デジモンアドベンチャー=9人目の選ばれし子どもと可能性の紋章=   作:黒風

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X第12話X

1999年8月3日 ビックサイト

 

side白羽

 

間違いない、間違えるはずがない!

見た目は小学校高学年だけど確かにこの人は僕のお兄ちゃんだ!

 

でも、なんでお兄ちゃんがここにいるの!?

僕はあの時見たんだ、お兄ちゃんが死んでしまうところを……。

 

 

 

~回想~

 

1995年 春休み 光が丘

 

side白羽

 

「白羽ー、もう寝るよー?」

「おにいちゃん!まって!」

 

わたしは大好きなおにいちゃんによばれて、

おにいちゃんとわたしのへやにいった。

その時だった…

 

「きゃぁぁ!?」

「この音まさか!?

 白羽!絶対ここにいろよ!」

「えっ!?おにいちゃん!まってよー!?」

 

ドォーンという何かが壊れる音がして、おにいちゃんと紫の毛のあの子は外に出た。

わたしも少し時間を空けておにいちゃんとあの子を追って行った。

外に出てからおにいちゃん達のところへ行くまで何回も転んだけど、

痛みで泣いてる暇なんてなかった。

ただひたすらに走った。

マンションの外まで出ると、

おとなりのひかりちゃんとたいちおにいちゃんが怪獣に向かって何か叫んでいた。

おにいちゃんは2人を止めているみたいだったけど、

わたしに気づいたらすぐにこっちに来てくれた。

 

「白羽、なんで来たんだ!?あそこにいろって言っただろ!?」

「ふぇ。。でも…おにいちゃっ」

 

わたしは怖くていつの間にか泣いていた。

そんなわたしの頭をお兄ちゃんは撫でてくれた。

わたしが落ち着いて、

おにいちゃんがあの子のとこへ戻ろうとした時だった。

 

「白羽!?危ない!!!!」

 

トン…

 

ドォォン

 

「おにいちゃん!?」

 

おにいちゃんは動かなくなった。

グレイモンが暴れたときに落ちてきたがれきの下敷きになって動かなくなった。

 

そう、おにいちゃんは死んでしまったんだ…。

私の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたときわたしは病院の白いベットの上にいて、

周りには誰もいなかった。

どうしてここにいるのかはわからなかった、混乱していたんだと思う。

辺りを見回していると目に入ったのは…。

 

「これ…おにいちゃんの…

 名前はたしか…でじヴぁいす…っ!?」

 

 

壊れてしまったデジヴァイス、それを見たとき時

忘れていたおにいちゃんの最後を思い出した。

涙が止まらなかった。

その直後頭が割れるように痛んで、前世の記憶が流れ込んできた。

急に頭に入ってきた記憶に最初は戸惑っていたけど…

その記憶の中で出てきたのは間違いなく、あの事件の映像と、

この世界で起こる出来事。

そのどれにもわたしとおにいちゃんの存在はなかった。

 

その時に病室の戸が開いた。

顔を青くして、泣きはらした目をしているお母さんと、

そのお母さんを支えるお父さんだった。

お母さんは私が起きているのを見ると駆け寄りそして私の肩を乱暴につかんだ。

 

「なんで…なんであの時家を飛び出したの!?

 周りの人の話によれば悠は…あの子はっ!!!!!

 

 

 

  アンタのせいで死んだのよ!!!」

 

お父さんが私からお母さんを引きはがすと、お母さんはワーワーと泣き叫んだ。

その内容はほとんどが私に対する憎しみや怒り…

そして、何よりも…

 

「あの子の代わりにアンタが死んだらよかったんじゃない!

 あの子を…悠を返してよぉ!!!!」

 

お兄ちゃんを失った悲しみだった…

 

 

私が退院した後、

引っ越して、新しい家に慣れたころ。

何とかお兄ちゃんのいない家の空気をよくしようと、

私は僕になり、できるだけいい子を演じた。

でも…

お母さんは出て行ってしまった。

お父さんはそのとき海外に研究とか何とかで行っていたから居なかった。

お母さんは最後まで僕を憎んでた。

だから一人で僕を置いて行ったんだと思う。

でも僕には前世の記憶があったから家事も難なくできたし、

餓死したりすることはなかった。

でも精神的にはきつかった、僕はその時笑えなかったから…

鏡を見ても、いつも無表情な自分の顔が写っていた。

 

 

 

 

 

 




今回ほぼ回想です《
白羽の過去を書きたかったので…。
次回も回想になると思います《

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