【挿絵表示】
リアルプレイにて那珂を一度轟沈させているため、この物語ではそんな初代那珂を書いています。
初代那珂はリアルプレイでは運良くクリティカルをバンバン発揮して本当に活躍してくれたので、そんな彼女を
具現化させるために話を考えてみました。
艦娘(になった少女)たちは実在したらこんな感じなんだ!身近にいそうだな!という感覚を味わっていただきたいため、
オリジナルの本名・学校生活・友人関係を作って日常生活をリアルに描いています。
可能な限り原作に近づけていますが、かなり性格の違う艦娘も出てきます。ご了承ください。
初代那珂は、"まだ" お団子ヘアをしていません。
回想前、川内型の3人~生徒会長
トラック泊地支援の特別任務から1ヶ月ほど経ったある日。慌ただしかった特別任務の余波もすでに収まり鎮守府の様子は落ち着いていた。特別任務では夕立が死亡を懸念するほどの轟沈を経験するなどいくつか問題もあったが、夕立も無事生還し、それらは無事解決していた。
ある日、提督は川内型軽巡洋艦を担当する3人を呼び寄せた。
鎮守府の本館内および敷地内に放送音が響く。
「これから名を呼ぶ方々は、執務室に来てください。那珂、川内、神通」
那珂は特に仲の良い軽巡や駆逐艦の子と本館裏の広場で雑談、川内・神通の二人は工廠に隣接する出撃用水路のとなりの演習用のプールで練習していた。
しばらくして執務室の扉がノックされ、3人が入ってきた。
「どうしたの?司令官?」と川内。
「なになに?あたしたちにご用事?」と那珂。
「あぁ、突然呼び出してすまない。外の動きも落ち着いたし、時間のある今のうちに話しておきたくてね。今回は真面目なお話なんだ。ちょっと外に行こうか。」
そう提督は言い、総秘書艦席にいた五月雨にあとの執務を任せる合図をして川内たち3人を連れて執務室から出て行った。
提督が3人を連れてきたのは、本館となりにある倉庫……のとなりにある、資料館。資料館はたまに一般公開され、一般市民が見学できる施設になっていたが、その日は休館日で扉はしまっている。鍵を開けて裏口から入り、3人をある部屋に連れてきた。
「ここって資料館だけど、何するの?」
ここまで一切説明なしで来たので川内が当たり前のことを尋ねた。
「この部屋って立入禁止なはずですが?」
資料館の管理を担当したことのある神通は、招かれた部屋が普段は秘書艦たちですら立入禁止な部屋であることを指摘した。
「こんな密室でナニするつもり?わかった!きっと4ぴ」
よからぬことを口走りそうになった那珂の頭を川内がはたいて強制的にセリフを止めた。
「ここはさ、ある理由で使われなくなった艤装を保管しておくところなんだ。」
そう言って提督が指さした保管スペースには、何人かの名前と艤装、それに関する資料と思われるフォルダが書棚にあった。それを順に目で追っていくと、そこには那珂の名前があり、艤装はなかったが資料がいくつか書棚に置かれていた。
「あ、あれって私の担当艦じゃん!なんであるの?」と那珂。
「!?」
純粋に質問する那珂とは違う反応を見せる川内と神通。
「ここはね、殉職した艦娘たちの艤装や資料を保管しておく場所なんだ。那珂には着任時にも話したけど、那珂には前任者がいたんだ。」
「あー、知ってるよ。って、前の人死んだの?」
那珂がさらに質問をして、ふと川内と神通のほうを見ると、二人は苦痛を顔に浮かべている。
「これから話すことは、必須ではないけど那珂には知っておいてほしいこと。川内と神通には、トラウマを掘り起こすようでつらいかもしれないけど、忘れてほしくない出来事だ。」
と提督が言うと、川内が声を荒らげて言った。
「忘れるもんですか!!あたしは光主さんのこと絶対忘れない。」
「……私もです。」
川内が口にした"光主さん"。その人は、鎮守府Aの初代那珂を担当した少女だった。本名を知っている通り、川内と神通は彼女のことをプライベートでも知っていた。というか、同じ学校の先輩であり、同じ艦娘部所属だったのだ。
「光主さん?って誰?」
「那珂、あんた同じ学校の人なのに知らないわけないでしょ。」
「内田さん、那珂はあのときまだ入学してなかったから……」
いきり立とうとする川内を、神通は川内の本名を呼んで諌めて止めた。
「あ……そっか。知らなくて当然かぁ。光主那美恵ってうちの生徒会長で、うちの学校の艦娘部の部長だった人よ。」
川内が那珂に説明をする。
「ふーん。あたしの前の那珂の人って生徒会長だったんだぁ。」
「えぇ。彼女は艦娘としても生徒会長としても、常に全力で活動なさっていました。私達の一番身近な尊敬できる人です。」と補足する神通。
同じ学校の生徒同士である程度補完しあったことを確認し、提督が続きを話し始めた。
--- 1 生徒会長
光主那美恵はある高校の生徒会長を勤めていた。彼女は学校の成績良く、スポーツも万能で性格は少々軽いところはあるが明るく嫌味がない。校内でも男女ともにそれなりに人気がある、非の打ち所がないまさに文武両道、パーフェクトに近い少女だった。彼女は祖母が大昔にある小学生集団の指導者、のちにアイドル活動をしていたことを知り、自身もアイドルを目指すべくまずは身の回りのことから完璧にと努力を重ねていた。
が、同じことの繰り返しで機械的に過ごす毎日、そろそろ新しい要素を欲していた。
そんな彼女が艦娘のことに興味を持ったのは、となり町で鎮守府Aが開設され、そこで艦娘の募集が行われていることを耳にしたからだ。これまでも日本全国には多くの鎮守府と称する、艦娘の基地が設置されていたことは知っている。彼女らが深海凄艦と呼ばれる正体不明の謎の怪物と戦っていることも。が、内陸では影響はなかったため、興味を持つ必要がなかった。
なので本当にたまたま、偶然、自身が興味を持つタイミングと鎮守府Aで艦娘の募集がされたタイミングが合わさったのだ。
興味を持ったことに対しては妥協なしで本気で取り組む彼女は、鎮守府Aにまずは見学に行くことにした。
那美恵が鎮守府Aに見学申し込みの連絡をすると、電話に出たのは非常に若い声だった。彼女自身と同じ年頃、もしくはもっと若い娘だろうか、那美恵は声の主に少し興味を持った。その後見学の予約を取り付け、当日となり町にある鎮守府Aに足を運んだ。