木曾とそんな泊地   作:たんぺい

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第二十話:木曾と大本営の1番隊

時間というものは、決して平等に流れない。

アインシュタインの相対性理論とかウラシマエフェクトとか物理的な話ではなく、精神的な意味でもだ。

 

例えば、縁側で茶を啜る時間とゲームに没頭する時間と仕事に励む時間。

それらは、同じ一時間が経ったとして、全く同じような感覚で過ごせる人間はどこにいるのだろう。

あるいは、全く同じように感じるとしたら、それは機械人間か超能力者なのかも知れない。

 

 

少なくとも、リンガ泊地に集った者達は、違うように感じるだろう。

 

 

あの日、2人の英雄が、木曾と赤城の2人の偉大なる1番隊の隊士の隊長格2人が死んだ時…それ以前とそれ以降を知る者達が、全く同じ時間を歩めたとは、誰も思えないのだ。

 

 

 

話は、木曾たちがリンガ泊地のメンバーを集めて遊びに行った翌日、その早朝から始めよう。

とある一隻の軍艦がリンガ泊地の港へと寄港した事が事の発端だった。

 

何の船だろうか、大本営から何の連絡も無いのに。

もしかしたら不審船?それとも自分たちの艦娘に目をつけた敵性国の軍艦?

…もしかしたら、レ級やほっぽを狙った何かかも知れない。

 

そう考えた海里は、慌てて軍服に着替えてその船の所属がわかるモノがないか目視する。

…日章旗、帝国海軍のモノだった。

 

 

その船のハッチが、そう目視した途端にいきなり開く。

中から、6人の艦娘の艦隊が姿を現した。

 

 

一人は…褐色肌に白髪という日本人離れした容姿の女だった。

眼鏡の奥からは挑戦的な瞳がギラギラと輝いている。

着崩した露出度の高い格好にサラシと、有る意味蠱惑的な衣装ではあるが…上述の雰囲気から、並の男など殴り殺せそうな、そんなイメージだ。

 

 

一人は…ピンクの短髪にセーラー服でスク水低身長と、もはやどこから突っ込んだら良いのかわからない。

そうして、自分の魚雷を、実に退屈そうな瞳で見ている。

その姿からは、正直、軍人という空気は全く存在しないような感覚を覚える。

 

 

一人は…ショートカットに丈の合ってないセーラー服と、この2人よりはマシな格好をしているが…何故かスカートははいていなかった。

そんな彼女は、出っ歯を大口を開いて見せつけながら、双眼鏡であたりを見回している。

落ち着き無いげっし類、そんな言葉がぴったりであった。

  

 

一人は…金髪に髪を染めて居ながらも、ブレザー風の衣装におとなしい雰囲気と、実に真っ当な容姿をしている。

オロオロと、辺りを見渡しながら、やや居心地悪そうな表情をしていた。

だが、その瞳の奥からは…闘志のようなモノが薄く燃え上がっている。

 

 

一人は…ポニーテールに鉢巻き、和風の薄紅色と白い衣装と、まるで侍の様である。

顔は、まるで洗面器に張った水の表面のように穏やかで、体躯も線が細く、小柄な方だ。

だが…その姿からは、一切の油断も隙もない、まるで美しい小太刀のようである。

 

 

そして、最後の一人…艶やかで長い黒髪が弓道着によく似合う、和風美人である。

まるで張り付いたかのような微笑みは、なるほど、それを引き立てる。

しかし、何故だろうか…暖かみのあるその美しさは、「氷のような」、そんな言葉がよく似合っていた。

 

 

そんな6人の艦娘達がいきなり現れたと知り、リンガ泊地に集った艦娘達は…レ級やほっぽ達でさえも、

一様に港へと集まって、海里とほぼ同じタイミングで集結する。

どよどよと、リンガ泊地の艦娘達は…そんな6人の来訪者を見て混乱する。

 

…そんな中で、一番に開口したのは木曾であった。

6人の中で、弓道着姿の女に向かって、呆れるような、懐かしむような顔で語りかけた。

 

 

「…ひさしぶりだな、何しにきた?赤城」

「積もる話は有りますが、とりあえず元気そうで安心しましたよ…木曾」

 

 

そう、大本営最強の遊撃隊の隊長、現隊長の赤城と先代隊長の木曾の、実に数ヶ月ぶりの再開であった。

 

 

「…ええ、私たちがどれだけ心配したのか本当にわかってるの?爆発するだの爆発しただの、貴女は陸奥か!陸奥なんですか!」

「…赤城、もう良い…わかった、わかったから……」

「何がわかったよ、貴女はいっつも口でばっかりそう言って心配させて…」

 

赤城の、鉄面皮のような笑顔はどこへやら。

まるでダイスのようにコロコロと表情を変えながら、木曾へと尽きない説経が始まる。

木曾と赤城を知る1番隊の…阿武隈以外の残りのメンバーは、また始まったとばかりに頭を抱える。

阿武隈とリンガ泊地のメンバーはと言えば、なんだこれという表情のまま、成り行きを見ていた。

 

見かねて、阿賀野が口を挟みにいく。

 

「ちょっと、阿賀野達置いてけぼりなんだけど…」

「…なんですか貴女、無礼です…水を差すんじゃ無い!」

「ひぇぇ?!この人、怖い…」

 

しかし、まるで氷のような瞳で睨み付けられてしまい、竦んでしまう。

先ほどのような、目だけが笑って無い張り付いたかのような微笑みが…逆に阿賀野を戦慄させた。

怒らせた木曾が震えるような迫力なら、赤城のそれは凍てつく氷河のようなソレだろう。

 

しかし、その赤城に怯まずに、さらに突っ込んで行ったのは…飛鷹であった。

 

 

「ちょっと、いくら何でも、所属艦隊すら名乗らずに現れるとは、どっちが無礼なのよ!」

 

飛鷹の思いっきり当然と言える正論。

しかし、赤城はまるで意に介さずに答えた。

 

「ああ、コレは失礼…大本営の1番隊とりあえず現隊長の赤城です、私たちを知らないとはモグリですかね?」

 

しかし、この挑発的な言動である。

赤城の言いぐさにカチンと来たのか、口喧嘩が始まった。

 

「貴女、木曾のなんなのよ!馴れ馴れしすぎでしょ!」

「馴れ馴れしいのはどちらですか!木曾は私たちの…」

 

そんな、昔の彼女と今の彼女と言うか、そのものズバリな喧嘩がはじまり、

木曾はもう…赤城にも飛鷹にも味方出来ず…珍しく、オロオロするばかりだ。

そんな3人を見かねた人物が、気づかれぬように接近して、叫んだ。

 

 

「バルス!」

 

 

…神通の探照灯の、ゼロ距離照射であった。

 

目が、目がぁぁぁ!と、赤城に飛鷹に、ついでに巻き込まれた木曾まで悶える姿を見て、

肩をがっくり落としながら神通は謝罪する。

 

 

「すいません、うちの赤城と木曾は…というか、うちの馬鹿どもは本当に……普段は、あれでも赤城はふわふわしてもうちょっとまともなんですが…身内が絡むと、赤城は本当にヒートアップする奴で…」

「あぐぅ…神通…、ごめんなさい、頭は冷えたわ……でもバルスはやり過ぎ……」

「黙れ馬鹿赤城、こうでもしないと止まらないじゃないですか…ああ、リンガ泊地の、飛鷹さん?でしたか、そっちは巻き込んで、ごめんなさいね…」

 

 

ぺこりと、礼儀正しく謝罪する神通に対し、リンガ泊地のメンバーが取った反応はと言うと。

赤城がファーストコンタクトでやらかした負の感情は少し薄れたが…困惑するばかりだ。

 

そこに…突然如月が、アッという声を上げて神通を真っ直ぐ見据えた。

 

 

「ぇぇと、貴女が神通さんでしたかぁ……あの時は、私の為に骨を折ってくれて、えぇと、あの…」

「ああ、貴女が如月さんでしたか…木曾から、話は伺ってます」

「…後ろの人が武蔵さんでしたよねぇ、あ、あの、ありがとうございました!」

 

ペコペコと、恩人2人に頭を下げる如月。

くすくすと笑って如月の頭を撫でる神通とカラカラ笑い出す武蔵。

そんな光景を見て、リンガ泊地のメンバーも彼女たちに警戒を解く。

 

何故かそこにゴーヤと雪風も加わり、実に和やかなムードになる中で…

一人冷めた目…というか、怒った目をした少女が居た。

阿武隈であった。

 

 

「って先輩たちいい加減にしてください!てか、どいつもこいつも戦闘無いとき緩すぎでしょ!」

「おにぎりひとつまともに作れないヤツが言うなでち」

「料理は…その、比叡さんや磯風ちゃんよりまだマシだし…じゃなくて!私たちの来た目的、きちんと話さないと駄目でしょ!!」

 

ゴーヤの茶々も無視して本題を切り出した阿武隈。

途端にどうだろう、周囲の空気が冷えていく。

 

 

まるで、「戦場」という空気そのものがやってきた様で、リンガ泊地組のメンバー全てを畏怖させる。

それは、1番隊の集中力というか、殺気と闘志がいきなり満ちるようなモノであっただろう。

 

赤城も、いつの間にか悶絶から立ち直り、能面のような笑顔を見せながら、機械的に話を切り出した。

 

「あらあら、すみませんお見苦しいところを…ホントミグルシカッタデスガ…私たちは大日本帝国海軍の、『1番隊」…我々の目的は…ただひとつです」

 

 

北方棲姫の、抹殺です。

 

 

赤城は、そんな事を、にべもなく告げたのだ。

 

 

抹殺という単語に周囲に動揺が走る中、真っ先に赤城のこのセリフに食ってかかったのは、扶桑であった。

この子は危険な子ではない…この子が何をしたと言うの、と。

 

しかし、赤城は冷徹な瞳のまま、こう言った。

危険な芽は、排除するのみです、と。

レ級までなら、まだ見逃せるが…姫の生存、それも殺し損ねた北方棲姫は、存在を許さない、と。

 

 

神通や武蔵も、先ほどまでの如月に向けた優しい瞳はどこへやら、人殺しの目と化して、その抹殺対象へと視線を送る。

 

阿武隈やゴーヤすら戦士の姿で気力を見せる、変わらないのは雪風ぐらいだ。

 

 

そんな視線を送られて…トラウマが蘇ったのだろう。

ほっぽは海里の陰に隠れて、コナイデ…カエレ…と、怯え出す。

 

リンガ泊地の艦隊達も慌ててほっぽの護衛に回ろうとして…戦慄した。

 

 

強すぎる、まるで自分たちでは手が出せない相手だと言うことに。

 

 

木曾に鍛えられても、いや、木曾にきちんと鍛えられた事でしっかり把握した。

自分たちがやってきた事など、遥かに凌駕する努力と場数を踏んだエース隊なのだ…と。

 

それは当然だろう、木曾が彼女たちに教えて来たのは基本のキ、1番隊はその遥か先を行く部隊なのだから。

それでも、戦おうとしたリンガ泊地の艦隊だが…それを止めて、前に出たのは、レ級であった。

 

 

「貴女たちが『共食い』なんて駄目デス!そんな戦いするぐらいなら…逃げて、ほっぽ様の逃げ道探すデス!戦いは私ガ…オーラ、イン…elite!」

 

あるいは、この泊地で唯一…ほっぽこと北方棲姫以外に、1番隊に対抗できそうな存在が、エリートのオーラを纏って飛び出した。

ソレは…レ級の従者としての意地であり、リンガ泊地の皆との、友情であった。

 

 

だが、そんなレ級の姿を、つまらなそうなとも驚いたようなとも言える瞳で見つめる者が居た。

探照灯の閃光の悶絶からようやく復活した、木曾であった。

 

…止めるタイミング逃したな。

誰に向けたようなのかわからない言葉を1人ごちながら、その姿を見届ける。

2分持ちゃあ良い方か…そんな事を思いながら、とりあえず動きを静観する事に決めたのだ。

 

 

本当は、木曾は止めに行く必要は有ったし、レ級を助けたい。

ましてや同僚と友人が戦う姿など誰が見たいものか。

だが、どうしても、木曾には現1番隊での阿武隈の動きを知る必要が有ったのだ。

 

自分の抜けた穴を埋ていた存在、そしてあるいは…阿武隈は未来の1番隊を託す存在なのだろうから。

 

 

戦いはいつでも自分は止めれる、だから、すまないがダシになってくれ。

レ級にそんな事を思いながら、しかし、最低な俺を許してくれみんなとも思いながら。

木曾は、その戦いをしっかり見るべきだと感じていた。

 

 

そうこうしているうち、レ級のエリートと1番隊の戦いが始まった。

 

依然の演習よろしく、レ級は大量の艦隊機を展開する。

いや、演習の時の、その数は倍にも思える、牙の大群である。

その姿は、まるで天を覆う雲であった。

 

しかし、その様を、実に赤城はつまらなそうな表情で見ていた。

 

 

「ふむ、喋るレ級とは珍しい…戦略は知っている、数で先制攻撃……まあ、頭は悪くなさそうだけど想定内ですね、戦術でくずしましょうか」

 

そう言うや否や、赤城は弓を構えると、艦隊機の雲を貫くように、幾つかの閃光を発射する。

 

それは敵艦隊機のど真ん中で…一気に戦闘機となって、展開する。

焦ったのは、レ級である。

 

「な、何考えテ…迎撃、げいげ………ア!?」

 

そう、レ級は艦隊機を『展開し過ぎていた』のだ。

そしてその中心にいきなり現れた敵の戦闘機の大群。

それらを迎撃しようとすれば、同士討ちの危険が高すぎる…そう、下手に埋め尽くしたせいで、敵だけを狙い撃つ事ができない。

 

それでも、同士討ち上等で迎撃しようとするものの…

 

「な…何故、あんな密集地帯の艦隊ガ…当たらないデス!?」

 

まるで、ひらひら舞う蝶のように、その機銃は当たらない。

逆に赤城の艦攻に、艦爆に…穴を空けられるように自身の艦隊が蹴散らされていく。

気づいた時には、赤城の艦隊に、レ級の艦隊が殲滅させられていた。

 

 

そんなおりである。 

レ級を挟み撃ちするかのような起動から魚雷の爆発が、いきなり襲う。

 

その魚雷の爆発の一端は…

 

 

「ゴーヤの魚雷は、お利口さん、でち!」

 

ゴーヤのものだった。

レ級が空に目を奪われた瞬間、その間隙を付くかのような一撃で、魚雷を投げたのだ。

 

スナイパー、その本領は射撃の腕以上に精神性が重要である。

長い長い間、チャンスを待つ気長な集中力。

そのチャンスを逃さない瞬発的な集中力。

ゴーヤは、その矛盾する二点を併せ持った…天性の、海のスナイパーであった。

 

 

だが、もう一端の魚雷の射程範囲には…雪風も神通も阿武隈も居なかった。

まるで、全く有り得ない位置から、魚雷が飛んでくる。

そんな有り得ない事…と、木曾は考えて、ある考えが浮かぶ。

 

自身も使う武器の一つ、甲標的…阿武隈が積んでいるのか、と。

 

そう、阿武隈が木曾の後継とされてピンチヒッターをしていた理由はそこにあった。

木曾と同じ戦い方ができる…それどころか、特化していない分、戦術に幅が広く出る、と。

 

「阿武隈、か、活躍出来たよね…!」

 

まだ、本人はおっかなびっくりだが。

 

 

そこに…レ級が魚雷に怯んだ隙に、異常な衝撃が走る。

 

「そ…装甲を、抜いてきたデス……!」

 

レ級も思わず呻く一撃。

 

「この、武蔵…逃げも隠れもせん、46糎3連装砲の火力、味わいたまえ…!」

 

シンプルに、だが、あまりにも非常識な破壊力の砲撃。

武蔵の一撃であった。

まるで、一発で全身を引きちぎるかのような、交通事故のようなダメージを…

それが3連、例えレ級ですら、堪らない。

 

 

しかし、レ級も気合いで砲を構えた…その直後、目の前で、雪風が立ちふさがる。

 

「雪風は…沈まない、当てられるものなら当ててみろれす!」

 

言われずとも…と、その姿を掴もうとするが…当たらない。

嫌、正確に言えば『掴めない』のだ。

 

その秘密は単純、雪風の移動時の舵取りであった。

平たく言えば…減速のタイミングが、異常に巧いのだ。

例えば、どんなに早いランナーでも方向転換の度にストップがかかれば…誰でも捕まえる事ができるだろう。

だが、そのタイミングが、もし、誰にもわからないなら…波と風に同化して、翻弄出来れば。

 

そのネームシップの姉のごとく、『陽炎』と化すと言って過言ではない。

 

 

それら全てを指示しているのが、神通であった。

 

赤城にひっついて、いざという時の肉壁になりつつ…その頭脳をフル回転させて、敵の動きそのものを止めていく。

 

「喋るレ級…まあ、北方棲姫相手のウォームアップには、そこそこ面白い相手でしたね」

 

主砲と魚雷をレ級に向け、いつでも援護に入れるタイミングに立ちながら…1人、神通はごちる。

 

 

 

リンガ泊地の者達は、その戦闘力に、恐怖した。

あの、あそこまで強い…自分たちが艦隊として束になって叶わないレ級を手玉に取っている。

 

特に、羽黒に至っては比喩ではなく失禁しかけていた。

かつて、レ級は…主砲も艦載機も魚雷も使わず、自分を痛めつけた相手。 

それを、個の力で翻弄し、数の力で蹂躙している。

 

早く助けなきゃ、羽黒のみならずリンガ泊地の皆が思うが…あそこまでの相手を、一体どうしろというのだ。

唯一対抗できそうな、北方棲姫…いや、彼女たちに取っては「ほっぽちゃん」。

この子は、戦いに…怯えている、子供ではないか。

 

ほっぽを前線に出せない、出したくない、でも出さないとレ級が…死んでしまう。

 

「誰か…助けて…」

 

羽黒は、ぽつりと…そう、呻いた刹那だった。 

 

 

「そこまでだ、阿武隈の動き…悪くはなかったよ」

 

突然、その二文字がふさわしい。

そんな感じで、木曾はその戦場のど真ん中に立ち…

 

「でも、ちょっと詰めが甘いかな、甲標的の扱いもまだまだ…だ」

「ひ…木曾先輩……」

 

阿武隈の首筋にサーベルを当てて、人質にしていたのだ。

 

 

その姿をみて…最初に口を開いたのは、神通で有った。

 

「阿武隈、恥を知りなさい…背後の警戒は戦闘の基本ですよ、私は気づいてましたが…いえ、赤城さんもですね、でも、私たちが手引きして救わねばならない程度の艦は、1番隊で必要有りません」

 

 

まるで、鬼のような言いぐさである。

阿武隈も木曾に殺されかけて、赤城と神通に見捨てられ…泣き出してしまっている。

 

だが、当の木曾はと言うと…怒りを、実に静かな怒りを、赤城と神通に向けていたのだ。

 

 

「レ級…すまないな、阿武隈の実力を知るにはちょっとダシが欲しかった…助けるタイミングが遅れてすまない…だが、それより…貴様等、阿武隈以上に…恥を知れ!!それでも帝国海軍か!!」

 

阿武隈以上とは何なのか…意味がわからないメンバーは、大破寸前のレ級も、リンガ泊地の皆も首を傾げる。

だが…当の1番隊のメンバーはと言うと…顔を全員青くしていた。

そして、次に木曾から出てきた台詞を聞き…この場にいる全ての人物は、衝撃を受けるので有った。

 

 

「俺が居なかった間に、我が栄光の1番隊は、本来の標的を隠して無関係な者を襲う外道に墜ちるとはな…殺すなら、俺の首を取りに来い!!」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、1番隊の全ての艦娘たちは武器を下ろして顔を背ける。 

それが、木曾の絶叫への答えになっていた…。

 


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