ではどうぞ
※2017/4/22
少し修正しました
ある研究施設のある一部屋。そこで三人の人物がパソコンに向かって作業をしていた。どうやら何かのプログラムを作っているようだ。
「終わった~。んじゃ、昌、姉さん、先帰るな~」
一人の少女が立ち上がり、帰る支度をしながら残りの二人に言うと
「分かりました。明日加によろしく言っておいて下さいね」
「分かった。明日加君によろしく言っておいてくれ」
残りの二人はいったん作業を止めて、少女に振り返りながら似たようなことを言った。
「んなっ!何でそこで明日加が出てくるんだよ!!」
少女は顔を赤くしながら叫んだ。それに対して二人は、今度は全く同じ事を言う。
「「明日加(君)とデートしてくるん(でしょう/だろう)?」」
「うっ」
二人の言葉は図星のようで、少女は言葉につまる。
「うぅ、姉さんはともかく、何で昌まで分かるんだよ...」
少女─桐ヶ谷佳奈─は肩を落としながらそう言った。
「うむ、伊達に家族ぐるみの付き合いではないからな」
「と言っても知り合ったのは七年ほど前でしょう?」
青年─茅場昌彦─の言葉にもう一人の少女─桐ヶ谷和葉─は軽くツッコミを入れる。
「はぁ、まぁいいや、んじゃ先帰るな~」
そのまま佳奈は小走りで部屋を出て行った。
「楽しんできて下さいね」
「楽しんでくるのだぞ」
部屋を出て行った佳奈に二人はそう言った。
「さて、残りの部分の設定を終わらせましょうか」
そう言いながら和葉はパソコンに向かい、作業を再開する。
「悪いね、正式版『ソードアート・オンライン』の制作を手伝わしてしまって」
昌彦は申し訳なさそうに作業をしながら言った。
「いえいえ、こっちも楽しんで作っているので気にしないでください。それよりも、βテスト受けさせてくれてありがとうございます」
同じように作業をしながら、和葉は昌彦にお礼を言った。
「そうか、楽しんでもらえたかな?」
「えぇ、勿論。しかし、仕方ないと思うのですが水に入ったときに違和感がありすぎでしたね」
「ふむ、そこは仕方あるまい。水に入ったときの感覚は完全には再現出来ないからね。正式版では少しましになっているはずだ」
「それは良かったです」
「それと君達のおかげで『ソードスキル』が思ったより早く完成できた。礼を言う」
「それはいいんですが、僕達だけ他のプレーヤーよりも情報量が多いですね。ソードスキルもほとんど覚えてしまいましたし」
「君たちの記憶力は相変わらず異常だな」
昌彦は呆れたように溜息をついた。しばらくして会話は途切れ、再びキーボードをたたく音のみが響く。
数十分後
「終わりましたよ、昌彦」
どうやら和葉は自分の作業を終わらしたようだ。
「ご苦労だったな。正式版、楽しみにしていてくれたまえ」
「えぇ、楽しみにしてますよ」
和葉は帰り支度をしながら言い、それでは、と頭を下げてから部屋を出て行った。
一人部屋に残った昌彦は
「君達なら、私の創った世界をクリアしてくれるか?」
ポツリと、そんなことを呟いた。
はい、如何でしたでしょうか
茅場の口調ってこれであってましたっけ?
それではまた次回