麦わらの副船長   作:深山 雅

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 今回と次回はオムニバス形式です。


第112話 アラバスタまでの数日間 前編

 ヒルルクの研究の成果によって咲いた雪山の『桜』。いやー、いいモノ見たね。そうそう巡り合える光景じゃない。満足満足。

 

 俺たちはチョッパーが泣き止むのを待ってメリー号に戻った。カルーと大福が出迎えてくれたよ。

 桜はまだ咲き続けていて、それをバックに出航準備を始める。あ、ナミと俺は病み上がりだってんで免除されたんだけど……あれ? やっぱり何かを忘れてないか?

 何だろう、喉の奥に小骨が引っ掛かってるような気分と言うか……実際に小骨が引っ掛かったことって無いけど。

 そうだ、あの時。双子岬を出航して、ウィスキーピークに着く少し前。ゾロに『猫の手』の代金を渡してもらった時と似てる。あの時はもう少しでビビが………………って。

 

 「ゾロは?」

 

 ハタと気付いて口にすると、出航に向けて忙しなく動いていた全員の動きがピタッと止まった。

 

 《あ》

 

 うん、全員忘れてたみたいだな! そして何故いない、ゾロ! ……って、寒中水泳に行ったのか。あれ? じゃあ何でカルーがここに?

 

 「クエクエ、クエーックエックエ!」

 

 あ、そのカルーが何か言い出した。訴えてきてる。

 

 「ゾロってヤツは川で泳いでたって」

 

 カルーの訴えを通訳してくれるのは、勿論チョッパーだ。

 

 「トニー君、カルーの言葉が解るの?」

 

 ビビの疑問に頷くチョッパー。

 

 「おれは元々動物だから、動物の言葉が解るんだ」

 

 知ってはいたけど、それでも便利な能力だと感心する。それに、感心したのは俺だけじゃないらしい。

 

 「すごいじゃない、チョッパー! 医術に加えて、そんな能力もあるなんて!」

 

 ナミが珍しく素直に賞賛している。けど、首を捻っているのが約2名。

 

 「チョッパー、お前医者なのか!?」

 

 ルフィとサンジである。当然のことながら、何のつもりでチョッパーを勧誘したんだ、と疑問を投げかけられている。だが。

 

 「7段変形面白トナカイ」

 

 「非常食」

 

 答えは至ってシンプルだった。そして、チョッパーにとっては甚だ不本意だったらしい。涙目になっている。

 ったく。これじゃあ話が進まない。

 

 「そんなことより、結局ゾロはどうなったんだ?Dr.ミート。」

 

 「おれはミートじゃねェ!」

 

 しまった、サンジに釣られた。けど面白いな、チョッパーの反応。

 

 「ゴメンゴメン。で、ゾロは?」

 

 苦笑いで謝罪しながら重ねて聞くと、チョッパーはまたカルーに向き直る。カルーがクエクエ言ってるところを見ると、その時の状況を説明しているんだろう。え、大福? 大福は俺の膝の上で喉をぐるぐる鳴らして我関せずを貫いている。もふもふ可愛い。

 チョッパーはそれをフンフンと頷きつつ聞き、区切りがついたらしい所でそれを俺たちに伝えだす。

 

 「ゾロってヤツは暫くその辺を泳いでたんだけど、その内、潜ったまま姿が見えなくなったんだって。カルーは飛び込んで探そうとしたけど、大福に止められたって言ってる。『好きで泳いでるんだから放っときましょ、私たちまで凍える必要無いじゃない』って、何だか逆らえない笑顔で言われたって」

 

 ……そんなこと言ったのか、大福。なるほど、それでカルーが氷漬けになってなかったんだな。

 それにしても、サラッとヒデェこと言ったな。流石は俺を脅した虎だ。大福……恐ろしい子!

 

 「逆らえない笑顔でって……やっぱユアンが連れてきた虎なだけあるな」

 

 おーい、ウソップ? どういう意味だ? そして何でみんな納得してるんだ。

 

 「……とにかく。そうするとゾロは、泳いだままどっかに行ってしまったんだな?」

 

 話を元に戻そうそうしよう。

 けど、ゾロがいつの間にかいなくなったとなると……導き出される答えなんて、1つしかない。

 

 《…………………………》

 

 多分、ついさっき仲間入りしたチョッパー以外の全員が同じ結論に達しているに違いない。でも誰も何も言わない。いや、言えない。しょーもなさすぎて口に出せない。

 けど、空気の読めない勇者ってのはどこにでもいるもんだ。

 

 「なんだ、ゾロのヤツ。迷子か」

 

 勇者……ルフィは実にあっけらかんと結論を口にした。

 何だか考えるだけで疲れてくるような気がしたのは、きっと俺だけじゃないはずだ。

 

 

 

 

 その後。

 出航準備では役に立たないルフィを足に、俺が気配を探って見付けて連れ戻しました。その間、他の皆は出航準備を続けていて、用を終えて船に帰ったらすぐさま出航できた。

 ゾロはやっぱり迷子になってたみたいで、森を彷徨ってたよ。迎えに行って正解だ。どうせ自力では戻れなかっただろうから。

 出航前に気付いて良かったと心底思う。危うく置き去りにするところだった。

 

 でも、朗報もあるよ。

 何とゾロが稼いできたのだ! 船に戻ったゾロが懐からいくつかの財布を取り出した時なんて、ナミは感激で涙ぐんでいた。方法が追剥ってのがアレだけど……ま、俺ら海賊だし。それでいいよな。

 取りあえずゾロには、その労いと『忘れかけてゴメンね(・ω<)』の意味合いを込めて、現在メリー号にある中で1番高価(そして味もいい)な酒を1本、瓶ごと進呈しておいた。

 

 

 

 

 ドラム島を出航した俺たちは、お約束の宴会に雪崩れ込んだ。鼻割り箸? うん、ルフィに誘われたけど、やんわりと断ったら諦めてくれた……てかむしろ、何故か逃げられた。

 主にチョッパーの仲間入りを祝しての宴だ。けど、何でその音頭を取ってるのがウソップなんだろうね? 別にいいけど。

 

 「新しい仲間に! 乾杯だァ!!」

 

 《カンパーイ!!》

 

 船は今、最高速度でアラバスタを目指している。

 

 

 

 

 さて、これはアラバスタ王国を目指す麦わらの一味の数日間の話である。

 

 

 

 

 ①重要な任務

 

 並々ならぬ危機感を抱きつつ、俺は大福と向き合った。

 

 「いいか、これは極めて重要な任務だ」

 

 「がう」

 

 至極真顔な俺に対して、神妙に頷く大福。

 

 「もしもしくじれば、俺たち全員の命が危険に晒されると思え。事態はそれほどの脅威を孕んでいる」

 

 いや本当、マジでそれぐらいヤバいんだよね。

 

 「お前がすべきことはただ1つ。夜、持ち場に『敵』が現れたらすぐさま知らせることだ」

 

 おっと、釘も刺しておかないとな。

 

 「間違っても、自分で何とかしようと思うなよ? 『敵』は強大だ……お前では太刀打ちできない」

 

 「がう」

 

 解った、と言いたげにまたも頷く大福。

 よし、これで何とかなるかな……。

 

 

 

 

 その夜。

 

 

 

 

 今夜は俺が見張り番だった。毛皮に包まりながら双眼鏡を片手にマストの上に陣取り、寝ずの番。

 けど、お気に入りのミルクたっぷりコーヒーのおかげかそれほど眠気を感じることも無い。

 

 静かな夜だった。まだ冬島・ドラムの影響から脱しきれてないのか少し肌寒いけど、もう雪も降ってないし、航海には何ら問題無い。

 勿論ここはグランドラインだから急に荒れる可能性が無いわけじゃないけど、今のところは大丈夫。

 あまりに静かで穏やかな夜なものだから、昼間の俺の心配は杞憂で終わるんじゃないか? と思ったぐらいだ。でも、そんなわけが無い。俺の長年の勘がそれを告げている。

 

 事が起こったのは真夜中のことである。

 数分前に水平線を見渡して異常が無いことを確認していた俺は、狭い見張り台で寝転びながら夜空に浮かぶ月を眺めていた。

 そして内心で、餅を食べたいな~ウサギ肉でもいいけど~、とか考えていた、その時。

 

 「がうぅ!!」

 

 真下から大福の声が聞こえて、俺は起き上がった。

 ふ……やはり来たか。

 『敵』は外から来るとは限らない。内からも湧いて出るんだ。

 現場は食料庫である。そこに『ヤツ』はいた。

 

 「………………」

 

 気配も音も消していたとはいえ、ここまで接近しても気付かないなんてな。

 俺はギリギリと新聞を丸め、思いっきり振り上げて。

 

 「何やってんだお前はーーーーー!!!」

 

 「うぉおう!?」

 

 スパコーンと『敵』のゴキブリ……じゃなくてルフィのどたまに叩きつけた。

 

 

 

 

 事の起こりは食事時だ。俺はルフィをミニ化することを拒んだ。

 5日病でダウンしていた間の過激な看病への意趣返し。俺としてはただそれだけのつもりだった。それで少しばかり飢えればいいって。

 

 けどその時のルフィの様子に、嫌な予感がしたんだよね。

 飢えのあまり、盗み食いに走るんじゃないかと。冷蔵庫は鍵付きだからいいけど、ここはヤバいんじゃないか、と。

 食料庫の食料は調理前だからいつもは安全だけど、コイツが本気になれば摘み食いの対象になりかねない。

 

 だから大福を見張りに立てたんだけど……本当に来るとは。

 え? じゃあ途中からでもミニ化させてやれば良かったんじゃないかって?

 だって……落ち着いて考えてみると、やっぱり理不尽すぎて腹が立つというか。けど100%良心から来ていた行動だってのは解ってるから怒るに怒れなくて、ああいう地味な嫌がらせを……ね?

 

 

 

 

 そもそもの原因は俺な気がしないでもないから多少良心は痛むけど、航海中の船ってのは食料が限られている。ミニ化して大量に積み込んでいるからかなりの余裕はあるが、それでもつまみ食いというのは許される行為ではない。例え船長であろうと!

 

 よって俺はこの夜、ルフィをぐるぐるに縛り上げた上で見張り台から宙づりにして、『一晩逆さ吊りの刑』に処したのだった。

 

 

 

 

 ②特訓その1

 

 例えばここに、水が入った10㎏の樽があるとする。それだけだと何の意味も無いけれど、俺の能力で自分自身を1/20ぐらいにミニ化してしまえば、その10㎏の樽もミニ化した当人にとっては単純計算で20倍、およそ200㎏ぐらいに感じられる。

 なので俺はその方法を用い、当社比で数倍~数十倍の重さになる樽をバーベル代わりにして筋トレしている。見た目にはバカバカしく映るだろうけど、結構効果はあるんだなこれが。

 得物が樽とは限らなかったけれど、ミニ化して筋トレってのは幼い頃からよくやってきたんだから効果は実証済みである。

 目録作りも終わったし、久々に心置きなく取り組めるってもんだよ。誰も手伝ってくれなかったからちょっと大変だったけど。

 何事も基本から! 日々の鍛練がモノを言うんだ!

 そしてそんな俺の筋トレに、いつの間にかゾロが加わっていた。

 

 

 

 

 ③動物たちの会話

 

 現在、メリー号にはチョッパー・カルー・大福と3匹の動物(?)がいるが、各々の仲は良好らしい。

 これには、肉食獣である大福が常に猫サイズでいるというのが大きいだろう。そうでなければ大福は、チョッパーにとってもカルーにとっても捕食者としてその目に映っただろうから。

 そしてこれは、そんなある日のことだ。

 

 

 

 

 「クエクエ、クエークエッ」

 

 「へー、そうなのか」

 

 「がうがう」

 

 「え、何だそれ!」

 

 「クエックー、クエッ」

 

 「グルルルルル、がるう」

 

 「ほー」

 

 「………………」

 

 まるで意味が解らんぞ!?

 

 チョッパーとカルーと大福が何やら話してたんだけど、生粋の人間である俺にはその内容はさっぱり解らなかった。あ、ちなみに俺は偶然現場を通りがかった。

 

 けどその後、話の1つを教えてもらった。ズバリ、大福が俺に付いて来た理由。

 正直に言えば結構気になってたことだから、ちょっと前のめりな姿勢になりながら聞いたんだけど……脱力した。あまりのしょーもなさに。

 曰く、『己に勝った者には忠誠を誓う、それが虎の掟!』なんだとか。

 何だそのタイガールール! 聞いたこと無いぞ!? 適当にでっちあげてるんじゃないのか!? 

 俺は眩暈を覚えた。

 

 

 

 

 まぁ取りあえず……何にせよ、動物たち(?)は上手くいっているらしい。仲良きことは美しきかな、ということにしとこう。

 

 

 

 

 ④特訓その2

 

 麗らかな昼下がり。俺は筋トレをしているゾロに、少し頼みごとをしてみた。

 

 「は? 剣を使えるようになりたいだと?」

 

 ゾロは胡乱げな顔をしているけど、その言葉は少し正しくない。

 

 「別に剣を使えるようになりたいってわけじゃないんだよ。ただ、ちょっと打ち合いたいだけで」

 

 そもそも剣を持つつもりも無いし、と俺は肩を竦めた。

 じゃあ何故かというと、発端はあの海楼石の十手だ。

 折角あんな便利なものがあるんだし、ただぶん回すだけじゃ芸が無い。本職の剣士とまでは言わないけど、基礎ぐらい身に付けておけば役に立ちそうだ。

 

 とはいえそれでゾロの鍛練時間を削るのは悪いから、教えてくれとまでは言わない。精々が偶に打ち合ってほしい……という程度だ。感覚ぐらいは掴んでおきたいというかね。

 

 

 

 

 ⑤薬

 

 母さんのダイアルに入っていた薬も、医薬品に関しては元々持っていた薬と合わせてチョッパーに提出した。

 それと同時に、あのレポートも見せた。あわよくば身長を伸ばす薬の開発を手伝ってもらえないかなー、とも思ってさ。俺の母さんもかつては海賊船の船医であり、これはその形見だと言っておいた。嘘は何1つ吐いてないだろ?

 

 とはいえ、個人名は言ってないし書かれてないから、それが『治癒姫』だとは思わないだろうけど。

 

 世は大海賊時代。海賊は星の数ほどいるのだから、同じく船医も星の数ほどいる。客観的に見ればその中でも母さん……『治癒姫』は知名度・経歴・懸賞金などにおいて抜きん出た存在だったと思う。

 ルーキーだったとはいえ、医者に加えて船長でもあるトラファルガー・ローですらシャボンディ諸島時点での懸賞金は2億だった。伝説のクルーの一員ではあるけれど、船長でもなんでもない母さんがその数倍なんだから、桁違いと言ってもいいんじゃないだろうか。

 

 普通なら、まさかそんな有名人の関係者とそうそう出会うとは思わない。特に母さんの場合、既に伝説になりかけてるのだし。

 ……改めて考えてみると、凄い人だったんだね、母さんって。

 驚いたことに、チョッパーは『治癒姫』のファンだった。いや本当、マジで驚いたよ。

 

 「ドクターとドクトリーヌはともかく、ドクトル・ホグバックと『治癒姫』ルミナはおれの憧れの医者なんだ!」

 

 そりゃあもう、キラッキラした眼差しで言われてしまいました。

 あぁ、この輝きが後にホグバックの本性を知って失われるのかな……と思うと痛々しい。

 その一方で、あのホグバックと並び称されるのには腹立たしいものがあるけど、母さんに憧れてると言われて悪い気はしない。むしろ嬉しい。

 でも、と俺は口を開いた。

 

 「『治癒姫』は確かに医者だけど、有名なのは悪魔の実による治癒能力の方だろう? あまり医療とは呼べないんじゃないか?」

 

 何しろ、医術でも医学でもない特殊能力だもんな。苦労してそれらを身に付けた医者たちから見れば、反則なんじゃないだろうか……そう思っての発言だったけど、チョッパーは首を振った。

 

 「でも、それで治るんだ。酷いケガや重い後遺症に苦しんでた人が、元気になるんだ。それで救われる人がいるなら……その意味は大きい」

 

 「……なるほどね」

 

 納得した。加えて、もう1つ意地の悪い質問をしてみることにした。

 

 「でも、海賊だぞ? 何億何千万って懸賞金の掛けられてる、極悪人だったんだ」

 

 勿論、俺は母さんを極悪人だなんてこれっぽっちも思ってない。ただちょっと聞いてみたかっただけだ。

 

 「おれ、ずっと海賊に憧れてたんだ! ドクターも言ってた、髑髏を掲げた男に不可能は無いんだって! 『治癒姫』は女の人だけど」

 

 あぁ、そういえばチョッパーはそうだったっけ。それで海賊ってのはあまりマイナス要素にならなかったのかな。

 

 「『治癒姫』は、前にドラムを襲った『黒ひげ』って海賊みたいにどこかを襲ったって話も聞かなかったしな!」

 

 まぁ……ずっとピースメインだったみたいだしね。性格的にも、そんなことはしなかっただろうし。

 1人納得を深めていたら、チョッパーは少し胸を張った。

 

 「それに、『治癒姫』はおれの姉弟子なんだ!」

 

 ありゃ、言ってたのかドクトリーヌ。俺の驚いた様子を勘違いしたのか、チョッパーは少しむくれる。

 

 「本当だぞ! ドクトリーヌが言ってたんだ! 昔、俺の他にも弟子を持ってた頃があって、それが『治癒姫』だって!」

 

 うん知ってる。てか、むしろ俺の方がお前よりもずっと昔からその事実を把握してる。日記を読んでからだから……かれこれ、13年は経つな。

 

 「疑ってなんかいないよ」

 

 軽く笑って答えると、今度は驚いたような顔をするチョッパー。

 

 「信じてくれるのか?」

 

 ……って、おいおい。

 

 「自分が言い出したことだろ?」

 

 信じてくれるのか、は無いだろ? でもチョッパーは難しい顔をした。

 

 「だって、あの『治癒姫』だぞ?」

 

 「…………………………」

 

 あぁ、そういうことか。

 つまりは俺が、母さんが船医だというぐらいでは『治癒姫』とは結び付けないだろう、と高を括ってるのと似たようなものなんだろうか。あまりに有名すぎて、逆にパッとは閃かない。身近に感じないんだ。ひょっとしたらチョッパー自身にも、あまり実感が無かったのかもしれない。

 

 俺だって、産まれた直後の記憶が無ければ、或いは日記を読んでいなければ。どこか遠い存在のように感じていた可能性は高い。

 そう。それこそ、どこぞの誰かに対して感じているように。

 けれどそんな内心は表には出さず、俺は苦笑した。

 

 「『マスター・オブ・医者』の愛弟子が、何を言ってるんだよ」

 

 『マスター・オブ・医者』……ドクトリーヌのことである。当然ながら、ヤブ医者・ヒルルクのことではない。

 そんな風に呼ばれるぐらいだ。ドクトリーヌだって世間的にはともかく、医学界では有名なんじゃないだろうかと思う。だから引き合いに出してみた。

 

 

 

 

 俺はその後チョッパーを言い包めて、母さんの弟弟子であることはあまり口外しないように釘を刺しておいた。

 世間の目や海軍や政府がどうたらこうたらとそれらしい理由はこじつけておいたけど、本心はなんてこともない。

 ルフィの耳に入れたくなかったのである。

 だってあいつのことだ、聞いたら絶対に『叔母ちゃんだ!』って言い出す。そしたら色々と情報が錯綜しそうじゃね? 悪あがきと言うなら言え。

 

 でもチョッパーの気持ちは凄く嬉しかったから、お礼として綿菓子機を作ってみた。(←協力者・ウソップ)

 それで綿菓子を作ったらとても喜んでくれたよ。

 今後も町のある島に上陸したら、優先的に色んなお菓子を買ってあげたいと思う。

 




 ユアンはチョッパー贔屓になりました。

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