戦姫絶唱シンフォギアー狂ったココロー   作:マンセット

16 / 16
第一五話 月下の襲撃 

クリスがウェル博士と2人で話し始めて、もう10分が立っちゃった。

話が弾む内容じゃないと思うんだけど、ウェル博士って話がうまいのかな?

そいえば、クリスが珍しく興味を持ってたような気が…。

まさか、クリスってウェル博士がタイプなの?

 

あおいさんと2人で待つ私は、そんな突飛な思考に気を取られてる時に

それは起こった。

突如、列車が何かにぶつかったかのように大きく揺れたのだ。

そして赤いランプが灯る車内。

 

「な、何?」

 

「これは…、ノイズの襲撃!?」

 

「おい、何が起こったんだ!」

 

「この列車は現在、ノイズの攻撃を受けてるようです。ウェル博士と一緒に早く前の車両に!」

 

「わかった!話の途中ですまねぇが急ぐぜ、博士!」

 

「は、はい。わかりました」

 

 

突然の事に戸惑ってる私に対して、あおいさんは末端で状況を確認したようだ。

でもその情報は、ノイズ襲撃という最悪の物だった。

あおいさんが末端で確認してすぐ、この振動で何かあったと判断したクリスが部屋から

飛び出してきて、状況の説明を求める。

それにあおいさんが簡単に説明、事態を理解したクリスは博士に避難を急かした。

 

私達4人揃って移動を始めて少しすると、外から銃声音が絶え間なく聞こえてくる。

多分列車に備えつけられてた物なんだろうけど、何処まで役に立ってるのか。

早くウェル博士とあおいさんを、安全な場所に行ってもらわないと!

 

列車の連結部を移動中外の様子が見えたが、少し見える部分だけでも相当な数の

ノイズの姿が見えた。

なんで、こんなにノイズが…。

 

 

「おいおい、どう見たってあれは不自然だろ。連中、あたしたちを獲物と定めてやがる」

 

「まさか、誰かが操ってる?」

 

「そうとしか言いようがねぇだろ。いくらなんでも不自然すぎる」

 

 

確かに、クリスの言う通りだ。

こんな都合よくノイズが襲ってくるなんて、ありえない。

でも今は、考えてる暇なんてない。

ここだって、安全じゃないんだから。

 

更に1つ前の車両に移動した後、あおいさんは本部に指示を仰いでる様だった。

あれだけのノイズ、多分私達が出る事になるはずだ。

翼さんはライブがあるからここには居ないが、クリスが居るんだ。

2人でなら、きっと大丈夫。

少ししてあおいさんの通信が終了、やはり私達が迎撃する事になった。

 

 

「了解しました、迎え撃ちます」

 

「出番なんだよな」

 

「行こう!クリス」

 

「ああ、さっさと片付けようぜ」

 

 

私とクリスは聖詠を歌い、ギアを纏って外へ飛び出した。

そしてそこで目にしたのは、無数に空を飛びかうノイズの群れだった。

 

 

「群れ雀共がうじゃうじゃと、うざってぇ」

 

「どんな敵がどれだけ来ようと、クリスと一緒に訓練したあのコンビネーションなら!」

 

「馬鹿、あれはまだ未完成だろうが。それをいきなりぶっこうもうとか、おかしな事

考えてんじゃねぇぞ」

 

「うん!とっておきたい、とっておきだもんね!」

 

「ぜってぇわかってねぇだろ。あれは本当に未完成なんだ、振りじゃないからな!」

 

「もう、クリスは心配性なんだから」

 

「馬鹿な事言ってないで、やるぞ!背中は預けたからな!」

 

「任せて!」

 

 

何時ものように軽口を叩きながらも、私に背中を預けてくれるクリス。

クリスが私を信じてくれてるんだ、1体だって行かせるわけにはいかない!

私は飛び上るとノイズに対して殴る、蹴る等で攻撃を開始した。

一方のクリスは4門のガトリングを展開し、ノイズに対して容赦のない弾丸の

雨を降らせる。

 

            [BILLION MAIDEN]

 

絶え間なく放たれる弾丸による圧倒的な火力は、次々ノイズを薙ぎ払っていく。

それをノイズが脅威と判断したのか、何体かのノイズがクリスの後方から突撃を

敢行してくる。

だけどそんな事、私が許さない。

クリスに突撃するノイズに対し、落下しつつ蹴飛ばすことでそのほとんどを蹴散らす。

仕留め損ねたノイズも、再び跳躍し殴りかかる事で撃破する。

 

 

「ちっ、きりがない。なら、これならどうだぁ!」

 

 

2人で削り続けるが、一向に減る気配がないノイズに対し業を煮やしたクリスはガトリング

を撃ちつつも、腰のリアアーマーから大量のミサイルを放出した。

 

           [MEGA DETH PARTY]

 

更にそれだけに留まらず、ギアから巨大なミサイルを2本生成し大型ノイズを仕留めるべく

解き放った。

 

           [MEGA DETH FUGA]

 

一度に多数の技を使った飽和攻撃は絶大であり、一瞬で大量のノイズが仕留められていく。

更に追撃しようとクリスが力を込めた瞬間、青い軌跡を見せつつ高速で移動する見慣れない

ノイズが姿を現した。

 

 

「あいつが取り巻きを率いてる親玉か!」

 

 

クリスは目標を周囲のノイズから高速で移動するノイズに狙いを変え、再びリアアーマーから

ミサイルをばら撒いた。

だが、何時もなら百発百中のクリスの攻撃は、信じられない事にことごとく回避されていく。

ならばと手に持つガトリングで攻撃を加えるも、これも回避。

このまま当たらないかと思った攻撃は、突如命中し始める。

 

違う、相手が回避を辞めたのだ。

高速ノイズは形状を変え銃弾を弾きながら、一直線にクリスに向かってくる。

このままだとクリスが危ない!

 

 

「クリス、私が行く!」

 

 

私はクリスの前に立つと、高速ノイズに対し全力で殴りかかった。

しかし、中心を狙って攻撃したはずなのに、直前で横にそれて私の必殺の一撃も回避される。

私は全力で攻撃した反動で列車に着地すると、排熱を行なった。

 

更に、悪い事は重なる。

数が減った普通のノイズが、高速ノイズみたいに回避運動を取り始めたのだ。

縦横無尽に飛び回るノイズにクリスの腕でも、正確に当てる事が出来なくなりはじめる。

私ももう一度跳躍して殴りに行きたいが、あの動きをとらえる自信が無い。

何より、高速ノイズがどう動くか分からないから動けないのだ。

一体どうしたらいいのだろう?

 

狼狽えた私は何か役に立つものが無いか、辺りを見渡した。

結果として、役に立つものは無かったが身に迫る危機は察知できた。

クリスは攻撃に夢中で気が付いてないが、トンネルが近づいてきているのだ!

 

 

「ク、クリス!」

 

「どうした!って、うわぁぁぁ!!」

 

 

私の声に攻撃の手を止め、私の方を見て現状を理解するクリス。

滅多に聞けることが無いクリスの声が聞けたが、今は非常時だ。

私はクリスをお姫様抱っこの形で抱き上げ、足場にしている列車の天井をぶち抜いて

クリスと共に車内に避難する。

 

 

「ぎ、ぎりぎりセーフ」

 

「わりぃ、助かった。糞っ、決め手がねぇ!」

 

「どうすればいいんだろう…」

 

 

トンネルにぶつかるという結末は回避できたけど、状況が良くなったわけじゃない。

でもあの高速ノイズを、どうやって倒せば…。

私が頭を悩ませてるとクリスが何か思いついたのか、話しかけてきた。

 

 

「1つ思いついたんだが、前に2人で見た映画で似たようなシーンがあったろ?」

 

「えっと、列車の連結部を壊してなんとかした奴だっけ?でも、ノイズ相手じゃ…」

 

「ああ、そのままじゃ役に立たねぇ。だがそいつで機動力と目を封じて、頭を出したところ

に響が全力でぶん殴れば、多分いけるはずだ」

 

「なるほど、流石クリス!」

 

「馬、馬鹿!抱き着いてる暇があったらさっさとやるぞ!トンネルを抜けるまでが勝負だ!」

 

「わかった!」

 

 

思わず抱き着いちゃったけど、やっぱりクリスは凄い!

私が悩んでる間に、こんな事を思いつくなんて。

 

作戦を決めてからすぐに、私達は列車の連結部を切り離す作業を開始した。

作業はクリスが連結部を破壊し、私が全身を使って離すという簡単な事で後続の車両は

どんどん離れ行く。

私はそれを見て直ぐに列車から飛び降りると、迎え撃つ準備を整える。

 

そこに、クリスの姿は無い。

二人同時に離れたら、護衛対象であるウェル博士が危険にさらされるかもしれないから

仕方がないよね。

高鳴る鼓動を抑えつつ、すぐに訪れる時を私は待った。

そしてその機会はすぐにやって来た。

 

離れた車両から、ノイズの先端が姿を現したのだ。

絶好のチャンスに私は今ある全ての力をぶつける為飛び出した!!

 

 

「飛っべぇぇぇ!!!」

 

 

勢いよく飛び出した私の拳は、狙いを違わず高速ノイズを正面から叩きつけた!

そして、そのままギアの力を全てぶつける気でそのまま力を込める。

そんな私のギアの一撃に高速ノイズは耐えれず爆砕し、その余波はトンネル沿い

に駆け抜け、残した車両・ノイズ問わず一切を破壊しつくした。

 

その余波が収まり、周囲の視界が回復すると私の視界にはノイズは居らずいつの

間にか列車から降りたクリスが私を迎えに来てくれいた。

私達は皆を守れたんだ!

 

そして、その後はノイズによる襲撃は無く、無事に博士とソロモンの杖を基地まで届ける

事に成功した。

後は急いで帰って、クリスと一緒に翼さんのライブを見に行くだけだ。

ライブ、間に合うといいなぁ。

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。