人生がイキナリハードモード過ぎて辛い   作:nirvana

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黒崎真音さんのニューアルバム 『ハーモナイズ・クローバー』の発売を記念して今回は曲名をタイトルにしました。

では、今回もよろしくです!




その五 アフターグロウ

誰かの声が頭の中に響いている気がする。どこかで聞いた事のある懐かしい声だ。誰の声だっけな?

 

まあ、気にする必要も無いだろ。

 

俺は今日の朝まで沖縄にいた。親戚の葬儀に行くために三日前から沖縄に滞在していたからだ。それで今はその葬儀を終えて、ほんの少しの沖縄観光も終えて、ここ巡ヶ丘市に帰ってきた。沖縄も楽しかったけど、やっぱり地元がいい。それに[あの人]が亡くなった土地に居続けるのはきついものがある。

 

そうこう考え事をしていたら家に着いたようだ。今更だが今日は本来なら学校の日だ。学生は学校に居なくてはいけないのに俺だけ家に居るっていうのはなんかな、少し微妙な気分になるな。とりあえず家の中に入ろうか。三日ぶりだけど、凄く懐かしく感じるのはきっと、俺がそれだけこの家に愛着を持っているという事なのだろうか。

 

「わんわん!」

 

家の中に入ると愛犬のラックがいた。三日間の間は近所のおばさんにたまにこの子を見てくれないかと俺が頼みに行った。おばさんは律儀にしっかりと面倒を看てくれていたようで、ラックは旅行前と変わらずとても元気である。

 

「相変わらずだなー、ラック。ほら、おいで台所で餌を入れてあげるからよ。」

 

ラックはご飯の時には家の中に入れる。もちろん足は拭く。毎回尻尾をパタパタさせているから観ていて面白いし、可愛い。

 

「母さん」

 

「ん?どうしたの遙?」

 

「俺疲れたから少し寝るからさ、出来たら二時半頃に起こしてもらってもいい?」

 

「一時間位起きれないの?」

 

「なんか疲れが溜まってるみたいでさ、でも、学校にも顔は出したいから。その時には元気に行きたいからさ。だからお願いします!」

 

「はあ、分かったわ。なら、時間になったら起こしに行くから、しっかり起きるのよ?」

 

「分かってるよ。じゃ、おやすみ」

 

「ええ、おやすみなさい」

 

そんなやり取りをして俺は自分の部屋がある二階に向かう。寝起きが悪いと自分で起きるのが大変なんだよな。時間かかってよ。ホント、これ直さないと自立出来ないよなー。笑えねぇorz。

 

 

 

 

 

一時間が経って母さんに起こされた。ん、学校に行くなら制服着ないとな。聞いた話では、俺等の学校の制服は結構人気らしい。デザインが良いというのと、ある程度なら改造が許されているっていうのが人気の理由とか。まあ、俺も制服少し改造してるんだよな。普通の制服にはチャック付きのポケットなんて付いてないし、ズボンもズボンで下の部分にチャック付けてるからな。実用性は特にないけども。

 

制服を着けた俺は母さんと父さんに一言言ってから家を出る。なんかしら言っとかないと後々が面倒なんだよ。俺の家から学校までは普通に行けば歩きで五十分という所だろうか。今からゆっくり行けばちょうど放課後位には着くはずだ。クラスの奴らは元気かね?お土産はまあそうだな、明日でいっか。

 

「しかし、この通路を歩くのも三日ぶりだな。って、俺はどんだけこの街に愛着あるんだよ!?」

 

つい、自分に突っ込んでしまった。そっから一時間位は携帯にイヤホンを挿して、片耳だけ着けて音楽を聞いていた。今聴いている音楽はスリープの[欠落に叫ぶ]だ。リズムが良いからよく聴いてる音楽の一つだ。

 

 

 

 

 

ゆっくり音楽を聴きながら歩いていたら、学校に着いたようだ。此処が俺の通っている学校、[私立巡ヶ丘学院高等学校]だ。創立は確か一九八七年だったかな?イマイチ覚えてないけど。部活が盛んで、陸上部などはココ最近は全国区常連らしい。俺も部活立ち上げようとしたんだけどな。まさか即却下とは、あのハゲめ。いつか頭にサラダオイル塗ってあげようかな。いや、もちろんやらないけど。冗談です。やったら死ぬ、うん。

 

 

 

 

暫く校庭を歩いていると見知った顔を見つけた。

 

「おーい、恵飛須沢ぁー」

 

とりま声をかける掛けてみる。

 

「ん?あ!藍本か。帰ってきたんだな!」

 

「ああ、ただいま。クラスの奴らは元気か?」

 

「あいつらは相変わらずだよ。皆元気にわーわー騒いででたさ。」

 

「なら、いつも通りだな」

 

「ああ、そうだな」

 

俺等のクラスが他のクラスからたまに苦情が来るくらいうるさいなんてことはないからな。うん、嘘です。同じクラスの俺でもうるさいです。

 

「あ、私練習中だから戻るな!」

 

「ん、呼び止めて悪いな。お土産は明日渡すからよ期待しとけよ?」

 

「おう。期待しとくさ。んじゃ、明日な!」

 

「ああ、明日な」

 

そして彼女は走り去っていった。彼女は恵飛須沢胡桃。多分最も画数の多い名前とかでランキング入りできるんじゃないか?割とマジで。同じクラスなのはやり取りで分かったと思う。

 

「さて、恵飛須沢には会ったけど、他にも会ってない奴多いからな。教室行くか」

 

さて、三日ぶりの校舎内だ。心して行こうか。いや、そんなに構える必要は無いと俺も思うけどな。

 

 

 

廊下を歩いているとこれからどこか行くのだろうか、よく仲良く一緒に居るのを見る後輩二人組が走り去っていった。仲いいなあの二人。

 

そんな二人を見送り、俺は教室に向かって足を進める。ほんの少しだけだけど何故か緊張している。なんで自分のクラスに向かうだけで緊張してるんだ俺は。そうして三階の階段を上がり、少し進むと俺のクラス三年C組に辿りついた。予想してた通りに中には何人か残ってイラようだ。でも、人数は少ないな。三人しかいないんだけど?しかも一人は国語の先生のめぐねぇかよ。

 

「失礼しまーす!」

 

ガララッ!

 

勢いよくドアを開ける。

 

「あら、藍本君帰ってきたのね。」

 

「ああ!ハルくんだぁー。おかえりー!」

 

「なんだ、遙か」

 

中にいた三人は三者三様の反応をしてくれた。由紀は相変わらず元気だな。しかし残念かな。バカなのも変わってなかったのか。それか、[また]テストでふざけて赤点でも取ったのか。

 

「おう、ただいま、由紀。あとお前は反応が酷くないか?」

 

「ふふつ、なゆちゃんはねぇ。こんなんでも実は帰って来てくれて嬉しかったりするんだよ!」

 

「おい、由紀!」

 

「あ、あのぉ〜」

 

「お、マジかよ。なら良かったわ。ほら、那由他。これお土産のネックレス。あと由紀にはちんすこうとサーターアンダギーな」

 

「おぉー、ハルくん愛してるぅー!!」

 

「はいはい」

 

「適当!?」

 

「あ、ネックレスありがと……」

 

「えと、その」

 

「ああ、気にすんな。なんか買ってこようとは思ってたし、ほんの気持ちだよ」

 

「私、無視されてる?………(´;ω;`)」

 

「あ、めぐねぇこんちわ」

 

「あれ、めぐねぇ居たの?」

 

「なゆちゃんそれは酷いって」

 

「私先生なんだけど……それにめぐねぇじゃなくて佐倉先生よ。もう何度も言ってるけど」

 

 

彼女は佐倉慈。皆から慕われているとても生徒受けの良い教師だ。三年の国語の先生で、俺達のクラスの副担任でもあったりする。そんで、ピンク帽子が丈槍由紀で、なんかツンデレ入ってそうな微妙に髪染めてチョーカー着けてる奴が廻輪 那由他(まわりわ なゆた)。今の俺の彼女でもある。

 

「ヒュー、なゆちゃん達仲いいねぇ。なんか苦い物が食べたい気分だよ」

 

「お前苦い物食べれないだろ。後さっさと補習終わらせよな。終わったら購買でアイス奢ってやるよ。めぐねぇがな。」

 

「私!?」

 

「うおぉぉぉー!!!やる気でたー!!」

 

「うぅ、今金欠なのに(泣)」

 

「いやいや、冗談ですよ。俺が出しますから。」

 

まさか冗談が通じてなかったとは。あ、そうだ。すっかり忘れてた。

 

「俺少し屋上に顔出してくるわ。流石に三日もいなかったから顔くらい出さないとな」

 

「ああ、遙そういや園芸部だったな。そんな設定あったの忘れてたよ」

 

「ゲームのキャラみたいに言うなよな。んじゃ、ちょっと行ってくる」

 

「ああ、いってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

俺達の学校には屋上菜園という物がある。しかもそれの隣にはなかなかに大きいソーラーパネルがあったりと、この学校色々おかしすぎるだろ。っと、まあそれは置いといて、屋上には何故か一人しかいなかった。いつもなら他の奴もいるんだけどな。

 

「あれ?悠里一人か?」

 

「ん、帰ってきてたのね藍本君。そうなのよね。今日は何故か皆来ないのよね」

 

「そうか、作業手伝うか?」

 

「もう終わるから大丈夫よ。それに廻輪さん達待たしてるんじゃない?」

 

こいつ、エスパーか!?

 

「なんでわかるし」

 

「勘よ」

 

「勘かよ」

 

え、勘とか怖い。

 

「んじゃ、今日は元々挨拶だけのつもりだったから俺は戻るな」

 

「ええ。ならまた明日ね。藍本君」

 

「ああ、また明日」

 

 

 

 

 

「さてと、とりあえず教室行って、那由他達誘って帰るとするか。由紀にはアイス奢るとか言っちゃったからなぁー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

教室に来たのはいいんだけど、教室は開いてるのに中には誰も居なかった。中にはカバンとかも置かれてなかったから先に行ったのか。それか帰られたか。まあ、そうだったら俺も帰るか。どちらにせよ此処で待ってても来そうにはないしな。

 

 

いつの間にか校庭には人が居なかった。あれ?もう下校時間近いのか?いや、それでも野球部とか陸上部はギリギリまで残ってるだろうに。

 

 

・・・・・帰るか。

 

よし、帰ろう。余計な事を考えていてもしょうがない。なら帰るとしよう。もし、那由他達に明日なんか言われたらアイスでも奢ってあげよう。それで、まあ、気は治してくれるだろ。そう考えて、おれは[校舎内]に足を進める。今日の夕飯はなんにする………あれ?

 

 

「俺なんで、「帰らないの?」」

 

!?

 

「あ、那由他いたのか」

 

「うん、私はいたよ此処に」

 

「そ、そうか。帰らないのか?」

 

「遙は帰らないの?[家]に」

いや。帰るに決まってるだろ?当然だ。だから、そう、なんでその一言が言えないんだよ?

 

「ああ、帰るよ。俺の[家]に」

 

「それじゃあ、行こうか。早く行かないと日が暮れちゃうからな」

 

違う。いや違くないか。そうだ、そうだった。俺の帰る場所は[あっち]じゃない。でも、那由他が帰る先は

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、那由他」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだい、はる……か……?」

 

 

ズシャアアア!!!

 

「そうだな。帰ろうか那由他。お前の居るべき所は[此処]じゃないだろ?それと同じだよ。[今]の俺が帰るべき所はあっちではないんだよ」

 

 

「は………る……」

 

「ありがとう那由他。俺はもう大丈夫だよ。だからさ、安心して、帰っていいよ。皆いると思うぜ?お前の事を待ってるだろうさ」

 

 

 

 

「す…………………き……だっ……」

 

 

 

 

 

「ああ、俺もお前の事が大好きだったよ。」

 

 

 

だから、[二度目]だけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよなら、そしていってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ろう。俺の[家]に」

 

そう、帰ろう[部室]に。今の俺の居るべき所に。そして、また明日を迎えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グッドモーニング!ワンワンワン放送局が朝の五時をお伝えするよ!』

 

 

「んん、もう朝かって、まだ五時じゃねえか。まぁ、やけにすっきりした感じはするけど」

 

何時もなら大体起きるのは八時から九時前後なのに今日はラジオのせいか早起きしてしまった。ラジオは電気が勿体ないとは思うかも知れないが、もしかしたら気づかぬうちに[最後通告]が発令されてたら堪らないと思ったから、朝、昼に一回つけて確認。夜は寝るときから朝まで付けっぱなしだ。もっともバッテリーが残ってた人の携帯使ったり、職員室にあってラジオ使ったりしてるから電気は別に心配はないけどな。ラジオはまだ電池たくさんあるし。

 

 

 

『ワンワンワン放送局は毎日朝の五時と夕方五時に放送してるから、聴いたリスナーは御意見、御感想を言いに来てくれると嬉しいな!さて、朝のファーストナンバー行ってみよー!曲は黒崎真音でニューアルバム[ハーモナイズ・クローバー]に収録されているラジオ初登場かもしれない新曲』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『[アフターグロウ]!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 






廻輪 那由他はあれです。アニメオリジナルキャラのチョーカーさんに名前を付けただけですね。

あと、アフターグロウはとてもいい曲でした。なんか、もう感動で涙が…………。

それでは、次回も宜しくです!

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