「提督、遅くなりました」
「sorryネ」
大淀と金剛が入室し、執務室には第一から第四艦隊の旗艦が揃った。
「おう、お疲れ。じゃあ報告たのむわ」
「では、私から」
俺の言葉に答え、大淀が一歩前に出る。
「大規模作戦を想定した資材回収計画は目標を達成しました。4資源、高速修復材共に予定を超える量が集まっています」
大淀がバインダーごと書類の束を差し出す。俺はそれを受け取り、ぱらぱらとめくって中身を確認した。バケツは予定の500を大きく超えて583、4資源はボーキサイト以外は10万を越えている。
「よし、作戦開始までこのシフトを維持。ギリギリまで資材調達を続けてくれ」
「了解しました」
報告を終えた大淀が下がり、続いて金剛が前に出てくる。
「報告しマース!先日第三艦隊に編入された新駆逐隊、第八三四一駆逐隊と第八八四二駆逐隊は1週間のtrainingで実戦投入可能デース。作戦にはギリギリ間に合いマース」
「わかった。教官の選出はそっちに任せる」
「了解デース。任せてくだサーイ!」
これで全員分の報告は終わった。これだけ準備すれば一方的に負けると言うことはないだろう。もちろん油断は禁物だが。
「よし、本日の集会は終了だ。お疲れさん。解散していいぞ」
第二から第四艦隊の旗艦達は敬礼し、部屋を出ていき、部屋には俺と秘書艦の長門が残された。
「ふう、なんでうちの艦隊がこんな深部までの進出が要求されるんだ?」
背もたれに寄りかかり書類をぱらぱらめくる。第二次SN作戦とかかれた紙は意図的に見ないようにした。
「恐らく、軍を抜けた竹田提督の分が回ってきているのだろう」
「あのセクハラ女か。面倒くさいことしやがって」
大規模作戦についての書類は終わり、内容は設備の更新、修理の報告、夜戦の申請、油とロース肉の発注、如月の所属と移っていく。
「はぁ……」
「どうした?溜め息なんかついて」
最後の書類を見て思わずもれた溜め息に長門が反応する。
「如月の所属が判明した」
「本当か!?」
それを言った瞬間、目の前に長門の顔のアップが映る。食い付きが良すぎだ。俺は長門の顔を押し退けて続ける。
「あいつの着ていた服に所属が書いてあった。洗濯に出されていたやつを回収させた」
「そうか、思ったより早く見つかったな。これで元の鎮守府に帰せるのか」
「いや、あいつはここで建造したことにしてこの鎮守府に所属させる」
「何?どう言うことだ」
再び長門の顔が迫る。……説明するのも面倒くさい。書類を渡してしまおう。
「これか……」
長門は書類を受け取り、読み始めた。そしてその表情が曇っていく。最後に大きく溜め息をついて書類を返してきた。
「そうか。すまない、感情的になりすぎた」
「まあ、そう言うことだ」
俺は書類を破り、シュレッダーにかけて処分した。そして椅子から立ち上がる。すっかり仕事をする気がなくなってしまった。いつも止める長門さえも今日は何も言わなかった。
自分の傷を抉りながら夏イベ編を書く