無限なる世界 作:在り来たりな〝ネームレス〟
た、タイミングが可笑しい・・・・??
コツコツコツ、一定の間隔で、靴底と床がぶつかる特有の音が響き渡る。
その音が響き渡るのは、大理石の様な鉱物により造られた、美しい神殿の通路だった。
「どうなった?」
その声と音の主の名は、ゼツ。ゴウを転生させた者で在り、多くの神々に畏れられる鬼神だ。
「申し訳ありません。因子は、確かに生き返ると同時に、増殖・活性化しました。・・しかし、術式は、妨害され、比率にして50%の因子量に成っています。妨害した者は、判明していません。」
ゼツの問いに、答えるのは、
「良い。見当は着いている。準備の方は?」
「御心遣い有り難う御座います。準備の方は、順調に進み、予定より速く終了します。
「そうか。ご苦労だった。」
「み―――」
「「「「「「キャハハハハッ!!!」」」」」」
言葉を返そうとするファンリの声を
「「「「「「久しぶりだね~っ!鬼神様~~!!」」」」」」」
先程の嗤い声より大きな声と同時に、ゼツとファンリの前に、九千億の首と頭、そして、
「久しぶりだな、ルジル。今回は、お前が守護役か?」
「「「「「「うん。だけど、ウチだけじゃないよ。ユガゼとか、ムジウグウとか、沢山居るよ。」」」」」」
「何?ユガゼやムジウグウもだと?・・第百位台の奴等じゃないか。」
「「「「「「うん。ウチも過剰だと思うけど、第九十七位
「ゼツ様、そろそろ時間で御座います。」
それまで、ゼツの後ろに控えていたファンリが、ゼツとルジルの会話に割っている。
「そうか。ルジル、俺達は、行くから、ちゃんと
「「「「「「は~い。」」」」」」
「フオォッ、フォフォッ。
円形状の階段座席の中心に置かれた、円卓の椅子に座る一人の老人が、嗤いながら話す。
「カカッ!ちげぇねぇ!!なあ!お前等っ!!」
同じく円卓の椅子に座る一人の若い男が、同じく嗤いながら話す。
この男の声には、‘雑界’の者が聴いたら卒倒、いや、死ぬ程の濃密で超高質の魔力、そして、“神力”が籠められていた。
「相変わらず
同じく円卓の椅子に座る一人の若い女が、若い男をテンライと呼び、若い男、テンライの無意識の行動を
「あははは!ヨウコさん、今更そんな事言ったって、無理だよ!だって、この性格で形成されてるんだから。」
同じく円卓の椅子に座る幼い女が、若い女をヨウコと呼び、テンライを茶化す。
「んだとっ、ゴラアァ!!」
テンライは、
「まァまァ、二人共、そウ言ウで無イ。テンライも成りタくテ成ッタ訳デハ無いのジャカら。」
同じく円卓の椅子に座る男が、慰めにならない慰めの声を掛ける。
「テメェ等ァ言わせておけばなァ・・・!!!」
テンライの発光している身体から、次第に電気、いや、雷が放電される。
「
そして、放電された雷が一つに固―――
―――ァァァアアアアアアアアアァァァァ!!!!!
「ッッッッ!!!」
その部屋に居た者全てが見た、部屋を埋め尽くす死者の群れを。其れも、只の死者では無い。その死者達は、
「ここは、
其れまで、傍観していたゼツだが、流石にこの場所、しかも、
「・・・チッ!」
(何で
「おお、すまぬのぉ。悪気は、無かったんじゃあぁ。」
(フォッフォッ。又、力を上げとるなぁ。このまま戦に成っておれば・・・・。おおぉ、恐い恐い。)
「ご免なさ~い。」
(もうっ。この人が来るなんて聴いて無いよ~。この人、恐いから苦手なんだよな~。)
「申し訳ありません。」
(・・くっ、客分の癖にのさばりおってっ!)
「スまン。」
(凄イ。〝
流石に、この四人もゼツに
「ふあぁ~~~。な~に~?又、喧嘩~?ふあぁ。」
物々しい雰囲気の部屋に、突如として、何とも気怠い女の声が、響く。
「いや、何でも無い。だが・・・。」
「ぅん?」
「珍しいな。ナツキが、定時に来るなんて。」
「ふぁ。最近はぁ、ちゃんとしてるよ~。ふぁぁ、其れにぃ、ゼツに言われたく無いよぉ。」
ゼツは、何事も無く話しているが、実は、この女、数溝の
「まぁ、そうなんだが・・・。」
「ふあぁ、其れより~、速くぅ、始めようよ~。」
「いや、俺は、進行役じゃ無い。」
「あれぇ?そうだっけ~?ふっあぁ。」
「ぐすっ、そうです。ゼツ様では無くて、私が、進行役です。ぐずっ。」
「あははぁ、ごめんねぇ。ふぁ。」
「っひ、良いですよ、何時も事ですから。・・・そう、何時も事ですから。うぅぅ。」
「良いから、さっさと始めてくれ、ジャクリ。」
「そっ、そんなっ。ゼツ様にも見捨てられるなんて。うぅっ、ううぅぅっ、世界のっ・・・世界の終わりだっっ・・・っうわああぁぁぁっ!」
身体は、平凡だが、見目麗しい女が大声を上げて泣いていると言うのに、周りの反応は、『またか・・・。』『はぁ、速く始まらないのかしら。』等、
其れも其の筈。この女、ジャクリは、
「うぅ、すみません。今直ぐ、始めますっ。」
たっぷりと十数分号泣したジャクリは、自分の失態に気付き、慌てて議会を進行する。
「―――では、最後の案件に移ります。只今、活発化して――」
「ジャクリィ~。」
「はい、どうかしましたか?」
「何かに掴まって~。」
「えっ、はっ、は―――きゃぁっ!」
ナツキが、ジャクリに指示を出すのと同時に議会場を、通常なら倒壊する程の揺れが襲う。
しかし、この議会場は、腐っても
「カカッ!此処が此れ程揺れるっつう事は!!」
「フォッフォッ。
「ヨッシャァアッ!!!戦争だぜっ!」
「ご・・・ご報告、ぐぅ、致しっ。只っ今、
っ!ぅっ、攻撃・・ヴハッ・・。大群、中に、第・・・百位・・ぐぅ。」
「解りました。もう、大丈夫ですから、ゆっくり休んでください。」
「・・・申し・・ぅっ・・せん。」
「大丈夫です。―――『
ヨウコが、古代日本語を唱えると同時に、
「ナツキ様、反撃の許可を。」
「うぅん、良いよぉ。」
「ッシャッッ!!行くぞお前等っ!!」
「フォッフォッ。行くかのぉ。」
「はーい。」
「ハははハッ!戦ダッッ!」
「フンッ!
数多の
この男の種族名は“
日本神話で、初代天皇とされ、日本神話主神より〝
そして、名をムジウグウ。第九十七位
「クハハハハハッ!!ムジウグウよっ!そう言うで無いっ!此のような戦、中々無いぞぉっ!!」
この男の種族名は“
日本の安土桃山時代の武術“宝蔵院流槍術”の創設者たる種族だ。
そして、名をユガゼ。ムジウグウと同じく、第九十七位
「「「「「「「「「ハァ、どうでも良いけど、
ルジルが、その数多たる首と頭を使い
「ああっと、お前等、ちょっと退いてろ。」
突如現れたゼツに驚く事無く、疑問の声を挙げようとするが、その声は挙がらなかった。
「―――『
「「「ツツツツツツツ!!??」」」
何故ならば、ルジル達が居る世界を、凄まじいと言う言葉で現せられる範囲を超過した、濃密な魔力が覆ったからだ。
―――『
【
この魔法は、発動出来れば、一つでも地球を容易に滅亡出来る魔流星が群れを成して襲ってくるので、その威力は驚異的なのだが、今回は更に、発動者ゼツの膨大な魔力・高い魔法力によって、通常の何百・何千倍の威力に成っていた。
その超魔法は、
「ってええええぇぇぇぇっっ!!何しとんねぇぇぇぇんっっっっ!!!」
鳴り響く女の叫び声と同時に、神殿を、様々な形をし、様々な言語の文字が刻まれた術式が、何重にも包み込む。
しかし、その術式は、流星の群れにより、無惨にも破壊しつくされる。
だが、その幾重もの術式の犠牲を代償に、流星の群れを消滅させる事に成功する。
「ふうぅ。止まったわ~。」
「ん?何だ、お前、西方面に行ったんじゃなかったのか?」
「ったりまえやっ!!アンタッ、看てないと何すんか解ったもんじゃないからな!現に今だって、こないな場所であんな魔法使いよってからにっ!ウチがおらんかっら、大惨事やで!全くっ!」
「は―――」
突如として、現れた女の言葉に対するゼツの応答は、最後迄続かなかった。
「ウッオオオォォォッッッ!!!」
全ての音を掻き消す程の男の咆哮によって。
「『
―――『
剣の極地を越えた者のみが、使用出来る剣技で、その剣刃には、地獄の焔が宿り、罪人の魂を浄化する技だ。更に、発動者が、浄化する罪を重いと思えば思う程、威力が上がる
「ッ――」
赫々と輝く剣が、ゼツの身体を斬り裂いて行く。
そして、最終的にゼツの身体は、原子代の大きさに斬り裂かれる。
「『
ゼツが、原子代の大きさに斬り裂かれると同時に、又もや、全ての音を掻き消す程の男の声が、鳴り響く。
―――『
此れを発動させた男のみが、使用出来る魔法で、神聖属性を有する極光が、対象を包み込み、対象の魂諸共
次の瞬間、ルジル達と突如現れた女を輝かしい光が包み込む。
「は、はは・・・・はははっ!やったぞっ!遂にやったぞぉっ!!」
「ああっ!やった!」
「誰を殺ったって?」
「「え?」」
歓喜に震える二人の男達が、固まる。
「アンタ等、
「ば・・・ばっ、馬鹿なっ!?そんな事有り得て堪るかっっ!?」
「まぁ、其れが普通の反応じゃろうな。」
「「「「「「「そう言う訳だがら、大人しく死んでねー。」」」」」」」
そう言い放つと、ルジルは、五つの頭の口を拡げ、
「!」
『あまり大事な部下を、虐め無いでくれるかな?』
しかし、ルジル最強の攻撃は、突如とし構築された、
「・・・。よう、まだ、死んでなかったのか?」
ゼツは、
(((・・・・?)))
その行動にルジル達は、疑問に思うが、今は正体不明の敵に集中すべきだ、と疑問を圧し殺す。
『お陰様でね。君こそ、まだ、ピンピンしてるみたいだね。』
「はっ、よく言うぜ。あれだけ暗殺者を送り込んで来たくせによ。」
『ははっ。良い暇潰しに成ったでしょ?あ、でも、もう暇は無くなるね。』
「ああ、そのようだな。」
ヒュッンッ!バリンッ! ボタッ。
何かの物質の風斬り音と
その音の主は、反逆者たる二人の神の頭部だった。
『あ~あ。やっぱり、遠距離生成じゃ足りないね。』
「ふん、解りきった事を。」
『ううん、違うよ。此でも僕、前より、強くなったんだよ。』
「ほぉ。其れは、興味深い。何処ぞの無所属神でも、狩ったか?それとも、信仰力か?」
『当たり!
「ふ~ん。なら、前よりは、楽しめそうだな。」
『そうは・・ええっと、そうは問屋が卸さない?って、言うのかな?僕、あまり東方系の文化に詳しく無いんだ。』
「此所までしといて、戦わないと?」
『うん。今日は、宣戦布告?をしにいたんだよ。』
「宣戦布告だと?」
『うん。―――我等、〝
先程の何処か幼い声と一変し、威厳に満ちた声が響く。
「ふん、
『そうだね、偉くなったよ。』
「生意気な奴め。・・・お前等、行くぞ。」
「ハァッ!?何言うてんやっ!宣戦布告してんでぇっ、此奴!?んな奴をみすみす見逃すなんて、んなケッタイな事出来るわけ無いやろがっ!!」
「止めとけ。此奴とは、まだ、戦えんさ。無駄な時間を使うだけだ。」
『う~ん、やっぱり、凄いね。もう、気付いたんだ。』
「ふん、手の込んだ真似しやがって。・・だがな、一つ言っとく。」
『ん?なに?』
「お前の首を狩るのは、俺だ。」
その言葉には、殺気と言う言葉が、敷き詰められていた。
始まりとか言いながら、暫くは諜報戦です
色々新設定が、在りますが、暫くは無視して大丈夫です