魔法少女リリカルなのは~踏み台、(強制的に)任されました~   作:妖刀終焉

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そろそろ物語りも大詰め


第15話

 現在シグナムさんが謎のムカデ型生物の触手に縛られ中で何かエロい。化け物と女騎士とかどこぞのR18ゲームを思い出してしまう。このままではシグナムさんが産む機械になってしまう。写真とか撮っちゃおうかな~。いや動画の方がいいかな~。

 

 目の前を覆い尽くすまでの黄色い雷は剣となってムカデのような化け物に刺さってそいつは息絶える。残念、録画し損ねた。ニヤニヤ動画にでもUPしてやろうかと思ったのに。主に嫌がらせ目的で。

 

『フェイトちゃん! 助けてどうするの!? 捕まえるんだよ!』

 

「あ…ごめんなさい」

 

「無事かシグナム! ってフェイトまで!?」

 

「和人……」

 

 シグナムの救援のつもりできたのであろう和人もいる。念のためスタンバっておいて良かったぜ。

 

「チッ、てめえまでいやがったか。今度こそブチ殺す!」

 

「今度も勝たせて貰うぞ。シグナムこいつは任せてくれ」

 

「ああ、テスタロッサとは私が戦う。彼女とはまだ決着がついていないからな」

 

 こいつはホント何処にでも現れてフラグ建てようとするな。狙ってんのか? 

 狙ってないんだとしたら第一級フラグ建築詐欺師の称号を差し上げましょう。とっとと捕まって牢屋の中で臭い飯でも食ってろ。そして食中毒にかかってくたばれ。

 

 フェイトとシグナムが武器を交差し始めた。向こうの戦いは既に始まっている。しばらくしたらフェイトが蒐集されるんだったな。まあそうとは限らんが。

 

「今からてめえをブッ殺すぜ。小便は済ませたか? クソッタレな神様にお祈りは? 世界の隅っこでガタガタ震えて命乞いする心の準備はオーケー?」

 

「……それはごめん被りたいな」

 

「スカしてんじゃねぇよクソカスがァーーッ!」

 

 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から干将・莫耶を取り出して折木へと襲い掛かる。折木はそれを一本の剣で受け止めた。

 

「いつもの俺とは一味違うぜ。なんせてめえをブチ殺すために修行してきたんだからな」

 

「相手にペラペラ話せる努力なんてたかが知れてるぞ」

 

「口の減らねぇ野郎だ!」

 

 力任せに折木の剣を押しにかかる。だが一筋縄ではいかずにパワーは拮抗する。

 

 俺は剣で砂を巻き上げて目晦ましをし、相手の出方を伺おうとする。

 

「くっ、蒼破刃!」

 

 青い風の衝撃波が砂を吹き飛ばし、それだけでなく俺へ攻撃までする。

 

「うわぁっ!?」

 

「まだだ! 紅蓮剣!」

 

 剣を振るうと今度は火炎の球が飛んで来た。俺はそれをギリギリで回避する。折木は休む暇を与えてくれないようで俺に向かって剣を構え、突進してきた。

 

「秋沙雨!!」

 

 素早い連続の突きを繰り出してくる。俺は全てを裁ききれず剣を弾かれてしまった。チラッと向こう側を向いたらフェイト達も大技を繰り出さんと武器を構えていた。

 

 俺は一端距離をとらんと後ろへ跳んだ。

 

 ――ズブリッ

 

「!?」

 

 俺の胸から見知らぬ腕が生えている。

 

「ア゛……デメ゛ェは……」

 

 呼吸が苦しい。苦しみに耐えながら後ろを向けば、そこにいたのは仮面の男。

 

「さあ、奪え。持っているのだろう、闇の書を」

 

 仮面の男の手の中にあるのは俺のリンカーコア。

 

 フェイトとシグナムも突然の事態に腕を止めている。

 

「くっ……」

 

 仮面の男にいいように利用されていることについて腹が立っているのか、それとも自分の戦いを邪魔されたことに憤りを感じているのか。

 

 折木は闇の書を取り出して俺のリンカーコアから魔力を蒐集する。俺の魔力が高いこともあり、ページがみるみる溜まっていった。

 

 気絶してしまいそうな位痛いが、俺が今までどれだけ辛い目に合ってきたと思っている。これ位で気絶なんてしないさ。仮面の男の腕を掴み、骨を折ろうとフルパワーで握り締めてやった。

 

「捕まえ、たぜ……ダボがッ!!」

 

「くっ、放せ!」

 

 仮面の男は腕を引き抜こうと躍起になって力を入れ出した。

 

「仕方ない! これならどうだ!?」

 

 あろうことか、まだ蒐集している最中のリンカーコアを――砕いた。

 

「ッ、ァァァァアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

 リンカーコアは魔導師にとって臓器のようなもの。臓器を握り潰された様な痛みが俺の腕の力を奪い、仮面の男は乱暴に腕を引き抜いて俺を蹴り飛ばす。

 

「くっ、余計な負傷をした」

 

 そう言い残し消えていった。少なくとも骨にヒビ位は入ったか。

 

「ゴハッ」

 

 溢れた血が口から吐き出される。口の中が鉄の匂いと味で充満して気分が悪い。俺は最後の力を振り絞って丸薬型の回復薬を口の中に放り込んで飲む。すぐに治るわけではないが、少なくとも出血多量で死ぬことは無い。一緒に血も飲んじゃった。あんまり良くは無いが致し方なし。

 

 そんな俺を哀れな目で見つめる折木。

 てめえだよ、てめえのせいだよ。

 

「すまない……」

 

「謝るな……よ、独善者」

 

 人のための善と書いて偽善。だからこいつのは偽善ですらない。てめえなんぞ独善者で充分だ。そういう意味と怨念を込めてそう言ってやった。

 

※偽善の本来の意味は人のための善という意味ではありません。

 

 それに謝って済むようなことじゃないからな?

 

 あ、そろそろ限界だ。

 

 俺の視界は真っ暗になった。 

 

 

 

 

「気分はどうだ?」

 

「最低にロウってやつだよクロノ」

 

 アースラ医務室に俺は運ばれた。寝ていたのは精々3時間程度らしい。なのは達も様子を見に来たらしいが俺は寝てたから知らん。つーか今も気分悪いし頭痛い。

 

「身体には異常は無い。だが……」

 

「リンカーコアにでも異常があったか?」

 

「分かってたのか?」

 

「自分のことだそれくらい分かる」

 

 クロノは少し言い辛そうだったが、意を決したように言い放った。

 

「君のリンカーコアへのダメージが酷すぎる。回復してももう「魔法は使えないってか?」……ああ、正確に言えば以前のように自由には、だが」

 

 それはイザナミってやつだよクロノ君。

 

 まあ、仮面の男がAAAのフェイトよりもSオーバー(リミッター付き)の俺を狙ってくるって予想位はしていた。あんなあからさまにやってくるとは思わなかったが、これで俺のフェードアウトフラグは立った。

 

 俺の魔法なんて索敵魔法とか強化魔法とかが精々だし、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)はロックが掛かっているからコピーとかは不可能。おまけに波紋や黄金長方形の回転は魔法じゃないし、蒐集されても大してあの合成魔獣の強化には繋がらないだろう。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)が自由に使えなくなったのは痛いが、合成宝具生成の際に数百本出した宝具以外に絶世の名剣(デュランダル)は何となく組み込まずにそのままにしてあるし、さっき飲んだ丸薬のように外に出しているモノも多い。

 

 それとダメになったリンカーコアだが別に回復薬のような宝具を使えば再生できるし、このままでも念話くらいならなんとかできる。

 

「……すまない」

 

「同情するなら金をくれ」

 

「……傷病手当が出ないか上に掛け合ってみるよ」

 

「マジで? 冗談で言ってみたけど、言ってみるもんだな」

 

 その後なのは達も見舞いに来たが、普通に当たり障りのない話をして帰って行った。今までの罰が当たったとか内心で思ってたらなんとも思って無くても流石に傷つくぞ。しかしリンディさんとエイミィさんは本気で責任を感じているようだった。俺もちょい罪悪感を感じている。

 

 そして誰もいなくなった。暇だ。この薬品の匂いがする部屋ってどうも落ち着かない。

 

<俺がいるじゃないかよ>

 

「そういやそうだった」

 

<朗報だぜ>

 

「ん?」

 

<今回ので10000pt突破だ>

 

「マ!」

 

 おっとここは病室だしうるさくしたらダメだ。念話でいこう。

 

<マジか、もうここに用はないな>

 

 目標達成しても正直素直に喜べない。あの屑神が約束通り俺を解放してくれるとは限らないな。だが少なくとも俺のポイント集めは終わりだ。病室じゃなくて家のベッドで寝たい。

 

 俺はリンディ艦長とクロノに精神的にダメージを負っているふりを装って『もう家で休ませて欲しい』と頼んだら、『身体の怪我が良くなったら』と言われてしまった。

 

 とりあえずあの猫姉妹にどうやって落とし前つけてやろうか。利用したとはいえあれは痛かったぞ。マジで死ぬかと思ったぞ。暇なうちにできる限り証拠がなく痛めつける方法とか考えておこう、とか思ってたらご本人様登場。『災難だったね』とか言われた。マジでブチ殺してやろうかと思いました。

 

 

 

 

「人類よ、私は帰ってきた」

 

「お帰りなさい」

 

「ツッコミ位してよ」

 

「『チャングムの地雷』が終わったらね」

 

 相変わらず韓国ドラマの好きなお母上様でした。

 

 ちなみに『チャングムの地雷』とは爆弾処理の仕事を失敗して死んだ父の後を継いで立派な爆弾処理士になろうと奮闘する少女の人生を描いた物語(フィクション)である。

 

「智葉は?」

 

「友達と遊びに出かけたわよ」

 

 そっか、あいつは今いないのか。

 

 仕方ない、合成宝具の出来具合を見に行こう。

 

 俺は自分しか通れない結界を通って鍛冶場へと歩いていく。

 

 そこら辺に散らばっていた宝具がもうほとんどなくなっている。その代わりに役目を終えて機能停止して傀儡兵が横たわっていた。ご苦労様と俺は王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中に回収する。回収だけなら問題ないな、放出が難しくなったのか。

 

 一番奥のほうで二体の傀儡兵が一本の剣を打っている。一体はヤールングレイプルという手袋を手に嵌めてミョルニルで剣を叩く、もう一人は剣を抑えていた。最後くらい俺がやろうと波紋エネルギーを全開にして剣に流し込む。

 

 ふむ、何か足りないな。やっぱり鞘かな。約束された勝利の剣(エクスカリバー)にも全て遠き理想郷(アヴァロン)があるし。

 

 よし、造ろう。幸い型はあるから宝具を溶かして固めよう。

 

 全て遠き理想郷(アヴァロン)みたく金ぴかでゴージャスなのがいいか。柄の色は金だしそれに合うように金色にしてしまおう。溶かすのはオハンでいいな、防御系の宝具だしいい線いってるかもしれん。後、ゲイジャルグの原典のような魔法を無効化できる宝具も混ぜて鞘自体の防御力を上げてみるのも面白いかもしれん。

 

 それからまた数日過ぎた。

 

「完成したーーーッ!!」

 

 俺が天に向かって掲げる剣。原罪(メロダック)の倍はある大きさだがやたらと手に馴染むのは俺の血が混ざっているからか。刀身はセイバーオルタの約束された勝利の剣(エクスカリバー)の如く黒く染まっている。これ魔剣だろと思ったが、波紋を流すと半分だけ黄金の輝きを取り戻すかなり異質な剣だ。それに波紋を流し続けたお陰で波紋も流しやすい。

 

「幸運と勇気の剣で斬る……なんつ」

 

 何気なく振ったら結界内とはいえ色々吹き飛んで更地になった。

 

「……結界張っといて良かった。威力の調整とか難しそう」

 

 あの神に対しては一切の躊躇無く振ることができそうだ。

 

 さて、こいつの名前は何にしよう。やっぱり神を殺す目的で創ったのだから、それっぽいのがいいな。

 

 神殺しの剣(ゴッド・スレイヤー)……じゃちょっと安直過ぎだな。だから神喰らいの魔剣(ゴッド・イーター)なんてどうだろう。あの傲慢な神をブチ殺すのにふさわしい名前じゃないか。A's編終了まで残りの一週間弱。半分は家族に、もう半分はこいつを使いこなすために使おう。ついでに黄金長方形探しもやってみるか。

 

 そうと決まればまず普通に扱えるようになるよう特訓だ。

 

 一度振っては山が吹きとび、二度振っては曇り空が吹き飛んで太陽が顔を覗かせる。なんと無駄に破壊力の高い剣だろうか。少なくとも対城宝具並みの破壊力はあるとみた。

 

 俺は剣を振る。折木への憎しみを込めて振る。神への殺意を込めて振る。家族を失わないために振る。俺の未来のために振る。1000回程振ったところでコツがつかめてきた。この魔剣は俺の意思だ。俺が斬りたいと思ったものを斬り、消し飛ばしたいと思ったものを消し飛ばす。俺の意思に反応する剣なんだ。だから明確にどうしたいか定まっていなければ暴発してさっきのように山が吹き飛ぶという出来事が起こる。

 

 後、自然界の黄金長方形についてなんとなくだが分かってきた。神に感謝はしないが、自然に感謝をする、心の奥底から、深層心理の奥まで。それをやっていたら少し見えた気がする。成功率は約1%がいいところだけれど大きな進歩だ。鉄球と違ってシャボンであれば数は稼げるし成功率1%ならシャボンを100発放てば一発は成功すると前向きに考えよう。実際やってみたらやたら強力なシャボンカッターを時々見かける。あの抉るような破壊力、こいつはもう(カッター)ではない、牙だ。これからは(タスク)と呼ぶッ。

 

 後、鬼灯丸を通して知ったことだがはやてが闇の書の影響で麻痺を進行させたせいで入院してた。いよいよ物語りも大詰めらしい。正直言って原作通り終わるか不安だし念のため最後まで付き合ってやるか。最後にでっかい的も出てくることだし、猫姉妹をシバくチャンスだし。

 

 




神喰らいの魔剣(ゴッド・イーター)

彼の憎しみや恨みが混ざったせいで聖剣も混ぜていたのに魔剣よりの剣になってしまったが、本人に特に影響は無い様子。波紋を流すことで黒い刀身が半分黄金に輝く仕組みになっている。
威力は使い手の意思に反映し、斬りたいものだけを斬り、消し飛ばしたいものを消し飛ばす。破壊力は今のところ対城宝具クラスとみているが、詳細は不明。
他にも能力はありそうだが今のところ不明。
神を殺せるかも現状は不明である。

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