とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す   作:たくヲ

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とある日常の禁書目録

 利徳と横須賀の決闘以降は刺激的かつ平和な日々だったと言っていいかも。

 

 あった事件といえば、どこかの魔術結社の魔術師の襲撃が1件。

 

 魔術師ステイル=マグヌスを目撃が1件。

 

 不良の襲撃が3件。

 

 利徳and横須賀VS軍覇が1件。

 

 御坂美琴が不良たちをビリビリしているのを目撃したのが5件。

 

 ……今から思い返すとなかなか多いかも。

 

 炎の魔術師ステイル=マグヌスを目撃したのは12月の中旬。私を尾行していたのを発見したんだけど、手を出してくる気配はない。まあ、転生当初の襲撃はステイルが禁書目録()の敵であることを印象付けさせるためだろうし、当然と言えば当然だけど。

 

 

 魔術結社の襲撃は人払いがされていない大通りまで、『歩く教会』攻撃を防ぎつつ逃走したらもう追ってこなかった。まあイギリス清教の見張り役(ステイル=マグヌス)に焼かれたんだろうとは思う。

 

 

 不良の襲撃は……まあ『歩く教会』の防御力もあって返り討ちだったんだよ。不良たちの目的は、1回目が私が駒場利徳の友人だからで、2回目と3回目は私が横須賀の友人だからだった。尋問したわけでもなんでもないから詳しいことはわかんないけど、襲ってきたときにそんなことを言ってたから、多分あってると思うんだよ。

 

 

 そして利徳and横須賀VS軍覇。利徳と横須賀が二人がかりでレベル5削板軍覇に挑んだのは特に理由があったわけではなかったんだよ。単純に無能力者(レベル0)超能力者(レベル5)との間にある大きな溝を埋めるためには、喧嘩っていう形でけじめをつける必要があったからやっただけ。

 

 その結果は言うまでもなく軍覇の圧勝だった。でも、軍覇の『すごいパーンチ』を横須賀が12発、利徳は13発耐えきった。横須賀が12発目を受け「ビブルチ」と叫びながら吹き飛ばされ、利徳が13発目を受け立ったまま気絶という何とも劇的な幕切れとなったんだよ。

 

 それだけの攻撃を受けながらも横須賀は3回、利徳は2回軍覇に対して拳を叩き込んでいたあたり流石といったところだね。二人とも知り合ってから、やけに根性入れて鍛えていたから当然といったところだろうけど。……明らかに原作よりも横須賀の耐久力が高い気がするのもきっと根性の力だろう。

 

 その結果、無能力者(レベル0)超能力者(レベル5)の間には友情が芽生え、私も含めた4人で軍覇のおごりで寿司を食べたんだよ。

 

 

 御坂美琴が不良少年をビリビリしていたのは特に語ることはないかも。不良にナンパされた女性を助けていただけだね。お礼言われていたし。

 

 ……思い返してみると色々あったんだね。

 

 

 年明けののんびりとした時期が過ぎ去った1月のある日。私は適当に外を歩いていた。

 

「よお、久しぶりだな」

「あ!はんぞう。確かになんか久しぶりな気がするんだよ」

 

 すると利徳の部下であるスキルアウトの半蔵とエンカウントしたんだよ。

 

 久しぶりといっても1週間か2週間程度だと思うんだけど不思議な話だね。

 

 半蔵は仲間のスキルアウトを8人ほど引き連れている。男5人に女3人。

 

 私は利徳や横須賀の部下のスキルアウト達とはある程度の交流はある。けど、そんな私が知らない人が1人、半蔵が引き連れていた中に含まれていた。

 

 半蔵の横に立っている今日初対面になる、髪を金色に染めた男が言う。

 

「おい、半蔵。こいつは?」

 

 口を開こうとした半蔵を遮るように私は言う。

 

「ああ、こいつは」

「初めまして。私の名前は禁書目録(インデックス)

「……」

 

 半蔵が黙ってしまった。ほんの出来心だったけど申しわけないと思うんだよ。

 

「い、インデックス?」

「うん、禁書目録(インデックス)

「そ、そうか。俺は浜面。浜面仕上だ」

 

 浜面仕上といえば、原作でもこの時期に鍵開け(ピッキング)の技術を買われて利徳の仲間になったスキルアウトだね。

 

「よろしくね。それで、はんぞう。一体何をしてるの?」

「いや、ちょっとATMの配置を見にな」

「ふむ……ちょっとみんなこっち来ようか?」

 

 どうやら半蔵たちはATM泥棒を計画していたらしい。友達として悪に走る友達を見捨てるわけにはいかないもんね。

 

 

 

 

 近くの公園で話を聞いたところ、本気でATM泥棒を計画していたらしい。

 

「でも、そんなことしちゃダメだと思うんだよ」

「じゃあ、どうしろっていうんだ?」

「まっとうに働いた方がいいんじゃないかな?」

 

 学園都市は学生が八割を占める都市だ。

 

 だから、学生の社会勉強のためにという名目で、バイトを募集している所も少なくはないんだよ。

 

「そんなこと言っても、俺らの学生証は学校にまったく行ってねえからほとんど機能してないぞ。それにこんな外見じゃ……」

「じゃ、身分証明書を偽装するとか」

 

 泥棒は駄目なのに身分偽装はいいんだな、というスキルアウトの一人の呟きはスルーするんだよ。

 

「んな難しいこと」

「俺できるぜ」

「なに!?」

 

 浜面が手をあげる。原作でも身分証明書偽装はやってたけど、この技術はもう持ってるんだね。

 

「それじゃあ、あとは外見だね」

「んなこと言ったって、そればっかりはどうしようもねえだろ」

「いやそんなことはないんだよ。百合華ちゃんちょっとおいで」

 

 半蔵が連れていたスキルアウトの女の子、百合華ちゃんを呼ぶ。

 

 彼女はよく言えばスリム、悪く言えば痩せすぎな女の子なんだよ。健康に気を使ってないのか、目の下にはクマができてるし顔は青白い。二人っきりの時に襲われたけど、簡単に返り討ちにできたし、たった三回で気絶しちゃったから、実際不健康なんだろうね。まあ、そこがかわいいところでもあるんだけど。

 

「う、うん」

 

 百合華ちゃんが頬をちょっと赤くしてこっちにくる。

 

 さて、始めようかな。

 

 

 

 

 

 終わりっと。

 

「さあ、生まれ変わったあなたを見せてあげるんだよ!」

 

 百合華ちゃんを身体をぐるりと回して、半蔵たちの方に向ける。

 

「おお!」

「へえ、化粧で女は変わるっていうが本当なんだな」

 

 ちょっと、失礼な声が聞こえた気がするけど、まあ無視するんだよ。

 

 私がやったのは目の下のクマを消してある程度消したり、顔色をよくしたりしただけなんだよ。痩せてるのはどうしようもないけど、どこかのお嬢様に見えなくもないレベルにはなった。

 

 化粧品は操祈が買ってくれてたからね。別に頼んだわけじゃないんだけど、くれるっていうならありがたく使わせてもらわないと。

 

 ちなみに、結構安い物なんだけど、学園都市効果なのかやけにいい物だったりするんだよ。

 

「さて、とりあえず私のメイク術で女性メンバーは、さらに綺麗、もしくはかわいくなってもらうんだよ」

「って、ちょっと待て、俺たち男メンバーはどうするんだ」

「髪型を変えたらいいと思うんんだよ」

「……ああ! その手があったか!」

 

 髪型を変えることを今まで思いつかなかったことにびっくりなんだよ。

 

「さあ、この作戦を持ってりとくに直談判するんだよ!」

 

 

 

 

 結果として利徳はあっさりとこの作戦を受け入れてくれた。捕まる危険を冒してまでATM泥棒に踏み切る必要はないと思ったんだろうね。

 

 多くないとはいえ、女性メンバー全員にメイク術を伝授するのは骨が折れたけど、まあやりがいのある仕事だった。一人一人に会ったメイクを教えなきゃいけないからね。

 

 なんで、メイク関連に詳しいのかって言われたら前世でそういう本を読み漁ったからとしか言えない。

 

 一通り教え終わって、常盤台の女子寮に向かう。

 

 スキルアウトのみんなは仕事を手に入れられるだろうか。リーダーが利徳である以上いかがわしい店に面接に行くことはないだろうから、まあ安心だけど。

 

 利徳はとりあえず学園都市スキルアウト統一を計画しているらしい。能力者に立ち向かうためには数と装備が必要だからその下準備みたいだね。

 

 あの浜面は原作のように強くなれるんだろうか?

 

 そんな事を考えながらてくてく歩いていく。

 

「あれ?」

 

 ぼんやりと考え事をしていたせいか人通りのない路地裏に入ってきてしまったらしい。

 

 ここなら突っ切った方が早いかも。そう思った私は一本道の路地裏をてくてくと歩き出す。歩き出してしまった。

 

 道に従って右に曲がる。

 

「……え?」

 

 そこでは……女の子が一人死んでいた。

 

 




 たくヲです。

 オリキャラである百合華ちゃんですが一応原作ssで、ビルの窓から結標淡希を弓で狙撃しようとした痩せぎすの女、と同一人物だったりします。今後、登場の予定はなし。

 これからも『とある主要人物に憑依して最強の魔術師を目指す』をよろしくお願いします。

 

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