44才、独身。
保有タイトルは永世6冠(萬子・筒子・索子・白・發・中)、永世大三元位、永世四暗刻位、永世清老頭位。
高校3年時より麻雀を始めるも、その天性のセンスで土浦女子を率い夏のインターハイで他校を圧倒、全国優勝を果たす。
高校卒業後、プロ麻雀M1恵比寿に入団。エースとして活躍するも、チーム内の不和に耐えかねて2009年より新チーム・M2つくばに移籍。団体戦の表舞台M1リーグから姿を消した。
つくばではエースとしてチームを引っ張りながら後進の育成にも協力、2015年より正式に兼任コーチに就任している。
個人戦でも圧倒的な成績を収めるが、当時アマチュアの瑞原はやりから北冠を奪えず、全冠独占を果たせないまま2015年をもって個人戦引退を表明。永世6冠に終わった。
つくば・所監督の辞任を発表 後任は烏谷コーチ(2028.8.2)
プロ麻雀M1ジ・つくばプリージングチキンズは2日、緊急記者会見を開き所
(ニッカンスポーツ)
「いいのかしらね?後任が『ツイてないカラスヤ』で」
烏谷の自嘲的なつぶやきに、健夜はなんと返せばいいかわからなかった。
所監督が辞任することが分かったのは昨日のことだ。監督に特に変わった様子もなく、順位も現在4位とPO圏内につけている。いま辞める理由はどこにも見当たらなかった。それなのに、どうして。チームには大きな衝撃が走った。
「精神的にしんどくなったんですって、M1の試合で指揮するのが。ユキは昔から大舞台がダメだったからM2の環境で選手育てるには向いてたんだけど…」
烏谷がため息をつく。
「でも…マキさん、前のときみたいにチームがおかしくなってしまったら…」
「それは私も考えた。監督になる流れも前と似てるし。でもね、一度失敗したからって逃げてちゃなにも改善しないじゃない?それにこのチームは絶対王者の恵比寿じゃない、長いこと見てきたつくばのみんなだもの。あのときみたいに味方がいない中で指揮を執るわけでもないし」
「そうですか…」
「健夜は心配しすぎ。私の心配よりあなたは自分の心配をしなさい、そろそろ年齢的に進退決める頃でしょう?」
烏谷の言う通りであった。健夜はもう40代後半に差し掛かろうとしている。年齢制限が目前で、同期どころか後輩も引退していく中で、ひとりチームの先頭に立っている。つくばのためには良くないことだとわかっていても、結局自分で出たほうが勝てるから。あのときと違って視野狭窄に陥っているのは健夜自身だ。
「そうですね。でも、私は麻雀打つことしかできないし、個人戦を引退して打てるところは今ここしかないんです」
それでも、健夜は打ち続けたいのだった。まだ実力的に通用しなくなったわけじゃない。たまに負ける、でもまだまだトッププレイヤーだ。健夜にはプロ入り以来ずっと世代を引っ張ってきた自負とプライドがあった。
「健夜、私はね、あなたにこのチームを率いる存在になってほしいの。エースとしてじゃなくて、監督として。だから、正直なところあなたにシニアに行ってほしくない。このチームはこの間やっとM1にあがってきた若いチームだけど、将来恵比寿や大宮に並ぶチームになる。今じゃなくていい。でも、この先を考えておいて」
そもそも烏谷をつくばに連れてきたのは健夜だ。烏谷の言葉に、健夜は考えておきますと答えることしかできなかった。
一人になって、健夜はあらためて自らの進路について考えた。今プレーの片手間でやっている指導者という仕事を本職にするのか?そうするとして、いつから?今か、それとももうしばらく猶予をもらうのか?
やがて健夜は携帯を取り出し、ある番号を呼び出して発信ボタンを押した。
「もしもし、こーこちゃん?私、ぎりぎりまで麻雀続けたい。うん、ずっとつくばで。…ううん、今決めたからこーこちゃんに聞いてほしかっただけ。じゃあね、おやすみなさい」
お久しぶりです。
プロ麻雀リーグの設立が発表されましたね。その名も「Mリーグ」!
チームのしくみなどは違いますが、書いてたことが現実化しないかなとわくわくしています。
さて、予告していた通りそろそろこのお話も〆に入りたいと思います。
更新予定は未定ですが、お楽しみにお待ちください。
それでは。