転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

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先に言っておきます。自分はクラディールが嫌いです。ですので、タグについている『キャラ改善』、『原作キャラ生存あり』に含まれていません。というか含みたくない。
和葉「どんだけ嫌いなんですか…」
殺したいくらい(即答)
和葉「あぁ、そうですか…」

ではどうぞ


デュエル

 翌日

 

 七十四層主街区の転移門の前にキリハはいた。というのも先日、パーティーを終えたキリハは皆を見送り、就寝しようとしたところでキリトからメールが来たのだ。見れば『明日、明日香と迷宮区行くことになったから姉さんも行くか?』と来ていたので『勿論』と返した。その後は集合時間を決め、キリトは今日アスカの所に泊まってるだろうなぁと思いながら寝た。そして今朝準備をして転移門の前で待ってるわけだが…。

 

(遅いですねぇ)

 

 待ち合わせ時間から十分経っても二人が来ない。片方だけならともかく、二人そろって遅刻とは珍しいものだ。寝坊などは考えにくいので恐らく、というか十中八九面倒な事に巻き込まれたのだろう。

 すると、転移門が青白く光り始めた。もう何度見たか分からない転移してくるエフェクトだ。これが二人じゃなければ連絡を取ろうと思っていたが─

 

「「キリハ!!そこ退いてくれ!!」」

 

「はい?」

 

─声に反応して振り返ると、目の前には跳んでいる二人がいた。まさかそう来るとは思わなかったので一瞬硬直はしたが、咄嗟に体が動き横に回避した。二人はキリハが先程までいた場所に着地する。

 …危なかった。回避が遅れていたら潰されていた。

 

「…あまり聞きたくないのですが一応聞きます。何があったのですか?」

 

「「それよりも早く逃げる!」」

 

「は?えっちょっ」

 

 キリトが珍しく現状把握出来ていないキリハの手を引いてこの場から去ろうとする。が、それより早く転移門から一人の男性プレーヤーが出てきた。その男を見た瞬間、アスカとキリトはキリハの後ろに隠れた。

 

「アスカ様、本部に行きましょう」

 

「嫌だよ!つか、何で俺のホームの前にいたんだよ!!」

 

 おっと問題発言。キリハは冷たい目で男を見る。(フードを被っているので相手には分からないが。)よくよく見れば、昨日エギルの店から出るときにキリハを睨んだアスカの護衛だった。

 アスカの問いに男は答える。

 

「それは勿論、私がアスカ様の護衛だからです」

 

 心なしか、胸を張って答える男。

 

「護衛だからってホームの前にいる必要ないだろ!!」

 

 アスカのもっともな言葉にキリト達はおろか、周囲にいたプレーヤー達も頷く。しかし、それはこの男に見えてないようだ。

 

「さぁアスカ様、本部に戻りましょう」

 

「断る!!俺はこれからキリト達と迷宮区に行くんだから帰れ!!」

 

「我が儘を言わないでください。それに迷宮区に行くなら、そんな頼りない小僧達ではなくギルドのメンバーで充分でしょう」

 

「…あ?」

 

(おや)

 

(((((((あ、あの人地雷踏み抜いた…)))))))

 

 アスカの出した低い声を聞いて、キリハは男がアスカの地雷を踏み抜いた事を把握し、周囲のプレーヤー達は震え上がった。今のアスカは誰がどう見てもマジギレ五秒前にしか見えない。

 今にも細剣(レイピア)を抜きそうなアスカの肩をキリトが抑え、前に出る。

 

「んじゃ、頼りないかどうか試してみるか?」

 

 先程の怯えが嘘のように不敵な笑みを浮かべるキリト。まぁ、恋人の家の前に不審者がいたら怯えるのが普通だと思うが。

 男は眉をひそめただけで、相手にしなかった。

 

「ふん、手合わせしなくとも貴様達など「あぁなるほど、負けるのが怖いのか」なんだとっ…!?」

 

 しかし、キリトの挑発には耐えられなかったようだ。男は憤怒の表情に染めた。

 

「わ、私は栄光ある血盟騎士団のっ…」

 

「んなこと関係ないだろ。それに、少なくともあんたよりはマシな護衛が出来るぜ?」

 

 不敵な笑みはそのままに、挑発に挑発を重ねるキリト。男は先程よりも顔を赤くしていく。勿論怒りによって。

 キリハは、未だに少しだけ不機嫌なアスカに話し掛けた。

 

「アスカ」

 

「なに」

 

「あれ、いいんですか?KOBの副団長とs「知るか。キリトを馬鹿にしたことを後悔すればいいんだよ」…ですよね」

 

 知ってた、という風に溜息をついた。

 キリトの方へと視線を戻すと、既にデュエルのカウントダウンが始まっていた。どうやら最初に攻撃を当てるか体力が半分になったら決着がつく《初撃決着モード》のようだ。周囲を見ると先程よりもプレイヤーが増えている。当たり前だろう。何せ攻略組で名を知られているキリトと、名のあるギルドメンバーがデュエルをするのだ。ここに至るまでの経緯を知らない者達は盛り上がっていた。

 男の名前は…後でアスカに教えて貰えば良いのでキリトの立ち姿を見る。愛剣、エリュシデータを右手に持ち、手をぶら下げ下段受け身の構えを取っている。どうやら、二刀流を使う気はないらしい。次いで男に視線を送る。武器は装飾を施した両手剣、上半身を前に少し倒し中段担ぎ気味に構えている。明らかに突進系のソードスキルを使ってくるだろう。勿論、フェイクの可能性もある。だからキリトは突進系で来るのを半ば確信しながらも他の手も考えておく。

 そして、カウントがゼロになった瞬間、キリトは地面を蹴り数瞬遅れて男も飛び出した。男は顔を驚愕に染める。キリトが受け身の構えを取っていたのに飛び出した事に驚いたのだ。男はキリハ達の予想通り、両手剣突進系ソードスキル『アバランシュ』を繰り出した。『アバランシュ』はその突進力から繰り出される一撃は、生半可なガードなら技の衝撃によって相手に反撃をさせず、重さで武器を弾き飛ばし、回避されても突進によって距離が出来るためにプレイヤーが体勢を立て直しやすい非常に便利なスキルだ。あくまで()()()()()()()なら、の話だが。対するキリトは片手剣突進系ソードスキル『ソニックリープ』を繰り出した。

 男は勝利を確信した笑みを顔に浮かべた。通常、武器同士が衝突した場合、より重い武器が勝つ。勿論のこと武器が弾かれれば大きな隙になる。しかし、キリトの狙いはつばぜり合いではない。両手剣と片手剣でのつばぜり合いなど結果が見えるものを、何故わざわざやらなければならない。それにもう一つ、武器同士の衝突による結果がある。

 キリトのエリュシデータと男の両手剣が衝突した瞬間、金属の折れる甲高い音が聞こえ二人はすれ違い、最初とは逆の立ち位置になった。二人の間、丁度中央に上空から何かが落ち、地面に刺さる。それは、男の持っている両手剣の半分から上だけの物だった。そして男の持っていた両手剣はポリゴンとなった。

 これがもう一つの結果、《武器破壊》だ。普通、これを狙うのは至難の業だ。なにせ武器の最も弱い箇所、方向にソードスキル等を使った強い衝撃を与えなければ起こらない。しかしキリトには折れるという確信があった。装飾を施した装備は総じて耐久値が低い。無論、それだけで折ることは出来ない。

 ソードスキルはどう動くのか決まっている。決められている動きを無理矢理変えようとすると不発に終わり、それに加え硬直もしてしまう。それをキリトはソードスキルがキャンセルされない程度に動きを調整して武器の弱い箇所に当てたのだ。

 

「武器を変えてやり直すなら付き合うが、もう良いんじゃないか」

 

 両手を地面につき呆然としている男にキリトは声をかける。男は肩を震わせて「アイ、リザイン…」と呟いた。わざわざ英語で言わなくとも良いのだが。

 

「私がっ…栄光ある血盟騎士団の一員である、この私がぁぁぁあっ!!!」

 

 しかし男は短剣を新たに装備し直し、そう叫びながらキリトへと飛びかかった─と周囲のプレイヤー達が認識した瞬間には既にアスカによって短剣が吹き飛ばされていた。

 

(相変わらず佳奈への危険に対しては反応速度がおかしいですね…)

 

 そう思いながらキリハは刀から手を離す。キリハも飛びだそうとしていたのだが、それより早くアスカが飛び出していった。正直な所、アスカよりキリハの方が敏捷値は高いはずなのだが気にするだけ無駄だろうと思いキリト達へ近づく。

 

「クラディール、別命があるまで本部で待機。副団長として命令する」

 

 クラディールというらしい男は顔を歪ませながらも転移結晶で消えていった。こちらへ、特にキリトに殺気立った視線を送りながら。

 

「あのクラディールというプレイヤー、気をつけた方がいいですね」

 

「あぁ、分かってる」

 

「そんなことより早く迷宮区行こうぜ」

 

 キリトがそう言いながら歩き始めそれについていきながら、まぁ二人に何かしでかしたら殺すけど、とキリハは危ない思考をしていた。




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