戦う定め   作:もやしメンタル

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やっとアスナさんの登場です!


4話《キリトの恋人》

僕らはヘルメス様の提案によって、馬車に乗り【ヘルメス・ファミリア】に向かっていた。

 

「なんでこんなことになってんだよ…」

「なんかゴメン、キリト」

 

パーティに来たはずがこんなことになるなんて、嘆きたくもなるだろう。ガックリと頭をさげるキリトに僕は苦笑いを浮かべた。

 

「それにしても、今回は随分帰りが早いじゃないかヘルメス。何か用でもあるのかい?」

「いやーちょっとな。それにベル君に興味があってね。会えて嬉しいよ」

「ぼ、僕ですか?」

「ヘルメスゥ?分かっているだろうけど。ボ・ク・のベル君に手を出したらただじゃ済まないからな!」

「お、おい親友、顔が怖いぞ」

「プッハァッ!」

「ロキ、いつの間にお酒…」

「まーまー、堅いことはええやろアイズたん!」

「は、はははは…随分と賑やかだな…」

 

馬車の中での騒がしい光景にキリトが顔を引きつらせる。

それに比例して僕も「あはは…」と汗を流すのだった。

 

「おっ、見えてきたぞ、みんな降りる準備をしてくれ」

 

そんな中、ヘルメス様がそう言い帽子をかぶりなおす。僕は外を見てみると、二階建ての建物が見えてきた。

 

* * *

 

建物は新しくはないようだ。でも、広い庭は手入れが行き届いている。建物は白を基調としていて、その壁に伝っているツタの葉は、建物をまさに”森の家”のようなメルヘンな雰囲気にさせている。

これまたメルヘンチックなレンガ造りの門を通り、建物の中に入ると…

 

「え、これどういう状況なの…?」

 

と、一人の少女がポカンと立っていた。

彼女は現れた僕らを前に、そのブラウンの双眸を見開いている。

 

「ロキ様、アイズ。一体どうしたの?」

「よーアスナたん、おひさー!」

「お久しぶりです。それに、えーっと…」

「あ、僕はベル・クラネルと言いますっ」

「ボクはヘスティアだ」

「初めまして。私はここのファミリアの副団長のアスナです」

 

そう言って少女、改めアスナさんは僕らにペコッと頭を下げた。

美しい栗色の髪の毛に透き通る様な白い肌。

エルフにも引けを取らないようなその美貌に、僕はつい見惚れてしまう。

それに気付いた神様に思いっ切り太腿をつねられ、僕は「いたい!」と情けない悲鳴を上げるのだった。

 

そんな中、アスナさんのもとに近付いたキリトが事情を説明しようとする。

黒を基調としたキリトに、赤と白を基調としたアスナさんの格好。

そうして身を寄せ合う2人の姿はなんだか妙にしっくりきて、無意識にお似合いだなぁなんて感想を抱いてしまった。

 

「相変わらずやな〜、お二人さん」

 

するとロキ様が心底楽しそうに割り込んだ。相変わらずって?と僕は首を傾げる。

 

「なんだい?キミたち付き合っているのかい?」

「「ブッッッ」」

 

神様の質問に同時にむせるキリトとアスナさん。

その一連の流れを見てやっと理解が追いついた僕は「えぇっ⁉︎」と驚愕の声を上げてしまった。

 

キリトにこんな綺麗な恋人さんがいたなんて…。今度アドバイスお願いしようかな…。

 

「よっし、ほんじゃ本題に戻らへんか?」

「そうだなー、俺の部屋は今ちょっと書類やらで散らかっていてね…。うん!それじゃあキリトの部屋で話そう!」

「えっ⁉︎ちょっ⁉︎なっ⁉︎」

「了解だ!行くぜキリト君!」

「す、少し待ってください‼︎」

 

そう言ってキリトは、目にも止まらぬ速さで二階へと駆け上がっていくのだった。

そんな彼の後を追い、僕らは歩みを進めていく。

 

「で、アスナたんっキリトとはどこまでやったんや〜?」

「な…っ!い、言いませんよそんなこと!」

「ほう、言えないような事までしたのかい?いいよなぁリア充は」

「そ、そんなんじゃありません!」

 

神様が何故か溜息をつきながら言うと、アスナさんは顔を赤くしてしまった。そんな中悪いとは思うが、僕も気になってしまったので聞いてみる。

 

「あの、アスナさんはキリトとはいつから知り合いなんですか?」

「ふぇ⁉︎あ、えーっと…2年、くらいかな」

 

やっぱりそのぐらいは必要だよなー……とか思ってしまう僕。

 

「で!告白はどっちからだい⁉︎」

 

何故か興味津々な神様に詰め寄られ、アスナさんは恥ずかしそうに「キ、キリト君、からです…」とボソボソと答えた。

すると神様はズーンと音が聞こえそうなほど落ち込み。「そうなったら、どれだけ幸せか…」と嘆いている。どういう意味だろう?

 

「で、でも!先に好きになったのは私で、は、初めは…凄く…ア、アタックとか…してました…」

 

プシューと音がしそうなほど顔を真っ赤にしたアスナさんは、そこまで必死に話しきった。すると途端に神様がその双眸を輝かせ始める。

 

「そうなのかい⁉︎そうか、そうだよな!やっぱりアタックは必要だ!ありがとうアスナ君!君こそが真の女神だよ‼︎」

 

アスナさんの手を握りブンブン振っている主神に、神様がそれを言ったらおしまいですよ……と僕は苦笑いをこぼす。

その間、どさくさに紛れて「ほんじゃあウチもアイズたんにアタックを〜」とアイズさんにセクハラをしようとしたロキ様に、アイズさんは困り顔でビンタを炸裂していた。

 

「おっと、着いたぞ」

 

そう言ってヘルメス様は一つのドアの前で立ち止まった。中からは、忙しない音が聞こえるがヘルメス様は関係なしに「入るぞキリト〜」とドアを開けた。

 

 

 

 




いつか、キリトとアスナのラブラブな話を書きたいです。

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