千冬さんはラスボスか   作:もけ

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大幅な修正は見送りました。
死に設定ですが、後で使われるシーンがある事を思い出して、それとの兼ね合いの結果です。
まぁ、とりあえずどうぞ。


IS学園2日目、後編

 キーンコーンカーン。

 

 学校のチャイムって小学校から変わらないけど、これってまさか世界共通……なわけないか。

 

「はい、ではここまで」

 

 午前中の授業、無事終了。

 

 さぁご飯だ。

 

 今日は何食べようかなぁと思いながら席を立つと後ろから声をかけられた。

 

「”織斑さん”ランチご一緒してもよろしいかしら?」

「オルコットさん……」

 

 緊張しているのか、わずかに固い表情のオルコットさんだった。

 

 朝のHRであんな事があったから、休み時間の度に気になってどうしてるか見ていたんだけど、ぎこちないながらも周りの生徒とおしゃべり出来ていたから良かったと安心していた。

 

 まぁ僕とも何度か目が合ったけど、さすがに気まずいのかすぐ視線は逸らされてしまったけど……。

 

 で、今、食堂の二人席に向かい合って座っている。

 

 クラスメイトの視線をヒシヒシと感じるけど気にしないでおこう。

 

 僕のお昼はハンバーグ定食。

 

 うん、このデミグラスソースは絶品だな。

 

 付け合せのマッシュポテトも良い。

 

 オルコットさんはBLTサンドイッチ。

 

 まだ手をつけていない。

 

 話したい事があるんだろうなと思い、黙って食事しながら待つ。

 

 しばらくして決心がついたのか、顔を上げ、視線が結ばれる。

 

「織斑さん、先ほどの非礼重ねて謝罪させていただきますわ。そして、感謝を。ありがとうございました。もしあのままだったら大変な事になっていましたわ」

「ううん、無事に済んだのはオルコットさんが頑張ったからだよ」

 

 自分の非を素直に認めるのは難しいものだ。

 

 それにあの非の打ちどころのない謝罪の仕方、さすが貴族の現当主様。

 

 同い年なのに本当に凄いな。

 

「むしろみんなの前で、だ、抱きしめちゃったりして、その、ごめんね」

「い、いえ、あれで落ち着くことが出来たのですから感謝こそすれ責めたりなんていたしませんわ」

 

 二人で顔を赤くする。

 

「じゃあ、これだ仲直りだね」

「はい♪」

 

 笑顔を見た途端、鼓動が高まる。

 

 こんな美人が笑顔をむけてくれているのだ。

 

 ときめかない方がおかしい。

 

 しばし見惚れていると、ふいにオルコットさんの表情が引き締まった。

 

「織斑さん、クラス代表の件なのですが」

「あ、あぁ、うん、どうしたの」

「わたくしと試合をしていただけませんか」

「え」

 

 予想外の展開だった。

 

 いくらHRでの多数決が引き分けだったからといって、あの謝罪を見て彼女の責任感の高さ、潔さに感銘を受けない人はいないだろう。

 

 だから仮にもう一回多数決となっても彼女が選ばれるだろうと思っていた。

 

「理由を聞いていいかな」

「はい、わたくしと貴方のIS操縦者としての実力は自惚れるわけではないですが、かなりの開きがあるのは承知しています。ですが、わたくしを助けてくれた貴方にわたくしは正面から全力で当たりたいのです。このセシリア・オルコットを知ってもらいたい。そして貴方のことが知りたい。勝ち負けが重要ではないのです」

 

 その表情と声から真摯な思いが伝わってきて胸が熱くなる。

 

 彼女は一人の人間として僕に対しようとしている。

 

 これを断るなんてできるわけがない。

 

「分かったよ、オルコットさん。どこまでやれるか分からないけど全力でやらせてもらうよ」

 

 そういって右手を差し出す。

 

「よろしくお願いしますわ」

 

 握手を交わす。

 

「それと、これからはセシリアとお呼びください」

「じゃあ、僕のことも一夏でいいよ」

 

 自然と笑顔を浮かべあった。

 

 そして帰りのHR、セシリアと二人で姉さんにクラス代表は試合で決めたい旨を伝えた。

 

「話は分かった。それでは勝負は次の月曜。第三アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ準備しておくように」

 

 視線を合わせ、頷き合う。

 

 一週間しかないけど、できるだけのことをしよう。

 

「しかしな、織斑。おまえのISだが準備まで時間がかかるぞ。予備の機体がない。だから学園で専用機を用意するそうだ。本来なら専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられないが、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意される。理解できたか」

「は、はい」

 

 専用機については”事前に知っていた”けど、やっぱりモルモット扱いか……。

 

 いや、今はモルモットでもいい。

 

 最終的にこの状況を利用できるようになればいいんだ。

 

 今まで姉さんが背負ってきたものをまずは二人で持てるように。

 

 そしていつかは……。

 

「試合までにISの練習もしたいだろうが、訓練機は今週予約いっぱいでな。専用機が来るまでは座学とフィジカルトレーニングでもしていろ」

「了解です」

 

 座学はもちろんだけど、ISを操縦するのに体のキレを落とすわけにはいかないからね。

 

「それでは解散」

 

 さて、とりあえずは稽古場の確保かな。

 

 荷物を手に、誰に相談しようか考えていると、

 

「織斑」

 

 教室を出る姉さんに付いて来いと顎で呼ばれる。

 

「どうしたの」

 

 気安くはなってしまったけど”姉さん”は飲み込んだ。

 

「周りには聞かれたくない。小声で話せ」

 

 窓際に立ち、お互いの耳に口を向け話す。

 

「おまえの機体だが、あいつが作っている」

 

 その話か。

 

「知ってる。僕がISを動かせた理由に心当たりがないか聞きたくて電話した時に聞いたよ」

「そうか……。今回、あいつ妙に張り切っていてな。本当にギリギリになるかもしれんから、そのつもりでいろよ」

「心配してくれてるの」

「当たり前だ」

 

 そう言って頭を一撫でしてくれた。

 

 過保護だな~~と思うけど、正直嬉しい。

 

 それにしても、専用機か。

 

 電話で色々話してアイデア出し合ったけど、あの人の事だからその斜め上を行っちゃいそうで怖い。

 

 魔改造とかされてないといいんだけど。

 

 あっ、これフラグかも?

 

 何かお礼したいけど、電話番号しか分からないし、どうしようかな?

 

 というか、かける度に登録されてる番号がいつのまにか勝手に変わってるんだけど、ハッキング怖いです。

 

 姉さんの後ろ姿を見ながらそんな事を考えていると

 

「い、一夏」

 

 姉さんの離れるタイミングを計っていたように箒ちゃんが声をかけてきた。

 

「どうしたの、箒ちゃん」

 

 今は考えることがいっぱいあって、今朝まで感じていた妙な意識は鳴りを潜めている。

 

「う、うん、良かったら道場に来ないか? 私が稽古をつけてやるぞ」

 

「あ、あぁ……」

 

 そうだった。

 

 箒ちゃんには言わなくちゃいけない事があったんだ。

 

「ん?」

 

 言いよどむ僕をいぶかしむ箒ちゃん。

 

 でも、ある意味ちょうどいいかも。

 

「あのね、箒ちゃん。三つ言いたい事があるんだけど、聞いてくれる?」

「うむ、いいぞ」

「一つ目、去年だけど剣道の全国大会優勝おめでとう」

「な、なんでそんなこと知ってるんだっ」

 

 おっ、顔が赤くなった。

 

「新聞に載ってたから」

「なぜ、新聞なんて見てるんだっ」

 

 それはさすがに理不尽じゃないかな。

 

「二つ目、申し訳ないんだけど実はもう剣道やってないんだ」

「なっ!? どういうことだ、一夏っ」

 

 やっぱり、そういう反応になっちゃうよね。

 

 箒ちゃんの大声に視線が集まる。

 

「それについては後で二人の時に話すよ」

 

 暗に”他の人には聞かせたくない”と示す。

 

「そ、そうか……」

 

 周りの視線に気付き、しぶしぶながらも同意してくれる。

 

「じゃあ、三つ目。剣道じゃないんだけど、僕の訓練に付き合ってくれないかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうつもりだ、一夏っ!!」

 

 ご立腹の箒ちゃん。

 

 あの後道場に移動して、今は剣道の面以外の防具をつけた箒ちゃんと対峙している。

 

「なんでISのスーツなんか着て……説明しろっ!!」

 

 そう、僕は道着ではなくISスーツを着ている。

 

「箒ちゃん、順を追って説明するから、とりあえず声のボリューム下げてくれる? 道場内は僕たちだけだけど、外にはギャラリーがいるみたいだからさ。箒ちゃん以外には聞かれたくないんだよ」

「う、うむ。すまない」

 

 箒ちゃんは直情型みたいだけど基本素直でいい子です。

 

「えっと、箒ちゃんは姉さんが第二回モンド・グロッソの決勝戦を棄権したニュースはもちろん知ってるよね?」

 

「当たり前だ。あれは世界的なニュースだったからな」

「でも、理由は知らないよね?」

「あぁ、報道では謎となっていた」

「これから話す事は絶対に他言無用だよ? いい? 反応も極力控えて欲しい」

「分かった」

 

 聞く準備が出来たのを確認してから話し出す。

 

「実は姉さんが決勝戦に出られなかったのは、誘拐された僕を助けに来てくれたからなんだ」

「っ!?」

 

 約束通り驚きを口から出すことに耐えてくれた。

 

「犯人グループは今も分かっていない。僕の情報をくれたのが開催国だったドイツで、その後姉さんは見返りみたいな形で一年間ドイツでISの教官をする羽目になったんだよ」

 

 箒ちゃんは黙って聞いていてくれる。

 

「その時、思ったんだ。無手の状態でも戦える力が欲しいって」

 

 箒ちゃんの目が見開かれる。

 

「だから剣道をやめて、合気道、正確には古武術だけど、それを習い始めたんだ」

 

 箒ちゃんが悔しそうな、苦しそうな表情を浮かべ、俯いてしまう。

 

「当時、仮に僕の習っていたのが今の武術だったとしても誘拐はされてた思う。結果は変えられなかったと思う。でも縄で縛られてる時の、武器が手になく、ひたすら自分の無力を実感するしかなかったあの気持ちが忘れられないんだ。だから自分の体を武器にしようと思った。そうすれば武器がなくなることもないから」

 

 しゃべりながら不快感から胸に手がいく。

 

 過去の感情を思い出すと今でも吐きそうになる。

 

 それに気付いたのか、

 

「すまなかった。辛い話をさせてしまって」

 

 自分も複雑な心境だろうに気遣かってくれる。

 

「ううん、聞いてもらえて良かったよ」

 

 なんとか笑みを作って応じる。

 

 そしてしばしの沈黙。

 

 うん、これは良くない。

 

 このままじゃ埒が明かないと思い、無理矢理軌道修正を試みる。

 

「このまま二人して沈んでても仕方ないから、気持ち切り替えよっか」

「う、うむ。そ、そうだな。」

 

 今日は最悪稽古にならないかな。

 

「そういえばISスーツを着てる理由だけど、うちの武術の先生が『普段着で練習しないで、いざという時動けなかったらどうする』ていう考えの人でね。つまり、想定される戦いの衣装でやるべきってことで、だから今回はISスーツが適正かなと思ってさ」

「実践的な思考なのだな」

 

 納得してしてくれたようだ。

 

 でも道場でISスーツって正直自分でも浮いてると思うけどね。

 

「それで訓練なんだけど、箒ちゃんに打ち込んでもらって、躱す練習がしたいんだ。お願いできるかな」

「躱すだけなのか? できるなら反撃してもらってもいいぞ」

「打撃はいいだろうけど、投げられたり関節きめられて平気?」

「大丈夫だ。私だってスポーツではなく武術として剣道を修めている。遠慮はいらない」

 

 道は違っちゃったけど、互いに鍛えあえるという事でなんとか気持ちを切り替えてくれたみたいだ。

 

「全国チャンピオンにどこまでできるか分からないけどね」

 

 軽口で場を和ませる。

 

 箒ちゃんの優しさに応えるためにも頑張ろう。

 

 体と気持ちの準備のため軽く準備運動してから、3mくらい間を取って対峙する。

 

「お願いします」

 

 互いに一礼する。

 

 箒ちゃんは竹刀を正眼に、隙を感じさせない構え。

 

 僕は足は肩幅、腕は下ろし、自然体で臨む。

 

 こちらの隙を窺いながら気を高めていく箒ちゃん。

 

 それに対し、僕は相手の呼吸に自分を合わせていく。

 

 そして……。

 

 動いたのは同時。

 

 箒ちゃんは鋭い踏み込みで上段から切り下してくる。

 

 それに合わせて、左足を右足の後ろに引き体を斜にすることで竹刀の軌道から逸らす。

 

 文字通り目と鼻の先を竹刀が通り過ぎる。

 

 予想以上の剣圧に圧され本来なら無手の自分は接近戦でいなければいけないのに思わずバックステップをしてしまう。

 

 それを最初から読んでいたかのように横なぎに胴を狙われる。

 

 さらに一歩後ろに引きギリギリで躱すが、相手はさらに踏み込んできて上段から一撃を放つ。

 

 引いてはダメだと判断し、後ろ足にかかる重心を前に倒し右前方へ。

 

 振り下ろされる手を狙おうと右手を出そうとするが間に合わず、そのまま体を回転させ背中合わせの格好になる。

 

 わずかにお互いの動きが止まるが、合わせたかのように飛び離れ、間合いを取って最初と同じように対峙する。

 

「さすがだね、箒ちゃん。予想してたよりずっと早いし鋭いよ」

「一夏こそよく避けたな」

「本当は最後手を捕りたかったんだけどね」

「気を付けるとしよう」

 

 次は打ち込まれる前にこちらから仕掛ける。

 

 ただし踏み込むでも駆け寄るでもなく、普通に歩いて近づく。

 

 虚をつかれた箒ちゃんは一瞬戸惑うもすぐに立ち直り距離を取ろうと後ろに引こうとする。

 

 それは悪手だ。

 

 あちらの重心が後ろに傾き始める瞬間に合わせて一気に踏み込み距離を詰める。

 

 鼻と鼻が触れ合いそうな距離。

 

 だが彼女の顔は驚くより先に痛みに歪む。

 

 後ろに引こうとして残っていた足を踏まれたのだ。

 

 彼女はこちらを引き離そうとつばぜり合いの要領で押しのけようとするが、その手を捕り、相手の勢いのまま自分の後ろに引く。

 

 彼女の重心が前のめりになる。

 

 掴んだ手を円運動で下方に回し、反対の手を腹部に当て押し上げることで円運動を促し、投げる。

 

 次の瞬間、仰向けに倒された箒ちゃんが驚いた表情を浮かべていた。

 

「大丈夫? 箒ちゃん」

 

 手を引いて立たせる。

 

「あ、あぁ。見事なものだな」

「奇襲みたいなものだけど上手くいったよ」

 

 基本的には受けからの反撃が主なのだが、できるなら先手を取った方がやり易い。

 

「合気道の投げとは、なんというか、流れのようなものなのだな。体をコントロールされるというか。うん、気付いたら天井を見ていた」

 

 初めての体験にちょっと面白がっているみたいだ。

 

「そうだね。重心のコントロールが基本であり極意らしいよ」

 

 まだまだ未熟者の僕では至れない先が山ほどある。

 

「あの後、関節技やとどめの打撃となるのか?」

「そうだね。投げが起点になることが多いけど、躱してカウンターで打撃とかもやるよ」

「興味深いな」

 

 武術というものは基本的に門外不出である。

 

 知られれば対策を立てられてしまうから。

 

 よって試合ならまだしも訓練での交流はない。

 

 それに半ばスポーツと化してしまっている現在は異種試合自体珍しい。

 

「でも、ISにはやっぱり使えないよね」

「あ、あぁ……」

 

 納得されてしまった。

 

「空に浮いてるISでも投げればバランスくらい崩してくれるだろうけど、関節技ってどうなんだろ?」

「絶対防御が働いて、シールドエネルギーが削られるんじゃないか?」

「そうだといいんだけど、でも斬ったり撃ったりした方が早いのは確かだね」

「それはそうだな」

 

 二人して苦笑い。

 

「まさかISに乗ることになるなんて思ってなかったからな~~。でもいまさら方向転換もできないし。武器に期待ってところかな」

「私はもちろん剣だが、一夏はどんなのが良いのだ?」

「夢と希望とロマンと皮肉が合わさったような感じ?」

「なんだそれは?」

「コンセプトの話し合いはしたけど、基本的に作ってくれる人任せだから開けてみるまではお楽しみにって所だね」

 

 その後は協力しながら二時間ほど訓練をして解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋に帰ると誰もいなかったので気兼ねなくシャワーを浴びる。

 

 部室棟には男子が使えるシャワーがないので自室一択なのだ。

 

 大浴場も使えないし、男一人じゃ我儘も言えないか。

 

 シャワーから出ると、いつの間にか着ぐるみに着替えたのほほんさんがいらっしゃった。

 

 うまいタイミングで着替えるもんだな。

 

「シャワー先に使わせてもらったよ」

「わたしはご飯の後に大浴場行くから大丈夫だよ~~」

「羨ましい……」

 

 湯船がですよ?

 

「おりむぅも一緒に入る?」

「なっ!?」

 

 言葉に詰まってのほほんさんを見ると、いたずらっ子の笑顔を浮かべていた。

 

「からかわないでよ。足を延ばせる湯船が羨ましいだけで他意はないよ」

「あぁ~~、男の子は部屋のシャワーしかないんだっけ?」

「残念な事に」

 

 外出許可が出たら銭湯でも行こうかな。

 

「女子の使用時間の後にこっそり入っちゃえば~~?」

「バレたら姉さんに殺されるよ」

 

 「それもそうだね~~」なんてのほほんさんは気軽に笑っていた。

 

 夕食は箒ちゃんととり、道場の使用や訓練の相談をした。

 

 その後、部屋に帰って座学。

 

 まずは今日の復習と明日の予習。

 

 仕方ないとはいえ一人だけ大幅に遅れているのだからこれは欠かせない。

 

 それが終わって、さて、試合用に何を重点的にやろうかと考えていると、湯上りのホコホコしたのほほんさんが帰ってきた。

 

「おかえり、のほほんさん」

 

 湯上りでも着ぐるみじゃ色っぽいとかないな。

 

「ただいま~~おりむぅ何してるの~~?」

「ん? 試合に向けて何を勉強しようか悩んでるんだけど、良かったらアドバイスしてくれないかな?」

 

 周りはみんな自分より先に進んでいるのだ。手を借りない手はない。

 

「そうだね~~、やっぱり機体の構造と制御からじゃないかな~~」

 

 理に適ってる。

 

 効率良い運用には慣れやカンに加え知識が必要不可欠だもんね。

 

 のほほんとしていようと基本この学園の生徒はみんな優秀なのだ。

 

「そっか、ありがとう。その辺りから手を付けてみるよ」

「良かったら教えてあげようか~~?」

「ホントっ? それは助かるよ」

「お菓子三個で♪」

 

 ちゃっかりしてらっしゃる。

 

 でも、

 

「お願いします」

 

 なりふり構ってる余裕はないもんね。

 

 相手は代表候補生、現状、全てにおいてこちらが劣っているのだ。

 

 それを分かったうえで、それでも勝つつもりでやる。

 

 セシリアさんの気持ちに応えるためにも、応援してくれるみんなのためにも、何より自分のために。

 

 そのための準備は怠らない。

 

 後は専用機を待つだけだ。

 

 束さん、大変だと思うけどお願いしますよ。

 




一夏君、合気道できます。
しかしISには死に設定というw
箒ちゃん、せっかくの活躍シーンですが、防具があるので胸の描写がないという残念な感じにorz
次話は……ちょっと問題がある回でして、番外編でifって事にしようかなと思ってます。

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