戦姫絶唱シンフォギアー狂ったココロー   作:マンセット

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第七話 非情の剣

 

 

 

ヘリが現場に着くと、そこは既に無数のノイズが

飛び交い、地を蠢いていた。

 

そして、ノイズに以外にも1人…

4門のガトリン砲を使い、縦横無尽に駆け抜ける

少女の姿がそこにあった。

 

 

「クリス!?」

 

「何だとっ!?」

 

 

クリスは1人でノイズと戦っているが、圧倒的な

物量差にその数が減っている様子は無い。

原因はすぐわかった、空を飛んでるエイのような

3体の大型のノイズのせいだ。

 

私はクリスを助ける為、ヘリから飛び降りエイ状

ノイズに対して真上から拳を叩きつけた。

その効果は覿面であり、私が殴った相手はその姿を

炭へと変えていく。

 

物理法則に従って落下していく私。

ヘリを見ると翼さんも降下を開始し、エイ状ノイズに対し

その剣を巨大化させ両断した。

 

        [天ノ逆鱗]

 

そして、その勢いを維持しつつ…クリスの頭上目がけて

落ちて行った。

 

 

「翼さん!?」     

 

「我が剣、その身で受けよ!」

 

「クリス、避けてぇ!!」

 

 

 

 

 

 

フィーネの狙いそうな場所に、予め目星をつけていたあたしは

響より先に着いちまったようだ。

一足先にパーティーを開始したが、相手は一向に減る様子が無い。

一進一退の攻防が続く中、暫くしてヘリの騒音が聞こえてくる。

 

 

「ようやく到着かよ。響の奴、後で文句言ってやる」

 

 

あたし一人愚痴りながら戦闘を続けていたが、響が叫んだ突然の警告

にその手が止まる。

空を見上げると何を思ったのか、人気者はノイズではなくあたし目がけて

巨大な剣に乗って落ちてきたのだ。

 

突然の事に一瞬頭が真っ白になったが、とっさに飛び下がる事で

直撃を免れる。

だが、確認もせず飛んだためあたしは着地に失敗し、受身も取れず

に地面に叩きつけられた。

勿論すぐさま起き上がったが、こんな時に何考えてんだこいつ!

 

 

「馬鹿か、お前!今の状況が分かってやってるのかよ!」

 

「黙れ!今回の事もどうせ貴様が起こした事だろう!」

 

「これはあたしの仕業じゃねぇよ!そんな事もわからねぇのか!!何、ノイズ

ほったらかしてあたし狙ってんだよ!」

 

「戯言を言うな!ノイズが居て貴様がいる、証拠としては十分だ!」

 

「翼さん、やめてください!翼さん!!」

 

「離せ立花、お前に構ってる暇はない!」

 

「きゃっ!!」

 

 

響は人気者を止めようとしがみ付くが、人気者はそれを振り払いあたしに対して

突っ込んできた。

こんな事してもノイズは減らないってのに、我を忘れてやがる。

どこまでやれるか分からないが、こいつを無視しつつノイズを蹴散らすしかない。

 

 

「響、あたし達に構うな!ノイズを優先しろ!」

 

「で、でも…!」

 

「馬鹿野郎!お前は人助けがしたいんだろ?なら、お前まであたしを気にしてノイズを

無視するんじゃねぇ!」

 

「何度も何度も…、私を無視するなと言ったはずだ!!」

 

 

何時にも増して研ぎ澄まされた一太刀は、あたしの左手のガトリング砲2門を両断する。

とっさにパージする事で誘爆に巻き込まずに済んだが、手数が一気に半分になっちまった。

こいつの攻撃を避けつつ、ノイズに対しては攻撃を続けているが空に居るでか物を倒さない

限りきりが無い!

 

 

「あんたは少し落ち着け!ノイズを優先しなきゃ被害が拡大するだろうが!」

 

「貴女を倒し、黒幕を吐かせた方が後々の禍根が断てる!ノイズは立花に

任せておけばいい!」

 

「そんなの後にしやがれ!第一あいつ、空に居る敵に対してろくに攻撃できねぇだろが!」

 

「ほざけ!そうやってノイズを押し付けて最後は逃げる算段なのだろうが、そうはいかない!」

 

「ああ、もう!分からず屋!」

 

 

過去二度の戦闘は、こいつをここまで頑なにさせちまったのか?

よそ見しながら戦える相手じゃないのは分かっているが、このままでは響の負担が大きい。

上空のでか物は残り1体、無茶すれば倒せるが…

 

迷っている暇は無い、今もこうしてあたしはこいつに追い詰められてるんだ。

あたしは腰のリアアーマーから、大量のミサイルだし人気者を牽制する。

 

            [MEGA DETH PARTY]

 

単調に放った技など物の数ではないのだろう、その剣で次々とミサイルと撃ち落していく。

だが、あたしの狙いはその撃ち落している間の隙だ。

あたしは人気者がミサイルの相手をしている間にリアアーマーのミサイルを再装填し、上空

の雑魚達目がけて放つ。

更に間髪入れずに、ギアから巨大なミサイルを2本生成して上空に飛ぶエイ状ノイズに狙いを

定めて放った。

 

            [MEGA DETH FUGA]

 

連続の大技使用に疲労の色は隠せないが、私の狙いたがわず小型ミサイル群は雑魚を

蹴散らし、大型ミサイルがエイ状ノイズに突き刺さる。

だが、その攻撃に費やした隙は大きく、人気者は放ったミサイルの処理を終えあたし

に対して必殺の一撃を放ってきた。

 

               [蒼ノ一閃]

 

消耗し、隙だらけのあたしにこれを回避するすべはなく直撃。

当然、受身も取れずに吹き飛ぶあたし。

だがあいつは、追撃の手を緩めなかった。

 

               [千ノ落涙]

 

降り注ぐ剣の雨。

あたしに防ぐ手立ては無く、次々と直撃し右手のガトリング砲も破壊された。

そして、ついにあたしはギアを纏うだけのフォニックゲインを維持できなくなり、ギア

が解除される。

 

 

「ぅぅぅ…」

 

「さぁ、もう後が無いぞ!貴女と黒幕のやろうとしている悪事、洗いざらい吐いて

もらおうか!」

 

 

ノイズが付近にいる状況でのギア解除、しかも殺意すら窺える相手を前にしてだ。

絶体絶命の文字が頭によぎるが、そんなあたしと人気者の前に立ちはだかる影が現れた。

 

 

「翼さん、もうやめてください!これ以上やったらクリスが死んじゃいます!」

 

「どけ、立花!」

 

「嫌です!私、絶対どきません!」

 

 

何時の間にか付近のノイズを掃討し、あたしをかばう響。

それに対し、人気者は剣を構える音がした。

一触即発の空気が流れるが、その空気は第三者の手によって破られる。

二課本部から緊急事態を伝える通信が来たのだ。

 

 

『翼さん、響ちゃん聞こえる?今リディアンがノイズの襲撃を受けているの!!

至急、帰還しt…』

 

 

通信は途中で途切れたが、それは響達にとって最悪の事態だった。

二課のノイズに対抗できる適合者は2人、しかもどちらも今はここにいる。

あたしには2人の顔が見えないが、衝撃を受けてるだろうことは明らかだ。

 

その後、あたしは拘束されノイズ被害を免れたヘリで2人と共に私立リディアン音楽院

へと向けて飛び立った。

フィーネの目的は『カ・ディンギルを使い、バラルの呪詛を砕き想い人へその胸の

内に秘めた想いを届ける事』

正直あの時はどうでもよかったので気にしてなかったが、フィーネは具体的な事は

何一つ話してはくれなかった。

 

『バラルの呪詛』や『カ・ディンギル』とはいったい何を指してたのか?

ここまでの大事だ、二課の裏で作っていた『カ・ディンギル』とやらは随分危ない物

なのだろう。

では、それで砕く『バラルの呪詛』ってなんだ?

 

フィーネの下に居る時は気にも留めなかった事だが、響の暗い表情を見るとどんどん

あたしの胸に不安が広がっていくのと同時に、胸が締め付けられる思いがした。

恐らく、親友と言っていた小日向って奴の事が心配なのだろう。

あたしの胸の痛みは多分、その心配に対する嫉妬なのかもしれない…

 

 

 

 

 

 


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