あの後、私は
第七学区の病院につれて行ったのは、カエルのお医者さんを頼るため。
診断の結果、
何より、『
実験は
実際は、アレイスターのプランに
問題は
まあカエルのお医者さんと知り合うこともできたしプラスマイナスゼロってやつだね
そして、もう3月になってしまったんだよ。これは7月28日に記憶を消されてしまう、
記憶が消えると言えば、不自然に忘れていた記憶があったね。
『
今の私には『完全記憶能力』があるから大半のことを忘れることはできないはず。なのに、消えていた記憶。
その原因について私がたてた仮説がいくつかあるんだよ。
一つ目は私自身の勘違い。これは憑依転生ではなく、転生だったという説。
私は原作の1年前のインデックスに憑依していたと思っていたけど、実際はこの世界にインデックスとして私が生まれていた。そして前世の記憶というものはこの世界の『記憶消去魔術』で消せるものではなかったから『前世の記憶』と『十万三千冊の魔導書の中身』だけを残して、この世界での記憶はすべて消されていたため私は憑依転生だと勘違いしていた
でもこの説は限りなく低い。これだと『
それに前世の記憶を魔術で消せなくても、見ることくらいはできそうだし、この世界の未来を知ってる私に魔導書図書館の役割をイギリス清教のトップが押し付けるわけがないからね。
二つ目はやっぱり憑依転生だったけど、時期だけが違ったという説。
私がインデックスに憑依したのは原作の1年前だと思っていたけど、実際はもっと前。ただし魔導書図書館の役割を押し付けられた後に憑依した。その状態なら頭の中の『十万三千冊の魔導書の中身』を警戒して私の頭の中を魔術で覗くことはないはず。
でも、これも一つ問題点があるんだよ。それは消えた記憶の説明がつかないってことだね。
三つ目は私がうすぼんやりとしか『実験』の開始時期を覚えていなかったから、という説。
実をいうと私は原作を新約7巻(当時出ていた最新刊)までしかもっていなかったからその後のことは知らないんだよ。しかもスピンオフの『超電磁砲』に関しては漫画を一巻も持ってなかった。アニメは全部見たんだけどね。二期放送の噂があったけど見る前に死んでしまって残念だったんだよ。
話がそれたけど、原作において『実験』の始まった明確な日付が明かされたことはなかったから、そのせいで私自身の記憶が曖昧になっていた。そして完全記憶能力を得た時にはうすぼんやりとしかその記憶は残ってなかった。でも、『ミサカ6022号の遺体』を見たショックでそれを思いだした。というもの。
可能性としては低くないと思うんだよ。
四つ目は『実験』のことを忘れないようにした行動が裏目にでた説。
二つ目の説のように、魔導書図書館の役割を押し付けられた後のインデックスに憑依した私がぼんやりした『実験』の記憶を思い出すために紙か何かに書きだしていった。そのおかげで思いだすことはできたものの書きだしたせいで完全記憶能力によって『実験』については上書きで記憶されてしまった。そして、その年の記憶消去によって『実験』についての上書きされた記憶は完全に消失。残ったのは上書きされる前の『実験』に関する記憶が僅かだけだった。というもの。
これはある程度、可能性はあるんじゃないかな。まあ三つ目の方が可能性はありそうだけど。
いくつか仮説を挙げていったけど、あくまで今までのは私の想像、空想、妄想に過ぎない少なくとも今の私にはその理由を探ることっはできないしね。
問題は消えている記憶が他にもあるかもしれないってことかな? 何も覚えてなかったら記憶喪失ってことで分かりやすいんだけど、こう一部だけ消えられるとわかりづらくていやだね。まあ、実際は全部消えた方がつらいんだろうけどね。
「何を考え事してんだよ、インデックス」
「うん? なんだ、はんぞうか」
「なんだとはなんだ」
私がいたのは学園都市第七学区の公園。その私に話しかけてきたのは半蔵だった。その横には浜面仕上もいるんだよ。
なんだ、とは言ったものの接近には気づいてたよ。このベンチはこの公園の中でも一番開けたところにあるからね。襲撃の危険を考慮しても最高の場所だと思うんだよ。まあ、平日の昼間だし人通りは少ないんだけどね。
「冗談なんだよ。それで、二人ともどうしたの?」
「いや、見つけたから声かけただけだ」
「つーかインデックスこそ、こんなとこでなにやってんだ?」
「もちろん、考え事をしながらのひなたぼっこだよ」
『歩く教会』という魔術は不思議なもので、強力な熱は通さないのに、こういう心地よい温かさは通すんだよね。
「おいおい、インデックス! お前ひなたぼっこなんてキャラかよ」
「外見はともかく。喧嘩じゃ引くほど強いお前がひなたぼっことかさー」
「む。それは聞き捨てならないんだよ」
引くほど強いと言っても私のはあくまで『歩く教会』に頼った戦い方だからね。素の状態なら二人よりも弱いに決まってるんだよ。
「だってお前の戦い方プロレス系だけどさ」
「基本的にデスマッチじゃん」
「うっ……」
「でも周りの奴らが引くような攻撃をしつつ、絶対相手が大怪我しないようにしてるけどな」
「そのことに気付いてない俺たちとなぐり合ってるやつらの目線がお前に対する恐怖に途中から変わってるし」
「うぐぐ……でも、それとこれとは話が別なんだよ! そうこんな晴れた春の日に、こんな日当たりのいいところにあるベンチに座ってたら、大体の人は気持ちよくなれる。春のひなたぼっこはそういうものなんだよ!」
真剣なことを考えていたはずなのに、うっかり寝てしまいそうな魔力が春のひなたぼっこにはあると思うんだよ。
「うっそでー」
「嘘だと思うんならこのベンチに座ってみるといいんだよ! そして春の陽気の持つ魔力を思い知るといいかも!」
「いや、ホント悪かった」
「ああ、これはマジだわ」
数十秒後、私の目の前には完全に気が抜けてる二人の姿が!
「ふっふっふ。はんぞうもしあげも思い知ったみたいなんだよ」
何とも言えない達成感が私にこみ上げてくる。春のひなたぼっこは気持ちがいいっていう当たり前の事を教えただけなのに、中途半端に難しいゲームをクリアした時のようなすがすがしさがあるんだよ。
しかし浜面仕上を下の名前だけで呼ぶと違和感がすごいんだよ。
半蔵の電話の着信音が聞こえる。半蔵は携帯電話を取り出しその画面を見ると少し真面目な顔になって半蔵は立ち上がる。
「さて、しばらくここにいたいのはやまやまなんだが、ちょっと用事を思いだしたんでちょっと行ってくる」
ふむ、この感じはおそらく彼女かな?
「おう、俺はしばらくここにのこるよ」
仕上はここに残るみたいだね。
半蔵が視界から消えてから、少しするとがさがさと10メートルくらい離れたところにある木が揺れた。
「!?」
「やっぱりなんだよ」
とりあえず、私はその木に向かって全力でタックルをする。『歩く教会』のおかげで反動で私の身体は傷つかないから思いっきりぶつかれるんだよ。
「ちょっ!? わわわ!?」
上の方から驚いたような声が聞こえたので、すかさず見上げつつ声の真下に移動する。
その瞬間、木から女の子が落ちてきた。
私は『歩く教会』の防御力を利用して女の子をお姫様抱っこの態勢でキャッチする。
「よっと。怪我はない? くるわちゃん」
「へ? あ、はい。大丈夫です」
私は振ってきた黄色ミニ浴衣をきた女の子……郭ちゃんを地面におろす。
「あいつ自分より体の大きい女の子をキャッチしやがった……どんなパワーしてんだ?」
後ろから勘違いした仕上の声が聞こえるけど、ここはスルーで。
この女の子は郭ちゃん。非常に露出が多い黄色浴衣ファッションの女の子であり、原作通りなら半蔵を追ってきたSHINOBIソルジャーだね。
ちなみに私やスキルアウトのみんなは『半蔵を探している』ってことしか教えてもらってないんだよ。
「って! 落としたのはあなたじゃないですか!」
「こんな小さな女の子の体当たりで木から人が落ちてくるほど木が揺れるわけがないんだよ」
「うっ……」
この程度で落下するようじゃ、郭ちゃんの忍者としての将来が心配なんだよ。
少し落ち込んだような表情を浮かべていた郭ちゃんは何かを思いだしたように言う。
「そんなことより、半蔵様がどこに行ったか知りませんか?」
「えーと郭ちゃん、だっけ? 半蔵のヤツならついさっきまで一緒にいたんだけど、用事があるとかでどっか行っちまった」
「どこに行ったのかは聞いてないんだよ」
「くう、やっぱり感づかれましたか」
半蔵は用事を思いだしたって言ってたけど、やっぱり郭ちゃんの接近に気づいていたんだね。
「つーか、なんでお前は半蔵を探してんだ?」
「……秘密です」
「あれだよ。きっと、はんぞうはジャパニーズニンジャで、くるわちゃんはそれを追ってきたクノイチなんだよ」
さらっと、ばらしてみよう。原作の仕上は2ヶ月くらい後に時期に半蔵の正体を聞いていたけど、この時期は早まっても問題ないよね。私の転生で何かが変わっているかもしれないけど。
「んな馬鹿な……」
「そっ、そそそそうですよ!」
郭ちゃんがものすごく動揺してる……。
「だとしたら、なにか? 半蔵の名字が実は服部だったりすんのか?」
「だったらおもしろいんだけどね。そう考えてみるとはんぞうの戦い方ってニンジャっぽいきがするんだよ」
「死角から一撃とかが基本だからなあ、あいつ。あれ? 半蔵忍者説が現実味を帯びてきてないか?」
「あはは、まさか私なんかの戯言で探れるほどニンジャの世界は甘くないと……」
「そ、そこまでです!」
郭ちゃんが割り込んできた。
「そ、そこまで知られてしまった以上、生きて帰すわけにはいきません……」
「うそぉ!?」
「待っててください。私の秘密兵器で終わらせてあげます」
これで半蔵忍者説は証明された感じかな?
浴衣の袖から取り出した拳銃をこっちにむけて郭ちゃんは叫ぶ。
「お二人ともお覚悟をおおおおおおおおおお!!」
「えー」
「あーあ。まったく、くるわちゃんは」
「あれ?」
思っていたような反応と違ったのか、郭ちゃんは目を丸くする。
「しあげはどう思う? このくるわちゃんの行動」
「がっかりだ……」
「だよねー。どうせならニンジュツとかニンポーとかシュリケンとか出してほしかったんだよ」
「え? え?」
「まったくだよ。どうせ消されるなら忍術とかで派手にやって欲しかったんだ! どうしてそんな他のヤツでも使えるような武器をつかってるんだよ! 人の夢を壊すんじゃねえ」
「拳銃使うんならニンジャである必要ないし、わざわざニンジャに持たせるものでもないかも。もっとニンジャらしい物が見たかったんだよ」
私と仕上の言葉によってだんだん涙目になっていく郭ちゃん。かわいい。
「もう行こう、しあげ。河原で夕日を見て傷ついた心を癒すんだよ」
「まだ昼間だけどな……」
「まだお昼ご飯食べてないから、おごってくれるとうれしいな!」
「それが目的か!?」
「冗談だよ。しあげの作ってくれた偽装身分証のおかげでバイト代はあるからね」
「ちょ、ちょっと待ったああああああああああ!!」
背を向けて歩き出した私たちに郭ちゃんが叫ぶ。
「どうしたのかな? 私たちはこれからおいしい物を食べて、夕日を見て、心の傷を癒すんだよ」
見てみると、もう拳銃はしまっているみたいだね。
「と、特別に私の忍法を見せてあげます!」
「真っ先に拳銃に頼ったニンジャが何を言ってるのかな?」
「ほんとです! だからそんな憐れむような目をやめてください!」
ふむ、仕方ないね。
「じゃあ、とりあえず、浜面氏はこっちに。インデックス氏はここで待っていてください」
郭ちゃんは小さな森みたいになってるところに歩いていく。仕上がそれについていく。
とりあえず、待つふりをしてついて行ってみようかな。
「で、なんで、こんなとこに移動したんだ? 忍法の秘密を守るためとかあんの?」
「それもありますけど、あんな開けた所じゃはずかしいですし」
く、郭ちゃんが脱いだ! わかってたけど。黄色のミニ浴衣が地面に落ちる。浜面は思わず目を覆ったけど、たぶんしっかり隙間から見てるはず。
それにしても、流石はくノ一。色仕掛けは基本ってことかな?
大方、今のところ彼女いない歴=年齢であろう仕上を先に仕留めてから、私を撒くか倒すかしようと思ったんだろうね。
おそらく郭ちゃんは私の戦う場面を見てないから仕方がないとはいっても、なめられたものだね。
あ、隙だらけの仕上が殴られて倒れた。
とりあえずとどめを刺されても嫌だから飛び出そうかな? 仕上は原作でもほぼ同じ状況になってたけどづやって生き延びたんだろうね?
「そこまでなんだよ!」
木陰から飛び出して郭ちゃんに向かって走る。拳銃は浴衣といっしょに地面にあるから拾えないはずなんだよ。
「ッ!」
私に気付いた郭ちゃんの手はすでに地面の浴衣に伸びている。ここは……。
「
サッカーボールを蹴るように郭ちゃんの手を蹴り飛ばす。郭ちゃんが掴みかけていた拳銃がその勢いで浴衣ごと飛んでいった。
一瞬怯んだ郭ちゃんをそのままの勢いで押し倒す。身動きが取れないように両腕を掴み、胸のあたりにまたがった。
「なにしてたのかな、くるわちゃん?」
「え、えっとそれは」
あれだね。動揺が透けて見えるね。もともとそんな感じだけど。
「こんな森の中で下着姿で……変態さん?」
「ち、違います!」
「安心して。私はくるわちゃんがどんな趣味を持っていようと嫌いになったりしないんだよ……」
「だから違いますって!」
「でも、我慢できなくなったからって、男の人を気絶させておいて服を脱ぐのはやめた方がいいかも」
「あうう」
これで反論できないはずなんだよ。
「……そうです!」
「あ、自分が変態だと認めるんだね」
「だから、違うっていってるじゃないですか! 浜面氏が二人きりになった途端襲いかかってきたんです!」
「それは嘘。浜面は私と二人きりでも襲ってこないような人だもん」
何より一部始終見てたし。
「それはインデックス氏の身体に魅力が……」
「へえ」
なかなかいい度胸かも。
「今の状況がわかってないようだね」
「あ、やば」
「本当に私の身体に魅力がないか……試してみる?」
その後、『歩く教会』の防御力に任せて郭ちゃんをひっくり返してうつぶせにし、
まじめな話、もうちょっとアレな技をかけてもよかったんだけど、ギャラリーがいなかったから使う意味も薄そうだったからやめておいたんだよ。
操祈にやってるおしおきみたいなのは、利徳が嫌いそうだから外ではできないしね。合意の上ならともかく。
「……うう、ここは?」
「あ、目が覚めたんだね」
仕上が目覚めたみたいだね。意外と早かったかも。
「えっと何があったんだ?」
記憶喪失かも? これはあることないこと吹き込んで。
「そ、そうでした。お二人に伝えねばならないことがあるのでした」
うん? 郭ちゃんそんなに慌ててどうしたのかな?
せっかく仕上に記憶がないのに私に再びニンジャについて吹き込まれても困ると思ったのかも?
「ここだけの話しなんですけど、模範囚とかで捕まっていたスキルアウトが出てきたみたいですよ。結構、強いらしいですよ」
「初耳だな」
「で、名前とかはわかってるのかな?」
まあ、わざわざニンジャの郭ちゃんがわざわざ仕入れたほどの情報なんだから、それなりに有名な人だと思うけど。
「それがですね。
……だれ?
たくヲです。
忍者回。
タイトルは『とあるふりょうとニンジャソルジャー』と読みます。
これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。