デジモンアドベンチャー=9人目の選ばれし子どもと可能性の紋章=   作:黒風

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X第13話X

過去~ 1994年

 

side白羽

 

 

僕には表情がなかったとき、

最初は周りの大人も心配して声をかけていたけど、

どう接しても僕が笑わないということに気味が悪くなって

もう目も合わせてくれなかった。

無表情で無関心。

そんな僕を受け入れてくれる人はいないと思っていた。

 

お母さんが出て行って数か月たったある日、

季節は初夏だった。

 

僕は幼稚園から帰ってきていつもどうり本を読んでいた。

だって遊ぶ友達もいないし、他にすることがないからだった。

前世の時から読書は好きだった、

白い何もない病院でずっと本を読んでいたから。

 

本を読みふけっていると時計が午後の9時ぐらいを指していて、

僕はあわててご飯を作ろうとして部屋を出ようとしたときに転んでしまった。

 

「いたた……」

 

部屋はシーンとしていてなんだか寂しくなってきた、

おかしいな?

今までそんなこと一度も思わなかったのに…。

 

床にぽたりと水が落ちた、その水はだんだんと溜まっていく

雨漏り…はするはずないし…、

僕はなんでだろうと頬杖をついて考えようとして自分の顔に手を当ててはっとする。

 

「そうか……僕が泣いてるんだ……」

 

全然気づかなかった。

でも、今更泣いても別にどうってことはないと思う。

多分無意識のうちにため込んでたんだと、そう思った。

なら泣ける分だけ泣いておこうかな?

そう思った時だったんだ。

 

キュィーン

 

急にPCが起動する音がしてあわててそのほうを向くと

何かがPCから出てくるところだった。

その何かはPCを出ると僕の目の前にやってきた。

 

「ねぇ?なんで泣いてるの?どこか痛いの?」

「えっ?」

 

いきなりのことだったからびっくりしたんだと思う。

PCから出てきた何かは僕が前世にいたときに好きだったデジモンの一体の

カプリモンだったから…

 

「カプリモン・…だよね…?」

「うん!私はカプリモン!白羽を待ってようと思ったんだけど自分から来たんだ!

 そしたら白羽泣いてるからびっくりしたよ…?」

 

そういわれると少し止まった涙がまた溢れ出して、

思わずカプリモンに抱きついたんだ。

その日僕はカプリモンを抱きしめながら気のすむまで眠ったんだ。

 

 

カプリモンが来た日から数日、

カプリモンはポーンチェスモンになって家事とかいろいろ手伝ってくれていたんだ。

そんなある日、僕は高熱を出して幼稚園を休んだ。

そしてその日マンションの隣の部屋に誰かが引っ越してきたということを

騒がしい音で気付いた。

 

その日の夜、僕の熱は下がらなくて苦しかった。

幼稚園生の子供が一人で病院に行けるはずもなく、

薬局で薬もかえなかったから一人で治すしかなかったんだ。

 

Pチェスモンがご飯を造ったりしてくれてとても助かった。

Pチェスモンは疲れてデジヴァイスの中で眠っているときだった。

 

ピーンポーン

 

チャイムの音に気づき、重たい体を起こして玄関まで行った。

 

「はい…今開けます…。」

 

僕はフラフラとした足取りで玄関まで行き鍵を開けた。

 

「こんばんわ、白羽ちゃん…?大丈夫!?」

 

ドアを開けたら太一さんのお母さんがいた。

でも僕は少し限界で、そのまま意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

気が付いたら自分の部屋に似ているけど見知らぬ天井。

とりあえず僕は起きて周りを見渡すと僕が寝ていた布団の横に、

太一さんのお母さんがいることに気が付き隣に越してきたのは八神一家で、

僕がいるのは八神家だということが分かった。

 

「起きたの?具合はどう?急に倒れたからびっくりしちゃったけど、

 すごい熱だったわよ?」

「えと…ご迷惑おかけしてすいませんでした。

 具合は大丈夫です。僕、自分の家に帰ります。」

「駄目よ?まだ熱があるじゃない!白羽ちゃんの熱が下がるまでここにいなさい。」

 

有無を言わさないような口ぶりでそういう太一さんのお母さんに困っていると

乱暴に部屋の扉が開いた。

 

「こら!太一!病人がいるのに静かにしなさい!」

「母さん俺じゃないよヒカリだよ?」

「白ちゃん!!」

「わわっヒカリちゃん?!」

 

空いた扉からヒカリちゃんが顔を出してこちらの方へ抱き着いてきた。

太一さんも太一さんのお母さんも困ったような顔をしてた。

ヒカリが僕に会いたかったと泣きわめいてたことがあったらしく、

止めるに止められなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




えと、来週更新できそうになかったので書きました!
一応過去編は終わりです!

ご意見ご感想、誤字脱字のほうこくおまちしてます! 

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