ゼロの使い魔 虚無の騎士   作:へタレイヴン

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DS2プレイ中。ようやく二つ篝火をつけたので、中盤に突入…?
とりあえず、グレートソードを愛用しています。

明るい某所にて。この先、突進に注意しろ。そして、そんな馬鹿な。
私 ほほう。突進してくる敵と言うと…アーマードタスクだな?
霧を潜る。
私 貴様、そんな馬鹿な!?

暗い某所。
この先、タコ殴りに注意しろ
私 ほう、雑魚が一杯か?
霧を潜る
私 なにぃ!?ふ、だが、既に対策はわかって…馬鹿な…まだいるだと…!?


暑い某所にて

私 宝箱発見!!よし、奴ではないな。
開封
私 ……嫁武器きたぁぁぁぁぁ!!!!!

以上、感想でした。






里帰り編 2羽 騎士とヴァリエール家

 

「それではプレイヤーさんは、異国から来たのですね?それも、諸国を旅していた遊歴の騎士。ふふ、とても自由奔放な方なのですね」

 

そうだろうか…?とプレイヤーは首を傾げつつ、たどたどしい字で、色々な国を回っていた事。酒場の喧騒、森での静寂の時。旅で体験した事を書き出して、カトレアに見せていた。

夕食を済ませたカトレアは、彼の旅の話を聞きたいと自室に招き、こうして話をしていたのだ。カトレアはベットの上に座り足に毛布をかけ、プレイヤーは傍らの椅子に座っている。

しかし、女性の部屋なので、キョロキョロ見るのは失礼なのだろうが、周りが何気に凄い。犬、猫、鳥、蛇などなど……カトレアの部屋には、沢山の動物達が集まっていた。

特にカトレアの膝の上に座っている猫は、美しい毛並みをそろえた立派なもの。……ただ、プレイヤーの眼に映るのは、大きなソウルを持つ猫とは異なる存在の……猫。

 

「ふふ、けど、素敵ですね。諸国を旅して、色々な景色や人々と触れ合うなんて。とても憧れますの。私には、出来ないことですから」

 

そう言って、カトレアは少し寂しそうに微笑む。ルイズから聞いていたが、彼女は生まれつき身体が弱く、屋敷から離れた場所には出歩けないらしい。

確かに、彼女のソウルと火の大きさは、とても小さく、下手するとルイズよりも弱い。

そんな彼女を気遣うように、動物達は小さく鳴き声を上げる。どうやら、カトレアに随分となついているようだ。

 

「あ、ごめんなさい。おかしなことを言ってしまいましたね。それでは、プレイヤーさんが見た景色で一番綺麗だったところはどんなところなのですか?」

 

慌てて首を振り、何時もの穏やかな笑みを浮かべ、わくわくしたようにカトレアはプレイヤーに質問する。その様子にプレイヤーも、そうだな……と遠く積み重なってきた記憶を思い出す。

髪の色や、顔の作りこそルイズに似ているが、どうにもこうにも、物腰が柔らかく、とても安心する印象を受けていた。プレイヤーが火だとするならば、彼女は陽だまりだろう。

道を明るく照らす火と、暖かく安心する陽だまり。似たようで、少し異なるものだ。

……そう思うと、ルイズとエレオノールは随分と刺々しい性格をしているのだなと、プレイヤーは内心考えてしまう。まぁ、ルイズに至っては、少しずつだが素直になってきたのだが、長女であるエレオノールは色々とルイズ以上だ。恐らくだが、貴族の姉妹の最長であり、病弱の妹や出来損ない――と周囲が思っているであろう――妹の前に立ち、色々と苦労したゆえにああなったのだろう。プレイヤーの掠れてしまった記憶の中に、自身の兄達も色々と苦労していた事が僅かに残っている。

そんな他愛もないことを話していると、ボーンボーンと時計が22時になったことを注げる。

 

「あ、もうこんな時間ですのね。ふふ、楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまいます」

 

それはなによりだと言った様子のプレイヤーに、カトレアはクスクスと笑みを零す。父親以外の男性と、こんなに話したこと――プレイヤーは筆談だが――はなかった。

だが、彼の火のように暖かな雰囲気は、とても心地よく純粋にカトレアも楽しめたのだ。

しかし、時間も時間だし、寝たほうが良いとプレイヤーはカトレアをベットに寝かせて、上から毛布を掛ける。

 

「あ、ありがとうございます。ふふ、プレイヤーさんって、まるでお父様みたいですわね。とても暖かくて、優しいです」

 

……そこはせめて、兄に出来ないのか?と字で伝えると、カトレアはキョトンとして、次には笑ってしまった。

まぁ、タバサにお父様と呼ばれているので違和感はないのだが……こう見えても外見は若いのだ。

 

「ふふ、そうでしたわね。もし兄が居たら、こんな感じなのでしょうね。プレイヤーさん、おやすみなさい」

 

クスクスと笑いながら言い直したカトレアにお休みという様に、優しく頭を撫でてプレイヤーは部屋を後にする。

 

 

 

 

確か、自分に用意された部屋はこちらだったか……と広い廊下を歩いていると、後ろに何者かの気配を感じて、プレイヤーは振り返る。

そこには、先ほどまでカトレアの部屋に居たはずの猫。

 

「フフ、貴方とても良い匂いがするわ。その匂い、とっても好きよ」

 

やはりただの猫ではなかったらしい。その外見に似合うような麗しい声で、猫は語る。

長い年月を生きた猫は、猫ではない何かに変貌すると言われているが、この者もその一種なのだろう。

 

「あら、驚かないのね。ふふ、本当に素敵ね、貴方。……私はシャラゴア。貴方のこと、見させてもらうわね」

 

それだけ言うと、猫、否、シャラゴアは煙のように消えていった。後に残されたのは、猫の尻尾のようなお守りが1つ。それを拾い上げると、プレイヤーは何事もなかったかのように部屋を探して廊下を歩く。……この程度で驚いていては、ボーレタリアやロードランを旅するなどできるわけもない。ただ……同じ猫でも暗い森に居た白猫とは、随分と違うのに驚いた。

 

 

 

 

用意された部屋

 

 

 

「よう、相棒。随分と遅かったじゃねぇか。まさかお楽しみでもしてきたか?」

 

カタカタと笑うデルフに、馬鹿をいうなと言う様に軽く小突くと、プレイヤーはベットにダイブする。思えば、まともな寝床で寝るのは久々だ。

勿論、ルイズに召喚される前から数えてだ。……最後にベットで寝たのは、何時だったろうか……考えても思い出せない。

 

「おうおう、随分と疲れてるようだな。あん?戦ってる方が気が楽だ?はっ、相棒って根っからの戦闘狂だなぁ。まぁ、らしくて良いんじゃねえか?」

 

ゴロンと寝返りを打ち、天井を見上げる。思えば、随分と長く、遠い旅を続けてきたものだ。数多に国が生まれ、滅びるところまで彼は見てきた。

無限のソウルを持ち、朽ちぬ身体の彼は、人間ではなく、さりとて神でもなかった。デーモンと言われてもそうかもしれないが、生憎、デーモンすら彼を恐れた。

自分は何処に行き、最後はどうなるのだろうか……?いや、最後というものが自分にはあるのだろうか……?そんな取りとめもないことを考えてるうちに、心地よい睡魔が襲ってくる。

眼を閉じる瞬間、浮かんできたのは、愛しい二人の姫君の姿。

 

「相棒よ、お前さんは火だよ。燃え盛る火。…何れは消える運命を持つんだが、不思議だな。相棒の火は、絶対に消えない。そんな気がするぜ」

 

静かに語るデルフの言葉を聞くものは、眠りに着いたあとだった。

 

 

 

 

 

 

 

早朝

 

 

 

何時もより速く眼が覚めたヴァリエール公爵は、散歩がてらに自身の屋敷の中を歩き回っていた。

哨戒の兵士達や侍女や使用人達は、彼の姿を見るたびに頭を下げて挨拶を行い、自分の仕事に戻っていく。

何気に朝の活気というものは気持ちの良いもので、ヴァリエール公爵も偶には、何時もより早く起きるかと考えながら歩いていくと、兵の訓練場に人だかりが出来ているのを見つける。

何事だ?とそちらを足を向けると、聞こえてくるのは兵士達の驚きの声。

 

「お、おい、これ使えるか……?」

「無理だって。1人じゃ、矢も番えれないし、引けねぇよ。3人がかりでやっとだぞ?こんなの、どうやって使うってんだよ」

「だよなぁ。けど、さっきの男、これ1人で使ってたよな……。何モンだよ」

「おいおい、なんだよこの矢、ランスじゃねぇかよ!!と言うか、固定化が掛かってる筈の壁を貫くって……何と戦うための矢だよ」

「これみろよ!!この大剣、すげぇぞ。1人でもてる大きさじゃない。こんなの振り回せるとか、尋常じゃないぞ」

「ふむ、なにかあったのかね?」

 

人だかりに近づきながら、ヴァリエール公爵が声を掛けると、兵士達は慌てて姿勢を正して、公爵に頭を下げる。

それに、気にしなくて良いと手で合図しながら、彼は訓練場に視線を移し、眼を見開いた。

そこにはあったのは強固な固定化が施されていた壁に突き刺さっている巨大な矢、丸太を両断し、地面に突き刺さっている特大剣――ツヴァイヘンダー――。

極めつけは兵士達が3人がかりで支えている竜狩りの弓の存在だ。

 

「これは……誰が使ったのかね?私が知る限り、その様な兵士はいなかったと思うが」

「は、はい。使用していたのは、ルイズ様が連れてこられた騎士です。その、訓練をしたいというので一角を貸したところ、この様な武器を……」

「ルイズの?ふむ、しかし、これは人が使える大きさではあるまい?」

「そうなのですが、その騎士は……これらを全て1人で扱っておりました。特にその剣など、片手で振るい、丸太を両断しておりましたので……にわかに信じがたいですが、私だけでなく、ここに居たもの全員が目撃しました」

 

訓練場の管理も行っている兵士が、先ほどまでの光景を公爵に説明する。見ていた自分だって信じられないのに、それを話して信じてもらえるなど思っていない。

しかし、事実なのだから仕方がないのだ。

 

「……これらを、1人でかね……?みなも見たというならば、事実なのだろう。その騎士はどこに?」

「はっ、鍛冶工房の場所を聞いてましたので、そちらに居るかと」

「ふむ……分かった。これらの武器とは保存しておくように。実に珍しいものだからな」

 

それだけ言うと、公爵は足早に鍛冶工房に向かっていった。

 

 

 

 

カン、カン!!と工房内に鉄を叩く音が響いている。一番奥の工房で、火で熱し、自身のソウルを注ぎ込む男性、プレイヤー。

多くの鍛冶屋と出会い、その技の一端を教えてもらってきたプレイヤーにとって、鍛冶仕事はなれたものである。鍛え上げられた武器は、全て超一級品であり、ちょっとやそっとじゃ刃こぼれしない。それでも偶には手入れをしてやりたいのだろう。自身の持つソウルを注ぎ込み、更に力をつけている武具を満足そうに見ながら、プレイヤーは再び鎚を振るう。

そんなプレイヤーを見つけて、近づいてくるのは、先ほどまで彼を探していたヴァリエール公爵その人。

 

「ふむ。実に見事な武具の数々だ。見ても良いかね?」

 

視線を戻して、小さく頭を下げるプレイヤーに公爵もにこやかにおはようと返す。そして、立てかけてある武具の数々に目を奪われていた。

見ても構わないと言う様に頷くのを見ると、公爵は立てかけてある武具をジッと見つめる。

 

「素晴らしい。私が見てきた武具の中で、これほどまでの物があっただろうか。力強く、洗練された武具の数々。ううむ、全て良い物だ」

 

まるで子供のように眼を輝かせる公爵を見ながら、プレイヤーは口元に笑みを浮かべる。自慢である数々の武器がほめられてうれしいのだろう。

そんな中、公爵が一番眼の奪われた物が存在した。美しい波紋を持ち、反り返る刃を持つ武器。

 

「これは……実に美しい。まるで芸術品のような剣だ。……む、ウチガタナと言う剣なのか」

 

ガリガリと火箸で、地面にそれは打刀と言う剣だとプレイヤーは答える。そして、斬ることに特化した武器であり、刃こぼれしやすいが切れ味は抜群だとも説明する。

 

「なるほど。この絶妙な反りは断ち切るためであり、片刃と言うのも、斬ることに特化した故か。この様な武器がまだあるとは……世界とは広いものだな」

 

しげしげと見つめる公爵に、良ければ一振り譲ろうかと言った様子で、プレイヤーは打刀を差し出す。それを見て公爵の良いのかね?言いながらも、顔が嬉しそうだ。

 

「ありがとう。大事にさせてもらうよ。……どうやら、君は多種多様な武具を持っているようだね。今度、時間があれば教えてくれるかね?」

 

筆談でよければ、と伝えると、公爵はそれでも良いと言葉を返して、侍従が朝食と呼びに来るまで、再び壁に立てかけられている武器を鑑賞し続けるのであった。

 

 

 

 

 

井戸場

 

バシャっ!!と大きな音を立てて、プレイヤーは汲み上げた水を頭から被る。

ある程度、武器の手入れを終えて、鍛冶場の熱で火照った身体を、冷やしに来ていたのだ。

カラカラカラと、桶を下まで降ろし、水が入ったのを確認すると、汲み上げた水を、再び頭から被る。冷たい水が、火照った身体には気持ちが良い。

ふう……と小さく息を吐き、置いていたタオルで頭を拭くと、柔らかい草に上に腰を下ろす。

天には太陽が輝き、今日はとても良い天気になりそうだ。ルイズに許可を貰って、遠乗りするのも悪くないかもしれないと考えていると、誰かの気配を感じる。

ん?とそちらの方を見ると、少し顔を赤く染めたカトレアが立っていた。

 

「あ、その……す、すいません。プレイヤーさんが見えたものでしたから……み、水浴びをしていたのですね」

 

若干、顔を背けつつチラチラとプレイヤーを見るカトレアに、おはようと頭を下げつつ、眼の毒かと干していたシャツを着る。

 

「はい、おはようございます。もしかして、お邪魔してしまいましたか?」

 

そんな事はないと首を振るプレイヤーに、よかったとカトレアは微笑みながらも、先ほどの光景がまだ残っている。鍛え上げられた肉体。身体中に刻まれた数多の傷跡。

あまり男性と交流をした事のないカトレアにとっては、中々に衝撃的な光景だったらしい。

それで、何か様でもあったかの?と再び首をかしげるプレイヤーに、カトレアは頭を小さく振って、先ほどの光景を頭の隅に追いやる。

 

 

「もし、よろしかったら、昨夜のお話の続きを聞かせてもらえませんか?私、プレイヤーさんのお話が楽しくて、仕方がないのです」

 

そんなことか。と思いつつも、大丈夫だと頷くと、カトレアはパァッと花が開いたように笑うと、後で部屋に来てくださいね!と言葉を残して立ち去っていった。

ふむ……一応はルイズにも話を置こうと決め、まだ水気の残る髪をタオルで拭くプレイヤーなのであった。

 

 

 

 

 

 

「ちぃ姉さまと仲良くなったのね。プレイヤーらしいと言うか……けど、旅してた話とか私も聞いたことないわね」

 

そう言えば話してなかったなと言いながら、プレイヤーとルイズは並んで廊下を歩いていた。

ルイズにカトレアの部屋で旅の話をすることになったと伝えたら、彼女も一緒に話を聞きたいと言うことで、2人で向かうことになったのだ。

 

「ねぇ、プレイヤー。ちぃ姉さまは身体が弱いって前に言ったわよね。……屋敷の外に出ても、遠出は殆ど出来ないのよ。よかったら、ここに居る間、貴方が旅したところの話とか、色々としてもらってもいい?きっと、ちぃ姉さまが喜ぶと思うから」

 

若干、しおらしい態度のルイズに、構わないし、そう落ち込むなと伝えて笑みを浮かべと、ルイズも、ん……と小さく頷いて笑う。

どうやら、彼女は随分とカトレアに懐いている様だ。まぁ、同然だろう、彼女達は血を分けた姉妹なのだから。

 

「ちぃ姉さま。ルイズですが、はいってもいいですか?」

 

カトレアの部屋につき、扉をコンコンとノックをしてみるが、反応がない。あれ?と顔を見合わせつつ、ルイズがドアノブを捻ると開くので、鍵はかかっていない。

部屋の入ると、カトレアは窓辺の椅子に座りながら、ボーっと外を眺めていた。

 

「あ、ルイズにプレイヤーさん。着ていたのですね」

「ちぃ姉さま?どうしたんですか?外から声を掛けたのに……?」

 

なんだか様子が違うカトレアを見て不安になったルイズが駆け寄り、その手を握る。おかしい、手があまりにも冷たすぎる。

 

 

「ちぃ姉さま!?大丈夫ですか!?手、手が凄く冷たい……具合が悪いのですか!?」

「もう、ルイズ。心配しすぎよ、ほら、だいじょう…ぶ…」

 

そう言って立ち上がろうとしたカトレアだが足に力が入らない。そして、そのままバランスを崩して倒れてしまうそうなところを、慌ててプレイヤーが支える。

確かに、顔面蒼白で息も荒い。なによりも、身体が冷たすぎる。ソウルと火の大きさも、かなり小さくなってしまっていた。

 

「ちぃ姉さま、ちぃ姉さま!!しっかりしてください!!ど、どうしよう、プレイヤー。このままじゃ、ちぃ姉さまが……!!」

 

涙ぐんで、カトレアを必死に呼ぶルイズに落ち着けと言いながらも、プレイヤーは思考をめぐらせていた。

このままでは、カトレアの火は消えてしまうだろう。恐らくだが、治療役が着てもこの発作はどうにもならない。ならばどうする?自分のソウルと火を分け与えるか?却下。それでは自分と深く繋がってしまう。ならば、持っている薬を飲ませるか?それが一番良い方法だろう。

 

「え、薬?飲ませれば良いのね!?お願い、ちぃ姉さま……飲んで……!!」

 

すぐさまソウルから、乳白色の液体が入った小瓶――女神の祝福――を取り出して、カトレアに飲ませようとするが……駄目だ、飲んでくれない。

まずい、非常に不味い。あと少しでカトレアからソウルと火が消えしまう。どうする?どうする?

……ふっと、以前に似たような事例があったことを思い出す。あれは……確か北の大国を旅していたとき。ソウルを吸い取られて、衰弱しきった異端の魔女を助けるために、亡国の王子が暗月草を口移して食べさせていた。噛む力もなく仕方がないとは言え、口移しとは……とその時は思ったが、確かに現状では良い手段かもしれない。

 

「え、プレイヤー、何するのって、く、口移し!?え、手段ないって……そ、そうよね!ちぃ姉さまが助かるなら……!!」

 

女神の祝福を口に含み、手持ちの中で最高の治療手段である新月草を噛み潰し、カトレアと唇を重ねて、流し込む。

閉じた唇を舌で抉じ開けて、プレイヤーは女神の祝福と新月草を混ぜた即席の薬を、流し込む。こく……こくと小さくゆっくりだが、カトレアの喉が上下するので飲んでくれているのだろう。

1本飲み終わらせると、ソウルと火が、元の大きさに戻ってた。暗月草さえあれば、カトレアを病など一瞬で治せるのだが……生憎、全てクラーグと白蜘蛛姫の治療の為に使い切ってしまった。

生気を取り戻したカトレアは、うっすらと眼を開けて、ルイズとプレイヤーに視線を向けるが直ぐに眼を閉じてしまう。恐らく、発作の衝撃で気を失ってしまったのだろう。

 

「お、落ち着いたのよね?……ちぃ姉さま、ちぃねぇさまぁ……。よかった、よかった」

 

グスグスと涙声を上げながら、ルイズはカトレアに抱きつく。プレイヤーも、ふう……とカトレアと自分の口元を拭い、彼女をベットに寝かせる。

女神の祝福を飲ませたのだから、当分は大丈夫だと思うが、やはり心配だ。ルイズにカトレアの様子を見ているようにと伝えると、プレイヤーは彼女の家族を呼びに走り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 


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