勇者さんのD×D   作:ビニール紐

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リゼヴィム「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!」


最後の最後だけ一部文章を追加しております。


……これにより1人のキャラがゲス野郎? に。


第30話

「さてと、リゼヴィムは始末出来たし、帰るか」

 

そう満足気に呟き、勇真は転移魔法を発動しようとする。

 

 

その時。

 

 

『本当さぁ、マジあり得ないんだけど』

 

結界内にリゼヴィムの声が響いた。勇真は転移魔法を取り止めると魔法障壁を強化、警戒心を高めた。

 

『でもさぁ、こいつが発動したってことは、俺はもうやられたんだろうな……はぁ、もう少し待とうぜぇまだ準備中だった訳よ』

 

どこか疲れたような残念なようなリゼヴィムの声が響く。この音声が言うにはリゼヴィムは死んだらしい。

 

しかし、逆に嘘くさい。

 

勇真は怒りに任せずもっと念入りに滅殺すれば良かったと後悔した。

 

『まださぁ、トライヘキサも見つけてないのよ、異世界に行く為の準備段階だった訳よ、あ、俺の目的が異世界で大魔王しちゃう、てのは知ってるよね?』

 

「……そんな、馬鹿なこと考えてたのか?」

 

現地の勇者に殺されるぞ? と勇真は呆れたように呟いた。

 

そんな勇真に気にせず声は話を続ける。

 

『はぁ、死んだ憂さ晴らしいにトライヘキサの封印を解いて暴れさせようと思ったのに最悪だよ、マジ最悪だよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

『最悪だから、取り敢えず人間は滅んでおこうか?』

 

「うわーマジ最悪だぁ、さすが自称大魔王」

 

勇真は自分がいきなり掛かった呪いを解呪しながらそう呟いた。

 

『聖杯に溜め込んだ100万の人間の魂を触媒にアジ・ダハーカに全人類と人間からの転生悪魔と人間のハーフに呪いを掛けさせたぜぇ、俺が死んだら発動するようにしといたよぉ、まあ、高位の魔法使いか上位エクソシスト辺りなら生き残れるだろうけど、何人残るかなぁ? 人間は数百万人残れば上出来かなぁ♪』

 

本当はこんな使い方じゃなかったんだけとなぁ、と楽しげに言うリゼヴィムに勇真は頭を抱えた。

 

今、解呪した呪いの強さから考えて、これが全人類に降りかかったらもしかしなくてもヤバイ状況だからだ。

 

「発想が酷い、あのクソ野郎めッ!『あ、あ、あ〜ルミネア、聞こえる! 生きてる!』」

 

勇真は通信魔法で直ぐにルミネアの安否を確認した。

 

『……勇真さんですか!? はい、いきなり強い呪いが飛んできましたがなんとかレジスト出来ました! この呪いって何か分かりますか?』

 

『自称大魔王の負の遺産だよ』

 

『という事はリゼヴィムを倒せたんですね!』

 

『ちなみに、もういくつか置き土産があるから人外くんたちも安心してね』

 

『もちろん……と言いたいけど怪しくなってきた。で、それよりもかなり良くない事が起こってるから、まだ、続きがあるみたいだから! ルミネアは防御を固めていつでも逃げられる様にしといてねッ!』

 

『あ、そう言えば俺を倒したのはサーゼクスくんかな? アジュカくんか? まぁ、誰でもいっか♪ もう俺は死んじゃったしぃ』

 

『はい! 分かりました』

 

『OK、じゃあ切るよ』

 

 

 

『まずは強化ヴァーリきゅんを暴走させて覇龍状態で暴れさせます! ヴァーリきゅんが誰か分からない? 俺の可愛い孫でぇす♪ あ、ちなみに暴れさせる日時、場所はヒミツ♪ ヴァーリきゅんは聖杯のおかげでエンドレス覇龍状態だからガ・ン・バ・レ!』

 

「…………」

 

『次に量産型偽赤龍帝と偽白龍皇の連合軍を解放しまーす♪ 何体いてどこで解放するか? はは、教える訳ねぇだろ!』

 

「…………」

 

『で、最後に制御出来なかったスーパーハイブリット邪龍キメラのヴァルブルガちゃんを解放しまーす♪ 本物のヤマタノオロチをベースにグレンデルコピー、ラードゥンコピー、そして神滅具所持者のヴァルブルガちゃんに偽赤龍帝の鎧をミックスしたスペシャルキメラでーす、ヴァーリきゅん並にマジで超強いから頑張って! あ、そうだ悪魔の皆様は気をつけて、紫炎が熱いよッ!』

 

「…………」

 

『以上! リゼヴィムの遺産でした♪』

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

『あ、実は隠し要素があと一つあるからもし全部に対処出来た方もお楽しみにぃ〜うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!』

その高笑いを最後にリゼヴィムの声は聞こえなくなった。

 

 

「…………」

 

勇真は無言で探索魔法を発動する。しかし、結界内に目立った反応はない。リゼヴィムの仕掛けが発動するのはここではないのだろう。

 

「…………」

 

膨大な魔法力が勇真から迸る、すると勇真を中心に数百枚の魔法陣が現れ強く輝き始めた。

 

勇真が発動している魔法、それは地球規模の超々々広域探索魔法だ。

 

その対象は人類、結果は………

 

 

 

 

 

「……………生存人数460万飛んで12人?……451万68……428万……390万5000…………………256万……」

 

次々と減っていく人間の数に流石の勇真も青ざめる。

 

自分はどうやらとんでもない引き金を引いてしまったらしい。

 

 

 

この日、人類は致命的なダメージを受けた。

 

 

 

 

 

とりあえず勇真は吸血鬼を洗脳して責任を英雄派に押しつけた。

 

 

 

 

 

緊急で開かれた三大勢力会議は重苦しい沈黙に包まれていた。

 

「…………」

 

アザゼルは無言で頭を押さえ。

 

「…………」

 

ミカエルは神に祈り。

 

「…………」

 

セラフォルーは机に突っ伏している。

 

 

「……あ〜そろそろ、会議を始めようぜ」

 

アザゼルが常の彼からは考えられないほど暗い声で独り言の様に呟いた。

 

「そう、ですね」

 

「…………」

 

ミカエルが鎮痛な面持ちでそれに答え、セラフォルーが無言で机から顔を上げる。

 

「もう、前振りとかいらねぇよな、天界は今どんな状況だ?」

 

「……数十億を犠牲者の魂がごった返しになっていますよ。よほど強い呪いを受けたのですね、ほとんど全ての魂が暗く濁っていました、そして信者の方は高位の戦士を含めた極々少数の方以外は……亡くなりました」

 

現在、私を除いた殆ど天使が総動員で浄化作業に取り掛かっています。そう沈んだ声でミカエルは説明した。

 

「そっか、セラフォルー、悪魔はどうだ?」

 

「悪魔は人間からの転生悪魔の三割が死亡、人間との契約がほぼ消失しました」

 

恐ろしほどの無表情で機械的にセラフォルーが言う。それにアザゼルとミカエルは痛ましそうな目を向けた。

 

「……大丈夫ですかセラフォルーさん」

 

「何がでしょうか?」

 

「何がってお前…………いや、なんでもない。最後は堕天使だな、堕天使に協力的なエクソシストの九割以上が死亡、再編には時間が掛かるな、あとこれは調査中だが人間が異常な数一気に死んだもんだから行き場を失った神器が生き残ったエクソシスト達に宿る現象が起きてる。中には複数宿った奴もいた」

 

「それは天界も起きましたね……その方の多くが神器の能力に耐えられず」

 

「……やっぱりか? 調整もしてない神器をいきなり打ち込まれるわけだからな、そういう奴は無理やり神器を摘出してなんとかしたが、それでも俺たちもかなりの犠牲者が出た」

 

で、その犠牲者から出た神器がまた……そう、神器大好の堕天使総督とは思えない程忌々しそうにアザゼルは神器の話を続けた。

 

「アザゼル総督、神器が人間に宿る事を止める事は出来ないのですか?」

 

「初めての現象だからな、今、全力で解析してるが、その前に人類が滅びそうだ、いや、すでにほぼ滅びてたな、天界の方ではなんとかならねぇか?」

 

「神が残したシステムには不明な点が多々ありますので……こちらも専門の天使全員が精一杯解析していますが」

 

アザゼルの問いにミカエルは芳しくない答えを返す。

 

「そうだよなぁ……ああ、そうだこれも一応報告しとく。神器が宿る流れはある程度確認出来るようになったんだ、で、その流れから英雄派のアジトと思われる場所を発見した」

 

それにミカエルは更に顔を顰める。

 

「……急いで対処したい所ですが、今天界から出せる戦力はありません」

 

「悪魔陣営も同じくです。リゼヴィムから送られた音声が嘘でなければこれから更なる被害が出ると予想されます。その為、自衛の為にも戦力は裂けません」

 

「だよな〜、堕天使もそれは同じだ。だが、詳細送っとく、あとこの情報は他の神話勢力にも送っといたが期待はできねぇな北欧とは何故か連絡も繋がらねぇし……はぁ、奴らに時間はやりたくねぇんだけどな」

 

時間を与えると数千と得た神器で奴らは大幅強化されてる。そうアザゼルは付け加え溜息を漏らした。

 

「北欧でしたら現在白龍皇ヴァーリが暴れているようです」

 

セラフォルーの言葉にアザゼルは顔を顰めた。

 

「まさか、リゼヴィムが言ってた時間無制限の覇龍状態でか?」

 

「はい、現在フェンリルと大戦中(誤字に非ず)北欧領地の二割が壊滅、神族にも多数の被害が出た模様です」

 

「あ〜裏切ったとはいえ、ヴァーリが悪いな、オーディンの爺さんに謝らねぇと」

 

俺の首一つで済むかなぁ、済まないよなぁ、と現実逃避した様にアザゼルは呟いた。

 

「ちなみにその主神オーディンとは現在連絡がつかなくなっています。もしかしたら既にラグナロクが起こっているかも知れません」

 

「………マジか」

 

「マジです」

 

「…………」

 

「………悲しいことです。しかし、申し訳ありませんが、北欧は今は置いておきましょう。それよりも聞きたい事があります……リゼヴィムを倒したのは英雄派なのですか?」

 

ミカエルが淀んだ空気を変えるために話題を転換する。

 

「ああ、曹操が倒した。まあ、あくまで邪龍から吸血鬼に戻された奴が言うにはだけどな」

 

ミカエルの問いにアザゼルは即座に返答。しかし、彼は何故か納得いかない様な顔である。

 

「……それはおかしいですね」

 

アザゼルに続きミカエルも訝しげな顔をする。

 

「……ああ、おかしいんだよな」

 

「はい、おかしいですね」

 

セラフォルーも変わらずの無表情だが、その情報を疑っているようだ。

 

 

 

 

 

「リゼヴィムに神器の力は通用しなかったはずだ。だか神器の力なしに奴らがリゼヴィムを倒せるはずがねぇ」

 

魔王以上の実力者、超越者リゼヴィムと強化復活した伝説級の邪龍、それに協力者の魔王に近しいレベルの悪魔ユーグリット、このメンバーを神器なしの英雄派が倒すのはまず不可能だ。

 

「それに彼等の目的は人外の排除のはず、吸血鬼を助ける理由がありません。そもそも彼等の戦力は随分と減っていたはず」

 

更にミカエルが英雄派の目的と今回の行動が矛盾する事を指摘する。

 

その通り、ジークフリートから告げられた彼等の目的に反する行動、それは明らかにおかしいのだ。

 

「つまり、何者かが吸血鬼達を騙して英雄派にリゼヴィム討伐の功績を、人類壊滅の責任を押しつけた」

 

最後にセラフォルーが結論を述べる。

 

 

 

この会議で着々と勇真包囲網が形成されていく。ほんの少しだけジークフリートの遺産が関係しているのは勇真の自業自得であった。

 

 

 

 

勇真はこれをまだ知らない。

 

 

 

 

 

そして、セラフォルーは内心で笑う。どうにかこの場は責任を悪魔から別の相手に受け流せたと。

 

魔王レヴィアタン、彼女は外交担当、ここぞという時はちゃんと働くのだ。

 




勇真「そんな……ミルたん師匠が言うように正々堂々リゼヴィムを倒したら人間社会が崩壊した…! 俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇぇぇ!!」

アザゼル「ここにいると馬鹿な発言に苛々させられる」
ルミネア「異世界から帰って来てからのあなたは、まるで別人です」
リアス「こんなサイテーな奴、消した飛ばした方がいいわ!」
ジーク「あんまり、幻滅させないでくれ…」
曹操「少しはいいところもあるって思ってたのに…俺が馬鹿だった…」

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