戦姫絶唱シンフォギアー狂ったココロー   作:マンセット

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第四話 デュランダル強奪

 

 

 

あいつには…、響には驚かさればかりだ。

あたしはあいつをえぐりたかっただけなのに、いつの間に

か友達なんてガラじゃないもんになっちまった。

 

だけど、あたしは理由なく友達になったわけじゃない。

フィーネは気づいているが、あたしは良い意味でも悪い意味

でも「人が好き」なのだ。

 

悪い意味の方は存分に学んだが、いい意味の方は死んだ両親から

しか学べてない。

 

それじゃ、ダメだ。

ダメなんだ!

あたしは…、あたしには両方必要なんだ!

 

じゃないと、あたしはまた胸に拭えぬ違和感を感じてしまうだろう。

一度知ってしまったんだ、二度とそんなのはごめんだ。

 

だから、どっから見てもお人よしにしか見えない響と友達になったんだ。

あたしがあたしである為にも。

 

 

 

 

 

「今回は、これ。完全聖遺物「デュランダル」の強奪よ」

 

「随分と大物じゃねーか」

 

「ええ。これが成功すれば、次が貴女の最後の仕事になるわ」

 

 

フィーネは何時もの作戦会議にそう突然物騒な事を言いだした。

なるほどね、あたしは次でお払い箱…か。

 

 

「んな事、今言っていーのかよ?」

 

「この程度で動揺する貴女じゃないでしょ?」

 

「違いない」

 

 

いよいよ最後の幕開けか…、そこにあたしの席は残ってるのだろうか?

今、考える事じゃないな。

 

 

「で、今回はどんな格好で行けばいいんだ?」

 

「前回と同じよ、それにあれは飛べないでしょう」

 

「ちっ。もう一つの方が私好みだけど、なんで飛べないんだ」

 

「愚痴らない、質問が無ければあの子の所でもいきない」

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

 

そう言ってあたしは響の下に向かう。

最近は実験が激しいらしい、何度が泣き言を私に漏らしてきた。

私はそれを、きちんと聞いてやった。

 

一応友達なんだ、当然だ。

それによって、響はあたしに更に心を開いてくれた。

あたしにはそれが何より心地いい。

今日はどんな話ができるだろうか…。

 

 

 

 

 

「この搬送、うまくいけばいけばいいが…」

 

「きっと大丈夫よ。ダミーは撒いてあるんだし、本命は翼ちゃんが

守ってくれてるんでしょ」

 

「あぁ、だが最近の翼では心配だ」

 

「そりゃぁ、あんなことがあったのですもの…。当然よね」

 

今、俺達は完全聖遺物である第5号聖遺物「デュランダル」を永田町まで

届ける為護送している最中だ。

広木防衛大臣の最後の指示として移送を行なってはいるが…、嫌な予感がする。

大臣は殺されたのだが、何故殺されなければならなかったのか?

俺は、何か大事な事を見落としてるんじゃないだろうか?

 

それにデュランダルを護衛してる翼も心配だ。

あいつは2年前のライブに相棒である奏で失っている。

そして最近、響君を目の前で攫われてしまった。

それも、奪われたネフシュタンの鎧を使って。

 

翼はあの後、酷く荒れた。

「また、私は守れなった」…と。

 

そんな精神状態の翼だ。

万全の状態とはいいがたく、どんな無茶をするか分かった

ものじゃない。

 

また、襲撃者の少女についての情報は何も掴めていない。

襲撃に合わせて本部にハッキングされのだ。

情報こそ取られてはいないが、それによって本部機能が一時

麻痺し、結果として襲撃者の情報が分からずじまいなのだ。

 

響君のことだって、心配だ。

あの誘拐事件の後、急な病気による長期療養のを盾に面会謝絶まで

してごまかしているがいつまでもつか…。

それに、同室の少女が家族以上に踏み込んできた為、彼女には真実を

話すしかなかった。

 

この事が、後々問題にならないといいのだが…。

そんな事を考えていると、不意に護送車の1台が地面の下へと消えていった。

 

 

「何事だ!」

 

「敵の襲撃です!狙いは恐らくデュランダルです!!」

 

「なんだとっ!!」

 

 

 

 

 

「よぉ。また会ったな、人気者」

 

「貴様…!」

 

「今度はデュランダルを頂きに来たぜ。あんたの大事なギアじゃ

ないんだ、感謝して欲しい程だね」

 

「戯言を…!今度こそ、私は貴様を倒して汚名を雪がせて貰う!!」

 

「いいぜぇ、出来るもんならやってみなぁ!」

 

 

護送中に起きた、突然の襲撃。

相手の裏をかくために工場の方に逃げたが、待ち伏せされていた。

今、私の目の前に再びネフシュタンの鎧を纏った謎の少女がいる。

今度は私から完全聖遺物「デュランダル」を強奪したいようだが、私とて防人。

二度と無様な真似は晒したりしない!

 

私はまず、彼女めがけて勢いよく踏み込んだ。

当然、相手は迎撃してきた。

ここまで前回の焼回しだが、今度は違う!

 

私は懐に隠し持っていた小刀によって奇襲を行なった。

代わり映えしない行動に油断した相手は、これによって態勢を崩した。

そこに私は必殺の一撃を狙って斬撃を放つ!

 

            [蒼ノ一閃]

 

彼女は間一髪の所で回避したようだが、その衝撃により大きく吹き飛ばされた。

 

 

「防人の剣、甘く見るな!」

 

「糞がっ!あたしをなめてんじゃねーよ!」

 

 

先の程の攻撃で頭に血が上ったのだろうか、彼女は鞭の先にエネルギー弾を生成し

こちら向けてに放ってきた。

 

           [NIRVANA GEDON]

 

初めてみる攻撃だが、感情に任せた攻撃など恐れるものではない。

私はこの攻撃を無理なく回避し、大ぶりな攻撃で隙の出来た彼女に更なる一撃を

加える為に剣の雨を降らせた。

 

             [千ノ落涙]

 

当然相手は回避するが、何本か避けそこなったのだろう。

確実にダメージを与えられたようだ。

 

 

「ぐぅぅ…」

 

「我が身は剣、貴女に私の覚悟が防げるものか!」

 

「ほざけっ!なら、これでも食らいやがれ!」

 

 

彼女がそういうと、信じられない事に彼女が纏っているギアがはじけ襲ってきた。

とっさの事に防御することしか出来ず、私にダメージが蓄積する。

そして、あたりに砂ぼこりが立ち込め…

それが晴れた時には、新たなギアを身に纏った少女の姿があった。

 

 

「その姿は…いったい」

 

「はっ。別にどうでもいいだろ?それより、あたしにこいつを使わせるん

だ。覚悟はできてるんだろうな」

 

「何がこようと私は防人、その程度で揺らぐものではない!」

 

「ぬかせ!」

 

 

そう言うと彼女は、突如4門のガトリングを構えこちらに対して攻撃してきた。

 

            [BILLION MAIDEN]

 

突然の銃弾の嵐に私は横に飛び難を逃れた。

しかし、彼女の攻撃は終わらず更なる攻撃が待っていた。

腰のリアアーマーから、大量のミサイルが飛び出してきたのだ。

 

           [MEGA DETH PARTY]

 

容赦なく続く銃弾とミサイルは、私に死の円舞曲(ワルツ)を強要してくる。

必死に回避しいたものの、無数のミサイルがついに捉えてきた。

ミサイルが直撃した私は盛大に吹っ飛び、壁に叩きつけられる。

剣を支えに立ち上がろうとする私に、彼女は容赦ない言葉で問いかけてきた。

 

 

「威勢がいいだけで、てんで話になんねぇな。それがあんたの全力かよ?」

 

「ま、まだだ!私はまだ折れてなどいない!!」

 

「そーかい。なら、これで終わりだ!」

 

 

そういうと、彼女はギアから巨大なミサイルを2本生成して放ってきた。

 

            [MEGA DETH FUGA]

 

態勢を立て直す前に放たれたこの一撃に再び吹き飛び、私の意識を刈り取っていった。

意識を手放す前、彼女の一言を聞こえたような気がする…

 

 

「あんたは何も守れやしないんだよ」

 

 

私にはそう聞こえた。

 

 

 

 

 


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