないとね。

 

 今、私にあるものは、『歩く教会』、ステイル魔術を解析するために捨ててあった(配置してあったとも言う)のを拾ってきたルーンの用紙5枚。

 

 うん、一気に生きられる気がしなくなったね!二日三日したら餓死するね、絶対。

 

 ほんとにどうしよう?自動販売機の下でも覗こうかな?でも、あれ日本じゃ犯罪だったよね?だとするとどうやって生きていけば……。

 

 とりあえず、最初から頭の隅にはあったけどあまり実行したくなかった手段を使うしかないね。

 

 仕方がないよ。これは本当に最後の手段にしたかったんだけど自分の命が一番大切だし。そもそも原作キャラが餓死っていう展開はシャレにならないもんね。

 

 ということで行きますか……ローマ正教系の教会に。




 『あるくきょうかい』を『歩く教会』に変換しようとすると『歩く協会』になってしまいどうしようかと考えている作者のたくヲです。

 いきなり戦闘?回。

 チートのタグが付いていますが、チートになるのは結構あとです。

 これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。

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