黒妻綿流を利徳のスキルアウトに引き入れた翌日。
8時半という少し遅い時間に私は朝食を食べていた。まあ、御坂美琴と鉢合わせしないためには仕方がないんだけど。
パンを食べながら昨日のことを考える。
私は黒妻綿流というキャラクターを忘れていた。しかし、黒妻本人を見た時、そういうキャラクターがいることを思いだすことができた。
このことから、完全記憶能力を持っていない普通の脳のように、忘れていたと思っていた記憶は脳の奥底に眠っていて、忘れていた対象を直接見たことで思いだすことができた、ということがわかるんだよ。
問題は脳の奥底に眠っている記憶の内容とその量を私自身は自覚できていないことだね。
今のままだと、私が何か原作について忘れていたとしても、それを忘れていたことに気づくために原作に近いシーンを直接
じゃあどんな法則をもって忘れているのか、について考えようかな。
とはいっても私の原作知識喪失についての前例は『一方通行の実験の開始時期』と『黒妻綿流というキャラクターについて』の所二つしかないんだよ。
『一方通行の実験の開始時期』についての考えると、おかしなところが二つあるんだよ。
一つは実験の存在そのものについての原作知識は消えていなかったこと。実験そのものは私の記憶にあったし、
もう一つは実験の開始時期の大体の時期をどうして私が知っていたのかということ。そもそも原作『禁書目録』『新約』『アニメ超電磁砲一期』で一方通行の実験の始まった時間と実験番号が表記されたのは、ミサカ10031号と
でも、私はミサカ6022号の死体を見た時にどれくらいの時期に実験を始めたのかを思いだした。じゃあ、私には原作『禁書目録』と『新約』と『アニメ超電磁砲一期』以外の原作知識があった可能性があるんだよ。さらに付け加えるなら『禁書目録』のアニメとそのホームページは一期二期ともに見ていたはずなんだよ。はずっていうのはもう一方の前例のせいで自信がないからだね。
『黒妻綿流というキャラクターについて』もおかしなことがあるんだよ。
それは黒妻綿流というキャラクターが『アニメ超電磁砲一期』に登場していたということ。
私は『アニメ超電磁砲一期』は全話見たことがある。つまり、それに出ていた黒妻綿流について知っていないことがおかしいんだよ。
『アニメ超電磁砲一期』の内容は『
とここまで考えたのはいいけど、やっぱりが法則を掴むための前例が足りないね。もう少し情報が必要かも。
「考え事している所悪いんだけどなー」
「どうしたのかな? まいか? 私はまだ食事中だからどくのは無理なんだよ」
いつの間にか隣に土御門舞夏が座っていたんだよ。
「それは見ればわかるんだけどなー。そんな大量のパンとジャムの大量消費はどうかと思うぞー」
「だってこのパンとジャムがおいしいのが悪いんだよ」
「あたり前だろー。なにせ、この私の手作りだからなー」
私はその言葉を聞きながら、13個目のパンにジャムを縫って口に運ぶ。
「なるほど。相変わらずすごいね」
さて、あと二つほど食べたら出かけようかな。
常盤台中学の学生寮を出た、私が行こうとしたのは
理由は、昨日のカエルのお医者さんとの話について相談するためなんだよ。
クローンである
こういう問題に関しては私一人じゃ答えは出そうにないからね。
でも、そこに向かう必要はたった今なくなってしまった。
「誘拐?」
「……違ェよ」
まさか、途中で一方通行とばったり会うなんて想像してなかったんだよ。
「あなたはミサカ達を助けてくれた人だよねって、ミサカはミサカは確認してみたり」
しかも、わけがわからないことにミサカ20001号、通称『
この場における二つの問題は、原作で8月に登場する彼女がどうしてここにいるのかということ、外見小学生の女の子を一方通行が連れていることなんだけど。
「一方通行。あなたがこんな人だったなんて思わなかったんだよ!」
「だから、違ェって言ってんだろうが!」
「あれ、もしかして私のことは無視なの、ってミサカはミサカは涙目になってみたり」
なんかよくわからないことになりそうだから、からかうのは止めにしようかな。
「まあ、冗談はここまでにして。どうして毛布一枚の女の子を外に連れまわしているのかな?」
「勘違いすンじゃねェ。連れまわしてるンじゃなくて、ついてきてるだけだ」
「やっとミサカのことが話題の中心になったよバンザーイ、ってミサカはミサカは片手を大きく振り上げてみたり」
そう言った
纏っている毛布は左手で押さえているとはいっても非常に危うい物があるね。服を仕入れる必要があるかも。
「とりあえずご飯の前に服屋にゴーなんだよ」
「あァ? なンでそンなとこに俺が」
「このままそこの彼女がついてきたとして、少女誘拐犯と間違われて余計な争いが起こるのは好ましくないんだよ」
私が歩き始めると渋々といった感じで一方通行が、笑顔で
「で、あなたはだれ?」
とりあえず聞いておかないと不審に思われそうだし、聞いておかないとね。
「ミサカのシリアルナンバーは20001号で
本来、彼女が作られたのはもっと後になるはずだけど……描写がなかっただけで『
「じゃあ、
「なんでか製造途中で実験所から放り出されちゃってとりあえず実験の関係者の一方通行を頼ることにしたのだ、ってミサカはミサカは自分の境遇を説明してみる」
この感じだと、一方通行に出会うまでの経緯は原作通りとみていいかも。
「となると実験所に早くいかないといけないかも。一方通行。心当たりはない?」
「あァ。一つだけある」
「じゃあ早く服買って実験所に向かうんだよ」
「その前にご飯が食べたいな、ってミサカはミサカはかわいくお願いしてみたり」
これは
近くに会った店で
随分と早い時間から開いているものだと思うけれど、学園都市だから仕方がないんだよ。
「「いただきます」」
私と
一方通行は無言でステーキを食べ始める。
「朝からステーキっていうのはお腹は大丈夫なの?」
「朝からパフェ食ってる奴に言われたくわねェなァ」
「まあ、デザートは別腹だからね」
別にお腹がすいたわけではないけど、二人が食べてるのに自分は食べていないのは少しさびしかったからね。
「さて、どう思うのかな? 一方通行」
「あン? 何のことだ?」
「
原作では天井亜雄という科学者が
なら今の
「どうして研究者たちは
「……誰かが逃がしたってのか?」
「もしくは、
食べ続けている
「
なら
「残念だけど気が付いたときには研究所の外にいたからミサカネットワークにも記憶は残ってないの、ってミサカはミサカは悲しいお知らせをしてみる」
「なら研究所に行くしかないね」
話しているうちに抹茶パフェは食べつくしてしまったんだよ。
「じゃあ、もう一つ頼もうかな」
「あ、ミサカがそれ押したい! ってミサカはミサ……」
そこまで言ったところで、
一方通行はそれを見て動きを一瞬だけ止める。
「……一方通行。あなたが食べているソレ全部頂戴」
「あァ? なンで……」
「のんびり食べている場合じゃなくなったみたいだからね」
そう、のんびりしている場合じゃない。
「
「あんまりよくないかも、ってミサカはミサカは曖昧な返事を返してみる」
「残ったご飯もらうけど」
「……いいよ、ってミサカはミサカは許可してみたり」
「一方通行。1分だけ待ってね。全部食べちゃうから」
たくヲです。
新キャラとご飯を残さないインデックスさん回。
これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。