無限なる世界   作:在り来たりな〝ネームレス〟

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少し、少ないです。


名付き魔物

 次の日、ゴウ達は、森に居た。

 

「じゃあ、今から戦闘特訓を開始する。」

 

「は~い!」

 

「・・・分かった。」

 

「まずは、訊きたい事が有る。」

 

「ん~?な~に?」

 

「お前等、どんな戦法にするつもりだ?」

 

「・・・戦法?」

 

「あ~。方法、詰まり、どんな武器で戦うかだ。」

 

(そこからかぁ・・・。先は、長いな。)

 

「う~ん。私はね、ぜんえい?ってのをしたい。」

 

「・・・私は、魔法。」

 

「ふむ。・・魔法は、する事が決まってるから直ぐに行動できるな。しかし、前衛か・・。一口に前衛と言っても色々あるからな。」

 

「・・・どんな武器を使うか、考えて無かったの?」

 

「え、あはは。考えて無かった。」

 

「しょうが無い。色々試す為に準備するから、先に魔力操作から始めるぞ。・・後、ミーセは、接近戦、アンリーは、魔法も特訓するからな。」

 

「は~い!」

 

「・・・何で?」

 

「普通はやる事を完全に分担してるが、そいつは下策だ。大体、そんな事するっつう事は、深層―――ヴウン、心の奥底に、敵には勝てないと考えているからだ。俺は、そんな甘い考え、赦さん。」

 

「・・・むぅ。」

 

 

 

()の世界の住人は、魔力操作下手なのか?母さんは、普通だったけどな。・・まぁ、良い。次の準備するか。」

 

 ゴウは、アンリー達から少し離れた場所に移動し、準備を開始していた。

 まず、スキル「黒魔法(ブラック・マジック)」で『敵切り裂く水の剣(ウォータ・ソード)』を造り出す。

 次に、森の木を『敵切り裂く水の剣(ウォータ・ソード)』で斬る。普通なら『敵切り裂く水の剣(ウォータ・ソード)』で木を斬れないが、ゴウはチェーンソーの原理を反映させていたので、何の抵抗もなく木を斬れる様に成っていた。

 最後に、『敵切り裂く水の剣(ウォータ・ソード)』の小型版『敵切り裂く水の小刀(ウォータ・ナイフ)』で、形を整え接近戦の武器を造っていく。

 

 

 

()れくらいで良いか。」

 

「ヴォオォンッ!」

 

「来たか。」

 

 そう言いながらゴウが向く先には、昨日の【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】と【灰狼(グレー・ウルフ)】が二十体居た。

 ゴウは、眷属化した【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】を森に放ち、【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】を中心にした群れを作る様に指示していたのだ。

 

「ふむ。20体って処か。」

 

「グルゥ?」

 

「いや、()れで良い。余り増やし過ぎても、戦闘特訓に時間が掛かるからな。」

 

「ガウッ。」

 

 (ちな)みに、ゴウと【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】はスキル「眷属支配(けんぞくしはい)」の能力の一つ『翻訳』で、意志疎通をしていた。

 

「じゃ、【灰狼(グレー・ウルフ)】達を一列に並ばせてくれ。」

 

「ガウッ!・・ガッ!ガワァッ!」

 

 【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】の指示を聴いた【灰狼(グレーウルフ)】達は、指示通りゴウの前に一列に並んで行く。

 

(ふむ。「統率(とうそつ)」も有るからか、ちゃんと統率している様だな。)

 

 ゴウは、【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】が【灰狼(グレーウルフ)】達を確りと、統率している事に満足しながら、一体一体を眷属にしていく。

 

 

 

「よし。全部終わったな。」

 

「・・・ゴウ。」

 

 ミーセの声と共に、ゴウの後ろから衝撃が掛かる。

 

「何だ?もう来たのか?」

 

しかし、スキル「空間把握(エリア・グラスプ)」とスキル「索敵(さくてき)」を持つゴウは、大して驚く事も無く対応する。

 

「もう、お昼だよ。」

 

「何?・・武器造りに、集中しすぎたか。」

 

「・・・お腹、減った。」

 

「私も~。」

 

「分かった、分かった。今、準備するから川で待ってろ。」

 

「・・・分かった。」

 

「速くしてね~。」

 

 

 

「そう言えばさ、その狼達の名前は無いの?」

 

「名前?・・・考えた事無かったな。」

 

「・・・名前は有った方が良い。」

 

「ふむ・・・。」

 

 ミーセが、名前を付けた方が良いと提案するが、全ての【灰狼(グレー・ウルフ)】を眷属化していて、個体の判別を出来るゴウはいまいち名付けの有意性を感じていなかった。

 

(名前か・・。待てよ。確か、名付き魔物(ネームズモンスター)っつう通常種より上の種が在ったな。しかし、名付き魔物(ネームズモンスター)の誕生方法は解明なれて無かった。)

 

「考えろ。何か、何か在るはずだ。」

 

「?」

 

「・・・どうしたの?」

 

「・・・・・。そうか!」

 

「わっ!どうしたの!?」

 

 いきなり、大声を出すゴウ驚きながら、アンリーが問う。

 

「おい!」

 

「ガウゥッ?」

 

「良いか?――――――――と言うんだ。分かったな?」

 

「ガウッ。・・ガウッ、ゴウッガガウゥ!」

 

 次の瞬間、【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】が淡い光に包まれる。

 

「え!?ええぇぇぇ!?」

 

「・・・な、な、何をしたの!?」

 

「ん?名付き魔物(ネームズモンスター)を誕生させただけさ。」

 

名付き魔物(ネームズモンスター)!?」

 

「・・・それ何?」

 

名付き魔物(ネームズモンスター)はな、その名の通り名を持つ魔物で、通常種より強い魔物だ。・・是迄(これまで)、多くの人間が人為的に誕生させようとしていたが、出来無い筈だ。何せ、魔物が自分で(・・・)名を宣言しなければいけないからな。」

 

「え、えっと。取り合えず、ゴウは凄いって事だよね!」

 

「・・・要約し過ぎだけど、そう言う事で良い。」

 

「よくねえだろ、おい。」

 

 そう言いながらゴウは、見た目が全く変わりない【灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント))】のステータスを観る。

 

名前:ヘル 種族:灰狼の長(グレーウルフ・リーダー)変異種(ミュータント)) LV:14

常時発動型能力(パッシブスキル)

敏捷強化(アジラティ・ブースト)LV1 統率(リードラー)LV2 嗅覚強化(シンシー・ブースト)LV2

任意発動型能力(アクティブスキル)

噛み付き(バイズ)LV1 突進(ラッシーテ)LV1

特殊固有能力(スペシャル・ユニークスキル)

固有能力(ユニークスキル)

・主:ゴウ・レスタント

 

(何?変わっていない?・・いや、変わっている。)

ゴウは、*の部分を詳しく観る。

 

*・・・昇格条件「種族進化(ランクアップ)」を達成していない為、昇格出来ません

 

種族進化(ランクアップ)だと?・・チッ。どうやら、種族進化(ランクアップ)と同時に名付き魔物(ネームズモンスター)に昇格するのが、最適の方法らしいな。)

 

「名前は?名前は何て付けたの?」

 

「・・・私も、気になる。」

 

「いや、名付き魔物(ネームズモンスター)に成っていない。どうやら、条件が必要みたいだ。」

 

「え~!残念!」

「・・・成っていなくても、付ける名前は決まっていたんでしょ?」

 

「あぁ。決めていたが・・。」

 

「・・・それを、教えて。」

 

「・・・ヘルだ。」

 

「ヘル?」

 

「あぁ。」

 

「・・・どう言う理由で、決めたの?」

 

「俺が知ってる狼で一番上なのは、【三頭狼(ケルベロス)】と【雷風の神狼(フェンリル)】だ。・・・で、俺は【三頭狼(ケルベロス)】の方が好きで、【三頭狼(ケルベロス)】と関係ある、ヘルにしたんだよ。」

 

「へぇ~、ヘルって冥府を意味なんだ。・・・で、冥府って何?」

 

「・・・生物が死後に行く世界の事。」

 

「・・そろそろ始めるぞ。適性試験。」

 

「は~い!」

 

「・・・動くのは、嫌い。」

 

 

 

「ふむ。アンリーが二刀短剣と投擲、ミーセが戦輪(チャクラム)か。アンリーは兎も角、ミーセは以外だな。」

 

「・・・疲れた。」

 

「うん、私も。・・ゴウ、もう日が沈むから、帰ろう?」

 

「まぁ良いだろ。初日で疲れただろうしな。」


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