魔法科高校の転生者、あるいは一般人、しかし不良、もしくは問題児、または異端者、のちにチート 作:tomato
転生者→既に存在する。それに転生者要素はあんまりない。
一般人→ぶっちゃけ逸般人なんよ
不良→できれば三文字で。
問題児→十六夜くんが暴れるんですね、わかります。
チート→カタカナはちょっと・・・。
異端者→これが一番シックリくるけど物足りない。
もう(全部混ぜるしか)ないじゃない・・・。
統計によると人の一番古い記憶は3歳頃が多いらしい。3歳以前の記憶を覚えている人は稀で、覚えていても間違っていることがよくあるみたいだ。
これは乳幼児はまだ記憶に関わる脳の器官「海馬」が未発達で、完全な形なるのが2~3歳だからだと考えられている。
年齢や性別、人種に関係なく「もっとも古い記憶は何か?」と尋ねると3歳頃の思い出を語る人が多い。
でも、俺は違う。今でも夢に見るほどはっきり覚えている。
暗くて、温かくて、ドクンドクンという規則的の音。その音を目覚まし代わりに、まるでまどろみから起きるような緩やかな覚醒。
なんとなく理解した。恐らくこの音は母の鼓動で、暗いのは目が見えないからで、温かいの母の胎内だからだ。
俺の1番古い記憶は胎児の時だ。
俺は胎児の時点で意識があり、人格があり、経験があった。しかし、そのことに対して疑問はなかった。いや、疑問は抱けなっかった。
その時の俺の心は、一つのことに捉われて他の事に気を配る余裕はなかった。
“良くないことが事が起こる。俺ではなく、母にとってとても良くない事が起こる。俺が『俺』でなければ起こらなかった悲劇が絶対起こる”
根拠がなく、過程もなく、漠然としていて、しかし、この予感は確かな形を持って俺の心を貫いていた。
予感は不安を呼び、不安は焦燥を起こし、焦燥は自己を消していった。まるで墨を紙にぶちまけたように、俺の来歴が黒く塗りつぶされていった。
自分の名前も忘れてしまった頃、俺はようやく誕生した。でも、誕生しようとも予感は消えることはなかった。それどころか母の愛を受け改めて不安を抱いた。こんな優しい人に何が起こるのかと。
体が自由に動くようになって俺は出来るだけ予感に対抗しようとした。常に母のそばを離れずに、何が来てもいいように周囲に目を光らせた。今思えばその行動に意味はなく、ただ両親に心配をかけただけなのだが何もせずにはいられなかった。
しかし、どれだけ身を震わせても不安は消えず、何をしても予感は強まるばかりだった。
結局、不安が晴れたのは10歳。俺の奮闘も虚しく予感の時は来た。
今の俺の胸にあるのは誕生前から存在する不安ではなく、誕生してしまったことへの罪悪感だ。
※※※
国立魔法大学付属第一高校。
日本に九校しかない魔法専門の高等学校。
その入学式に周囲の視線を集めながら校門を通る少年が一人。
厳ついながらも整った顔立ちに白い肌。一八〇を越える長身をしており、足が長くて細身だが筋肉がないわけではなくガッチリしている。
これだけ聞くとまるでテレビに出てくるモデルのようだが、注目されているのはそれが原因ではない。
左耳の軟骨に三つのリングピアス。右耳にも穴が二つ空けられチェーンピアスが通されている。
左手はポケットに突っ込まれ、晒されたた右手にはゴツイ指輪を着けている。
(ヤ、ヤンキーだ・・・)
彼を見ている者達の心が一つになった。
はっきり言って彼はかなり悪目立ちしていた。
魔法を学ぶというかなり特殊なこの高校だが、国立なだけあって一般的に見てもランクは高い。
魔法が科学的な法則にある程度準拠するため、専門的な知識を広く必要とするので偏差値は自然と高くなる。
それに魔法の世界は徹底した実力主義。実技が優先されて評価されるが、筆記試験もある以上、それが評価されないということはない。つまり小さい頃から真面目に勉強していた者がほとんどだ。
さらに、魔法の才能は血統に依るところが大きい。「魔法の才能がある=歴史のある家の生まれ」というのが常識だ。この学校にも名家の出が結構いるだろう。
そんな学校で少年のように“いかにも”な風体の者は珍しい。というか全くいない。もしかしたら創立以来初めてではないだろうか。
入学式の開始まであと一五分ほど。自然と会場までの道には人が多くいる。
会場に近づくにつれ彼に向く視線は多くなるが、彼は慣れているのか全く気にした素振りを見せず、これから始まる
(確か・・・『魔法科高校の劣等生』だったか?原作知識もクソもあんま覚えてねえけど。ってか大まかな流れも出てこねえな。なんか高校とは思えないぐらい波乱だらけだったとは思うけど、そんなのこれに限らず大体の物語がそうだろ)
彼は生まれる前から記憶を持っていて、生きていくにつれこの世界が前世で愛読していた小説の世界に酷似していることに気付いた。
と言っても前世の記憶は誕生前にほとんどが闇に飲まれてしまったので、そのことについて特に思うことはない。
せいぜい前と比べて随分ファンタジックな世界に生まれたんだなと思っただけだ。
(なんか主人公が滅茶苦茶強いんだよな。どんな風に強いのか覚えてねぇけど。この世界的に考えれば魔法力が高いんだろうけど、それだとタイトルと合わねぇし。まぁそんな特異な奴なら見ればわかるだろう)
この世界が小説の世界に酷似している以上、その中心となる人物が存在する。所謂主人公について思考を重ねていくが不完全な記憶では禄に答えは出ない。
彼の頭の中には魔法がなくても滅茶苦茶強い主人公像として世紀末な覇王様が降臨していた。
(『拳王の肉体は砕けぬ!折れぬ!!朽ちぬ!!!』『さすがお兄様です!!』って絶対違うな。ってか『さすがお兄様です』ってなんだよ。誰だよ。そういや主人公は二人居て兄妹だったか?なんか困った時はこれを言ってれば大抵なんとかなる、そんな話だった気がする。・・・・・・まぁ物語とか関係ないか。覚えてないものの事を考えても仕方ない。結局、俺のやることは変わらない。)
意味のない思考を打ち切り、これからの身の振り方を考える。
(原作っぽい流れがきたらそれに逆らわず・・・まぁ従う必要もねぇか。波乱や騒動は望む所だ。当面の目標は適当なところで『さすがお兄様です』って言うことだな)
来る未来に心を踊らせながら彼は講堂の扉をくぐった。
とりあえず完結と、一話に一つネタを入れるのを目標に頑張ります。