ゼロの使い魔 虚無の騎士   作:へタレイヴン

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前話、白蜘蛛姫様の名前、感想を見て、クラーンに変更。喜ぶ白蜘蛛姫様を思い浮かべて、悶えました。なにこれ超かわいい。
伯爵を公爵に訂正。誤字報告ありがとうございます

本文・グダグダ&戦闘描写が下手すぎて泣きそう。某偽王みたいに、文才吸い取りたい


里帰り編 4羽 森と騎士とデーモンと

濃霧に覆われた深い森の中。本来ならば、静寂に包まれているであろう森の中に響くのは、怒声、悲鳴、剣撃の音。

 

「隊長、まだ来ます!!」

「畜生、なんなんだこいつら!!倒しても倒して沸いてきやがる!!」

「陣形を崩さないで!防御を第一に考え、突出しすぎないように!!」

 

円陣を組んだ兵士達の真ん中で、エレオノールはその透き通る声で指示を出していた。その指示に従い、護衛の兵士達は盾を構えて、次々と襲い掛かってくる敵--剣を携えた骸骨--の攻撃を防ぎ、時には攻撃をして撃破していた。

なぜ、こんな事になったのか……エレオノールは奥歯を、ギリッと噛み締めながら杖を振るい、石礫で骸骨の頭蓋を粉砕する。

当初は、不審な噂の流れる森の調査。盗賊が居た場合は、討伐。最初は、その程度の認識しかしていなかった。相談してきた村の長も、そうに違いない。

案内役を任せられた青年、オストもそうだった。最初こそ、こんな大人数で……と思ったが、なるほど。領主である公爵家の令嬢が一緒ならば納得できた。

兵士10人とメイジ3人。この位の戦力があれば、ちょっとした盗賊如き、相手にすらならないだろう……と。しかし、その認識は甘かった。

いざ、森にはいろうとすれば、何故か馬が怯えて入ろうとせず、こうして徒歩で森の中を探索。しかし、奥に進めば進むほど霧は深くなり、今では自分達の周囲しか見る事が出来なかった。

どうしたものかと、エレオノールが兵士長と、相談しようとした矢先、地面から骸骨が湧き出てきて、襲い掛かってきたのだ。

応戦する兵士達の中、オストも持ってきて弓やシミターを駆使して、骸骨と戦いを繰り広げる。若くして、村では一番の狩人であり、狙いをつけた獲物は確実に仕留めるほどの弓の名手。まるで、鷹のように遠くを見通す事の出来る眼は、彼の誇りだ。

しかし、そんな彼でさえ、霧の中は見通せず、襲い来る骸骨達に、苦戦を強いられていた。

 

「ぐ、なんとしてもエレオノール様だけは守りきれ!!いいか、なんとしても耐え切るのだ!!」

「そんな事は言われなくてもわかってますよ隊長!!しかし、どうするんですか!退路を作ろうにも、こいつらどんどん沸いてきますよ!!」

「馬を置いて来たのが失策ね……。いえ、この場合、森にはいった時点でといったところかしら」

「……なんとしても、貴女様は守りきります。そうでなければ、公爵様に合わせる顔がありません」

 

隊長であり、最年長の兵士であり隊長、骸骨のシミターを盾で防ぎ、シミターを持っている右腕を切り落とし、頭蓋骨を叩ききる。彼は、エレオノールが幼い頃から、ヴァリエール家に仕える家臣であり、彼女だけでなく、3姉妹の事を娘のように思っていた。だからこそ、ここでエレオノールを死なせる訳にはいかない。そう固く決意しているのだ。

 

「おい、若いの。まだ戦えるか?」

「はぁはぁ……。まだ戦えます。ですが、もう矢が残り少ないです」

「だろうな。骸骨相手に、矢なんざ役にたたんだろう。だが、的確に頭を打ち抜くのは、良い」

 

息を切らしているオストを気にかけつつ、彼に襲いかかろうとした骸骨を切り伏せると、護衛隊長は、小さく舌打ちをする。

 

「このままじゃジリ貧か……。うちの兵士達はタフで良いとして、後ろのメイジはそうもいかんか」

「えぇ、先ほどから詠唱が辛くなってきましたよ。正直言うと、逃げ出したいくらいです」

「はっ、逃げるのなら、お嬢様を先に逃がしてからにしてくれ」

「そうはいきません。我らとて、公爵家のメイジですから。貴方方だけに良い格好はさせません」

 

後ろで援護していたメイジは二ッと笑い、ファイアボールを放って2体の骸骨を消し炭にする。彼らとて、戦っている兵士達と同じで、誇り高きヴァリエール家の家臣である。

主の娘を放って逃げることなどできるわけが無い。ったく……と苦笑しつつ、隊長は、剣を握り締め、骸骨を切り捨てる。

徐々に、骸骨の数が減り、これはいけるか……と淡い希望が見えてくる。……しかし、それほど、甘くは無いもの。

突然、残っていた骸骨達が音も無く、崩れ去る。

 

「なんだ、いきなり、動かなくなったな。死んだのか……?」

「元より骨だ。最初から死んでるんだろう。それに、今は気に掛けてるときじゃない。総員、エレオノール様を中心にして、離脱。先頭は、オスト。殿は俺が勤める」

「はい。方角はこちらです。木々に目印が居てますので」

「狩人の知恵と言う訳ね。怪我をした者には手を貸しなさい。全員で抜けるわよ」

 

オストを先頭に、先ほどと同じく中心には、エレオノールとメイジ。外周を兵士で固め、殿は隊長が勤めていた。

足早に、しかし警戒しつつ歩を進めるオストだが、スッと彼の眼が細められる。霧の向こう側で、何かが動いた

即座に隊列に止まるように言うと、背負っていた弓を構え、矢を番える。動いた何かが、こちらに気がついたように、歩いてくる。大きい、否、大きすぎる

ズシンと大きな足音を立てて、出てきたのは……牛頭の化け物。彼には知らないだろうが、牛頭のデーモンと呼ばれる存在だ。

大きく、耳に響く声で吼えると、その巨体を揺らしながら、牛頭のデーモンは、その巨体に見合う骨の様な斧を振り上げて、襲い掛かってきた。

咄嗟のことで反応が出来ないエレオノールを、兵士の1人が突き飛ばし、助けるが……

                     

 

                          メギャ

 

「あ…ああ…レイダぁぁぁぁぁぁ!!!」

「こいつ、よくもぉぉぉ!!」

 

牛頭のデーモンの振り下ろした斧は、無残にも兵士を頭蓋から叩き潰した。内臓や、血を吐き散らし、潰れた兵士を目の当たりにして、エレオノールは、胃から物が逆流してくる感覚を覚えるが、我慢することが出来ず、吐き出してしまう。

怒りに駆られて、兵士達は牛頭のデーモンに襲い掛かるが、ただの人間が勝てるわけも無い。無造作に横に振られた大斧で弾き飛ばされた兵士が、木にぶつかり、全身の骨が砕けて、息絶える。ある者は、その巨体に踏み潰され、内臓をぶちまける。幾ら、斬りつけようが、牛頭のデーモンは怯まない。

それだけでさえ、強敵だと言うのに……この森は、非情であった。

 

「た、隊長、後ろからもなにか……ぎゃぁぁぁ!!」

「牛頭に続いて……今度はヤギ頭かよ……!!」

 

悲鳴のほうを向けば、ヤギ頭のデーモンが、両手に携えた大剣で、兵士を真っ二つに叩ききっていた。次々と死んでいく部下達を眼にして、隊長は奥歯を噛み締める。

せめてエレオノールだけでもと思ったが……彼女は恐怖で動けないで居た。身体がガタガタと振るえ、動けない。これが戦場……

 

(いえ、こんなの戦場でもなんでもない……一方的な虐殺じゃないのよ……)

 

無造作に潰され、斬られて死んでいく兵士達。必死に抵抗を試みるも、純粋な力、否、暴力で殺されていく。オストが必死に残りの矢で射抜こうが、隊長が斬ろうが怯まない。

詠唱しようと立ち止まったメイジが、牛頭のデーモンに捕まり、握りつぶされる。ヤギ頭のデーモンが、その大剣を振るい、兵士を切り殺す。

あれほどいた筈の兵士は、5人まで減り、メイジも2人だけ。2体を相手に善戦する隊長と、それを援護するオストは流石と言うべきなのか。

 

「ここは俺に任せて、エレオノール様を連れて、お前らは逃げろ!!」

「しかし、隊長!!」

「しかしも、かかしもねぇ!!さっさと行け、馬鹿やろう!!オストだったか、お前もいけ!!」

「いえ、俺も残ります!!ここにつれてきた責任がありますし、貴方だけでどうにかできる相手じゃない!!」

「阿呆、てめぇみたいな若造に心配されるほどやわじゃねぇんだよ!!」

 

しかし、牛頭のデーモンに突き刺した隊長の剣がバキンと音を立てて、へし折れる。同じように、ヤギ頭のデーモンが、オストの弓を叩き斬り、シミターを砕く。

チッと舌打ちして、隊長は予備の短剣を抜くが、こんなのでどうにかなるわけもない。オストに至っては丸腰だ。

逃げろといいながらも、これでは何も出来ない。

 

 

 

 

牛頭のデーモンは、久々の獲物に歓喜していた。やぎ頭のデーモンが邪魔ではあるが、獲物は沢山居る。その中で、一際美味しそうに見えるのが……あの女--エレオノール--だ。

他の雑魚よりも大きく、なおかつ、とても美しい色のソウルを持っている。さぞかし美味であろうそのソウルを想像し、涎がたれる。

目の前で立ちふさがる、男2人のソウルも美味そうだが、やはり食すならば、もっと美味い物が良い。ヤギ頭に譲ってやるとしよう。

 

 

牛頭のデーモンは、立ちふさがる2人を無視するようにして、走り出す。目指すのは、逃げようとしてる人間達の中、あの女。

必死に逃げようとしてるが、足が縺れている。捕まえるのは簡単だ。後ろで、男2人が叫んでいるが、そんなの知ったことか。ヤギ頭にソウルを食われるが良い。

邪魔する人間は、さっきみたいに叩き潰してやる。美味そうだ美味そうだ美味そうだ美味そうだ

女が転んだ。食べてやる食べてやる食べてやる

 

 

 

牛頭のデーモンの手がエレオノールに伸びる。慌てて、兵士達が庇おうとするが、間に合わない。その醜悪な外見に、彼女は恐怖し、まったく動けない。服が泥だらけになろうが、必死に立ち上がろうとするが、出来ない。腰が抜けてしまったのだろう。助けてと叫びたい。泣き叫びたい。だが……恐怖で声が出ない。

ポタポタと牛頭のデーモンが涎をたらし、エレオノールを掴もうとした刹那、音を立てて、数本のボルトが、牛頭のデーモンの手に突き刺さった。その程度ならば、怯むことも無い。

ただの、ボルトだった場合は……だが。突き刺さったボルトから、火が迸り、牛頭のデーモンの手を焼いてしまう。

飛んできた方向から、疾駆してくる存在。たとえ、ボロボロであろうともその煌きを失わぬ神聖銀の鎧を纏い、疾駆してくる存在。

それに向かって振り下ろされる牛頭のデーモンの大斧を、ローリングで回避し、そのままエレオノールを抱かかえるようにして、後ろに回りこみ庇う。

 

「あなたは……プレイヤー……?ど、どうしてここに……」

 

自分を抱かかえる騎士、プレイヤーを眼にしてエレオノールは驚きを隠せない。上級騎士の兜で、表情は見えないが、その下では安堵の表情を浮かべていることだろう。

彼がここを訪れた理由は、至極簡単なこと。色の無い濃霧があると言うことは、明らかに人外の存在が居る。そこに太刀打ちできるのも、また人外の存在。

ならば、自分も行くべきだろう、と彼はルイズに許可を取り、ここまできたのだ。ちなみに、デルフはお留守番である。理由は、特に無い。

道中、濃霧で道に迷いそうになった時に、シャラゴアが残した猫の尻尾のお守りが、道を示すように光ってくれたのでここまで来ることが出来たのだ。

しかし、最初から同行すればよかったと、プレイヤーは後悔していた。無残にも死んでいる兵士。エレオノールも恐怖で身体が震えている。

もう大丈夫だ言うように、優しく頭を1撫ですると、こちらに走り寄ってきた兵士達に彼女を任せる。

すぐさま、ソウルから特大剣、ツヴァイヘンダーを取り出し、松脂を塗りつけて火を纏わせて、構える。

牛頭のデーモンは、鼻息を荒くしてプレイヤーを睨みつけ、ヤギ頭のデーモンも、オストと隊長を無視して、プレイヤーに襲い掛かる。

振り下ろされた大剣をローリングで避けると、そのまま身体を回転させながら、ツヴァイヘンダーを振りぬく。しかし、甘かったのか、ヤギ頭のデーモンの腰を薄く切りつけるだけになってしまった。そのまま立ち上がり、上を見れば、牛頭のデーモンが大斧を折り降ろそうとしている。慌てて、パックステップで、下がると、地面に大斧が突き刺さり、穴を穿つ。

牛頭のデーモンに切りかかろうとすれば、ヤギ頭のデーモンが跳躍し、上から襲い掛かってくる。。

パワーがあり、鈍重な牛頭と大柄な身体にしては俊敏なヤギ頭。正直、何度も相手をしてきてデーモンではあるが、こうして組まれると中々に厄介だ

上から強襲してきたヤギ頭の攻撃を、バックステップで回避。ヤギ頭の大剣が地面にめり込み、抜こうとした瞬間。プレイヤーは人並みはずれた脚力でバックステップした以上に前に飛び出した。その燃え盛るツヴァイヘンダーを上段に構え、一気にヤギ頭の目掛けて振り降ろす。

その強靭な刃は、頭蓋骨だけでなく、ヤギ頭の身体さえ両断てしまう。あれほどまでに、自分達が梃子摺っていた相手の1体を、簡単にして仕留めてしまったプレイヤーに、エレオノール達は驚き、そして魅入ってしまった。

 

技とか、そんなものではない。力、暴力すら上回る、圧倒的な力。

 

鈍重な動きで、襲いかかろうとしてくる牛頭の口目掛けて、プレイヤーは先ほど仕留めたヤギ頭の大剣の1本を投げつける。

彼の怪力から投げつけられた大剣は、牛頭の口……いや、顔のど真ん中に突き刺さり、牛頭の動きが止まる。そして、残っていたもう1本の大剣を胴体に投げ突き刺す。

不恰好に、頭部と腹から大剣を生やしたようになった牛頭は、後ろに倒れこみが……止めというように、プレイヤーは持っていたツヴァイヘンダーで、牛頭の首を切り落とすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、あんたには助けられたな」

「はい、あの剣がいってた事は本当でしたね。騎士様は、本当にお強い!」

 

パチパチと焚き火にあたりながら、隊長は小さく頭を下げ、焚き火に枝を足しているオストは、眼をキラキラと輝かせていた。いや、そんな事はないのだが……とプレイヤーは頭をかいていた。

あの後、2体を片付けたのは良かったものの、日が暮れ始め森を抜けるには危険と判断し、霧の薄い小川の近くで野営をすることになったのだ。

当初、危険だから速く出るべきと、メイジに言われたが、夜に動き回るのは逆に危険だと、エレオノールが判断し、現在に至る。

何時ものように冷静さを取り戻した彼女は、とても頼りになるのだと、隊長は理解している。

なにより、プレイヤーがソウルから、薬草や簡易式のテントを出してくれたお陰で、野営と、治療が出来るのは幸いだ。

簡易式のテントは、勿論エレオノールが使うことになる。今頃、彼女はテントの中で、プレイヤーが持っていた服に着替えているところだろう。

 

「しかし、随分と部下は減っちまったな……残ったのは、部下の兵士は5人でメイジは2人と……」

「……失礼かもしれませんが、生き残れただけでも良いと思います。もし騎士様が来てくれなければ、全滅してたでしょうから」

「まぁ、それは確かにな。あんな化け物相手にして、生き延びれただけでも幸いか。ましてや、あれをぶっ倒す騎士、それがルイズ様の使い魔ときたもんだ」

 

温かな火を前にして、隊長は死んでいった部下達に祈りを捧げる。残った部下も別の焚き火で、簡単な食事を作り、休んでいるものや、横になって休んでいるものも居る。

時間ごとに歩哨も決めてあるので、全員休むことは出来るだろう。例外は、エレオノールと彼女の直衛を任されたプレイヤー位であろうか。

その強大な戦闘能力を眼にして、隊長も彼がエレオノールの護衛をしてくれたほうが良いと判断して、任せたのだ。

 

「さて、そろそろ俺達が歩哨の番か。ほれ、オスト行くぞ」

「あ、はい、分かりました。騎士様、簡単なシチューですが、出来ましたで食べて置いてください」

 

そういうと、隊長はプレイヤーから貰った北騎士の直剣を腰に刺し、オストも複合ロングボウとロングソードを腰に携えて、行ってしまった。

若干、霧に覆われた夜空を見上げながら、プレイヤーは焚き火に小枝を投げ入れる。パチと子気味良い音を立てて、燃える火。

ん?と後ろを振り向けば、プレイヤーが出した服を着たエレオノールがテントから出てくるところだった。

 

「隣、いいかしら?……と言うか、座るわよ」

 

いや、だったらなんで聞いたのだ、と思いつつ。プレイヤーは隣に座るエレオノールの上から下まで眺める。

白い上質の絹で作られた上衣とスカート。聖女の服だ。なかなか、似合うものだなと思いつつ、見ているとその視線に気がついたエレオノールが、顔を赤くしながらソッポを向く。

 

「あまり見ないでほしいわね。そうジロジロみるのはいかがなものかしら?」

 

それは確かにと、謝罪するようにプレイヤーは頭を下げて、火に視線を戻す

 

「改めて、礼を言うわ。助けてくれてありがとう」

 

プレイヤーと一緒に火を眺めながら、エレオノールは小さく零す。

 

「初めてよ。あんな存在見たのは。あんなに恐怖したのは……今でも思い出すだけで、震えが止まらないわ」

 

両手で、自分の身体を抱きしめるようにしてエレオノールは俯く。死んでいく兵士、自分に伸ばされる巨大な手。

戦場ではない。一方的な虐殺。今まで体験することの無かった明確な死。それはすぐそこにあった。

カタカタと小さく震えるエレオノールを見て、プレイヤーは少しだけ考えると、その肩を抱き寄せて、大丈夫だと優しく頭を撫でる。

一気に顔が赤くなるのを感じながら、エレオノールは慌てて身体を離そうとする。

 

「こ、こら離しなさい!!いきなり、なにをするのよ!!わ、私はヴァリエールの長女なのよ!!」

 

だからどうした?と言った様子で、プレイヤーは解放せずに頭を撫でる。その火の瞳は、優しくとても暖かい。まるで子供をあやすかのようだ。

年下の癖に……と思いつつ、無駄な抵抗だと分かり、エレオノールは大人しく、されるがままになった。何気に、彼の手は気持ち良い。

ちなみに、年下と思っているが、それは外見の話。実年齢では、エレオノールなんか赤子に思えるほど離れている。

 

「貴方は、本当に不思議な人ね……。暖かくて、安心できて……って、違うわ!!わ、私、何をいって……ああもう、笑うんじゃないわよ!!」

 

慌てて否定する彼女に、やれやれと言った様子でプレイヤーは苦笑を浮かべる。どうやら、彼女も、自分の主と同じで素直ではないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中、1つの砦が存在した。

 

 

「バリスタ、はなてぇぇぇぇ!!!」

「投石器、順次放て!!奴らを近づけるな!!」

 

砦に取り付けられたバリスタから大矢が、投石器からは石が投げつけられる。

その標的は、人よりも巨大な存在。灰色の肌に、顔に穿たれた穴。石そのままの棍棒や、斧を持つ者や、素手の者も居る。

ヴォォォ!!と吼えながら、その存在、巨人達は突き進んでくる。砦の門の前では、必死に兵士達が巨人達を相手に、戦っていた。

 

「なんとしても、守りきるのだ!!奴らを……巨人達を一掃せよ!!」

 

先頭に立ち、兵士達を鼓舞しながら大剣で巨人を切り捨てるのは、この砦の司令官。

この国は、聡明にして勇敢な王が治めていた。その王が治める国は繁栄を極め、民達は平和を謳歌していた。その国に、1人の女性が訪れた。その彼女の言葉を聞き、王は剣をとった。

海の果てにあると言う巨人の国に、王は攻め入ったのだ。

そこで【何か】を手に入れた。その【何か】のお陰で、ゴーレムと言う労働力が生まれ、国は更なる繁栄を遂げのである。

そこまでは良かった。……だが、奪われた【何か】は巨人達にとって、とても大切な物だったようだ。

だからこそ……怒り狂った巨人達が、王の国に攻め入ってくるのは当然のことだろう。

三代に渡り、砦の司令を勤め上げてきた。祖父も、父も巨人と戦い命を落とした。しかし、それでも砦を守りきってきたのだ。

だが……今回は違った。今までは素手だけの巨人が、武器を携えて襲い掛かってきた。見張り台は壊され、砦の防壁すら砕き始める。

そして、巨人達の中に、一際大きな存在が居た。恐らく……海の果てより、巨人の王自ら攻めて来たのだろう。

今回ばかりは……と思いながらも、司令官である騎士は、大剣を振るう

 

「私とて、武門の端くれ。この身、朽ち果てようとも戦い抜いてくれるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、遠い昔の物語。ここではない何処か。ここかもしれないどこか。そんな曖昧なところのお話

 

巨人達は怒り狂っていた。奪われたから、巨人達にも分からない何かが奪われたから。

 

人は恐怖していた。その圧倒的な存在に恐怖していた。滅びるしかない、受け入れるしかない。そう思い始めていた。

 

その時だ。6人の勇猛果敢な兵士達が現れたのは。

 

その時だ。2人の見たこともない魔法を操る魔法使いが現れたのは。

 

その時だ。まるで鷹のように、遠くの巨人を射抜く狩人が現れたのは。

 

その時だ。金糸の美しい髪を持つ聖女が現れたのは。

 

その時だ。巨大な武器で、並み居る巨人達を薙ぎ倒した騎士が現れたのは。

 

 

 

 

それは、遠い昔の物語。ここではない何処か。ここかもしれないどこか。そんな曖昧なところのお話。

後に、火の英雄の物語と同じくらい読まれるようになるお話。

騎士と聖女と巨人の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




我慢できずに、次回予告みたいに書いてしまった。後悔はしていない
エレオノールがチョロすぎたかもしれない。けど後悔はしていない。
章管理を使おうとして挫折。題名が思いつかない……。
ヴァリエールの隊長の名前も思いつかない。
ちなみに、作者、色々と封印してたDS2再開。まだ巨人の記憶。

当初の小説予定・朽ちた巨人の森を普通に攻略。

DS2の巨人の記憶到達

時間制限ありだけど、グレートソードでなぎ倒して進む

なにこれ燃える

予定変更・巨人との戦時中

さて、次回からどうなることやら


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