~ミッドランドのある終戦地~
傭兵達は礼儀正しく一列で並んでいた。粗野な者、荒くれ者、小賢しい者………礼儀なんて全く知らないであろうその傭兵達が何故、正しく並んでいるのか。それは勿論、雇い主から正しく報酬を貰うためだ。
自分が強く在るために、力を手に入れるために、その日の食い扶持を稼ぐために、欲を満たすために。
その報酬とは人それぞれ、千差万別と言うものだ。
それ自体は良いだろう。個々の思想は自由だ。
だが、自分が強く在るため、力を手に入れるためと言えど、
傭兵が一人、戦場で戦って必ずしも勝ち続けるのは難儀な噺だ。簡単に言えば「無理、無駄」と言う事だ。
なのであれば、「無理、無駄」でなくなるのは、傭兵が一人ではなく、傭兵が集団、一つの団としてある時だろう。
今回の戦争の立役者 ー鷹の団ー が最も良い例だろう。
団長による的確な作戦指揮はまるで未来を予知しているかのようであり、また、それに素早く追従し敵軍を殲滅してゆく団員の姿はまさに傭兵達の憧憬と畏怖の象徴的存在だった。
件の団長であるが、様々な経歴を持っている団員達をそのカリスマで纏めあげるような人物だ。偉丈夫もしくは団員のだれよりも厳ついヤツのなのだろう。と人々の間で噂されていたが、真実は白き鷹の鎧を身に付けた、中性的な容姿の涼やかな美青年なのである。 名をグリフィスと云う者だった。
さて、話変わってそのグリフィスだが、終戦直後から今まである人物(・・・・)にご執心であった。誰なのか?
彼の目には、傭兵達の中でも異彩を放つ、身の丈に合わぬだんびら(・・・・)を軽々と振り回している少年(・・)が眩しく映っていた。
その少年には何か惹き付けられるような、関わってはいけないようなそんな雰囲気があった。………またメタいような事を言ってるって?気にしたらダメだ。
まあ、何時までも思考に耽っていたら、折角のチャンス(・・・・)を不意にしてしまうだろう。
どうにかして彼を鷹の団に引き入れたい。彼はそれだけの実力があり、魅力的…コホン、思わず惹き付けられるような
何かがある。
どうやって団に引き入れようか?話を持ち掛けるか?……いや、駄目だ。あれだけの強さがあるのに一人で居ると言うことは、様々な勧誘を、時には実力で突っぱねているからだろう。この案はナシ。
なら剣で勝負を仕掛けて無理矢理……はやめておきたい。いずれ仲間になる(確定事項)んだからいざこざなく他の団員と打ち解けて欲しいからな。
………んー、とりあえず穏便に、待ち伏せして待って話掛けてみるか。コルカス達が何もしなければいいんだが………
ん?またまたメタい?キニスルナ(棒)
如何でしたでしょうか?ガッツじゃなく、グリフィス視点でした~。