女の子の死体を目撃して生まれた少しの吐き気を抑えソレを見る。
その死体が着ているのは常盤台中学の制服。常盤台の女子寮に居候している私にとってはもう見慣れた制服は血で真っ赤に染まっている。赤くないところの方が珍しいほどに。
死体には頭部と右腕がなかった。だからこの死体が誰なのか特定はできそうにないかも。
けれど、
「……なんで忘れてたんだろう」
おそらく、この女の子は……。
「回収地点に一般人を発見しました、とミサカは驚愕します」
後ろから声。
振り向くとそこには
「こういう場合はどうすればよいのでしょうか、とミサカは他の個体に確認を行います」
「やはり口封じを行うのが適切では? とミサカは気の進まない提案します」
「ですが、この場で見たことを外で言いふらしたところで信じる人は皆無でしょう、とミサカは自信ありげに断言します」
「それならば早く回収作業を始めるべきでしょう、とミサカは本来の目的を口にします」
常盤台中学校の制服を着た、学園都市第三位の
「あなた達は……御坂美琴の
「知っているのですか? とミサカは発見した人物に対しての認識を改めます」
どうやら彼女達は、学園都市第三位の
おそらく彼女たちは今、私が学園都市に入った初日に出会ったあの超能力者、
私の原作知識にもある、『
『
もちろん御坂美琴を用意することはできないので、そのかわりとして、『2万人の
「念のため符丁の確認をとります、とミサカは返答を待たずに実行します。ZXC741ASD852QWE963、とミサカは試験官気分を味わいます」
もちろん私が符丁とやらを知っているわけもないんだよ。
他の
「なるほど、貴方は実験の直接的な関係者ではないようですね、とミサカは一人納得します」
「勘違いさせちゃってごめんね。ところで、その子は何番目のミサカなのかな?」
とりあえず
「そんなことを知ってどうするのですか? とミサカはあなたに率直な疑問を投げかけます」
「うーん。特に理由があるわけじゃないんだけどね。ただ私が知りたいって思っただけだもん」
「……そうですか、とミサカは無理やり自分を納得させます」
「あのミサカは
私と話していない
「じゃあ、6023号はここにいるのかな?」
「6023号はこのミサカです、とミサカは自身を指差します」
死体の入った袋を肩に担いだミサカがこっちを見て言う。
なるほど、つまり次の実験はこの子が……。
「聞きたいことはそれだけですか? とミサカは問いかけます」
「うん。時間を取らせてごめんね」
私の言葉を聞いた
彼女達の後ろ姿を見ながら、私は懐から単語帳を取り出し、その中の1ページを口で咥えて金属のリングからちぎりとった。
大通りを歩きながら私は考える。
終わったことに後悔しても始まらないとはいっても、原作の知識で実験を知ってた私が実験を止めに動けてなかったっていうのはすごく辛い。その間、自分のことだけ考えて平和を享受し続けてたのも、追い打ちかも。
こんな、私にできるのは、今からでも実験を止めることだけ。
別に私が動かなくても夏休みに主人公である上条当麻あたりが実験を止めてくれるだろうけど……あんなかわいい女の子たちが死ぬのを黙って見過ごしたくもないしね。
問題はどうやって止めるか、だね。
そもそも、原作でこの実験を止めるための手段はいくつか提示されていた。
一つ目。学園都市最強の超能力者である
二つ目。そもそも、この実験は『
三つ目、研究の柱である
実は意外と多いように思えるけど、三つとも私がこなすことはできないんだよ。
一つ目に関しては
二つ目は御坂美琴がまだ『
三つ目は一つ目に似ていて
唯一可能性があるのは、
というか、
とはいっても手はないわけじゃないかも。三つ目の作戦に限りなく近い、平和的な解決法が一つあるんだよ。
と、時間的にそろそろ行った方がいいかも。
たくヲです。
平和から一変回。
これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。